本会では,産業界における顕著な業績を顕彰するため「業績賞」を設けております.
本賞は,情報技術に関する新しい発明,新しい機器や方式の開発・改良,あるいは事業化プロジェクトの推進において,顕著な業績をあげ,産業分野への貢献が明確になったものを選定し,その貢献者に贈呈するものです.
本年度の受賞者は,「業績賞候補者推薦用紙」により推薦された候補のうちから,表彰規程および業績賞候補選定手続きに基づき,旭副会長を委員長とする選定委員会において厳正な審査を行い,第515回理事会(平成18年3月)の承認を得て,下記の3件の業績の貢献者14名に決定されました.
受賞者には,本会表彰規程により,5月30日に開催された第49回通常総会において,受賞者に表彰状および賞牌が授与されました.
◆XML の制定・普及への貢献
[推薦理由]
XMLは今やIT産業における根幹のデータフォーマットの一つであることは言うまでもない.しかし、その制定や普及に極めて大きな貢献のあった日本人がいたことはあまり知られていない.4氏は、企業の枠を超えてXMLの制定・普及に貢献した.村田氏は,XML 1.0 Recommendationの制定に大きな貢献をしていて,仕様にも名を連ねている。XMLがかくも広く使われる理由の最大のものの一つが、XMLがもともと国際化を標準でサポートすることにあるが、この点に関して、村田氏、小町氏、檜山氏は多くのコメントを出し、それらがXML 1.0の仕様の中に採用されていった。また、XML勧告のJIS化(およびそれ以前のTR化」)、XML日本語プロファイルの制定にも貢献した。現在、日本でも国際標準であるXMLがスムーズに使えるのは、これらの諸氏の貢献のお陰である。さらに、田村氏は世界初の、XML 1.0完全準拠のXMLプロセッサを発表し、誰でもダウンロードして使えるようにした。このプロセッサは、後にApacheオープンソースファウンデーションへ寄付されている。
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村田 真 君(正会員)
1960年生まれ.1982年京都大学理学部卒業.W3C XML WGのメンバとして,XML 1.0の制定に携わる。木オートマトンをもとにXMLスキーマ言語を制定することを提唱し,RELAX NGの国際規格化に貢献する.
日本IBM鞄結條礎研究所/国際大学研究所.編著書に「XML入門」(日本経済新聞社).インターネットコンファレンス 98論文賞.
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檜山 正幸 君
1955年生.20代後半までは計算機/情報産業とは全く関係なくすごすが,テクニカル・ライティングとプログラミングの生活に.90年代初頭に,YHP社/ノベル社(当時名称)などのSGMLベース出版システムのローカライズ/運用/利用支援などに従事.XMLに期待を持ち,JIS-INSTAC XMLサブWGに参加.その後,W3C SYMM WGにも参加.いくつかのソフトウェアベンダー/公的機関にてXMLシステム/アプリケーションの設計を担当.檜山正幸事務所 代表
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小町 祐史 君(正会員)
1970年,早稲田大学理工学部電気通信学科卒.1976年,同大学院博士課程修了.東大生産技術研究所助手,パナソニックコミュニケーションズ鰍経て,2006年,大阪工業大学教授.ISO/IEC JTC1/SC34およびIEC/TC100のメンバとして,それぞれ文書記述言語,マルチメディア機器・システムの国際標準化作業に参加.工博.IEEE,情報処理学会,画像電子学会会員.
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田村 健人 君(正会員)
1997年早稲田大学大学院理工学研究科情報工学専攻の修士課程を修了.同年日本アイ・ビー・エム鞄社.以来、東京基礎研究所において,XMLおよびWebサービス連の標準化や実装の高速化に関する研究に従事.
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◆次世代共通鍵暗号方式「Camellia」の開発と国際標準化
[推薦理由]
2000年にNTTと三菱電機が共同開発した次世代共通鍵暗号方式「Camellia」は,世界中 の暗号研究者にも認められた世界最高水準の安全性と処理性能を達成し,ISO/IEC国際標準や国産初のインターネット標準をはじめとする多くの国際的な標準暗号・推奨暗 号に選定されるなど,米国政府標準暗号AESに匹敵する世界唯一の暗号方式との国際的地位を獲得した.また,基本特許無償化により,国産の次世代国際標準暗号方式として多くのユーザ・ベンダへの利用促進を積極的に図るなど,産業界全体に対して多大な貢献をした.
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神田 雅透 君(正会員)
1993年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年日本電信電話鞄社. 以来,主に共通鍵暗号の設計に関する研究開発に従事.2002年通信・放送機構に出向,CRYPTRECでの電子政府推奨暗号リスト策定および第二期体制確立に尽力.現在NTT情報流通プラットフォーム研究所主任研究員.2001年SCIS論文賞,2003年JNSA論文 優秀賞受賞.2000・2001年度CRYPTREC共通鍵暗号評価小委員会委員,JST評価委員会専門委員.IPSJ,IEICE,JSSM各会員.博士(工学).
