3. 学会誌、チュートリアル


3.1 学会誌

●第4回本委員会における意見(学会の将来ビジョン検討委員会(委員長:野口会長)への提言案に対する意見、および関連する主な意見)

  1. アウトソーシングについて
    1. 出版社が見つかれば良い案だと思われるが、一般商業誌との区別(学会の権威)を明確にするためには、取材記事を多くするにしても、ある段階で 学会の編集委員がチェックをかけることが必要ではないか。
    2. 大切なことは公正・正確・中立な情報提供であり、学会の関与が薄くなれば宣伝化や、記者による思い込みの記事が多くなりかねない危険性がある。
    3. やはりコンテンツは学会で持ちながら、文章校正のようなことについてのみ外注するという形の方が良いのではないか。
  2. 学会誌の書き手の意識改革
    1. 学会から依頼原稿を頼まれると、書き手はどうしても専門家に批判されないように一生懸命に書いてしまいがちだが、読者層は書き手の分野の専門家で はなく、それ以外の人が対象なのであり、分かりやすい内容で書くという大きな意識改革が必要である。
    2. 執筆要領にも、ある程度のガイドラインを示すなり、良い見本を添付する等のことが必要。
    3. 専門的な話は分野別論文誌にサーベイ論文として掲載すれば良い。
  3. 編集長方式について
    1. アウトソーシング方式よりは可能性としては高いように思われる。
  4. トップダウン的なネタ創り
  5. 専任エディタの設置

●第3回本委員会における意見

  1. 学会誌が魅力的なものであれば、会員の8割を占める産業界の会員ももっと積極的に学会活動に関わるようになるのではないか。そのためには産業界が興味のあるEC等の特集を早く出せる仕組み作りが必要である。
  2. ホットトピックスの解説といっても実際に書き手がいるのだろうか。
  3. 学会誌編集側としては、先の特集まで組んでいないと書き手がいない現状もあり、なかなか早期対応は難しい。
  4. 研究会でのホットな話題をそのまま掲載しても良い。
  5. 学会誌で情報処理技術のビジョンを示す。
  6. 研究・教育・産業の出会いの場、国内・アジア・欧州・米国の出会いの場と位置づける。
  7. 「学会誌はどうあるべきか」といったテーマで、学会誌上で議論することも面白いだろう。
    1. いくらインパクトのある提言でも,学会員のコンセンサスが得られないと,あまり意味が無いように思います.学会員にも (特に多数を占めると言われる実務家の方々に) 改革の意識を持って貰うために,学会誌上で議論することは必須のように思えてきました.
  8. 学会誌改善のレベルは具体的にはどの程度を考えるのか。 (1) 通信学会程度とするのか、(2) 機械、電気学会程度まで行えば良いのか、(3) 更には商業誌(日経XXX等)のレベルまで改善するべきなのか。
  9. 改善度のガイドラインがあった方が具体的なアクションプランに結びつき易いのではないだろうか。
  10. 通改善のレベルとしてはやはり通信学会誌程度のものであろう。商業誌のいい加減さとは異なる学会の品位を保ち、見識のある内容とする姿勢は崩さない。
  11. 改善点として、(1) 内容、(2) プロセス、(3) 体裁(誌面)が考えられるが、具体的にはすぐに目に見える体裁の改善から始めても良い。
  12. 通信学会誌にしても、最初はカラーを入れてみた、という程度のことから始まったのではないか。読み手の側を考えて、まず見易く、読み易くすることから始めていくことが大切。(例えば目次の体裁一つ取っても、通信学会誌の方が見やすい。) 情報処理学会は中途半端なものが多いという印象を受ける。
  13. 内容のメリハリを付ける。
  14. 現在の依頼型から、提案・公募型にして内容を充実させる。
  15. 閲読システムを見直して内容の良いものを掲載する。
  16. 試験的にある試みの実験号を設けても良いのではないか。

編集方針をどうするか?

