第32回コンピュータシステム・シンポジウム(ComSys2020)
主催 | 情報処理学会 システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会 |
開催日 | 2020年12月1日(火)〜 12月2日(水) |
開催場所 | オンライン |
問い合わせ先 | 尾上 浩一(富士通) |
Email: <onoue.koichi あっと fujitsu.com> |
(”あっと”を”@”に直して下さい) |
目次
更新履歴
- 2020年11月2日:招待講演等の情報を追加しました。
- 2020年10月30日:参加登録サイトを開設しました。
- 2020年9月28日:投稿ページを開設しました。
- 2020年9月3日:ホームページを開設しました。
開催概要
コンピュータシステム・シンポジウムは、情報処理学会システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会が中心となり開催しているシンポジウムで、1987年(昭和62年)11月に第1回を開催して以来、今年で32回目の開催となります。本シンポジウムは、年々著しい勢いで変化を遂げる基盤ソフトウェア技術の分野で、最新の話題や斬新なアイデアについての議論の場を提供してきました。特に、現代社会を支えているITインフラストラクチャにおけるオペレーティング・システム、システムソフトウェア、仮想化技術、実装技術、応用技術に関する、最新の研究成果や有用性の高い実装・開発事例に関する論文が発表されてきました。
本シンポジウムでは、研究をより発展させてもらうことを期待して、投稿論文に対してプログラム委員会からのコメントフィードバックを得られる機会を提供します。また、タイムリーな内容に関する招待講演やチュートリアルに加えて、これまでに本研究会で発表された後に国際会議やジャーナル論文として成果を収めた研究についての招待講演などの企画をすすめています。以上により、日頃の研究成果の発表と意見交換を行う場を提供したいと考えています。
ハイライト:
- 招待講演1:「TEE (Trusted Execution Environment)は第二の仮想化技術になるか?」
セキュアオープンアーキテクチャ・エッジ基盤技術研究組合(TRASIO)/産業技術総合研究所サイバーフィジカルセキュリティ研究センター
須崎 有康 様
- 概要
- 隔離実行技術であるTEE(Trusted Execution Environment)はArm TrustZone、Intel SGXなどで普及・認知が進んだが、仮想マシンをセキュアに実行するAMDのSecure Encrypted Virtualization (SEV)やIntel Trust Domain Extensions (TDX)、AWSのNitro Enclaveなど新しい方式が出ている。講演者もNEDOのプロジェクトでもRISC-VベースのTEEを作成している。本講演ではTEE技術がどのようなものであり、何がハードウェア・ソフトウェアとして必要なのかを解説し、2000年代に起こった仮想化技術のようにOS研究の主流になれるのかを議論したい。下記の解説を読んで頂けるとありがたい。
- Trusted Execution Environmentによるシステムの堅牢化
- Trusted Execution Environmentの実装とそれを支える技術
- 御略歴
- 1991年 東京農工大学大学院中退。電子技術総合研究所を経て、産業技術総合研究所に勤務。情報理工学博士(東京大学)。並列計算機のために空間分割・時間分割を行うスケジューラをオーストラリア国立大学のAP1000+/Linuxに実装(1998年)。1CD LinuxであるKNOPPIX日本語版を2002年から2015年まで管理。その他、仮想化、高信頼計算、コンピュータセキュリティ関連の仕事を行う。2019年からTCG(Trusted Computing Group)のInvited Expert。昔の三大Linuxカンファレンス(Ottawa Linux Symposium, Linux Congress, Linux.Conf.AU)を制覇したが、まったく認知されていない。
- 招待講演2:「低遅延不揮発性メモリを用いたリソース分離型分散データストアとその応用」
日本電気株式会社バイオメトリクス研究所主幹研究員/大阪大学サイバーメディアセンター招へい教授 吉川 隆士 様
合同会社リトルウイング代表社員/株式会社Diagence代表取締役社長 菅 真樹 様
- 概要
- 近年、低遅延の次世代不揮発性メモリが実用化されてきました。本講演では、その低遅延性を最大限に活用するリソース分離アーキテクチャを用いた分散データストアについて紹介します。その応用として次世代不揮発性メモリからGPUメモリへ計算データを転送するBurstBufferの取り組みについて紹介します。
- 御略歴
- 吉川様:1990年日本電気株式会社入社、光デバイス、キャリアネットワーク、計算機プラットフォーム等の研究開発に従事。現在はバイオメトリクス研究所主幹研究員を務める。2016年から大阪大学サイバーメディアセンター先進高性能計算機アーキテクチャ共同研究部門の招へい教授(常勤)として高性能計算機と高性能データ分析の融合研究を進めている。
- 菅様:2003年日本電気株式会社入社、分散ストレージシステム等の研究開発に従事。2017-2018年株式会社ウェルモでCTOとして介護向けAIシステムの研究開発・技術経営等に従事。平行して2017年合同会社リトルウイング創業、代表社員。IT研究開発等の事業、Approximate Computingの研究を推進。2019年株式会社Diagenceを創業し、代表取締役社長に就任。
- トップカンファレンス・ジャーナル採択論文講演
- 富士通研究所 今村 智史 様 【VLDB 2020】
