2005年度研究会活動報告

2005年度研究会・研究グループ活動報告


<調査研究運営委員会>
WSSgr CMSgr

<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS EMBgr

<情報環境領域>
DPS HI CG IS FI AVM GN DSM DD MBL CSEC ITS QAI EVA UBI BCCgr

<フロンティア領域>
NL ICS CVIM CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO NEgr



調査研究運営委員会

 

◇福祉社会システム実務(WSS)研究グループ

[主査:秡川友宏、幹事:坂根 裕、笠原照明、松原 敦、主査特別補佐:竹林洋一 ]

1.定例の研究会活動報告

 定例の研究会は、以下の通り3回実施した。

  • 第1回WSS研究会 / 2005年6月29日 (水) / 静岡大学情報学部 (浜松市)
  • 第2回WSS研究会 / 2005年10月14日 (金) / 内田洋行潮見オフィス (中央区)
  • 第3回WSS研究会 / 2005年3月8日 (水) / 工学院大学新宿キャンパス (新宿区)
第1回研究会、第2回研究会では6件、第3回研究会では4件の発表があった。いずれの研究会でも、講演者の協力を得て、視覚に障碍のある聴講者へのテキスト資料の配布、弱視の聴講者への講演スライドの手元配信、聴覚に障碍のある聴講者への講演の字幕提示を全講演について試行した。なお、第3回の研究会は、全国大会の企画セッションとして催行され、上述の試みと並行して、専門の手話通訳者による情報保障も行った。福祉機器やシステムの開発者が登壇し、いずれも現場に即した実践的な発表であった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 情報処理学会第58回全国大会にて、企画セッションを催行した。通常の研究会としての側面と、企画セッションの側面とから、素人による"手頃な情報保障"のほか、専門家による情報保障を並行して実施した。情報保障を受ける当事者を含めた4名の講演者により、「手頃な情報保障の可能性」「情報系研究者にできること」「企業・大学でできること」「情報系研究者に望むこと」の側面から話題提起をし、30余名の聴講者をまじえて自由討論を行った。

3.総括

 発足1年目ではあるものの、テーマのひとつに"手頃な情報保障"という題目を掲げ、実践的な活動の足がかりができたと考えている。手頃な情報保障とは、手話通訳、要約筆記、点訳者などの情報保障の専門家が手配できない場合でも、私たちでもできる情報保障を広く継続的に行おうというものである。講演字幕用のデータを兼ねて、研究グループの予稿をスライド縮刷に発言ノートを記入したものでもよいとしたが、これは多忙な実務家にとって、(TeXやWordにより6ページ前後の予稿を書くことに比べてではあるが) 発表しやすい環境を作ることにつながった。

4.その他

 手頃な情報保障については、UBI研究会1月研究会でも講演の字幕提示とスライドの手元配信を行い、協力者の幅を広げることができた。同研究会および講演者に感謝したい。
また、第3回WSSの企画セッションでは、千葉聴覚障害者センターの協力を得て、手話通訳者を交えた聴講者参加型の自由討論を行ったが、これについては非常に好評であった。今年もこのような一般参加企画や手頃な情報保障を実践しつつ、実務家を交えて活動を広げていきたい。

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◇教育学習支援情報システム(CMS)研究グループ

[主査:間瀬健二、幹事: 角所 考、梶田将司、中野裕司]

1.研究グループ発足報告

 本教育学習支援情報システム研究グループ(CMS研究グループ)は、高等教育機関における教育・学習のための基盤ソフトウェアであるコース管理システム(Course Management System、 CMS)に関する研究発表および教育実践発表を通じて、大学教育と情報技術を核とした学際的な教育・研究実践コミュニティを形成することを目指して、平成17年12月に調査研究運営委員会の下に新規に発足した。

2.定例の研究会活動報告

 準備委員会および第1回研究発表会を開催した。

 準備委員会(9月26日)において、主査:間瀬健二(名大)、幹事:角所(京大)、梶田(名大)、中野(熊大)を選出し、平成17年12月21日(水)に大阪大学中之島センターにて第1回の研究会を開催した。(共催:文部科学省研究振興局研究委託事業「知的資産のための技術基盤」ULAN プロジェクト)第1回は、 京都大学の美濃導彦教授を招待講演に迎え、13件の研究発表があった。80名の参加者があり、この分野への関心と期待の大きいことがうかがい知れる。

 テーマは、オープンソースシステムによるコース管理システムの開発報告、導入実践報告、商用システムを使った実践報告など、研究グループが目指す技術開発から導入まで幅広い内容が集まった。

3.総括

 第1回の運営委員会(委員登録33名)において、今後の活動方針を議論し、年2回程度の研究会を開催すること、コンピュータと教育(CE)研究会との合同シンポジウムなどを今後企画することなどが決定された。研究会の活動は、 ホームページ http://www.ulan.jp/sigcms/ で紹介することとし、研究会の発表原稿は、ホームページ上の会員登録手続きにより会員になれば無料で閲覧できることとした。また、発表者には事前に了解を得て、発表資料を登録会員が閲覧できるようにした。さらに、講演音声と合わせて視聴できるよう準備を行っている。

4.その他

 平成18年度の研究会は、5月に名古屋、9月に京都、12月に熊本で開催する予定である。

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コンピュータサイエンス領域


◆データベースシステム(DBS)研究会

[主査:石川 博、幹事: 有次正、片山 薫義、木俵 豊、土田正士]

1.定例の研究会活動報告

 第136~138回の研究発表会を開催した。特集テーマとしては、セマンティックWeb、メタデータ、オントロジーなどを取り上げた。特に7月に開催した第137回研究会は発表件数93件、招待講演1件、参加者数も153名に上る会議となり盛況を博した。また、1月に開催した第138回研究会ではデータベース分野と他分野の融合を目的として、情報処理学会グループウエアとネットワークサービス研究会、放送コンピューティング研究グループとの共催研究会を開催した。
主な研究発表は、マルチメディアDB、放送型DB、空間DB、XML・半構造DB、Webコンテンツ検索・管理、Webマイニング、データマイニング、モバイルDB、P2P・並列処理、ストレージ、時系列データ・ストリーム処理、DB高度応用、感性情報処理などである。

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • データ工学国際会議(ICDE2005 Tokyo)
    4月5-8日にかけて開催されたICDE2005(共同会議委員長:喜連川優東大教授、R。Agrawal博士IBMフェロー)はIEEEと情報処理学会、電子情報通信学会、日本データベース学会の共同主催であり、会場は千代田区一ツ橋の学術総合センター(本会議)と国立情報学研究所(一部ワークショップ)であった。参加者は全体で825名、うち海外からの参加者も356名と多数であったのが、日本で開催された国際会議としては珍しい。
    厳しい競争を勝ち抜いて発表された通常論文67件とポスター論文33件はどれも最近の此の分野の研究動向を反映した質の高いものであった。分野別に見るとマイニング(データ、テキスト、Web)、ストリーム処理、半構造データとXML、問い合わせ処理と最適化などの発表が多かった。
    論文発表に加えてビッグネームの基調講演があった。オブジェクト関係データベースPostgresの開発で知られ、今年度のIEEEフォンノイマンメダルを受賞したMITのM。Stonebraker教授がデータベースの新しいパラダイム(ストリームなど)について、IBMフェローで研究担当副社長を務め、先駆的な関係データベースSystem Rの開発で知られるP。Selinger博士が今後のデータ処理の5大チャレンジ(挑戦すべき課題)について、そして日立の谷口博士が開発にたずさわったμチップ(ICタグのひとつ)とその応用についてそれぞれ講演した。
    そのほか、二件のパネル、7件の先端セミナー、インダストリアル論文セッション、デモセッション、企業展示が行われ、どれも大盛況であった。
    本会議に加えて11件のワークショップが併設された。それぞれバイオメディカル、eコマース、マルチメディア先端応用、実世界マルチメディア、ネットワークとデータベース、プライバシーデータ管理、ユビキタスデータ管理、Web情報検索と統合、XMLスキーマ・データ管理、自律的なデータベースなどがテーマであり、これらも成功裏に終わった。
    今回のICDE2005 は日本におけるデータベースコミュニティ(情報処理学会、電子情報通信学会、日本データベース)の総力をあげて計画から運営までを行った。2001年4月の開催決定から4年目での開催であり、本格的な準備期間でも1年半と長かった。国際会議を主宰する機会の多い複数の参加者から異口同音に『いままで参加してきた国際会議の中で最もよくできた(well-organized)会議である』という評価を聞くことができた。
  • データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム(DBWeb2005)
    このシンポジウムは、電子情報通信学会データ工学研究専門委員会、同学会Webインテリジェンスとインタラクション研究会、日本データベース学会、ACM SIGMOD日本支部、日本PostgreSQLユーザ会、日本MySQLユーザ会、Firebird日本ユーザ会にも協賛を頂いており、我が国におけるデータベース研究領域の最大規模のシンポジウムとして、11月21日、22日の2日間、「情報融合」を特集テーマとして前年に引き続き、お台場の日本科学未来館で開催した。
    P2P、XML・ストリーム、マルチメディアコンテンツ・コンテンツ応用、Web検索、情報検索、情報獲得と流通、システム応用という一般セッションに加えて、本シンポジウムでは、データベース高度応用分野の専門家のニーズにこたえるべく特別セッションを設けた。そのテーマとしては、ユビキタスデータ管理の最新動向、検索ビジネスの最新動向、ナレッジマネジメントの最前線、OSS(オープンソースソフトウェア)コミュニティとの連携を取り上げた。本シンポジウムでは、 これらの多種多様なトピックとデータベース技術との関わりについて、招待講演と研究発表の形態で議論する場を提供した。
    招待講演12件に加えて、一般研究発表論文としては、24件が採択された。最終的な参加者数は128名であった。
    また、本シンポジウムでは情報処理学会論文誌「データベース(IPSJ -TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門 委員会共同編集)第30号(来年度発行予定)との同時投稿による連係を行った。同時投稿件数は21件であり、うち8件が最終的にTODへ採録が決定された。
3.情報処理学会論文誌:データベースの報告

 平成10年度にFI研と合同で創刊した研究会論文誌「データベース(IPSJ-TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門 委員会共同編集)の第26号、第27号、第28号、第29号の発行を終えた。また、第26号では 12 件、第27号では 7件、第28号では 10 件、第29号では6件が採録された。来年度発行予定の第30号は、データベースシステム研究会が主催しているシンポジウムとの同時投稿による連係を行い、同時投稿件数は21件あった。

4.総括

 インターネットの普及はわれわれを取り囲む情報化社会を一変させた。モバイル情報機器や無線LAN、ICタグなどのネットワーク関連機器やインフラストラクチャが普及するとともに、WWWに代表されるように多種多様なコンテンツが、刻々とわれわれに提供され、まわりに蓄積されつつある。このような状況下では、異種・大量のコンテンツをどう共有し、検索・利用するかを追及してきたデータベース技術が益々その重要性を増してきている。さらにデータベース技術はこれまでは、考えられなかったような新たな応用分野に適用されつつある。このような背景のもとデータベースシステムの重要性が一層大きくなるとともに、インターネットが普及し、コンテンツがあふれる時代の新しい情報共有のための中枢機構としての新しいデータベースシステム像が求められている。
データベースシステムは、広い範囲でのメディアデータの共有・利用を実現するための中心的なシステムとして位置づけられ、それとともにさまざまな情報・コンテンツの融合に関する研究開発や、関連する情報技術・応用技術との融合に関する研究開発が、今後さらに重要な課題になっていくと考えられる。
データベースシステム研究会は、メディアデータおよびネットワークが形成する新しい情報環境を視野に入れながら、さらに、 DBWeb2005で電子情報通信学会Webインテリジェンスとインタラクション研究会、1月研究会でグループウエアとネットワークサービス研究会および放送コンピューティング研究グループと連係したように、他分野との連携を積極的に行うことによって、データベースシステム分野の発展拡大に貢献することを目指していく。
また学会の活性化にとって若手研究者のコミュニティへの参加を促すことはきわめて重要であると考える。そこでDBS研究会では第137回研究会より、学生による発表を対象として学生発表奨励賞を設け、優秀な発表者を顕彰することにした。今年度は総計44名の学生が受賞した。受賞者には副賞(図書券)授与ならびにその氏名・業績の研究会HPへの掲載が行われる。

