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最終更新日:2005.5.20

平成16年度業績賞の表彰

 

 本会では,平成13年度から,産業界における顕著な業績を顕彰するため「業績賞」を設けております.

 本賞は,情報技術に関する新しい発明,新しい機器や方式の開発・改良,あるいは事業化プロジェクトの推進において,顕著な業績をあげ,産業分野への貢献が明確になったものを選定し,その貢献者に贈呈するものです.

 本年度の受賞者は,「業績賞候補者推薦用紙」により推薦された候補のうちから,表彰規程および業績賞候補選定手続きに基づき,松田副会長を委員長とする選定委員会において厳正な審査を行い,第506回理事会(平成17年3月)の承認を得て,下記の3件の業績の貢献者15名に決定されました.

 受賞者には,本会表彰規程により,5月20日に開催された第48回通常総会において,受賞者に表彰状および賞牌が授与されました.


◆「IBM Java Just In Time Compiler の研究開発」

[推薦理由]
 近年、広く利用されている言語であるJavaは、ハードウェアに依存しないバイト コードでプログラムが配布されるという利点を持つ反面、登場当初はインタープリ タで実行されていたため性能上の重大な欠点があった。日本IBM東京基礎研究所 のチームは、1995年という早い時期から、Just In Time Compilerと呼ばれる動的コ ンパイル技術の研究開発を強力に推進し、世界最高速のJava実行環境を製品化する ことに成功し、Javaの実用化と普及に多大な貢献をした。また、著名国際学会およ び情報処理学会に多数の論文を発表し大きなインパクトを与えた。

中谷 登志男

中谷 登志男 君(正会員)

 1975年早稲田大学理工学部数学科卒業.同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.1985年米国プリンストン大学大学院コンピュータ・サイエンス学科よりM.S.E.およびM.A.,1987年、Ph.D.を各取得.同年より同社東京基礎研究所においてプログラム最適化技術の設計・実装・評価の研究に従事.2000年よりディスティングイッシュト・エンジニア.現在同研究所システムズ担当.基礎研究部門におけるコンパイラ・ファームウエア技術のストラテジストを兼任.MICRO-22(1989)およびMICRO-23(1990)にて、Best Paper Awardを連続受賞。

小松 秀昭

小松 秀昭 君(正会員)

 1960年生.1985年早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻終了.同年日本IBM(株)東京基礎研究所入社.コンパイラ,アーキテクチャ,大規模並列処理,Java JITの研究に従事.現在は大規模なシステム全体の最適化に広範囲な興味をもつ.博士(情報科学)

小野寺 民也

小野寺 民也 君(正会員)

 1959年生.1988年東京大学大学院理学系研究科情報科学専門課程博士課程修了.同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.以来,同社東京基礎研究所にて,オブジェクト指向言語の設計および実装の研究に従事.現在,同研究所シニア・テクニカル・スタッフ・メンバー.第41回(平成2年後期)全国大会学術奨励賞,平成7年度山下記念研究賞,各受賞.理学博士.日本ソフトウェア科学会,ACM,各会員.

菅沼 俊夫

菅沼 俊夫 君(正会員)

 1982年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修了.1992年ハーバード大学大学院
計算機学科修了.同年日本IBM(株)東京基礎研究所に入社.HPFコンパイラの研究を
経て, Java JITプロジェクトではコンパイラのダイナミックな最適化に関する研究に従事.現在はJ2EEアプリケーションの高速化の研究に従事.ACM会員.

石崎 一明

石崎 一明 君(正会員)

 1992年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年日本IBM(株)入社。以来、東京基礎研究所において、並列処理、最適化コンパイラに関する研究開発に従事。博士(情報科学)。

   


◆「乗り換え案内・地図・Web マーケティング技術によるインターネットサービス事業の創出」

[推薦理由]
 受賞者らは乗り換え経路演算,地図画像処理,道案内演算,デジタルプロモーション・CRMなどのソフトウェア技術を応用して,モバイルインターネットの黎明期から情報サービス事業を創出した.表示能力の異なる携帯電話や PC,携帯情報機器の違いを吸収するミドルウェアを独自に開発,並列分散システム技術を活用した Web サイト構成により,低コストで効率的なサイト構築と高負荷のかかる大規模サイト運営を実現している.これにより消費者向け BtoC サービス,企業向け BtoB の事業モデルを確立した.また実際の時刻表・運行データに基づいた乗り換え経路案内を世界で初めて実用化,(株)駅前探険倶楽部を設立するなど,現在もインターネットサービス事業の発展に貢献している.

河田  勉

河田  勉  君(正会員)

 1971年九州大学修士課程卒,東京芝浦電気(株)(現在の(株)東芝)入社.1978 年,世界初の日本語ワードプロセッサ JW-10を開発,今や携帯電話にも搭載されている「かな漢字変換」インターフェースを産み出した.その後も機械翻訳など自然言語処理の研究開発に従事.1995 年より携帯情報機器とインターネット関連の新規事業開発に携わり,ビジネス情報配信サービスの(株)ニューズウォッチやお出かけ情報案内の(株)駅前探険倶楽部などの会社を設立する.現在(株)東芝 ネットワークサービス&コンテンツ事業統括長.機器,インターネット,ソフトウェア,サービス,コンテンツを融合した新しい事業開発と運営に従事.工博.