"Mosaic: A Budget-Conscious Storage Engine for Relational Database Systems",
Lukas Vogel, Alexander van Renen (TU München), Satoshi Imamura (Fujitsu Laboratories Ltd.), Viktor Leis (Uni Jera), Thomas Neumann, Alfons Kemper (TU München)
- 慶應義塾大学 川島 英之 様 【VLDB 2020】
"An Analysis of Concurrency Control Protocols for In-Memory Databases with CCBench",
Takayuki Tanabe (University of Tsukuba), Takashi Hoshino (Cybozu Labs, Inc), Hideyuki Kawashima (Keio University), Osamu Tatebe (University of Tsukuba)
- 東京大学 中村 遼 様 【APSys 2020】
"How beneficial is Peer-to-Peer DMA?",
Ryo Nakamura, Yohei Kuga (The University of Tokyo), Kunio Akashi (NICT)
- 筑波大学 Ryan Nathanael Soenjoto Widodo 様 【APSys 2020】
"HDRF: Hadoop Data Reduction Framework for Hadoop Distributed File System",
Ryan Nathanael Soenjoto Widodo, Hirotake Abe, Kazuhiko Kato (University of Tsukuba)
- 東京大学 品川 高廣 様 【VEE 2020】
"A Robust and Flexible Operating System Compatibility Architecture",
Takaya Saeki, Yuichi Nishiwaki, Takahiro Shinagawa (The University of Tokyo), Shinichi Honiden (Waseda University)
- フィックスターズ Chung-Fan Yang 様 【VEE 2020】
"Obtaining hard real-time performance and rich Linux features in a compounded real-time operating system by a partitioning hypervisor",
Chung-Fan Yang, Yasushi Shinjo (University of Tsukuba)
- 東京大学 空閑 洋平 様 【NSDI 2020】
"NetTLP: A Development Platform for PCIe devices in Software Interacting with Hardware",
Yohei Kuga, Ryo Nakamura (The University of Tokyo), Takeshi Matsuya (Keio University), Yuji Sekiya (The University of Tokyo)
- 日立製作所 松沢 敬一 様 【ACM Transactions on Storage】
"Practical Quick File Server Migration",
Keiichi Matsuzawa (Hitachi, Ltd. and The University of Tokyo), Mitsuo Hayasaka (Hitachi, Ltd), Takahiro Shinagawa (The University of Tokyo)
スコープ
本シンポジウムの主たるスコープは以下の通りですが、システムソフトウェアに関するものでしたらこれに限りません。
- オペレーティング・システム
- ミドルウェア
- 仮想化技術
- ファイルシステム
- 組込みシステム
- ユビキタスシステム
- 実時間システム
- ディペンダブルシステム
- モバイルコンピューティング
- Peer-to-Peer技術
- セキュアコンピューティング
- インターネット基盤技術
- 並列分散システム
- クラウド技術
- その他システムソフトウェア一般
論文募集
投稿カテゴリ
【カテゴリ1】一般論文(コメントフィードバックあり)
投稿された論文に対してコメントフィードバックを行います。論文の内容を考慮し、プログラム委員会が専門性の高いコメントを返します。コメントフィードバックは査読ではありません。研究内容を洗練させるためのものですので、返されたコメントは今後の研究にお役立てください。なお、ComSysでの発表にコメントを反映する義務は生じません。
通常の研究発表会にはない貴重な機会ですので、積極的な利用を推奨します。
【カテゴリ2】一般論文(コメントフィードバックなし)
通常の研究発表会と同様に、コメントフィードバックなしの論文を投稿することができます。投稿者の利便性に配慮し、論文の登録締切を投稿締切の1週間前とし、カテゴリ1よりも投稿締切を4日延長します。
【カテゴリ3】口頭発表(概要のみ)
概要の投稿のみで口頭発表を行うことができます。萌芽的な研究や現在進行中の大型研究プロジェクトの内容、概ね過去一年以内に国際会議やジャーナル、プレプリントサーバ等で発表した研究内容などをコミュニティに紹介し、ディスカッションするための発表を想定しています。
【カテゴリ4】ポスター・デモ発表
参加者とのディスカッションをインタラクティブに行うことができます。他のカテゴリに投稿された場合も、ポスターでの同時発表を推奨します。今回はオンラインで実施します。
重要日程