5.その他

 データベースシステム研究会は、永続的な情報の共有・検索・利用のための諸技術に焦点をあてた研究会であり、広範なデータ処理技術と応用分野をカバーし、今後データベースや情報検索に対する需要の高まりと共に、益々その守備範囲が拡大していくものと予想される。
そこで、本研究会は、他学会の関連組織(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会、ACM SIGMOD 日本支部、日本データベース学会)と一層の連携を強化し、さらに実務者にも興味のあるテーマを提供できるように関連団体(日本PostgreSQLユーザ会、日本MySQLユーザ会、Firebird日本ユーザ会)とも連携を図り、データベース関連の研究者、技術者のコミュニティの更なる発展を目指ざす。

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◆ソフトウェア(SE)工学研究会

[主査:羽生田栄一、幹事:野中 誠、丸山勝久、山本理枝子、鷲崎弘宜]

1.定例の研究会活動報告

 

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 

3.ワ-キンググループ活動

 

4.総括

 

5.その他

 

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◆計算機アーキテクチャ(ARC)研究会

[主査:天野英晴、 幹事:工藤知宏、佐藤真琴、西 直樹、森眞一郎]

1.定例の研究会活動報告
  • 5月の研究会はお台場で単独開催し、BlueGeneの見学会を行った。
  • 7月は並列/分散/協調に関するサマーワークショップSWoPP武雄で、HPC、PRO、EVA、OS、CPSY、DCと連続開催を行った。夜のセッションではフランクで楽しい情報交換のセッションを企画した。
  • 12月はデザインガイアで、SLDM、VLD、ICD、CPSY、RECONFと連続開催を行った。アイディアのみのファニーアーキテクチャセッションを企画した。
  • 1月はコンパイラとアーキテクチャの協調をテーマとしたSHININGの最終回を早稲田大で開催し、パネルディスカッションでスーパコンピュータアーキテクチャとコンパイラに関して議論した。
  • 3月は例年通りHPCと共催で北大においてアーキテクチャの評価を中心テーマとしてHokkeを開催した。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 先進的計算基盤システムシンポジウムSACSIS2005をつくば国際会議場でHPC、OS、PRO、AL、CPSYと共催した。

3.総括

 2005年は、方向転換の年と位置づけ、5月の単独開催、1月のSHININGはこれで最後とした。2006年より5月は6月に移動してICDと共催、1月はEMBと共催する。これは、組み込み用アーキテクチャ、チップ実装を意識したアーキテクチャに研究会の重点をある程度シフトする試みである。さらに、次年度より幹事団を一新して若がえりを図ると共に、運営委員もアクティビティの高いメンバーに入れ替え、運営委員会の回数も年間2回に増やした。また、「楽しくアーキテクチャを研究しよう」というスタンスで、SWoPPの夜のセッション、デザインガイアでのファニーアーキテクチャセッション、カジュアルな服装での参加の勧め等、明るく、活発な研究会の雰囲気作りに励んだ。上記の施策が功を奏したのか、あるいは組み込み系、ハイパフォーマンス系を中心に新しいアーキテクチャに対する関心が高まったか、研究会の発表件数は増加の一途をたどり、Hokke、SWoPPなどでは、発表枠を上回る傾向が見られている。2006年からは中村新体制の基、さらに飛躍的に発展することを期待している。

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◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会

[主査:加藤和彦、幹事:河野健二、新城 靖、高汐一紀、廣津登志夫]

1.定例の研究会活動報告

 第99回は、例年と同様、沖縄地区での開催とし、平成17年5月25~27日にホテルムーンビーチで開催した。99回目の開催を記念する研究会とした。一般講演29件の発表があり、分散システム、サーバ技術、モバイルプラットフォーム、OS(1)、 OS (2)、 ネットワーク、性能評価等のセッションが編成された。またポスターセッションにおいて9件の発表があった。さらに下記の記念企画を催した。

  • 招待講演1 プロフェショナル・ビデオ産業の動向とベンチャー企業運営を振り返って
    鈴木則久(米国Zaxel社Co-founder、 President & CEO、当研究会元主査)
  • 招待講演2 システム・ソフトウェアの新潮流
    横手靖彦(ソニー・コンピュータエンタテインメント開発研究本部OS開発部部長)
  • パネルセッション システム研究者の取り組むべき課題
    パネラー:
    鈴木則久 米国Zaxel社Co-founder、 President & CEO、当研究会元主査
    徳田英幸 慶應義塾大学、当研究会元主査
    横手靖彦 ソニー・コンピュータエンタテインメント、 開発研究本部OS開発部部長
    石川裕  東京大学、当研究会前主査
    進行:加藤和彦 筑波大学、当研究会主査

 第100回は、SWoPPとしての開催で、7月31日~8月1日に高知商工会館(高知県高知市)で開催した。17件の一般論文発表があり、ネットワーク、資源管理、ストレージ、資源保護、適応システム、分散システム等のセッションが編成された。

 第101回は、平成18年2月16~17日に大阪大学中之島センター(大阪府大阪市)で開催した。14件の一般論文発表があり、仮想化、OS構成法、リソース制御、セキュリティ、ストレージ、実時間処理と組み込み等のセッションが編成された。チュートリアルとして大山恵弘氏(東京大学)による「安全な情報基盤としての仮想マシンモニタ」と題した発表があった。この回から、学生の研究をエンカレッジすることを目的として、優秀な研究発表を行った学生を表彰することとなり、運営委員会における審査の結果、下記の学生が受賞した。

  • User Mode Linux 上における高速通信機構
    仲亀 渉(東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 毎年開催している第17回コンピュータシステムシンポジウムを平成17年11月29~30日に筑波大学総合研究棟D公開講義室(茨城県つくば市)にて開催した。一般査読論文として18件の投稿があり、プログラム委員会にて投稿論文の査読を行い、12件を一般論文として採択した。また応募時に、情報処理学会「論文誌:コンピューティングシステム」(ACS論文誌)第13号への同時投稿を可能にし、最新の成果を迅速に雑誌論文として発表できるように配慮した。
今回から新たに設けられた賞として、若手研究者または学生による登壇発表が行われるもの中から特に優秀なものを選び、若手/学生論文賞を授与した。プログラム委員会における審議の結果、金田 憲二氏(東京大学大学院情報理工学研究科大学院生)に授与した。
招待講演として、下記の講演を行った。

  • OpenSolaris - A Platform for Innovation and Education
    Mike Hayden(Sun Microsystems , Inc.)

さらに、実用域に入ったリサーチソフトウェアに関するチュートリアル講演3件を行った。

  • エンドホストにおける汎用ネットワーク制御機構 Netnice - 概要と展望
    奥村 貴史(ピッツバーグ大学、 旭川医科大学)
  • ローカルファイルシステムの可能性と NILFS プロジェクト
    天海 良治(NTT サイバースペース研究所)
  • SoftEther VPN の内部構造
    登 大遊(筑波大学、 ソフトイーサ株式会社)

 萌芽的な研究やデモンストレーションを交えた研究発表の場としてポスター・デモ・セッションを催し、16件の発表があった。同セッションでは、Sun Microsystems 社の協力を得て、OpenSolaris Challengeという企画を行い、学生によるOpen Solaris を使ったデモの中で、特に優秀なものを表彰した。参加者全員による投票を行い(ただし同一組織への投票は禁止)、下記の発表が授賞した。

  • 複合ハイパバイザによる仮想計算機の高速化
    榮樂 英樹、新城 靖、加藤 和彦(筑波大学)

3.総括

 例年行っているシステムソフトウェアとオペレーティングシステム分野の研究発表活動に加え、第99回記念研究会の催し、学生表彰の開始、企業とタイアップしたOpenSolarisチャレンジの実施等の新しい企画を実施した。また昨年度よりコンピュータシステムシンポジウムで行っている、実用域に入ったリサーチソフトウェアに関するチュートリアルも、引き続き実施した。運営委員会メンバーや、研究発表会・シンポジウム参加者の声に耳を傾けながら研究会運営を行っているが、これらの企画に対する評判は良好であり、来年度は今年度の経験を元に、さらに一層活発な研究会活動を推進していきたい。

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◆システムLSI設計技術(SLDM)研究会

[主査:神戸尚志、幹事:枝廣正人、大西充久、浜口清治]
1.定例の研究会活動報告

 以下に示す第120~124回の研究発表会を開催した。

  • 第120回:発表件数:11件、5月19・20日、テーマ:システム設計および一般、高知大学朝倉キャンパス、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD))と共催
  • 第121回:発表件数:34件、10月20・21日、テーマ:プロセッサ、DSP、画像処理技術および一般、仙台 作並温泉(一の坊) 、電子情報通信学会(ディジタル信号処理研究会(DSP)、集積回路研究会(ICD)、画像工学研究会(IE))と共催
  • 第122回(デザインガイア2005):発表件数:33件、11月30~12月2日、テーマ:VLSI の設計/検証/テストおよび一般、北九州国際会議場、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、集積回路研究会(ICD)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC))と共催
  • 第123回:発表件数:20件、1月17・18日、テーマ:FPGAとその応用および一般、慶応大学日吉キャンパス、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、コンピュータシステム研究会(CPSY)、リコンフィギャラブルシステム研究会(RECONF))と共催
  • 第124回:発表件数:21件、3月16・17日、テーマ:組込技術とネットワークおよび一般、筑波大学、組込みシステム研究グループ(SIGENB)、電子情報通信学会(コンピュータシステム研究会(CPSY)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC))と共催
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 以下に示すシンポジウムを開催した。

  • DAシンポジウム2005:発表件数:47件、8月24~26日、浜名湖遠鉄ホテルエンパイア、SWEST7(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ)と同時開催
3.総括

 本研究会は、システムLSIを中心とする電子装置の設計技術、設計自動化技術の研究分野をスコープとして活動している。
平成11年度に実施された「設計自動化研究会」からの改称と、それに伴うスコープの拡大により、活動の活性化が進んでいる。特に、研究会単独主催の「DAシンポジウム」では、組み込みシステム技術に関するサマーワークショップと同時開催することにより、相互に技術交流を図っている。今年度の参加者は、147名である。

4.その他

 本研究会は、今後共、常に時代の要請に的確に応えながら、将来の電子機器の設計およびEDA技術の先端研究開発の交流の場として、皆様のお役に立てるよう一同頑張って参りたいと存じます。今後共ご支援の程お願い申し上げます。活動予定については、下記をご参照ください。
http://www.sig-sldm.org/

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◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会

[主査:安崎篤郎、幹事:合田憲人、佐藤周行、高橋大介、本多弘樹]

1.定例の研究会活動報告
  • 第102回 6月2日 千葉工業大学 津田沼キャンパス
  • 第103回 8月3日~8月5日 武雄市文化会館 [SWoPP2005]
  • 第104回 10月7日 金沢工業大学 (石川県石川郡野々市町扇が丘)
  • 第105回 平成18年2月27日~3月1日 北海道大学学術交流会館 [HOKKE2006]
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • インターネットコンファレンス 10月27日~28日 東京大学山上会館 (東京都文京区)
  • HPCS2006 平成18年1月19日~20日 東京大学武田先端知ビル (東京都文京区)

3.総括

 グリッド、クラスタ分野は、当初に比べさらに範囲を拡大し、(学会だけでなく、業界も)地に足が付きつつある。今後、計算機科学だけでなく、計算科学、アルゴリズム、プログラミングモデル、開発支援までも巻き込んだ更なる展開が期待される。

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◆プログラミング(PRO)研究会

[主査:八杉昌宏、幹事:岩崎英哉、西崎真也、渡部卓雄]

1.定例の研究会活動報告

 第54~58回の研究発表会を開催した。このうち、第55回(8月、SWoPP2005)が他研究会との連続開催であり、残りの4回が単独開催である。総発表件数は49件であった。平成17年度も、トランザクション:プログラミング(PRO)と密着した体制で研究発表会を開催した。トランザクション(PRO)に投稿された論文は、まず研究会で発表され、発表会の直後に開催されるトランザクション(PRO)編集委員会において議論し、査読者を定めて本査読を行なった。投稿の有無に関わらず、1件あたり発表25分、質疑・討論20分の時間を確保し、参加者が研究の内容を十分に理解するとともに、発表者にとっても有益な示唆が得られるように務めた。SWoPPの回には特集テーマを定めたが、特集テーマと直接は関係しない発表も常に受け付けるようにした。発表総数49件中投稿論文からの、総採録件数は17件になる予定である。採択率は約45%である。
山下記念研究賞を過去2年間(平成15~平成16年度)から選ぶのは平成17年度が最後となり、平成16年度の第50回研究会から1件選び、第58回の研究発表会で表彰を行った。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 情報処理学会5研究会(ARC、OS、HPC、PRO、AL)および電子情報通信学会1研究会(CPSY)およびIEEE CS Japan Chapter の共同主催、ならびに電子情報通信学会1研究会(DC)の協賛により、先進的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS 2005)を5月18~20日につくば国際会議場にて開催した。SACSIS2005 プログラム委員長を務めたのがPRO主査であったりと、PRO研究会として大きく貢献できたと考えている。