村永 哲郎

村永 哲郎 君

 1984年東京大学計数工学科卒.同年(株)東芝入社.研究開発センターにて,グループウェア,分散ファイルシステム,モバイルコンピューティングなど分散システムの研究開発に従事.1994年から1996年,米国 CarnegieMellon 大学計算機科学科客員研究員.2000年よりインターネットサービス事業部門にて,インターネットを応用した情報サービス事業の運営と新規事業・技術開発に携わっている.現在iバリュー クリエーション事業部インターネットサービス部部長.技術士(情報工学).IEEE Computer Society 会員.

小山 徳章

小山 徳章 君

 1991年名古屋大学大学院工学研究科修了.同年(株)東芝入社.研究開発センターにてリアルタイムシステム,組込OS,ソフトウェアテストの研究開発に従事.携帯電話から発電監視まで多様なシステム開発に携わる.2000年からiバリュー クリエーション事業部にて地図・位置情報サービス,インターネット・マーケティングシステムなど,大規模 BtoBCWeb システムの開発を担当.現在,同事業部開発エンジニアリンググループ長兼新規事業グループ長.

久保田 浩明

久保田 浩明 君

 1987年名古屋大学大学院電子工学科修士課程修了.同年(株)東芝入社.同社研究開発センターにて,コンピュータビジョン,パターン認識,ヒューマンインタフェースの研究開発に従事.1998年より歩行者道案内技術の開発を進め,2001年よりインターネットサービス部門にて,地図サービス事業の開発・運営に従事.「地理情報科学事典(地理情報システム学会編)」「マルチメディア〜基礎から応用まで(CG-ARTS協会)」などの執筆に参加.

唐崎 幸弘

唐崎 幸弘 君

 1985年工学院大学工学研究科電気工学専攻修士課程卒,(株)東芝入社.情報処理機器事業部門にて日本語処理技術の研究開発に従事.高性能かな漢字変換の商品化を実現した.1998年同社マルチメディア技術研究所,デジタルテレビシステムの研究開発に従事.2000年よりインターネットサービス事業部門にて,世界初の実時間による乗り換え案内をはじめとしたサイト「駅前探険倶楽部」の技術開発および運営に携わっている.現在(株)駅前探険倶楽部,取締役技術部長.電子情報通信学会会員.

   


◆「1チップ10ギガビットイーサネットスイッチLSIの開発とスイッチの製品化」

[推薦理由]
 受賞者らは,12ポートの10ギガイーサネットスイッチを,高いスループットと従来の約1/10以下の低遅延時間を実現しながら世界で初めて1チップLSI化することに成功した.また,本LSIを搭載したスイッチ製品は,これまで大型のレイヤー3以上のものしかなかった10ギガイーサネットスイッチに対し,ワークグループスイッチ並の小型のレイヤー2スイッチであり,高速ネットワークが必要な様々なシステムに10ギガイーサネットが活用されて行く先駆けになると思われる.本技術による優れたネットワーク環境は,IT産業の発展に大きく貢献するものである.

清水  剛

清水  剛  君(正会員)

 1993年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程を単位取得後退学.同年4月,株式会社富士通研究所入社.1994年より HAL Computer Systems, Inc. にて CC-NUMA およびサーバー用高速インターコネクト技術の研究開発に従事.2001年6月よりFujitsu Laboratories of America, Inc.にて高性能インターコネクトの研究開発に従事,現在にいたる.IEEE会員.工学博士.

堀江 健志

堀江 健志 君(正会員)

 1986年東京大学電子工学科修士課程修了.同年株式会社富士通研究所入社.1994年米国スタンフォード大学客員研究員.現在,Fujitsu Laboratories of America, Incにて,高性能インターコネクトの研究開発に従事.1993年電子情報通信学会論文賞,1996年情報処理坂井記念特別賞,2004年電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)を受賞.工学博士.

 

服部  彰

服部  彰  君(正会員)

 1974年 大阪大学大学院工学研究科修士課程(電子工学)修了.同年株式会社富士通研究所入社.以来,大型メインフレームの三階層メモリ,LISPマシンFACOMα,第5世代コンピュータの並列推論マシンの研究開発に従事.2001年からFujitsu Laboratories of America, Inc.に所属,高性能インターコネクトの研究開発に従事.2004年電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)受賞.

木村 康則

木村 康則 君(正会員)

 1981年東工大大学院修士課程修了.同年株式会社富士通研究所入社.1985-1988年(財)新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)出向.1995年米国スタンフォード大学客員研究員.2002-2005年東京大学客員教授.コンピュータシステムに関する研究開発に従事.本学会論文誌編集委員,計算機アーキテクチャ研究会幹事,SACSIS2004組織委員長,電子情報通信学会コンピュータシステム研究専門委員会委員長等を歴任.電子情報通信学会,IEEE-CS各会員.2004年電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)受賞.工学博士.

西川 克彦

西川 克彦 君

 1982年東京大学工学部電子工学科卒業.同年株式会社富士通研究所入社.以来,図面認識の研究,ビデオサーバの研究開発等を経て,現在サーバ・ストレージシステムの研究開発に従事.映像情報メディア学会会員.