【カテゴリ1】 一般論文(コメントフィードバックあり)
- 論文登録締切: 2020年10月12日(月)
- 論文投稿締切: 2020年11月 2日(月)
- フィードバック返却:2020年11月24日(火)
【カテゴリ2】 一般論文(コメントフィードバックなし)
- 論文登録締切:2020年10月30日(金)
- 論文投稿締切:2020年11月 6日(金)
【カテゴリ3】 口頭発表(概要のみ)
- 発表登録締切:2020年11月10日(火)
- 概要投稿締切:2020年11月24日(火)
【カテゴリ4】 ポスター・デモ発表
論文投稿方法
すべてのカテゴリへの概要登録および投稿はEasyChairを使用します。
こちらからお願いいたします。
- 利用には、Easy Chairのアカウント登録(無料)が必要です。
- Easy Chairの表示言語は英語ですが、論文タイトル、概要、著者情報などの入力には日本語が使用できます。
一般論文については、論文の概要登録締切日までに、タイトルと概要を投稿ページより登録してください。その後、論文投稿締切日までにPDF形式で作成した論文をアップロードして下さい。また、下記に案内する事前参加登録を11月24日(火)までに済ませてください。
原稿の作成
投稿論文は、情報処理学会の研究報告原稿のフォーマットに従ってください。所定のスタイルファイルを用いるものとし、スタイルファイルや行間のスペース等の変更は行わないでください。規定のフォーマットに従っていない論文は受理しないことがあります。
論文の公開
シンポジウム論文集には、カテゴリ1(一般論文・コメントフィードバックあり)およびカテゴリ2(一般論文・コメントフィードバックなし)の論文のみを掲載します。
シンポジウム論文集は完全オンライン化となっており、電子図書館(情報学広場)に掲載されます。紙の論文集は発行しません。なお、シンポジウム論文集はシンポジウム開催日の1週間前に公開されます。特許等の関係で公知日を考慮する必要がある場合はご注意ください。
投稿される論文の著作権の取り扱いは、「情報処理学会著作権規程」に従います。
コメントフィードバック
コメントフィードバックありの一般論文(カテゴリ1)では、どのようなコメントが欲しいかをリクエストしてください。たとえば、
- 論文のストーリーには説得力があるか、客観的な視点でコメントが欲しい。
- 論文で、○○という点において悩んでいる。どのようにすれば解決できるか、アドバイスを貰えないか。
- 将来、国際会議○○(あるいはジャーナル論文○○)への投稿を目指している。十分な内容に達しているか、足りないとすればどのような内容を補えばよいか、コメントが欲しい。
- 評価実験は網羅的で十分な内容か。
- 提案方式の説明はこの書き方で伝わるのか。図の意味は十分に把握できるのか。
- 関連研究の○○と提案技術が近いことを心配している。差分は十分に主張できているか。
などなど、研究の進捗に応じて、コメントが欲しいポイントを明記してください。それに沿ってOS分野の一線の研究者がコメントをお返します。また、国際会議や論文誌といった将来の投稿先に応じたコメントもフィードバックいたします。コメントフィードバックが不要な方はカテゴリ2で投稿してください。
ポスター発表の原稿について
カテゴリ4のポスター発表へ申し込む場合には、発表するポスターの内容を論文形式にしたものを以下の形式で準備してください。
- 言語:日本語 または 英語
- ページ数:A4 1〜2ページ
- 内容:下記の情報を含むこと。
- 論文タイトル
- 著者および所属
- (概要については必ずしも必要ありません)
- ファイル形式:PDF
参加募集
論文発表される方、ポスター発表の方、聴講のみの方、いずれも参加登録が必要です。こちらの登録サイトからお願いいたします。
区分 | 会員の別 | 事前申込(〜11/24) | 通常申込(11/25〜12/2) |
一般 | 情報処理学会 OS研究会 登録会員 | 12,000円 | 16,000円 |
情報処理学会 正会員 | 15,000円 | 19,000円 |
非会員 | 19,000円 | 23,000円 |
学生 | | 無料 | 2,000円 |
ACS 論文誌との連携について
ACS 論文誌 において、ComSys との連携号は企画されておりませんが、ComSys でコメントフィードバックを希望された場合には、後日、ACS 論文誌に投稿した際にできるだけ同じ方が査読者になるように配慮します。このような緩やかな連携により、査読の精度が向上し、ACS 論文誌に採録されやすくなることが期待できます。
BitVisor Summitとの連携について
本シンポジウムの前日(11/30)には BitVisor Summit 9 が開催されます。
実行委員会
- 実行委員長:光来 健一 (九州工業大学)
- 副実行委委員長:尾上 浩一 (富士通)
- ポスターチェア:
- プログラム委員:
- 光来 健一 (九州工業大学)
- 尾上 浩一 (富士通研究所)
- 杉木 章義 (北海道大学)
- 田所 秀和 (キオクシア)
- 山内 利宏 (岡山大学)
- 穐山 空道 (東京大学)
- 阿部 洋丈 (筑波大学)
- 井手口 裕太 (NEC)
- 大江 和一 (国立情報学研究所)
- 河野 健二 (慶應義塾大学)
- 齋藤 彰一 (名古屋工業大学)
- 佐藤 将也 (岡山大学)
- 品川 高廣 (東京大学)
- 竹房 あつ子 (国立情報学研究所)
- 伊達 進 (大阪大学)
- 早坂 光雄 (日立製作所)
- 広渕 崇宏 (産業技術総合研究所)
- 深井 貴明 (理化学研究所)
- 前田 俊行 (千葉工業大学)
- 松原 克弥 (公立はこだて未来大学)
- 山口 実靖 (工学院大学)
- 山田 浩史 (東京農工大学)
- 吉村 剛 (IBM)
問い合わせ先
- 担当幹事: 富士通 尾上 浩一
E-mail: onoue.koichi あっと fujitsu.com
(あっと を @ に直してください。)