 また、第13回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2005) 12月7~9日、日本ソフトウェア科学会「インタラクティブシステムとソフトウェア」研究会に協賛した。

 また、教育用プログラミング言語に関するワークショップ2006、3月29日、情報処理学会 情報処理教育委員会に協賛した。

3.総括

 平成17年度の発表件数は49件で、平成16年度の58件から減少となり、発表キャンセルが2件あったとはいえ、1995年以降最も件数の少なかった平成15年度の51件を下回った。理由の一つとしては、平成17年度の最後の回での発表件数が少なかったことがある。年度最後の回に発表が多く、年度最初の回に発表の少ない傾向への対策として、試験的に同時期募集を行い、年度最初の回への誘導を図ったという点からは予想される結果ではある。研究会の積立金の有効利用も課題とされた。PROでは、CS領域の他の研究会(ARC、OS、HPC、PRO、AL、MPS)とともに、SACSIS2006併設企画グリッドチャレンジ2006(Grid並列プログラミングコンテスト)の支援を行った。

4.その他

 1998年度のトランザクション(PRO)の発刊以降、8年が経過した。英文論文は IPSJ Digital Courier にも掲載されるようになり、さらに IMT(Information and Media Technologies)に掲載されるようになるなど新しい動きがある。今後、英文論文が増えるきっかけになるであろうか。

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◆アルゴリズム(AL)研究会

[主査:平田富夫、幹事:金子美博、渋谷哲朗、築地立家]

1.定例の研究会活動報告

 第101~105回の研究発表会を開催し、発表総数は47件であった。発表内容は、グラフ・ネットワークに関するアルゴリズム、計算幾何学、近似アルゴリズム、量子計算、並列・分散アルゴリズム、計算複雑度理論と多岐に渡っている。本研究会では、平成12年度より、毎回の研究会において招待講演を企画しており、アルゴリズムとその周辺で活躍する新進気鋭から、ベテランの研究者まで幅広い年齢層の方に講演をしていただいている。この招待講演は、アルゴリズム分野の最先端の研究動向を参加者が知るよい機会となっている。この企画は今後も継続し、さらに充実させる予定である。他研究会との連携としては、電子情報通信学会コンピュテーション研究会と2回、同回路とシステム研究会・ コンカレントシステム研究会と1回の連続開催を行い、これら研究会との間の研究交流も行った。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 小規模国際会議として、韓国の研究会と連携してアルゴリズム・計算理論日韓共同ワークショップを定期的に開催している。平成15年には日本(仙台)で開催し、本年は8回目で韓国(ソウル、梨花女子大)での開催であった。本年の発表件数は24件で、両国の若手研究者を始めとして多数の参加を得て盛会であった。

3.総括

 情報科学・情報工学の土台であるアルゴリズムを研究する研究会として、新規挑戦分野を開拓していくことが重要であると認識している。特に量子計算の分野では多くの発表があり、確実に新分野の育成に貢献している。また、実用分野への応用や、科学研究費特定研究(計算限界への挑戦)のプロジェクトにも協力体制をとっている。

4.その他

 本年より東京工業大学主催のスーパーコンピュータコンテストに共催している。このコンテストは東工大が高校生を対象に毎年開催しているもので、今回からアルゴリズム研究会と電子情報通信学会コンピュテーション研究会が共催している。高校生や一般の人々を対象とする情報処理研究の啓発は、今後、研究会活動として重要性が増すと思われる。

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◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会


[主査:北 英輔、幹事:小林 聡、廣安知之 、藤本典幸、古瀬慶博]


1.定例の研究会活動報告

 第54-58回の研究発表会を開催した。

  • 第54回:5月10日、於名古屋大学、発表8件、参加者数20名程度。
  • 第55回:6月28日、於Monte Carlo Resort (Las Vegas)、発表11件、参加者数約20名。
  • 第56回:9月21-22日、於同志社大学、発表20件、参加者数約40名。
  • 第57回:12月20日、於電気通信大学、発表13件、参加者数約25名。
  • 第58回:3月16-17日、於城崎温泉泉都、発表29件、参加者数約40名。

 平成17年度の発表の内訳は、学習理論、ゲノム、数理生物、並列分散処理、パターン認識、進化的計算、認知科学、金融工学、経済物理学、行動ファイナンス等の分野から合計73件であった。これまでにも多数の講演があった進化的計算、ゲノムなどの分野に加えて、本年度は金融工学、経済物理学等の新たな分野からの講演申込が増えつつあるのが大きな特徴であった。第55回研究会は、国際会議International Conference on Parallel and Distributed Processing Technologies and Applications (PDPTA05)との共催を行ない、大盛況に終った。第58回研究会は、山下賞記念講演会として受賞者2名に招待講演をお願いし、一般講演27件とあわせて29件の発表があった。

 本年度は、研究会独自の表彰規定を設けた。第57、58回の研究会でプレゼンテーション賞を選出するとともに、第58回研究会では、功績賞3名の表彰式を行った。

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • FCS/テクノシンポ/MPSシンポジウム2005
    10月11~13日に、名古屋大学において「FCS/テクノシンポ/MPSシンポジウム2005」を、21世紀COE「計算科学フロンティア」、名古屋大学と共催で開催した。国内外から6件の招待講演、70件程度の一般講演があり、盛況に開催された。
  • 国際会議、シンポジウムなどへの共催
    本年度は以下の国際会議、シンポジウムへ研究会独自または領域委員会や他の研究会と共同で共催を行った。
    1) Algebraic Biology 2005 (AB2005)
    2) IPAB2006

3.総括

 本研究会では、これまでと同様に、新規分野の開拓に積極的につとめてきた。その結果、本年度は金融工学などの分野の研究発表が増加しつつある。しかし、今年度から来年度にかけて、これまで本研究会が対象としていた分野に関連する研究会や研究グループの設立が続いているので、今後も新規分野の開拓に一層つとめていく必要があると考えている。

 そのためにも、来年度は他の研究会や他学会などとの共同開催をすすめるなど、積極的な活動を行っていきたいと考えている。

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◇組込みシステム(EMB)研究グループ


[主査:高田広章、幹事:青木利晃、追川修一、冨山宏之、平山雅之]


1.定例の研究会活動報告

下記の通り、第1~3回の研究発表会を開催した。

  • 第1回研究発表会
    テーマ:組込みシステム研究グループ設立記念シンポジウム
    開催日:2005年7月27日     場所:慶應義塾大学 三田キャンパス 北館ホール
  • 第2回研究発表会
    テーマ:組込みシステム合同研究会
    開催日:2006年1月23~24日  場所:大阪大学 中ノ島センター
  • 第3回研究発表会
    テーマ:組込技術とネットワークに関するワークショップ(ETNET2006)
    開催日:2006年3月16~17日  場所:筑波大学 大学会館3階特別会議室
2.シンポジウム・国際会議等の報告

以下のイベントを共催・協賛した。

  • 共催:第1回組込みシステム技術に関するサマースクール(SSEST1)
    開催日・場所:2005年8月22~24日、浜松市(遠鉄ホテルエンパイア)
  • 共催:第7回組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST7)
    開催日・場所:2005年8月25~26日、浜松市(遠鉄ホテルエンパイア)
  • 協賛:ソフトウェアテストシンポジウム 2005 in 大阪(JaSST'05 in Osaka)
    開催日・場所:2005年7月15日、大阪市(大阪国際会議場グランキューブ大阪)
  • 協賛:DAシンポジウム2005
    開催日・場所:2005年8月24~26日、浜松市(遠鉄ホテルエンパイア)
  • 協賛:組込みソフトウェアシンポジウム2005(ESS2005)
    開催日・場所:2005年10月17~19日、東京都(日本科学未来館)
  • 協賛:第17回コンピュータシステムシンポジウム(ComSys2005)
    開催日・場所:2005年11月29~30日、つくば市(筑波大学)

3.総括

 組込みシステム研究グループは2005年4月に発足し、2006年3月までの1年間、積極的に活動した。7月に開催した設立記念シンポジウム(第1回研究発表会を兼ねる)には、176名もの参加者があり、組込みシステムに関する研究の方向性を議論した。参加者の内訳は、産131名、学31名、官14名であり、産業界からの期待の高さを再認識した。その他、研究発表会を2回開催し、研究発表と討論を行った。また、関連するシンポジウムやワークショップなども積極的に共催・協賛することにより、他研究会や他学会との技術交流を行った。

4.その他

 2006年度からは、組込みシステム研究会として再出発し、更に活動を発展させる。2005年度に協賛した組込みソフトウェアシンポジウム(ソフトウェア工学研究会主催)は、2006年度に組込みシステムシンポジウムへと名称を変更し、ソフトウェア工学研究会と共催する予定である。

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情報環境領域


◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会

[主査:東野輝夫、幹事:木原民雄、重野 寛、寺西裕一、西山 智]

1.定例の研究会活動報告

 定例の研究会は、以下の通り4回実施した。

  • 第123回DPS研究会/2005年6月2日~3日/宮城大学(黒川郡)
  • 第124回DPS研究会/2005年9月21日~22日/神戸市産業振興センター(神戸市)
  • 第125回DPS研究会/2005年11月14日~15日/東京電機大学(千代田区)
  • 第126回DPS研究会/2006年3月16日~17日/佐賀大学(佐賀市)

 第123回は、プロトコル、分散システムをテーマとし、22 件の研究発表が行なわれた。また、特別講演として東北地方のソフトウェア、セキュリティソリューション企業関連の方々に現状、問題点についてご講演いただいた。第124回は、GN と合同開催で行なわれ、神戸リエゾンネットワークのご協力を得て開催された。17 件の研究発表があり、グループウェア、マルチメディアシステムに関する新たな話題について有意義な意見交換がなされた。特別講演として、NanyangTechnological University の Adrian David Cheok 助教授に「Mixed Reality and Human Centered Media for Social and Physical Interaction and Entertainment」という題目で講演いただいた。第125回は、EIP との合同開催とし、20 件の研究発表があった。主にコンテンツ流通技術や社会的課題等について討論が行なわれ、特別講演として、東京電機大学 佐々木 良一教授より「多重リスクコミュニケータの開発と今後の展開」という題目でご講演いただいた。第126回は、CSECとの合同開催とし、59 件の研究発表があり、招待講演として警察庁情報通信局情報技術解析課サイバーテロ対策技術室長 羽室 英太郎氏より「サイバー犯罪・サイバーテロの現状と対策」という題目でご講演いただいた。

平成17年度の研究発表件数は、招待講演も含めて 118件であった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告


*マルチメディア、分散、協調とモーバイルシンポジウム(DICOMO2005)
平成17年7月6日~8日
発表件数 202 件(講演:196、デモ:6)、参加人数 318 名(招待講演1名含む)
本シンポジウムは、DPS、GW、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBIの8つの研究会の主催、及び放送コンピューティング研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会の協賛による非常に大規模なシンポジウムである。

 招待講演として日立製作所宇佐美光雄氏より「現実世界と仮想世界の架け橋ミューチップ」という題目でご講演いただたいた。特に講演内容が優れていた最優秀プレゼンテーション賞を5件、独創的で価値の高い優秀論文賞を22件、それぞれ選出し授与している。本シンポジウムにおけるDPS 関連発表は、ほぼ4分の1から3分の1程度を占めており、多くのDPS関連の研究者がこのシンポジウムに参加し、交流を深めたことがわかる。合宿形式によるシンポジウムの実施により、論文発表セッションのみならず、懇親会や宿泊している部屋等で大学、企業組織、研究会の枠を超えた活発な議論がなされ、新たな研究発展に大きく寄与できたと考える。

* 第13回 マルチメディア通信と分散処理(DPS)ワークショップ
平成17年11月30日(水)~ 12月2日(金)、沖縄県那覇市 パシフィックホテル沖縄、
発表件数 86件、参加人員 101名(招待講演1名含む)