  1. 最大の読者層に合わせた編集とする。
    1. 実務家にとって学会の関心は研究会ではなく、学会との接点である学会誌が会費に見合うだけの内容であるかという点である。
    2. 研究者のものであれというわけではない。会員のニーズにきちんとこたえていないのではないか。 学会誌は会員の多くにとって有用なものでなければならない。
      1. 会員の7割が産業界である。
    3. 一般会員にとっては学会誌のみが学会とのメディアであるのだからその内容と表現方法を大きくかえるべきではないか?
    4. 学会誌は、学生にわからなければだめである。
  2. 取り上げていきたい企画
    1. 新しいものが出てきたときに、即対応できる学会誌にすべきである。 新たにサーベイペーパーを載せるようにしたらどうか
    2. 新しい話題を断片的に掲載するようにしたらどうか
    3. フリーディスカッションの記事を載せたらどうか
    4. 情報の内部に関する話題が多すぎる。例えば、機械学会誌にはコンピュータに関する話題も載っている。その逆をしたらどうか。
    5. 通信学会の方が魅力がある。情処学会は内向き過ぎるように感じる。
    6. 扱う技術が大きすぎる。内容もメインフレームからパソコンへダウンサイジングすべきではないか。
    7. 学会誌はアカデミア中心の堅い論文が多いが、業界にスポットを当てた内容を掲載するCACM(80%の産業界に焦点を当てた編集方針(10月号より))のように、もう少し産業界向けに工夫して欲しい。自分自身のために書くのではなく、読み手のために書くという意識を持てばより良く変えられるのではないか。 最近は学会誌にも事例等の実務家向きの良い記事が掲載されているが、難しいという先入観から読んでもらえていないのが現状ではないか。もっと、実務家向きの記事を掲載して巾広く読んでもらえるようにすることが大切。
    8. ACM、IEEE-CSと提携しているので、その翻訳を載せてはどうか。
    9. 編集のセンスに問題があると思われる。資金を投入してでも読みたくなるような学会誌にする必要があるのではないか。
    10. 特集の組み方もボトムアップではなく第三者からトップダウン的に、タイムリーな要求に応えられるものを作れるようなしくみが必要。
    11. 学会誌の目次が1年先まで決まっているのは問題である。市場のニーズにあった編集体制をとるべきである。例えば、Javaの記事を学会が率先して解説するなど。
  3. 商用誌などとの棲み分け
    1. 基本的には学会誌と商業誌は違う。しかし、原稿を執筆する上でのポイントなど、大変参考になる内容もあったのでできるところがから行いたい。
    2. 一般商業雑誌とインパクトに欠け、内容も堅く、読んでも理解できない。学会誌一誌ではすでに限界である。多少リスクを負っても違った視点の機関誌を出版すべきではないか。
  4. 著者
    1. どこにどのような著者がいるのか、もっと広い人的ネットワークが必要なのではないか。
    2. 日本は解説を書ける人が少ない。大学人は解説を書いても業績にならない。
    3. 産業界では企業秘密になる部分が多くなるので、書ける人は少ないのではないか。
  5. 読者とのインタラクション
    1. アンケート結果を学会誌に掲載して、実務家が取り上げて欲しいテーマ等を大学関係者にも見てもらってもいいのではないか。
    2. 読者の分析を行なって、編集に反映(年1回、専門分野、興味分野、関連分野、職業などの調査を行なう)
    3. 解説の内容に対する質問、議論などを受け付け、誌上で回答するなど、読者のフィードバックを反映する姿勢を誌上で見せる。
    4. 企画を立てる側に現場の声が反映される形になっているだろうか。 現在、学会誌はPWGを組織し、アンケートなどを含めて対応中。
  6. 分冊化
    1. 研究雑誌としてみると内容はかなり薄まってしまい、役に立たない。一つの雑誌に多くを期待するところに無理があるのではないか、分冊化をする必要もあろう。
    2. 学会誌も個別部分と共通部分に分けて、各トランザクションと合わせて発行させるという方法もある。
    3. 適切な編集方針が取られれば、分冊は必要ないのかも知れない。
  7. メディア
    1. 学会誌にWWWのホームページ作成についての解説を載せるとか、CD-ROMを付録で付ける等を行ったらどうか。
  8. コスト
    1. 学会誌発行にかけるコストを考え直すべきではないか

編集委員会の体制は今のままでよいか?

  1. 編集委員会
    1. 学会誌、論文誌の編集委員会に領域を代表する委員を参加させ、例えば、発行は「領域ニュース」のページを責任編集するような企画を盛り込みやすくする。編集委員会自体を構造改革する必要があるのではないか。
    2. 学会誌編集、発行を外部へ売って会員分を買い取り、学会は編集にコメントできる立場にしたらどうか。
  2. 編集長
    1. 編集長がいないのは問題である。
    2. 編集長に理事は無理。セミプロ的な人を雇うべきである。会員の要求と何を書くか判断できる能力が必要である。スカウトもいいが、学会の若手を育てるのも方法であろう。


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