「音声会話コンテンツにおける聴衆の反応に基づく音響イベントとホットスポットの検出」

2012年度論文賞受賞者の紹介

音声会話コンテンツにおける聴衆の反応に基づく音響イベントとホットスポットの検出

[情報処理学会論文誌 Vol.52 No.12, pp.3363-3373]
[論文概要]

 音声会話コンテンツの効率的な視聴のために,会話中の聞き手の反応に着目し,その音響イベントの検出に基づいてインデキシングを行う方法を提案する.笑い声やあいづちを生起させる箇所(= ホットスポット)が,第三者である視聴者にとっても有益な情報を含んでいると考えて,それらの検出を行った.様々な会話・背景音楽が存在する状況で,このような短い音響イベントを頑健に検出するための手法を提案し,有効性を示した.また,被験者実験によって各ホットスポットの妥当性を評価し,実際に被験者が興味・関心をもつような箇所であることを示した.


[推薦理由]

 本論文は、笑い声・あいづちの検出という、ユニークな視点からの新しい問題に取り組んでいる。また、実際に、提案されている手法により、高い精度でアノテーション付与の自動化を達成しており、また、被験者実験によるアンケート評価、アプリケーションソフトウェアの実装も含め、研究自体の完成度も高い。以上より、提案の新しさと研究の完成度の両面を兼ね備えた、論文賞に相応しい論文であると判断し、論文賞に推薦する。

河原達也 君

 1989年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.現在,京都大学 学術情報メディアセンター 教授.音声言語処理,特に音声認識及び対話システムに関する研究に従事.京大博士(工学).本会から坂井記念特別賞(2000年度),喜安記念業績賞(2011年度)を受賞.情報処理学会,日本音響学会,電子情報通信学会,人工知能学会,言語処理学会,IEEE各会員.

須見康平 君

 2010年京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻修士課程修了.在学中,音楽情報処理,音響信号処理等の研究に従事.現在,ヤマハ株式会社勤務.音楽情報処理の研究開発に従事.情報処理学会員.

緒方淳 君

 2003年龍谷大学大学院理工学研究科博士後期課程修了.同年,産業技術総合研究所に入所し,現在に至る.音声認識,音声インタフェースに関する研究に従事.博士(工学).2006年本会山下記念研究賞受賞.情報処理学会,電子情報通信学会,日本音響学会各会員.

後藤真孝 君

 1998年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).現在,産業技術総合研究所 情報技術研究部門 首席研究員.音楽情報処理の研究に21年間,並行して音声インタフェースの研究に15年間従事.ドコモ・モバイル・サイエンス賞 基礎科学部門 優秀賞,科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞,情報処理学会 長尾真記念特別賞等,31件受賞.