 今回で13回目となった本ワークショップでは、86件の論文発表を合宿形式で行い、101名の参加者(招待後援者1名を含む)のもと真摯な議論が行われた。投稿されたすべての論文は、プログラム委員によって並列査読された。発表は、既存の分散システム、マルチメディア通信、ネットワーク技術、インターネット等の研究分野にとらわれず、分野を融合した先駆的試みを持つ論文も多く見られた。査読コメントに基づいて改良された論文をベースとした討論は、発表の場として発表者及び参加者の双方にとって有意義であったものと確信する。また、前年度から取り入れた英語セッション(4セッション:18論文)を設け、国際学会と同じ形式で実施することにより、ワークショップの国際化や発表者の国際学会での練習舞台としての役割も果たせたものと確信する。

 表彰としては、プログラム委員会の審査によりBest Paper Award 1件、Young Researcher Award 3件がおくられた。これらの賞により、優秀な研究成果及び研究者を評価奨励し、活発なワークショップとすることができた。

 今年度は、招待講演として琉球大学の石島 英教授を招き「最近の台風の異常なふるまい」という講演タイトルでご講演を頂き、台風という自然現象にかかわる新たな研究分野の見識を深めることができた。また、恒例となった合宿形式によるワークショップの実施により、論文発表セッションでは勿論のこと、懇親会や宿泊している部屋等で大学や企業組織の枠を超えて議論し、新しい研究の発展が得られるワークショップとなった点でも、今後の本研究領域の発展に寄与するものと考えられる。

* 論文誌「ブロードバンド・ユビキタス・ネットワークとその応用」特集号
情報処理学会誌第47巻第二号、2006年2月

 本特集号は、ブロードバンド・ユビキタス・ネットワークとその応用に関して、プロトコルや通信品質などのネットワーク技術から、プラットフォームやミドルウェアといった基盤技術、さらにはアプリケーションやサービスまでの広範な研究領域全般について、最新の研究成果や開発事例に関する論文を、一括して掲載することを目的として企画された。

 ゲストエディタとして本会理事(平成13年度、14年度)を歴任され、この分野の研究活動に深く貢献されてこられた宮部博史氏(日本電信電話株式会社)を迎えて、21名の委員によって構成される特集号編集委員会を組織した。編集にあたっては、最新の研究成果や開発事例に関する論文を広く採録することを方針とした。

 本特集号には、当初の予想より多い、58件の論文が投稿された。通常の査読と同様、論文1件に対して1名のメタレビューアと2名の査読者を割り当てて査読を行った。審査の過程で論文取り下げが1件あり、最終的に26件の優秀な論文が採録となった。採択率は約45%であり、当初目標していた60%にはとどかなかった。しかし、採録された論文のテーマは、ネットワークプロトコル、ネットワーク品質や制御、ネットワークセキュリティ、分散処理技術といったネットワーク技術や基盤技術に関するものから、ユビキタスコンピューティングやインタラクション支援といった応用にいたるまで非常に多岐に渡り、本特集号では幅広いテーマに関する優秀な論文を数多く掲載することができたと考える。

3.総括

 本研究会では、4回の定例研究会、シンポジウム、ワークショップを通して、研究者相互の交流と研究に対する活発な意見交換の場を提供することができた。特集論文については、非常に多くの方にご協力いただき、遅延のない査読プロセスを進めることができた。ここに改めて、ご協力頂いた皆様に感謝する。今後も、DPS関連研究者の更なる研究の活性化、また国際化への支援を進めていく予定である。皆様の積極的参加とご協力をお願いしたい。

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◆ヒューマンインタフェース(HI)研究会

[主査:中小路久美代、幹事:青木 恒、加藤直樹、河野恭之、田村弘昭]

1.定例の研究会活動報告

 第113~117回の研究発表会を開催した。

  • 第113回 2005/5/27  インタラクション・メ ディアおよび一般
  • 第114回 2005/7/21-22 モバイルインタフェースお よび一般
  • 第115回 2005/9/30  デザインとインタフェー ス、及び一般
  • 第116回 2005/11/17-18 高齢者/子どものためのイ ンタフェース、および一般
  • 第117回 2006/1/13  誘うインタフェース (Inviting Interface)、および一般
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第10回ヒューマンインタフェースプロフェッショ ナルワークショップ(HIP10) 2005/7/21?22
    テーマ:「これから求められるモバイルイ ンタフェース」
  • インタラクション2006を開催(2006/3月2-3日GN研究 会、UBI研究会と共催)
    学術総合センター/一橋記念講堂にて開催

3.総括

  積極的な参加募集、多様な分野からの招待講演者による講演企画といった活動を通して、各研究発表会 への参加者は増加傾向にある。また、情報工学、情報科 学系にとどまらず、デザインやアートといった分野横断的な研究分野の参加者も多くみられるようになっており、今後より一層の発展が期待できる。

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◆グラフィクスとCAD(CG)研究会

[主査:斎藤隆文、幹事:金田和文、斎藤 豪、山口 泰]

1.定例の研究会活動報告

 

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 

3.総括

 

4.その他

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◆情報システムと社会環境(IS)研究会

[主査:市川照久、幹事:阿部昭博、鈴木律郎、松永賢次]

1.定例の研究会活動報告

 第92回(5月27日、情報サービス産業協会、発表7件)、第93回(8月25日、化学会館、発表5件)、第94回(11月18日、鳥取環境大学、発表8件)、第95回(3月16・17日、専修大学、発表18件)と4回の研究発表会を開催し、計38件の発表があった。内容的にも現実の社会環境における情報システムの分析・設計・開発・運用・利用から、情報システムと人間・組織・社会との相互関連に関する学際的研究まで多彩なテーマが集り、また企業からの発表が増えてきている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 「情報システムの調達とシステム評価-ユーザの視点から-」チュートリアルを平成18年1月20日に日本IBMにて開催した。ユーザ企業の経営上における情報システムの位置づけについて、ユーザ企業、コンサルタント、システムベンダーの三者からそれぞれの見解を引き出せた意義は大きかった。18年度も19年1月にチュートリアルを実施し、具体的なテーマを検討中である。

3.総括

 平成17年度もこれまでと同様に情報システムの方法論の提案や、具体事例の分析・考察を中心として、上記の通り定例の研究会活動とチュートリアルを実施した。論文誌の情報システム特集号も2年目となり、情報システム論文の拡大に寄与している。情報システム論文の採択率向上のために、学会誌や研究会を通じて不採録となった理由や着眼点を示しており、徐々にその効果が現れることを期待している。今後もこの活動を継続する予定である。

4.その他

 サマータイム制の導入による情報システムへの影響を事前に検討すべきであるという問題提起を受け、航空機運行システムなど幾つかの想定事象をもとに予備的検討を行うサマータイム分科会を設置し議論した。結論として、情報システムへの影響は多岐に渡り、対応策提示には現場で生じる具体的事象をより多く収集しなければならず、社会的にサマータイム導入の機運が高まってきた時点で、再度、検討の継続を判断するものとした。
平成16年度より、情報システムに関連する学会論文特集号を年に1回発行することを目指している。平成17年度は、「新たな適用領域を切り開く情報システム」特集号を、平成18年3月に発行した。平成18年度は、19年3月に「情報社会の基礎を築く情報システム」特集号を企画中である。

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◆情報学基礎(FI)研究会

[主査:吉岡真治、幹事:岸田和明、酒井哲也、田村直良、仲尾由雄]

1.定例の研究会活動報告

 第79-82回の研究発表会を開催し、52件の発表があった。

 第79回は「セマンティックWeb、メタデータ、オントロジー」をテーマにデータベースシステム研究会と合同で開催し、14件の発表(うち2件は招待講演)があった。第80回は「Webからの知識発見と自然言語処理」をテーマに自然言語処理研究会と合同で開催し、19件の発表があった。この発表件数は、平成17年度のFI研では最多であり、Webを知識源とした情報活用に関するトピックスへの注目の高さが伺える。第81回は「セマンティックWebとディジタル図書館」をテーマに、デジタル図書館ワークショップと共同で開催し、7件の発表があった。第82回は「デジタルアーカイブの活用(応用)」をテーマに、デジタルドキュメント研究会と合同で開催し、12件の発表があった。

 いずれの回のテーマも、近年注目されているトピックスを含み、多くの発表・参加者を集めることができた。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 日本学術会議他と共催で、2006年情報学シンポジウムを開催した。今回のシンポジウムテーマは「情報学の新しい潮流」で、基調講演2件、招待講演6件、パネルディスカッション1件からなるプログラムを構成した。シンポジウムでは、このプログラムに沿って、様々な分野の第一線の研究者から情報学研究に対する期待や情報学研究の最新のトピックに関する紹介についての講演を頂いた。本年度は、予稿集の印刷を行わないなど、事務処理を簡素化することなどにより、会費を無料としたこともあり、約130名の参加者を得ることができた。一方、本年度は日本学術会議の改組にともない、準備期間が十分にとれなかったこともあり、一般講演を取りやめにするなど、例年とは異なる形での開催となった。結果として、例年とややトピックの傾向が違うこともあり、従来の情報学シンポジウムの参加者とは違う参加者が多かった。この辺りも含め、次年度以降の情報学シンポジウムとの関わり方を検討する必要があると考えている。

3.研究会論文誌の活動報告

 DBS研および電子情報通信学会データ工学研究専門委員会と共同で刊行している研究会論文誌「データベース(TOD)」については、第26-29号を予定通り刊行した。各号ともコンスタントに十数件(14~18件)の一般論文投稿(シンポジウム連係以外の投稿)があり、この分野の主要な論文投稿先の一つとして認知されてきたと判断できる。

4.総 括 (研究会活動の全般的な視点からの総括)

 本研究会の基調テーマは、情報とその利用に関する基礎理論(情報の特性解析・情報/ユーザのモデリング・情報組織化等)であるが、近年は、Web情報処理やコンテンツ・知識管理など、適用分野が大きく拡大してきている。そのため、研究対象が関連し、異なる技術的あるいはシステム的指向を持つ他の研究会と、研究発表会や研究会論文誌などを通じて連携を深めるとともに、情報学シンポジウムにおいて、情報学の利用側の分野の研究者・開発者との交流の場を設ける形で活動してきた。他研究との連携については相補的な効果が期待できるので、引き続き強化を図っていく予定であるが、情報学シンポジウムについては、主要な共催団体である学術会議の要請などを考慮しながら、新しい展開を考えていきたいと考えている。

5.その他

 情報学シンポジウムに関しては、主要な共催団体である学術会議との関係から、運営体制の見直しが必要な状況になっている。本シンポジウムは、1984年以来、研究・開発者と利用者が交流し、情報・知識の利用に関するアイディアや知見を交換する場の提供を目的に、毎年開催してきたものである。情報学基礎研究会としては、本年度を検討期間と考え、情報学シンポジウムに積極的に参加することを継続するか、この趣旨を汲む新たなシンポジウムの開催を行うかについて検討を行っていきたいと考えている。

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◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会

[主査:小池 淳、幹事:内藤 整、永吉 功、坂東幸浩]

1.定例の研究会活動報告

 第49回は7月7日~8日に早稲田大学理工学部にて開催し、電子情報通信学会モバイルマルチメディア研究会(MoMuC)との共催で行われた。モバイルのためのマルチメディア処理及び符号化技術として、モバイルコンテンツ流通技術(QoS制御方式、メタデータ生成等)、コンテンツセキュリティ(情報秘匿、電子透かし等)、モバイルメディア処理、H.264/AVC符号化処理方式などについて研究報告があり活発な議論が行われた。特別講演として、モバイルコンテンツサービスの可能性、モバイルコンテンツの市場構造に関する発表があり、多くの質疑応答があった。
第50回は10月6日に九州大学にて開催し、7件の発表があった。H.264/AVC符号化処理における符号化モード選択の効率化、H.264/AVCベースの任意形状DCT方式、超高精細映像の符号化方式、多視点符号化方式に関する研究報告があり活発な議論が行われた。特別講演として、弾性マッチングによるパターン認識技術の動向、VCEGにおける画像評価方式の動向にに冠する発表があり多くの質疑応答があった。
第51回は12月12~13日に、北海道大学と名古屋大学にて開催し、20件の発表があった。電子情報通信学会画像工学研究会、通信方式研究会、映像情報メディア学会放送技術研究会との共催で、北陸先端大、岡山大、熊本大などの各大学を衛星回線で接続して行われた。画像符号化方式、画像解析/認識技術などの分野から幅広い発表があり、MPEG-2からH.264へのトランスコード方式、IP放送のための放送コンテンツ配信技術などの発表が興味を引いた。
第52回は3月3日に沖縄セルラー電話株式会社にて開催し、7件の発表があった。画像検索のためのユーザインタフェース、類似画像検索、JPEG2000のフリッカ低減手法、JPEG2000を用いた階層型秘密分散処理方式、H.264/AVCの符号化モード選択手法などの研究報告があり活発な議論が行われた。特別講演として、平成18年4月1日よりサービス開始となるワンセグ放送に関する技術解説、4Kサイズの超高精細映像コンテンツの伝送技術の発表があり、多くの質疑応答があった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 ・画像符号化シンポジウム(PCSJ)、映像メディア処理シンポジウム(IMPS)
当研究会の取り扱う分野に関連が深い「画像符号化シンポジウム(Picture Coding Symposium)および映像処理シンポジウム(Intelligent Media Processing Symposium)」へ共催した。2005年の11月11日~13日の3日間、浜名湖ロイヤルホテルにて開催され、約200名の参加があった。画像符号化や次世代映像処理について、約120件弱の発表が行われ、特別講演や「映像符号化20年と今後への期待」と題するナイトセッションも行われた。

