2018年度業績賞

2018年度業績賞の表彰

◆時空間データ横断プロファイリング技術の開発と実用化

 [推薦理由] 

市街地等で防犯カメラの導入が進み,テロなどの犯罪の未然防止や道に迷っている観光客へのおもてなし等リアルタイムでの映像活用を求められている.しかし,従来技術は顔が判明している人物等,既知の対象の検出を主眼としているため,不特定多数から注意を要する人物を検出することは難しかった.本技術は,画像認識技術とデータベース技術を融合させ,出現パターンに基づく映像検索技術を確立,学術的に高い評価を得るだけでなく,雑踏警備や金融犯罪で実証、警備・捜査支援の映像解析システムとして導入されるなど実績を挙げており,業績賞に値する.

松倉 劉  健全 君(正会員)

中国広東省出身.2006年来日.2012年筑波大学システム情報工学研究科博士後期課程修了.同年NEC入社.現在,大規模な映像検索に関する研究開発に従事.2015年より法政大学理工学研究科兼任講師.IEEE国際会議ISM2018,ICSC2018,ISM2017,ICSC2017,BigMM2016各プログラム共同委員長.電子情報通信学会データ工学研究会(DE研),システム数理と応用研究会(MSS研)各専門委員.情報処理学会論文誌(JIP)編集委員.IEEE Multimedia編集委員.米国電気電子学会(IEEE),米計算機械学会(ACM),情報処理学会(IPSJ),日本データベース学会(DBSJ) 各会員.博士(工学). 
 
角田 西村 祥治 君(正会員)

2001年京都大学大学院情報学研究科修了,2017年東京工業大学情報理工学研究科博士課程修了.2001年NEC入社,現在,NECバイオメトリクス研究所主任研究員.HPC,並列分散システム,大規模データベース,映像検索等の研究に従事.博士(工学)

 
矢野 平川 康史 君

2007年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年NECに入社し画像処理による物体認識技術の研究開発,行動検知・生態認証技術を用いた映像分析技術の開発,またこれらの技術を用いた事業創出に従事.
 

高橋 荒木 拓也 君(正会員)

1999年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).同年日本電気(株)入社.2003-2004年米Argonne National Laboratory客員研究員.現在データサイエンス研究所主幹研究員.プログラミング言語,並列分散処理,大規模データ分析,データベース,HPCのAI/機械学習への応用等の研究に従事.情報処理学会理事(2017年度-2018年度).
 
長谷川 董 婷婷 君

2016年名古屋大学大学院情報科学研究科社会システム情報学専攻博士後期課程修了.同年日本電気(株)に入社し,システムプラットフォーム研究所に配属.以来,マルチメディアデータベースの研究に従事.現在NECバイオメトリクス研究所.博士(情報科学).日本データベース学会会員.

◆薄く柔らかい電池交換不要なビーコンの研究開発と実用化

[推薦理由]

IoTシステムでデバイスを利用する際には,業務の妨げにならない場所へのデバイス設置と,電源確保が課題である.特に,IoTデバイスは電池駆動のものが多く,システムメンテナンスや運用管理の手間軽減としての電池交換不要化への期待は大きい.受賞者らは,この課題にいち早く着目し,電池交換が不要な太陽電池のみで駆動する,小さく薄く柔らかいビーコンを世界で初めて開発・製品化し,資産管理システム等の産業分野への適用を行った.現在も,IoTで社会の課題を解決するための重要な1つのピースとして注目を集めている.
松倉 中本 裕之 君(正会員)

2000年広島大学大学院先端物質科学研究科博士前期課程修了.同年,株式会社富士通研究所入社.以来,RFIDやエナジーハーベストを用いた低電力電源回路の研究開発に従事.2018年東京工業大学工学院博士後期課程修了.博士(工学).2000年SSDM Young Researcher Award受賞.2017年電気科学技術奨励賞受賞.
 
角田 佐藤 弘幸 君

2002年 東京工業大学大学院総合理工学研究科博士前期課程修了.同年より株式会社富士通研究所に勤務.Wifi,地上波デジタルなどのRF回路開発や携帯向け省電力電源開発を経て,近年はIoT向けのセンサーデバイス開発に従事.

