「Non-Volatileメインメモリを用いたチェックポイント・リスタートシステム」

2014年度論文賞受賞者の紹介

Non-Volatileメインメモリを用いたチェックポイント・リスタートシステム

[情報処理学会論文誌 コンピューティングシステム Vol.6, No.4, pp.49-57]
[論文概要]

 近年,メインメモリとしても使用可能な不揮発性(NV)メモリの実用化が進んでいる.本論文は,NVメインメモリを用いたチェックポイント・リスタートシステムを提案,実現した.提案手法は,NVメインメモリとファイルシステムが融合したシステムを用いることで,1) チェックポイントに必要なデータを,そのままファイルの一部に,2) チェックポイントファイルのデータを,そのまま実行状態のメモリの一部にする.提案手法を実装したLinuxを実機上で実行する評価実験を行い,その結果,提案手法がチェックポイントおよびリスタートの大幅な高速化に有効であることを示している.

[推薦理由]

 近年、計算機システムの省電力化や高信頼化に資するとして、次世代不揮発性メモリが重要な研究課題として注目されている。次世代不揮発メモリはまだ量産化段階にはないが、本研究では、このようなメモリがメインメモリに搭載されることを想定して、オペレーティングシステム研究の立場から新しいシステムアーキテクチャを提案している。NVメインメモリのバイトアドレッシングと不揮発性という利点を活かしてチェックポイント・リスタートやソフトウェア若化を高速化するという着想は面白く、Copy on Writeを利用した実装方法もシンプルかつ実用的である。今後の研究の発展も十分に期待できると共に、同分野の研究者に新たな示唆を与えるという意味でコンピューティングシステム研究への貢献は大きい。よって本論文を論文賞に推薦する。

追川修一 君

 平成8年慶應義塾大学より博士(工学).平成16年筑波大学大学院システム情報工学研究科助教授に着任.現在,筑波大学システム情報系情報工学域准教授.オペレーティングシステムに関する研究に従事.

三木聡 君

 平成14年より株式会社フィックスターズの代表取締役に就任.現在,マルチコアプロセッサ関連技術およびNAND Flashメモリ関連技術の研究開発および事業化に従事.