3.総括

 当研究会はマルチメディア情報の符号化方式、検索技術、流通に関する要素技術やシステム技術を取り扱っている。前年度に引き続いてH.264/AVCやJPEG2000などをベースとした符号化方式、検索技術、流通システムの発表は継続的に議論されたが、今年度は多視点符号化方式や超高精細画像の符号化方式および伝送技術等の数年先の意識した発表がなされ、現在主流となっている技術の実用化から数年先の産業基盤となりうるコア技術開発まで幅広い分野からの研究発表がなされた。

4.その他

 従来から取り組んでいる国際標準化関連技術に関連した研究発表と共に、今後もより専門性を高めた質の高い研究活動を行う予定である。
また、本年度初の試みであったMoMuC研究会との合同研究会は平成18年度も継続して開催予定であり、これを機に両研究会の連携も深めていきたい。

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◆グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会

[主査:宗森 純、幹事:井上智雄、鵜飼孝典、葛岡英明、爰川知宏]

1.定例の研究会活動報告

  平成17年度は以下の通り、第56-59回の研究発表会を開催しました。

  • 第56回: 発表9件、参加者29人(平成17年5月26日 化学会館)
    教育、情報表示、遠隔共同作業支援、および一般の4セッションを開催
  • 第57回: 発表18件、参加者43人(平成17年9月21-22日 神戸市産業振興センター)
    第124回マルチメディア通信と分散処理研究会と共催し、コミュニティとエンタテインメント、分散システム・プロトコル、グループウェア基盤、グループウェアアプリケーション、ネットワーク品質・ルーティングの5セッションと、Adrian David Cheok 教授(Nanyang Technological University)の招待講演を開催
  • 第58回: 発表34件、参加者59人(平成18年1月26-27日 和歌山県加太温泉)
    第138回データベースシステム研究会、第13回放送コンピューティング研究グループと共催し、コミュニティー支援・コミュニケーション支援、位置情報・ネットビジネス、放送スケジューリング、Webシステム・P2Pシステム、コンテンツ配信・遠隔会議、データベース一般、社会システム・教育支援システムの7セッション、および田邉 忠夫 氏(ケイ・オプティコム)の招待講演を開催
  • 第59回: 発表13件、参加者39人 (平成18年3月23日 国立情報学研究所)
    ユーザ状況・行動・履歴、生活・社会システム、コミュニケーション支援、教育・学習支援の4セッションを開催
2.シンポジウム・国際会議等の報告

  平成17年度は以下の通り、2シンポジウム、1ワークショップ、2国際会議を開催しました。

  • マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2005)シンポジウム:
    発表206件、参加約300人 (平成17年7月6-8日 岩手県花巻温泉)
    平成9年度より共催しているDICOMOの平成17年度の主催研究会は、DPS、GN、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBI の8研究会で、BCC研究グループおよび電子化知的財産・社会基盤研究会が協賛
  • インタラクション2006:
    一般講演13件、インタラクティブ発表81件、ポスター発表47件、参加者574人(平成18年3月2日-3月3日 一橋記念講堂)
    平成9年より共催している「インタラクションシンポジウム」は、HI、UBIと共催
  • グループウェアとネットワークサービスワークショップ2005:
    発表27件、参加者43人 (平成17年11月10-11日 群馬県水上温泉)
    平成16年度に続き、質の高い査読付き論文発表、通常研究会に準ずる一般発表に加えて、通常の研究会には収まりにくい萌芽期の研究や研究提案などに対しても発表・議論の場を提供する第2回目のワークショップを開催した。ワークショップにふさわしい多様な研究発表・討論・意見交換が行われた。発表件数、参加人数共に増加した。
  • The 2005 International Conference on Active Media Technology (AMT2005)
    平成17年5月19日から21日まで、かがわ国際会議場にて開催した。参加者175名。招待2件、口頭発表60件、ポスター28件の発表があり、盛大に 行われた。論文集は IEEE Systems、 Man、 and Cybernetics Society から出版。地元支援等により、会計的には過不足なく実施された。
  • 第1回コラボレーション技術に関する国際会議 (CollabTech2005)
    この国際会議は2日間、シングルトラックで1件当たり20分の発表時間と10分間の質疑時間を与える構成とした。論文は2名の査読者によって査読をおこない、これによって日本以外に韓国、北米、ヨーロッパから質の高い19件の論文を採録することができた。この結果いずれのプレゼンテーションに対しても非常に活発なディスカッションがおこなわれ、今回の会議構成がこうした雰囲気を作り出す要因となったと考えている。また、海外のプログラム委員によって最優秀論文を1件選定し、授賞式を実施したが、こうしたイベントも来年度以降の会議への参加に対する意欲を向上させることに寄与したと考えている。平成18年度は筑波大学(つくば市)において開催予定である。

3.総括

 当研究会は、平成5年度の発足以来、グループウェア技術に関して、理論から応用、情報科学から社会科学、と幅広い学際的研究活動を活発に推進してきました。この間、グループウェアの実用化が急速に進み世の中に定着しましたが、ここ数年の動向を質の面から見ると、当初は企業内の既成組織など目的の明確なグループの協調作業を対象にした研究や応用システムが大部分でしたが、インターネット技術の発展とともに、企業対企業、企業対個人、また個人対個人での作業、あるいは業務にとらわれない人と人とのコミュニケーションや興味を主体とするコミュニティ形成にまで対象が広がってきて おります。
これらの動向を踏まえて、平成13年度より、研究会名称をグループウェアとネットワークサービス研究会へと変更し、ネットワークサービスも対象として、これらの分野での研究の推進役としての活動を行っております。具体的な活動として、4回の研究会、1回のワークショップ、2回の共催シンポジウムの開催に加え、今年度は、国際会議AMT2005の共催およびCollabTech2005の開催を実施しました。

4.その他
  • 平成18年度は国際的な活動への貢献として、国際会議CollabTech2006の開催を予定しています。
  • 研究会関連メンバへのサービスとしては、平成13年4月から毎月メーリングリストによるニュースレターの発行を継続しており、現在約350名がメーリングリストに登録されています。

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◆分散システム/インターネット運用技術(DSM)研究会

[主査:藤村直美、幹事:坂下 秀、樋地正浩、渡辺健次]

1.定例の研究会活動報告

 第37~40回の研究発表会を開催した。

  • 第37回 5月12日(木)~13日(金) 伊勢観光文化会館
  • 第38回 8月5日(金) 一橋大学
  • 第39回 10月14日(金) 徳島大学
  • 第40回 3月29日(水) 熊本大学

 発表件数は、第37回が17編、第38回が12編、第39回が12編、第40回が25編、合計で66編、参加者は各回とも概ね50名を越え、いずれも盛会となっている。

 第37回は電子情報通信学会のテレコミュニケーションマネジメント(TM)研究会との共催であり、オープンソースソフトウェアに関連した特別講演2件、ネットワーク管理に関する特別講演をはじめとして、電子メール、セキュリティなど、幅広いテーマで研究発表と討議が行われた。第38、39、40回の研究会でもネットワーク管理、センター運営、セキュリティ、教育関連など幅広い分野の討議が行われた。中でも第40回研究会は大変投稿論文が多く、パラレルセッションにした。また参加者も80名近く、熱心に討議がなされ、大盛況であった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

分散システム/インターネット運用技術シンポジウム2005
日程: 12月1日(木)~2日(金)
会場: 武蔵大学8号館50周年記念ホール
参加人数: 50名
協力: 武蔵大学
後援: 東京地域アカデミックネットワーク協会(A-TRAIN)
プログラム委員長:今泉貴史(千葉大学)
実行委員会委員長:小野成志(武蔵大学)

 今回のシンポジウムは「ユーザからみたネットワークサービス」を全体テーマとし、ユーザが要求するサービスを如何に提供していくかに注目し、招待講
演2件、一般講演10件、パネルディスカッション1件で構成した。

 招待講演は、近年急速に普及しているiPodに関して、アップルコンピュータ社の竹林賢氏、寺田和人氏の両氏にご講演いただき、大変好評であった。

 パネルディスカッションでは「使いたくなるネットワークサービス」というテーマで、安東孝二氏(東京大学)をコーディネータとし、4名のパネリストによる小講演、ディスカッションを行った。

 一般講演では、教育用計算機システムの構築法、VLANやIPv6でのセキュリティに関する話題、分散コンピューティング環境の構築、ネットワークやサーバ群の運用管理などに関して、2日間を通じて活発な議論が行われた。

3.総括

 上記の研究会、シンポジウムに加えて、7月6日(水)~8日(金)に花巻南温泉ホテル志戸平(岩手県)でマルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO)シンポジウムを共催した。このシンポジウムでも本研究会に関連したテーマで9件の発表が行われた。

また、前年度に引き続いて、本研究会が中心となり、『再考 分散システム/
インターネットの運用・管理』をテーマとする論文誌特集号を企画し、論文募
集を行った。これまででもっとも多い37編の投稿があり、24名からなる特集号
編集委員会で審査した結果、最終的に17編を採録とした。来年度も引続き論文
誌特集号の発刊を計画している。

4.その他

 研究会の会員数は安定して増加している。また研究会の参加者も概ね50名を上回り安定している。しかし、シンポジウムでは当初の予定数には及ばず50名となった。例年、東京近郊で開催する研究会やシンポジウムでは参加者が少ないようなので、平成18年度のシンポジウムは地方(佐世保市のハウステンボス)での開催を計画している。

 情報処理学会の学生会員を増やすために何ができるかもさらに検討していきたい。また研究会場でネットワークリーチャビリティが確保されていると快適であり、今後もできるだけこの環境を実現していきたい。

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◆デジタル・ドキュメント(DD)研究会

[主査:大野邦夫、幹事:今村 誠、鬼塚 真、菅沼 明、根岸寛明]

1.定例の研究会活動報告

 第50-54回の研究発表会を開催した。
投稿数の総和は 32 件であり、主な発表内容の内訳は以下のとおりである。
・XML 関連技術 7件  ・メディア応用 6件
・検索技術 6件   ・サービス統合技術 4件
・コミュニケーション支援 4件  ・ドキュメント管理 2件
昨年度と同様に XML の検索処理や変換処理に関する技術発表が 7件と最も多く、大半はプロダクトレベルに近い技術レベルであった。メディアの検索技術に関する発表も多く、博物館・美術館情報、風景写真、ミュージアム資料、条例・論文・特許のアーカイブなどの発表があった。ドキュメントの枠を超えて、広くメディアの個々の応用に特化した研究が進んできていることが伺える。
また今年新たに目だったものとして、サービスやドキュメントの統合・複合化技術の発表が 4件あり、Webサービスによるサービス統合、オントロジによる横断的な検索、統合のためのコンポーネント技術などの発表があった。基本的なサービスが一通り確立してきた今、サービスの統合が注目されていて、この流れは今後も続くものと考えられる。重要な発表として、本研究会の10年の全発表の傾向を分析した発表が2件あり、これまでのドキュメント分野に関する動向を整理したという点で非常に貴重な発表であったと考える。

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • デジタル・ドキュメント・シンポジウム
    「ユビキタス社会におけるデジタルドキュメントの役割と展望」

