本会では,名誉会員故喜安善市先生のご遺族から寄贈いただいた資金により,産業界における顕著な業績を顕彰するため,『喜安記念業績賞』を設けております.
本賞は,情報技術に関する新しい発明,新しい機器や方式の開発・改良,あるいは事業化プロジェクトの推進において,顕著な業績をあげ,産業分野への貢献が明確になったものを選定し,その貢献者に贈呈するものです.
本年度の受賞者は,所定の「候補者推薦用紙」により推薦された候補のうちから,表彰規程および候補選定手続きに基づき,村上副会長を委員長とする選定委員会において厳正な審査を行い,第552回理事会(平成22年3月)の承認を得て,下記の3件の業績の貢献者15名に決定されました.
なお,本会表彰規程により,5月31日に開催された平成22年度通常総会において,受賞者には,表彰状,賞牌および賞金が授与されました.
◆動画像認識高並列プロセッサの研究開発とその実用化
[推薦理由]
動画像認識を低電力かつリアルタイムに処理可能な高並列プロセッサ技術を開発した.本技術により,2〜3Wの低電力で数100GOPS(8bit換算)の処理性能を達成し,車に搭載しレーンマークや障害物の検知等の動画像認識を実現可能にした.その結果,障害物認識結果に基づきブレーキ制御まで行うという世界初の高性能・高信頼性車載安全装置に搭載され,動画像認識プロセッサという新しい商品ジャンルを切り拓いた.これらの研究成果は数々の受賞やTV・新聞報道,国際招待講演などで紹介され,国際的にも大きなインパクトを与えた.
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京 昭倫 君(正会員)
1989年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.同年,日本電気(株)入社.並列言語とそのコンパイラ,並列プロセッサアーキテクチャ,画像処理,画像認識などの研究開発に従事.2004年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.工学博士.2010年4月より,ルネサス エレクトロニクス(株)技術開発本部先行研究統括部チームマネージャ.情報処理学会,電子情報通信学会会員.
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岡崎信一郎 君
1982年大阪大学工学部電子工学科卒,1984年大阪大学大学院工学研究科前期課程修了.同年日本電気(株)に入社し,図面認識応用の研究開発に従事.1992年から並列画像処理プロセッサや画像認識応用の研究開発に従事.組込み用途高並列プロセッサIMAPや監視および車載安全支援用画像認識システムを開発.2010年4月より,ルネサス エレクトロニクス(株)技術開発本部先行研究統括部シニアプロフェッショナル.
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藤田 善弘 君(正会員)
1986年京都大学大学院工学研究科修士課程修了.同年,日本電気(株)入社.画像認識,並列処理プロセッサ,高並列処理LSI,コミュニケーションロボットの研究開発に従事.1992-94年 UC Berkeley校客員研究員.現在,C&Cイノベーション研究所主幹研究員として,新領域でのイノベーション創出活動に従事.京都大学博士(情報学).情報処理学会,電子情報通信学会,日本ロボット学会会員.
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古賀 拓也 君
1993年大阪大学工学部情報システム工学科卒業.同年,日本電気(株)入社.以来,中央研究所にて動画像処理・画像認識向け高並列プロセッサの研究開発に従事.2008年よりNECエレクトロニクス(株),2010年よりルネサス エレクトロニクス(株)に勤務.動画像認識向け高並列プロセッサの企画開発に従事.電子情報通信学会会員.
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野本 祥平 君(正会員)
2005年筑波大学大学院システム情報工学研究科修士課程修了.同年,日本電気(株)入社.2010年よりルネサス エレクトロニクス(株)に勤務.画像処理および画像認識向け高並列プロセッサの研究開発に従事.情報処理学会会員.
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◆3G携帯電話端末用共通プラットフォームの共同開発
[推薦理由]
近年,携帯電話の通信速度,マルチメディア機能の進歩は著しく,それに伴って各携帯電話メーカーにおける開発規模が増大している.開発負担の軽減を狙い,上記5社共同開発プロジェクトにおいて,携帯電話端末用プラ ットフォームを開発した.低コスト化のため,通信制御部分と,マルチメディア制御部分を1チップLSI化した.また1チップLSI上のソフトウェアや周辺LSIをプラットフォーム化した.これにより各端末メーカーは端末価格を上げることなく高機能な携帯電話を短期に開発可能になった.
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三木 俊雄 君(正会員)
所属:(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ 移動機開発部
現職 (株)NTTドコモ移動機開発部部長.1980年京都大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了.1980年日本電信電話公社 横須賀電気通信研究所入社.1988年AT&Tベル研究所滞在研究員..1992年NTT移動通信網株式会社(現 NTTドコモ)分社後,同社マルチメディア信号処理研究室長,ドコモUSA研究所社長,マルチメディア研究所長,ワイヤレス研究所長を歴任.現職に至る.電子情報通信学会学術奨励賞・業績賞,IEEE 論文賞を受賞.インターネットソサイエティ理事(2002-04年),シンビアン財団理事(現).