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青木 和麻呂 君
1995年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年日本電信電話鞄社.以来,共通鍵暗号の解読・設計に関する研究開発に従事.2001年通信・放送機構に出向 し,CRYPTREC業務の立ち上げに尽力.2006年に共同研究者と共に特殊数体篩法による素因数分解の世界記録を更新.現在NTT情報流通プラットフォーム研究所研究主任.2002年度CRYPTREC共通鍵暗号評価小委員会委員.FSE05,FSE06プログラム委員.電子情報通信学会平成9年度学術奨励賞受賞.博士(理学).
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松井 充 君
1987年京都大学大学院理学研究科数学専攻修士課程卒業.同年三菱電機鞄社.以来,符号理論ならびに暗号理論に関する研究開発に従事.1999年欧州にて第三世代携帯電話(W-CDMA方式)の標準暗号設計に参加.現在三菱電機鰹報技術総合研究所情報セキュリティ技術部長.2003年第35回市村産業賞本賞受賞.2004年発明協会全国発明表彰恩賜発明賞受賞.博士(情報数理工学).
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時田 俊雄 君(正会員)
1989年横浜国立大学大学院工学研究科修了.同年三菱電機鞄社.当初は誤り訂正符号化技術の研究開発に従事.1995年頃より暗号と情報セキュリティ技術に関する研究開発に従事.専門は共通鍵ブロック暗号の強度評価及び設計.2003年横浜国立大学にて博士号(工学)取得.第35回(平成14年度)市村産業賞本賞,第2回(平成14年度)情報処理学会業績賞,第40回(平成14年度)電子情報通信学会業績賞,平成16年度全国発明表彰恩賜発明賞,等を受賞.IPSJ,IEICE,SITA各会員.博士(工学).
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盛合 志帆 君
1993年京都大学工学部情報工学科卒.同年日本電信電話鞄社.2003年潟\ニー・コンピュータエンタテインメントリサーチサイエンティスト.AES候補暗号E2の設計,Camellia の設計・安全性評価・国際標準化活動,PlayStationプラットフォームのセキュリティメカニズムの設計・開発などに従事.1996年SCIS論文賞,電子情報通信学会学術奨励賞,各受賞.CRYPTREC暗号技術調査WG委員.電子情報通信学会,情報処理学会,IACR各会員.博士(工学).
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◆非接触型手のひら静脈認証技術の製品展開
[推薦理由]
これまでのバイオメトリクス認証技術の応用分野は,入退室管理や犯罪捜査などの特定用途に限られていた.受賞者らは,「手のひら静脈」という新しい生体部位を使った認証技術を開発し,各種認証技術の中でもトップクラスの高い認証精度,非接触認証という利用者の心理的かつ衛生的に抵抗感の少ない特長を背景に,業界初のICカードと連動させた金融機関での本人認証の実現のみならず,図書館での書籍貸し出しシステム,大学での学生情報の引き出しシステムなど,バイオメトリクス認証の新しい応用分野を切り開いた.日本で誕生した,この新しい認証技術は,国内外での評価も高く,国際標準化活動の推進も含めて,情報処理技術の応用とその発展に向けて多大に貢献している..
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佐々木 繁 君(正会員)
1981年岩手大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年株式会社富士通研究所入社.以来,動画像処理プロセッサと産業応用システム,無人走行車向け車載画像プロセッサ,三次元コンピュータグラフィクスプロセッサ,音声処理技術の研究開発に従事.1988-1989年米国カーネギーメロン大学コンピュータ科学科客員研究員.最近では,画像や生体情報を使った画像監視やバイオメトリクス認証技術とその応用システムに関する研究開発に注力.電子情報通信学会会員.2001年電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)受賞.
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渡辺 正規 君(正会員)
1990年筑波大学大学院博士課程修了.同年株式会社富士通研究所入社.コンピュータビジョン,コンピュータグラフィクス,バイオメトリクス認証技術の研究開発に従事.電子情報通信学会ユビキタスネットワーク社会におけるバイオメトリクスセキュリティ研究会専門委員.情報処理学会情報規格調査会第1種専門委員会SC 37/WG 5小委員会委員.人工知能学会第2回全国大会優秀賞受賞.情報処理学会第38回全国大会学術奨励賞受賞.人工知能学会会員.工学博士.
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若林 晃 君(正会員)
1983年東北大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年富士通株式会社入社.主に端末機(汎用,専用[金融,流通])の基本ソフトウェアの企画・開発に従事.現在,手のひら静脈認証技術のシステム企画を担当,ユビキタスシステム事業本部バイオメトリクス認証システム部長.
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川合 裕昭 君
1988年富士通株式会社入社.以来,金融機関向け営業店端末,ATM等のマーケティング業務に従事.手のひら静脈認証を金融機関に拡販を推進.現在,ATMアウトソーシングなどのサービスビジネスの拡販を推進,ユビキタスシステム事業本部サービスビジネス推進部長.日本自動販売機工業会会員.
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勝又 裕 君
1975年東京大学工学系研究科電気工学専門課程博士課程(工学)修了.同年富士通株式会社入社.以来,Mシリーズアーキテクチャ,小型機,金融端末機のソフトウェア,イメージ処理ソフトウェアの開発に従事.2002年より富士通フロンテック株式会社に出向.2005年ソフトサービス事業本部技師長を経て,現在ソフトサービス事業本部シニアテクノロジーディレクタ.イメージ処理ミドルウェアおよびパッケージ,手のひら静脈認証システムソフトウェアの開発に注力.工学博士.
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