 デジタルドキュメント研究会発足10年目の節目ということで、10年の歴史を振り返りながら、「ユビキタス社会におけるデジタルドキュメントの役割と展望」と題し10年後の展望を試みた。論文集には10年間の研究報告をCD-ROMに収録して付録した。チュートリアルではXMLの最新動向を紹介し、基調講演では、SNSとブログを取り上げ、生活へのデジタルドキュメントの浸透の最新状況が示され、大変興味深いものであったと思う。

3.総括

 セキュリティが重要になり、また SOX 法などの登場に伴い、情報管理・ドキュメント管理はますます重要な分野になると考えられる。研究分野としてはこれまでの基盤技術の蓄積を元に、これらの技術をどのように新たな応用に適用するかに研究的な発展が期待される。また、今年度の発表で急速に伸びてきているビジネス向けのサービス統合技術や、一般大衆が対象である SNS・ブログなどの分野の更なる発展に期待したい。
本研究会では、参加者が積極的に質疑をされる文化が浸透していて、この文化は今後も継続していきたい。また、研究会としては対象分野が広がりすぎてしまい、特定の技術に関して深い議論がしにくくなりつつあると思われる。各発表会ごとにある程度テーマを絞り、今後も更に実りのある議論ができるよう運営を進める。

4.その他

 今後は 平成16年度より、企業での実用システムに関する技術発表/交流を促進するという目的で実施している研究会推薦論文を継続して実施していく予定である。毎回の研究会において、研究会討議内容の発表者へのフィードバックを図ることにより、研究会発表の質の向上と論文化を積極的にバックアップしていく。

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◆モバイルコンピューティングとワイヤレス通信(MBL)研究会

[主査:渡辺 尚、幹事:石原 進、太田 賢、河口信夫、藤野信次、横田英俊]

1.定例の研究会活動報告

第33-36回の研究発表会を開催した。

  • 第33回研究会 5月25、26日 情報処理学会会議室 
    共催:電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信研究会(MoMuC)
  • 第34回研究会 9月15日、16日 武蔵工業大学
  • 第35回研究会 11月17日、18日 香川大学 
    共催:ITS研究会、BCC研究グループ
  • 第36回研究会 2月16、17日 はこだて未来大学
    共催:UBI研究会、ヒューマンインタフェース学会ユビキタスインタフェース&アプリケーション専門研究会(SIGUBI)、電子情報通信学会実空間指向ユビキタスネットワーク時限研究会(URON)、同ユビキタスコンピューティング時限研究専門委員会(UBIC)
本年度の定例研究会の発表件数は70件であり、モバイルコンピューティングの研究が引き続き活発に行われていることを示している。特に第36回研究会では、MBL研究会から34件、全体でも71件の発表があり、大変盛況なものとなった。発表の内容は、アドホックネットワーク(経路制御、電力制御等)、センサーネットワークに関する研究が増加傾向にあり、よりユビキタス通信への関心が高まっている。一方、セキュリティ、QoS、マルチキャスト技術や携帯端末を想定したアプリケーション、プラットフォームなどの要素技術に関する発表も行われており、研究テーマの広がりを見せている。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2005)シンポジウム
    2005年 7月6~8日 ホテル志戸平(岩手県花巻温泉)
    共催:DPS、 GN、DSM、CSEC、ITS、 QAI、UBIの各研究会
    協賛:BCC研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会
    本シンポジウムは、昨年同様8つの研究会の主催の他、1研究グループ、1研究会の協賛による大規模な開催となった。今年は318名の参加者が集まり、1名の招待講演と202(うちデモ発表6件)件の研究発表が6パラレルセッションにて行なわれ、それぞれの分野の研究者の間で活発な議論が行なわれた。MBL研究会からは55件の発表があり、13セッションが構成されるなど大変盛況となった。またこのうち推薦論文が7件選出されるなど、発表の質も高いものとなった。
  • 国際会議 International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking (ICMU2005)
    2005年4月13~15日 大阪大学コンベンションセンター(大阪吹田市)
    主催:MBL研究会、BCC研究グループ
    協賛:ITS研究会、UBI研究会
    当研究会主催の第2回の国際会議として本会議を開催した。17カ国から51件の論文投稿(うち国外からは37件)があり、21件の質の高い論文を採択した(採択率41%)。会議の出席者は、国外からが10名とやや少なかったため、今後は会議の更なる広報活動に努める必要があると考えられる。会議は一件あたり発表時間30分のシングルトラックで行われたテクニカルセッションに加え、著名な研究者らによるパネルディスカッションと2件の招待講演が行われ、活発な討論および意見交換が行われた。本会議発表論文から選抜した論文による論文誌特集号の企画も行った。

3.総括

 平成17年度は、MBL運営委員会の活動の元、4回の定例研究会、シンポジウムの他、国際会議を開催し、モバイルコンピューティング技術の発展に寄与するとともに、研究者相互の交流ならびに大学と産業界の連携のための意見交換の場を積極的に提供することができた。今後とも、国際会議の海外開催等により、国内のみならず外国の研究者との交流をますます深め、本研究会をより発展・充実させたい。

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◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会

[主査:村山優子、幹事:菊池浩明、寺田真敏、松浦幹太]                      

1.定例の研究会活動報告

平成16年度は第29回~第32回の研究発表会を開催し、発表件数も計145件にのぼった。

 第29回 平成16年5月19日 / 名古屋大学情報連携基盤センター(名古屋市)11件
第30回 平成17年07月21日~22日 / 岩手県立大学(岩手県)67件
第31回 平成17年12月09日 / 中央大学 後楽園キャンパス(文京区)12件
第32回 平成18年03月16日~17日 / 佐賀大学(佐賀市)55件

 このうち、第30回の研究発表会では、セキュリティ分野での学会間の交流を目的とした合同研究発表会を、電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC)、技術と社会・倫理研究会 (SITE)、情報通信システムセキュリティ時限研究会 (ICSS)と共に、また、第32回の研究発表会では、研究会間の交流を目的とした合同研究発表会を「マルチメディア通信と分散処理研究会」と共に開催した。いずれの合同研究発表会も、セキュリティの研究視野ならびに交流を深める上でも有意義であった。平成17年度の発表内容も、電子社会、電子透かし、ネットワークセキュリティ、暗号、セキュリティ評価など多岐に渡っているが、世相を反映してか、スパイウェア、フィッシング対策に関する研究テーマも取り上げられはじめた。

 第29回の研究発表会においては、1件の招待講演を実施した。
・商用IDSの最前線-IDSからIPSへの移行を支える不正侵入検知技術-
インターネットセキュリティシステムズ
高橋正和

 第32回の研究発表会においては、1件の招待講演を実施した。
・サイバー犯罪・サイバーテロの現状と対策
警察庁情報通信局情報技術解析課サイバーテロ対策技術室長
羽室英太郎

2.シンポジウム・国際会議等の報告

○20th IFIP International Information Security Conference
5月30日~6月1日の3日間、千葉市の幕張メッセでIFIP(International Federation for Information Processing)のTC(Technical Committee)11主催のセキュリティに関する国際学会第20回 International Conference on Information Security(略称SEC2005)を開催した。この国際学会はIEEEが主催するSymposium on Security and Privacyと並んで、セキュリティ一般に関する国際会議としてよく知られている。会議への参加者は155名で、日本、米国、英国、シンガポール、中国など計26カ国からの参加があった。今回の会議は20回記念ということがあり、20回記念講演として、南アフリカのProf. R. Bothaが、発表論文件数や内容の推移の調査結果を報告し、キーノートアドレスとして、Dr. Carl Landwehrが“The Future of Cyber security: Working Backward、Thinking Forward”と題して40分ほど講演を行った。

○コンピュータセキュリティシンポジウム2005 (CSS2005)
道後温泉 メルパルク松山において10月26日~28日にかけ開催した。発表論文数121件、参加者255名となり、3パラレル、28セッションの盛況なシンポジウムとなった。CSS2005の発表傾向としては、プライバシ保護、セキュリティ評価・監査といった政策に対する社会ニーズを敏感に反映した研究発表が急増したことが特徴的であった。プライバシ保護については2005年5月の個人情報保護法全面施行やISMS国際規格(ISO/IEC 27001)発行を目前に控え、個人情報・プライバシ保護の技術的ニーズが高まっており、増加傾向にあった発表件数が今年はさらに増加して3セッションとなった。セキュリティ評価・監査についても、政府調達基準における義務化傾向や暗号モジュール評価基準のIS化を前に更にニーズが高まっており、昨年初めて設けられたセッションにも関わらず、今年は3セッションにまで増加した。このように、CSSはセキュリティに関する社会ニーズを反映した研究をタイムリーに発表するため のシンポジウムとして定着してきたとの感触を十分に得ることができた。

 招待講演は場所を愛媛文教会館に移し、例年とスタイルを変えてパネルディスカッション形式で「インシデント形態と変遷とその対応について」と題し、 下記の講演者による発表と質疑という形で行った。

  • 防衛庁 岡谷貢
    インシデントの組織対応現場における行動要素と判断事項の関係をインシデント形態の変遷に沿った紹介
  • マイクロソフト 奥天陽司
    ボットネットの現状ならびにそのインシデントの状況に関する事例を紹介
  • ラック 村上晃
    昨今のインシデントの変遷に伴い、組織内の体制など、強化体制の変遷について実例として紹介
  • 総務省 高村信
    政府向け安全基準の大枠と、インフラ向け基準、情報セキュリティ基本戦略やセキュリティ技術開発戦略など、全体的な取り組みを紹介

○マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2005)シンポジウム
7月6日~8日にかけ、花巻南温泉において開催した。DICOMOは、情報処理学会のCSEC研究会を含む多数の研究会が協賛しているシンポジウムであり、ネットワークからセキュリティまで幅広い研究分野をカバーしている。このため、セキュリティについての発表テーマも、セキュリティ管理、セキュアシステムとその実現手段、認証ならびにプライバシ保護と多岐に渡っている。一般講演204件の盛大なシンポジウムとなった。

○論文誌 「多様な社会的責任を担うコンピュータセキュリティ技術」特集
本特集では、安心して生活できる電子社会を支えるコンピュータセキュリティ技術の果たすべき社会的責任(ソーシャル・リスポンシビリティ)を念頭においた理論、方法論ならびに、実際の応用システムに関する研究論文を一括掲載することを目的として企画した。査読の結果、暗号の基礎理論から実践的な侵入検出まで、幅広いテーマの論文の中から29件を採録とした。

○論文誌 「ユビキタス社会を支えるコンピュータセキュリティ技術」特集
本特集号は、2006年8月の発行を予定しており、現在、特集号編集委員会により編集作業を進めている。本特集号においても方法論だけではなく、実システムの評価論文も数多く採録することにより、コンピュータセキュリティ技術の新たな側面を読者に伝えていきたいと考えている。

3.総括

 研究発表会4回のうち2回を合同研究会形式とし、また、SEC2005国際会議を開催するなど、研究会発足8年目も、学会ならびに研究会間の交流に力を入れ、セキュリティ技術の研究の広がりと深みを増すための場の提供に注力した。今後共、時代のニーズに答えるべく、各方面の研究者の意見交流の場の提供、研究の活性化の支援に努めていく。

4.その他

 平成18年度は、研究発表会4回(うち地方開催2回)、平成18年10月25日~27日にかけてCSS2006(京都市)を開催する予定である。なお、第34回研究発表会では情報セキュリティ研究会 (ISEC)、技術と社会・倫理研究会 (SITE)、情報通信システムセキュリティ時限研究会 (ICSS)との合同開催、第36回ではマルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)との合同開催を企画している。
また、2007年8月発行をめざした特集号編集委員会の立ち上げ、マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2006) シンポジウム、情報セキュリティ研究会(ISEC)との共催による国際会議 IWSEC2006 (1st International Workshop on Security)(平成18年10月23日~24日、京都市)開催向け準備を進めている。
今後共、会員の方々には積極的な発表、論文投稿と参加をお願いしたい。

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◆高度交通システム(ITS)研究会

[主査:小花貞夫、幹事:梅津高朗、久保田浩司、児島史秀、小西達裕]

1.定例の研究会活動報告

 平成17年度は、次の通り第21-24回の研究発表会を開催した。昨年度を上回る66件の 発表があり、内容もITSに関する国内動向から、交通流解析・制御、路車間・車車間通 信方式、車載通信端末、画像解析、ナビゲーション、ヒューマンインタフェース、歩 行者ITS、交通心理学など基礎から応用までの技術について幅広い発表、議論が行われ た。9月研究会は電子情報通信学会ITS研究会、電気学会ITS研究会と、11月研究会は MBL研究会、BCC研究グループとの共催で開催した