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阿部 泰弘 君
所属:富士通(株)モバイルフォン事業本部/プラットフォーム開発統括部
1984年日本大学大学院理工学研究科情報処理科学専攻修了.同年,富士通(株)入社.画像処理ワークステーション等マルチメディア技術の開発を経て,現在,携帯電話のプラットフォーム開発に従事.
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野並 隆之 君
所属:三菱電機(株)コミュニケーション・ネットワーク製作所/モバイルアクセス部
1983年神戸大学大学院計測工学専攻修了.同年,三菱電機(株)入社.自動車電話,携帯電話の開発に従事.現在,コミュニケーション・ネットワーク製作所モバイルアクセス部長.電子情報通信学会会員.
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徳田 正盛 君
所属:シャープ(株)通信システム事業本部/要素技術開発センター/システム開発部
1986年京都大学大学院工学研究科電子工学専攻修了.同年,シャープ(株)入社,中央研究所にて無線通信システムの研究開発に従事.RFID,衛星受信システム,無線LANシステム,路車間通信システムの研究開発を担当.1996年より第3世代携帯電話システムの研究開発,商用機開発に従事.2006年より5社協業による3G携帯電話端末用共通プラットフォームの共同開発に参画しベースバンド/無線系開発を担当.
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服部 俊洋 君(正会員)
所属:ルネサス エレクトロニクス(株)SoC第二事業本部/モバイルマルチメディア事業部
1985年京都大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了.2006年京都大学博士(情報学).1985年(株)日立製作所中央研究所入社.LSI−CAD研究に従事.1992-93年米国カリフォルニア大学バークレイ校客員研究員.1995年日立製作所半導体事業部マイクロプロセッサの開発に従事.現在,ルネサス エレクトロニクスにてモバイルSOCの開発に従事.IEEE,ACM,電子情報通信学会,情報処理学会メンバ(正会員).
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◆テラバイトデータ高速検索を可能としたXMLデータベースシステムの開発と実用化
[推薦理由]
データ構造の定義無しにデータを格納できるというXMLの柔軟性を維持しつつ,複雑な検索要求の高速処理を可能とするテラバイト級のXMLデータベースを開発した.2005年の製品化以降,新聞社,保険会社,自動車メーカ,テレビ会社,官公庁など各業界に納入され,データ管理,コンテンツ管理の分野で実績を積んでいる.また,分散配置されたサーバによる並列検索で数十テラバイトのデータに対する高速検索も実現した.従来困難であったXMLデータベースの大規模化の道を切り開いたことは,本賞に相応しい.
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服部 雅一 君(正会員)
1990年慶応義塾大学工学研究科修士課程修了.同年,(株)東芝入社.以来,自動設計やプラント制御などのエキスパートシステムに関する研究開発を行う.1999年から,(株)東芝研究開発センターにて,XMLデータベースの研究開発に従事.現在,(株)東芝研究開発センター知識メディアラボラトリー研究主幹.第55回電気科学技術奨励賞(電気科学技術奨励賞委員会会長),平成20年度関東地方発明表彰(日本弁理士会会長奨励賞)受賞.情報処理学会,日本データベース学会会員. |
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松井 浩二 君(正会員)
1988年京都大学大学院工学研究科修士課程修了.同年(株)東芝入社.以来,データ管理システムおよびミドルウェアの開発に従事.2000年よりXMLデータベースの開発に参加.現在,東芝ソリューション(株)プラットフォームソリューション事業部勤務.第55回電気科学技術奨励賞(電気科学技術奨励賞委員会会長)受賞.情報処理学会会員. |
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谷川 均 君
1993年京都大学理学部卒.同年(株)東芝入社.以来,ナレッジマネジメントおよびXMLデータベースの開発に従事.現在,東芝ソリューション(株)プラットフォームソリューション事業部勤務.第55回電気科学技術奨励賞(電気科学技術奨励賞委員会会長)受賞. |
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宮澤 隆幸 君(正会員)
1995年,名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了.同年,(株)東芝入社.研究開発センター知識メディアラボラトリーにてXMLデータベースの研究開発に従事.情報処理学会会員.
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金輪 拓也 君
1998年神戸大学大学院工学研究科修士課程修了.同年,(株)東芝入社.研究開発センター知識メディアラボラトリーにてXMLデータベースの研究開発に従事.平成20年度関東地方発明表彰(日本弁理士会会長奨励賞)受賞. |
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