 
矢野 高   虹 君

2012年 群馬大学大学院電気電子工学科博士前期課程修了.同年より株式会社富士通研究所に勤務.携帯向けのDC-DCコンバータ設計,エナジーハーベスタを用いた低電力電源回路の研究開発を経て,近年はIoT向けのセンサーデバイス開発に従事.
 

高橋 馬場 俊二 君

1991年東京都立大学工学部機械工学科卒業,同年富士通株式会社入社.以来フリップチップ実装技術開発,RFIDタグ,IoTデバイス開発等に従事.フレキシブル,ストレッチャブルなど特殊材料の製品適用を推進.技術士(機械部門).
 
長谷川 菅田  隆 君

1991年富士通株式会社に入社.フリップチップ,多層基板などのサーバ系装置の実装技術開発を経て,現在は富士通アドバンストテクノロジ株式会社の一員としてビーコンやセンサーデバイスなどのIoTデバイスの開発に従事.

◆機微な情報を安全に利活用できる秘匿検索処理技術の研究開発と実用化

[推薦理由]

データを暗号化したまま検索を実現する秘匿検索処理技術を開発し,世界で初めて実用化した.開発技術により,医療機関や患者から集めた疾病情報を,クラウド上で安全に管理できる患者レジストリシステムが実現した.日本全国の希少疾患情報を集約することで,病態解明,臨床試験,治療法の開発など医療分野の発展に貢献することが期待される.本技術の強固なセキュリティは、顧客からも高い評価をいただいており、医療機関のみならず,健康保険組合や金融機関にも活用されるなど,多業種への展開が進んでいる.

松倉 吉野 雅之 君(正会員)

2002年東京理科大学大学院理学研究科数学専攻修士課程修了.同年株式会社日立製作所入社.以来,情報セキュリティ,暗号実装,匿名化の研究に従事.現在,横浜研究所主任研究員.2013年東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻博士課程修了.2017年公益社団法人発明協会 関東地方発明表彰奨励賞受賞.2018年日本セキュリティ・マネジメント学会 辻井重雄セキュリティ論文賞特別賞受賞.情報処理学会正会員.電子情報通信学会正会員.日本医療情報学会正会員.博士(科学).
 
角田 佐藤 尚宜 君

1996年九州大学大学院数理学研究科博士課程修了,同年数理学博士(九州大学).1999年株式会社日立製作所入社,システム開発研究所にて暗号と情報セキュリティに関する研究と開発に従事.主に公開鍵暗号の研究に携わり,公開鍵暗号や電子署名の実システムへの適用手法や,高機能暗号方式の開発,クラウドサービス化などを担当.現在,横浜研究所主任研究員.

 
矢野 長沼  健 君

2007年東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻修士課程修了.同年株式会社日立製作所入社.以来,モバイルアプリケーション,情報セキュリティ,ブロックチェーン技術の研究に従事.現在,横浜研究所研究員.2012年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS)論文賞受賞.2017年公益社団法人発明協会 関東地方発明表彰奨励賞受賞.2018年日本セキュリティ・マネジメント学会 辻井重雄セキュリティ論文賞特別賞受賞.日本医療情報学会正会員.
 

高橋 佐藤 恵一 君

2000年日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社入社.2009年大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻博士後期課程修了.同年に秘匿情報管理サービス「匿名バンク」を事業化.ヘルスケア分野のみならず,産業・金融・公共分野の高セキュアなクラウドサービスを展開.2015年日立製作所へ転属.現在は主にクリニカル・イノベーション・ネットワーク構想における患者レジストリシステムの開発に従事.情報処理安全確保支援士.NPO個人遺伝情報取扱協議会理事.名古屋大学大学院医学系研究科客員研究員.博士(工学).
 
長谷川 村瀬 真治 君

2005年慶應義塾大学環境情報学部環境情報学科卒業.同年日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社入社.2014年より,検索可能暗号化技術を適用したWEB患者登録システムの開発に従事し,現在は株式会社日立製作所にて,主にクリニカル・イノベーション・ネットワーク構想における患者レジストリシステムの開発に従事.情報処理安全確保支援士.