  • 第21回 6/17(金) NTTデータ(茅場町) 発表6件
  • 第22回 9/5(月)-6(火) 機械振興会館 発表18件(内招待講演2件) 電子情 報通信学会ITS研究会・電気学会ITS研究会共催
  • 第23回 11/17(木)-18(金) 香川大 発表30件 MBL研究会・BCC研究グループ共催
  • 第24回 3/6(月)-7(火) 愛知県立大 発表12件(内招待講演1件) 
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • ITS産業フォーラム
    平成17年4月15日(金)、YRPにて、「ユビキタスITS」のテーマで開催した。従来学 会として取り組んでいた産業フォーラム/ITSに代わりITS研究会主催で、情報処理学 会非会員を含む多くの一般の研究者に対してITS分野の研究に興味をもってもらうため の啓蒙活動の一環で開催し、40名の参加があり、有効であった。
  • マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2005)シンポジウム
    平成17年7月6日(水)~8日(金)、岩手県・花巻南温泉・ホテル志戸平にて、DPS 研究会・GN研究会・DSM研究会・MBL研究会・CSEC研究会・ITS研究会・QAI研究会・ UBI研究会の共催、BCC研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会の協賛で開催 した。発表198件、デモンストレーション・展示12件があった。複数の研究会に関連す る発表テーマが一同に会した合宿形式で有意義なシンポジウムであった。
  • 高度交通システム(ITS)2006シンポジウム
    平成18年1月27日(金)、日本科学未来館(臨海副都心)にて、「ITSにおける最新メ ディア事情」のテーマで開催した。VICS、インターネットITSのプローブシステム、地 上波ディジタル、モバイル放送の放送、およびWiMAX、IEEE802.11p、iBurstなどのワ イヤレスブロードバンドの動向とITSとの関わりについて7件の講演が行われ、96名の 参加があった。また、ITS研究会優秀論文(5件)の表彰も行われた。

3.総括

 研究発表会4回の内2回を共催とし、また、DICOMO2005シンポジウムにも共催参加するなど、今年度も学会ならびに研究会間の交流に力を入れて取り組んだ。また、ITS産業フォーラム、ITSシンポジウム2006を開催し、ITS関連の研究活動の拡大や潜在的な研究者の発掘などにも取り組んだ。ITSは他の分野・技術との関連性が大きいことから、今後もより広範な意見交換が行える場の提供を行っていきたいと考える。

4.その他

 ITS分野の研究・開発の裾野の拡大や潜在的な研究者の発掘・啓蒙を図るともに、産学官交流の場として、ITS産業フォーラムを位置づけ、ITS分野における行政施策や産業の早期展開に学会として少しでも貢献できるよう今後とも継続して開催していきたいと考えている。

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◆高品質インターネット(QAI)研究会

[主査:相原玲二、幹事:地引昌弘、藤川和利、松原大典]

1.定例の研究会活動報告

 平成17年度は第15-18回の研究発表会を、電子情報通信学 会インターネットアーキテクチャ研究会(IA)およびインターネット技術とその応用 時限研究会(TAI)との共催により開催した。第15回(5月25日、 発表 6件)では、次世代インターネットの基盤技術として期待されるギャランティードネットワー クに関する招待講演を企画した。第16回(7月29日、発表 5件)では、インターネットの性能評価に関する発表が目立った。第17回(10月 28日、発表7件)では、ネットニュースサーバ群のトポロジーがスケールフリー性の性質をもつといった興味深い発表があった。第18回(1月19、20日、発 表 9件)では、日食の模様をインターネット上で配信するプロジェクトに関する発表が行われ、活発な議論が行われた。また、近年着目されている世界規模の分散システムで ある
PlanetLabについての招待講演も企画した。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成17年度は、マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2005)シンポジウム(7月6日-8日)を情報処理学会マルチメ ディア通信と分散処理研究会、グループウェアとネットワークサービス研究会、分散システム/イン ターネット運用技術研究会、モバイルコンピューティングとユビキタス通信研究 会、コンピュータセキュリティ研究会、高度交通システム研究会、ユビキタ スコンピューティングシステム研究会と共催した。また、情報処理学会とIEEE Computer Society共催の国際会議 International Symposium on Applications and the Internet (SAINT)の日本側の実質的な運営を担当しており、今年度は1月23日-27日の間、アメリカ合衆国、フェニックスでSAINT2006を開催した。SAINT2006では、ワークショップも含め、 モバイル・ユビキタス環境を対象としたインフラ基盤技術やネットワークアプリ ケーションに関する発表が目立った。

3.総括

 インターネットの高速化・広帯域化およびトラフィックの多様化に伴い、新たな性能評価手法、ネットワーク管理技術、データ転送技術に関する発表が多く見られた。また、高速インターネットを前提としたアプリケーショ ンの開発・運用事例に関する発表も見受けられ、これらはまさに注目されているテーマであるため、活発な議論がなされた。

4.その他

 平成17年度は、他のインターネット関連の研究会と共催により研 究発表会を行ってきたが、これにより広範囲にわたり専門知識を持った多くの研究者が集い活発な議論が行うことができるため、平成18年度以降もこのような共催体制を継続していく予定である。また、会員数を増やすべく、広く活動内容をアピールできるよう、比較的規模の大きいシンポジウムの開催を検討 している。また、SAINT2007についても、実質的な運営を担当する予定であり、学生の参加費をこれまでより抑えるなど、学生の勧誘に努める。

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◆システム評価(EVA)研究会

[主査:木下俊之 、幹事:清水尚彦、並木美太郎、堀川 隆]

1.定例の研究会活動報告

 第13回の研究発表会(平成17年6月24日、東京、発表件数:6件)を開催し、システム負荷予測、負荷分散、アドホックネットワークなどのシステム評価に関する発表があった。第14回の研究発表会(平成17年8月5日、武雄市文化会館、発表件数:6件)をSWoPP2005の一貫として開催し、SMP、ブレードサーバ、グリッドクラスタの性能評価に関する発表があった。第15回の研究発表会(平成17年11月22日、京都大学、発表件数:6件)を開催し、P2P、Webサーバなどのシステム評価に関する発表があった。第16回の研究発表会(平成18年3月20日、湯布院中央公民館、発表件数:8件)を開催した。IPネットワークやグリッド環境の性能評価に関する発表があった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成17年度は実施なし。

3.総括

 システム評価研究会は性能評価にとどまらず、幅広い多様な観点からのシステム評価を目的としている。H17年度もやはり性能評価に関する発表が多かったが、プライバシー保護を目的としたシステムの評価やソフトウェア設計教育といった、性能評価以外のものもいくつか見られた。今後、これらを増やしていきたい。

4.その他

 登録会員数が少ないので、今後とも会員獲得に努め、より活性化を図りたい。

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◆ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会

[主査:中島秀之、幹事:斉藤 健、高汐一紀、戸田真志、戸辺義人]

1.定例の研究会活動報告

 平成17年度は、第8-10回の研究発表会を開催した。開催時期、開催地は次の通り。

  • 第8回 6月9日~10日 韓国・済州島
    電子情報通信学会実空間指向ユビキタスネットワーク(URON)研究会、同学会UBIC時限研究専門委員会、ユビキタスネットワーキングフォーラム、Korean Institute of Communication Science(KICS)、SIG-Ubiquitous Networking in KICS、Center of Excellence in Ubiquitous Computing & Network(CUCN)、Ubiquitous IT Korea Forum(u-Korea Forum)、Jeju University、Jeju Knowledge Industry Promotion Agencyとの共催。
  • 第9回 11月1日~2日 静岡大学
    映像情報メディア学会コンシューマエレクトロニクス研究会、電子情報通信学会ユビキタスコンピューティング(UBIC)時限研究専門委員会との共催。
  • 第10回 2月16日~17日 はこだて未来大学
    情報処理学会モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会、電子情報通信学会実空間指向ユビキタスネットワーク(URON)研究会、同学会UBIC時限研究専門委員会との共催。

 特に、第8回研究会は、新しい試みとして、UBI研究会としては初の日韓合同ワークショップ「1st Korea-Japan Joint Workshop on Ubiquitous Computing and Networking Systems(ubiCNS 2005)として開催された。形式はあくまでも研究会スタイルであり、口頭での発表とディスカッションに主眼を置いたものであったが、日韓両サイドからともに、情報の共有という視点から有意義な会議であったとの評価を頂いた。 

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成17年度は、UbiComp 2005が日本で開催されたこともあり、UBI研究会独立運営の形でのシンポジウム等の開催はなかった。平成17年7月6日~8日には、共催の形で、花巻南温泉ホテル志戸平にて、DICOMO 2003(マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム)を開催した。

3.総括

 平成17年度は、3回の研究会で、合計184件(内、ポスタ59件)の発表があった。今年度の特徴としては、実フィールドでの実証・評価実験や各種フィールドワークの実例紹介に関する発表が増えたことが挙げられる。ユビキタスコンピューティングに関連する各技術が着実に成熟しつつあることを示すよい例であろう。また、本研究会運営のコントリビュータの多くが、UCS等でのこれまでの経験を生かし、UbiComp 2005の運営に参加、過去最大規模の参加者を集め、成功に導いたことも特筆に値する。

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◇放送コンピューティング(BCC)研究グループ

[主査:水野忠則、幹事:阿倍博信、岡田謙一、塚本昌彦、寺田 努、長谷川亨]

1.定例の研究会活動報告

 平成17年度は、第11-13回の研究発表会を開催した。第11回は単独、第12回はITS、MBL研究会との共同開催、第13回はDBS、GN研究会との共同開催という形で実施した。発表内容は、放送型情報配信、データ放送、通信放送融合方式をはじめとした放送コンピューティングに関する各種要素技術や放送コンピューティングを応用した各種アプリケーションなど多岐にわたっている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • Second International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking(ICMU2005)
    (2005/4/13-15 大阪大学 コンベンションセンター)
    研究グループとしてMBL研究会と上記小規模国際会議を共催した.このうち1セッション(Information Delivery)の運営を担当し、合計で2件の発表があった。
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2005)シンポジウム
    (2005/7/6-8 花巻南温泉 ホテル志戸平)
    研究グループとして上記シンポジウムに協賛した。このうち1セッション(インターネット放送)の運営を担当し、合計で4件の発表があった。

3.総括

 今後、本研究グループの関連するインターネット上での放送サービスやワンセグ等のモバイル端末向けデジタル放送サービスの実用化が進んでおり、本研究グループに関連するテーマは大きく広がっていくことが予想されている。平成18年度は、平成17年度に継続して研究会を開催するとともに、有識者による招待講演を中心とした放送コンピューティング(BCC)シンポジウムの開催を予定してる。また、関連研究会との連携によるシンポジウムの協賛や小規模国際会議の共催を予定している。

4.その他

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フロンティア領域


◆自然言語処理(NL)研究会

[主査:島津 明、幹事:内元清貴、白井清昭、森 辰則]

1.定例の研究会活動報告

 第167~172回の研究発表会を開催した。5月の研究会は音声言語情報処理(SLP)研究会と合同で東京工科大学において開催し、合同セッション「対話」 など、計20件の発表と有意義な議論があった。7月の研究会は電子情報通信学会の言語理解とコミュニケーション(NLC)研究専門委員会と合同で宜野湾 市において開催した。重要語抽出・検索・文書分類、言い換え・質問応答、情報抽出・可視化、専門用語、文脈・照応解析、推論・意味、言語の統計モデルなど23件の一般発表があり、有意義な議論が交わされた。9月の研究会は情報学基礎(FI)研究会と合同で横浜国立大学において開催し、言い換えと 翻訳、Web からの知識発見とネット応用、質問応答、検索とキーワード・概念抽出、抽出と解析、辞書など19件の一般発表があり、有意義な質疑応答が 行われた。後半の3回の研究会は単独で開催し、コーパス、分析、文法、解析、言い換え、学習、分類、検索、対話、要約、抽出、機械翻訳、言語と画像、類似性の検出、Web応用、文書処理、質問応答など、言語処理の基礎技術から応用まで幅広く計55件の発表が行われ、活発な討論があった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 FIT2005における共催企画として、電子情報通信学会の異文化コラボレーション時限研究専門委員会および言語理解とコミュニケーション研究専門委員会と共催で9月7日に中央大学のFIT2005第1イベント会場においてFIT2005異文化コラボレーションシンポジウムを開催した。

3.総括

 平成17年度も6回の研究会を開催した。発表申込、参加申込とも順調で、117 件の発表と351名の参加者があった。開催の一部を他学会(電子情報通信学会NLC研究会)および他研究会(SLPとFI)と協賛し、隔月で関東方面とその他の地域を交代で開催地とすることにより、自然言語処理に関する多様な研究発表と討論が活発に行われ、当研究会は自然言語処理に関する代表的な研究発表の場として機能している。

4.その他

 今後も、年6回の関東およびその他地域での開催、他研究会との合同開催を進める予定である。

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◆知能と複雑系(ICS)研究会

[主査:山田誠二、幹事:伊藤孝行、今井倫太、川村秀憲、栗原 聡]

1.定例の研究会活動報告

 第140~143回の研究発表会を開催した。人工知能学会「知識ベースシステム」研究会、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会、JAWS2005(合同エージェントワークショップ&シンポジウム)との共催により、先端的な研究領域をテーマとした研究会をオーガナイズした。

  • 第140回は、特集テーマ「ネットワークデータマイニング」「センサーデータマイニング」で、平成17年8月1日~2日に、ホテルメゾン軽井沢にて、電子情報通信学会「人工知能と知識処理研究会 (SIG-AI)」との共催で開催された。8件の発表があり、スケールフリーネットワーク、センサーネットワークに関する研究発表と活発な議論が行われた。
  • 第141回は、JAWS2005の特別セッションとして、人工知能学会「知識ベースシステム」研究会との共催で、平成17年11月7日~9日に箱根ホテル小涌園にて開催された。特集テーマは、「ヒューマンエージェントインタラクション:HAI」であり、8件の発表が行われた。各発表は、人とエージェント、ロボットとのインタラクションやインタフェースに関する質の高いものであった。
  • 第142回は、特集テーマ「社会システムにおける知能」として、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会との共催で、平成18年1月12日~13日に、ヒルトン小樽にて開催された。18件の発表があり、社会システムに関する研究発表と活発な議論が行われた。
  • 第143回は、「マルチエージェントとメカニズムデザイン」というテーマで、平成18年3月28日に、学術総合センター(東京)にて、国際ワークショップPacific Rim Internaitonal Workshop on Electronic Commerce(PRIWEC2006)との同時開催で行われた。7件の発表があり、オークション、マルチエージェントシステムを中心に、活発な発表・議論が行われた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成17年度は、実施なし。

3.総括

 全ての回で特集を組んだ結果、発表者および参加者は予想以上に多かった。また、質の高い研究発表に加え、非常に活発な討論がなされ、研究の活性化が図れた。

4.その他

 次年度も、4回の研究会開催を予定している。関連する他学会の研究会との連携も強めて、研究分野にとらわれない幅広いコミュニティ形成を目指し、より先進的な分野を開拓していく予定である。

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◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会

[主査:谷口倫一郎、幹事:斎藤英雄、杉本晃宏、山澤一誠、和田俊和]

1.定例の研究会活動報告

 第149-153回の研究発表会を開催した。本年度は、以下のテーマ別オーガナイズドセッションを企画し、毎回100名前後の聴講者があり、熱心な討論が行われた。

  • 2005年9月:Computer Vision と Human Computer Interaction
  • 2005年11月:安心・安全のためのCV
  • 2006年1月:ユビキタスメディアによるセンサーネットワーク-インフラとしてのCV-
  • 2006年3月:CVのためのパターン認識・学習理論の新展開

 本年度も、通常の研究発表に加えて、特定の分野・応用に関してサーベイを行うサーベイシリーズを継続的に実施した。また、若手研究者の育成を目的に、前年度に学部を卒業し修士課程に進学した学生を対象とした「卒論セッション」及び、前年度に博士の学位を取得した若手研究者を対象とした「D論セッション」を2005年5月に開催した。卒論セッションの発表数は23件、D論セッションの発表数は9件であった。なお、卒論セッションにおいては、優秀な発表に対して最優秀賞ならびに優秀賞を授与した(受賞者は以下の通り)。

  • 最優秀賞 (1名)
    ・直線的手ぶれ画像復元のためのPSFパラメータ推定手法
    ○米司健一、田中正行、奥富正敏(東京工業大学)
  • 優秀賞 (2名)
    ・表情譜: 顔パーツ間のタイミング構造の記述とその自動獲得
    ○西山正紘、川嶋宏彰、松山隆司(京都大学)
    ・ステレオ画像を用いた画像の品質と奥行き推定精度の同時改善
    ○池田薫、清水雅夫、奥富正敏(東京工業大学)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第8回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2005)を開催した。MIRU2005は、特別講演4件、一般講演212件、デモセッション論文23件の発表があり、参加者数424名であった。特に今回は、国際化を意識し、Microsoft Research Asia(MSRA)のDr.Xiaoou Tangに特別講演をお願いした。なお、優秀論文の表彰は以下の通りである。

  • MIRU長尾賞(最優秀論文賞)
    ・周波数領域最適化法によるMAP型超解像処理の高速化
    田中正行、奥富正敏(東工大)
  • 優秀論文賞
    ・マーカーの軌跡を用いた非同期カメラの幾何学的・時間的キャリブレーション
    野口真身、加藤丈和(和歌山大)
    ・拡散光源を用いた物体の見えの標本化
    佐藤いまり(NII)、岡部孝弘、佐藤洋一、池内克史(東大)
    ・顔検出に適したJoint Haar-like特徴の提案
    三田雄志、金子敏充、堀修(東芝)
  • インタラクティブセッション優秀賞
    ・下半身タスクモデルを用いた舞踊動作の認識と生成 -師範とヒューマノイドロボットによる会津磐梯山踊りの共演-
    中岡慎一郎(東大)、中澤篤志(阪大)、金広文男、金子健二、森澤光晴 (産総研)、池内克史(東大)
    ・情報付加による認識率100%の実現 -人にも機械にも理解可能な情報伝達のために-
    岩村雅一(阪府大)、内田誠一(九大)、大町真一郎(東北大)、黄瀬浩一(阪府大)
    ・空間コード化法を用いた未校正ステレオシステムによる密な3次元形状復元
    川崎洋(埼玉大)、古川亮(広島市立大)、大澤裕(埼玉大)
    ・アイモデルを用いた視線推定のための黒目追跡
    北川洋介、加藤丈和、呉海元、和田俊和(和歌山大)
  • デモセッション賞
    ・LEDアレイ回転型3Dディスプレイにおける画像コンテンツ作成のためのソフトウェア
    河崎正樹、渡辺弥寿夫、山口拓見、坂本康正(金沢工大)
3.総 括

 研究会発表に対するコメント制度、卒論セッション/D論セッション、研究会推薦論文制度など、研究者育成の活動を重視してきた。また、研究会論文誌は、本研究会が注力している活動の1つであり、本年度は以下の号を刊行した。

  • 第11号「推薦:博士論文・卒業論文セッション優秀発表」(2005年6月)
  • 第12号「特集:CVのためのパターン認識・学習理論の新展開」(2005年10月)
  • 第13号「特集:ロボットとインタラクション」「特集:高度センシングに基づくCV」(2006年03月)

なお、今回、コンピュータビジョンにおける最高峰の国際会議であるInternational Conference on Computer Visionを2009年に京都で開催することが決定した。開催の準備と共に、日本のコンピュータビジョン界の更なる活性化・国際化(特に若手研究者)を目指し、様々な方策を考えていく必要がある。

4.その他

 次年度も、5回の研究会開催を予定している。2006年5月の第154回研究会では、好評である卒論セッションとD論セッションを企画している。また、次年度のオーガナイズドセッションで予定しているテーマは以下の通りである。

  • 2006年9月:事例ベースメディア解析
  • 2006年11月:アクティブライティングとMR/HCI
  • 2007年1月:動画像解析
  • 2007年3月:人を観る

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◆コンピュータと教育(CE)研究会

[主査:川合 慧、幹事:角田博保、立田ルミ、辰己丈夫、西田知博]

1.定例の研究会活動報告

 第79~83回の研究発表会を、順に千里金蘭大学、獨協大学、大阪学院大学、鹿児島大学、東京学芸大学で開催し発表総数は70であった。この件数は前年よりも10も多い。とくに10月と12月の発表件数が増加しており、後述のシンポジウムも含めて、研究発表活動が年を追って活発化して来ていると言える。研究としては、実際的なeラーニングを目指す研究、教育・学習支援システムや教材コンテンツの研究、教育現場の環境を高度化する研究、教材やシステムに意味論的な視点を持ち込む研究、などが盛んに発表された。また、新学習指導要領の中の高等学校「情報」に関しては、関心の重点が実際の教育実践内容と教科書などの実際的な分析に移ってきており、さらにこれらを意識しながら大学教育を考える傾向も強まっている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成17年8月21日~23日に「情報教育シンポジウム SSS2005」を北海道後志支庁赤井川村ヤマハリゾートキロロで開催した。これは、当研究会が主催するシンポジウムとしては7回目となるが、"情報教育"に関わる三つの立場である教育、研究、教具教材開発にそれぞれ携わる人々が、立場の境界を越えて語りあうという趣旨で開いたものであり、SSS99以来、熱気のこもった合宿型研究発表会となっている。今回も29件の質の高い発表論文を210ページの予稿集として初日に配布し、二泊三日にわたって夜遅くまでの議論が続いた。並列発表を避け、デモンストレーション(10件)の発表の時間を一般発表とは別に確保した。109名に上る参加者があり、内容的にも収支的にも成功を収めた。

3.総括

 平成17年度は、3年前から始まった「初等中等教育における情報教育」への対応がより発展し、実際の教材や教授法研究とともに、より高度な「大学などにおける情報教育」へも目を配る動向を引き継いだ年である。発表された論文は、実用性や先見性の点で従来とは異なった特徴と充実が見られるようになり、これからの発展が期待される。

研究会の登録会員数に比べて発表件数が少なかった状況については、関係者の広報活動などの努力の成果として、二年前よりも22件(44%)も増加させることができた。また、より発展した形での論文として論文誌などに発表する動きを進め、研究会発の論文を数多く世に出す努力も継続して行なっている。

4.その他

 運営委員会委員として研究会運営に主体的に参加・協力する研究者を募った結果、運営委員会への出席、研究会発表の推進、シンポジウム他の活動への積極的な寄与、などが活発となり、研究会としての主体性を確立しつつある。ただし、FITやハンドブックなどの学会全体の活動への対応も必要となってきており、運営委員会のさらなる質的・量的充実をはかってゆく予定である。

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◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会

[主査:相田 満、幹事:鈴木卓治、曽我麻佐子、師 茂樹]

1.定例の研究会活動報告

  第66-69回の研究発表会を開催した。

 (研究の分野・傾向、特に目立った研究・テーマ等を報告) 
資源共有、漢字の動向、画像・絵画の分析、GIS応用、デジタルアーカイヴ、教育などのテーマが複数件行われた。とくに、資源共有・GIS・漢字の動向などについては機関のプロジェクトとしても進められているもので、今後の動向が注目されるものとなっている。また、人文学系の研究者による積極的な発表が目立った。とくに、学融合的見地からは、少数モデルデータを実際に構築していく取り組みだけでなく、実際に大規模データを構築し、それと格闘していく際の問題解決の実践報告も数多く発表され、実務上においても有益な発表が多く見られた。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 人文科学とコンピュータシンポジウム2006
(研究の分野・傾向、特に目立った研究・テーマ等を報告)
デジタルアーカイヴにおける新しい展開を目指して、人文系研究者と情報学者それぞれの立場からの発表が多数行われた。とくに、今年度は人文学研究における知識発見の成果と、そのプロセスについての報告が目立った。なお、近年は他の研究会や領域に所属する人たちからの発表エントリーも目立つようになってきた。その意味で、本シンポジウムは、CHの枠を超えた学際的な情報交換の場として存在感のあるものへとなってきた。

3.総括

人文学研究分野を専門とする主査のもとに、幹事スタッフが一新したこともあってか、人文学研究分野に分類されうる発表も増えてきた。その結果、本研究分野で紹介される内容は、人文学研究の立場からすると、分野の幅広さだけでなく、先鋭的な内容も含む発表も増えてきている。その意味において、本研究会は成熟の段階を迎えてきているとも言えるだろう。

4.その他

 本会成立当初からの目標として、日本全都道府県での開催を実現するというものがあった。その目標も、来年度にいよいよ達成される。
それを記念して、来年度には全都道府県一周記念研究会を開催する。それを機に、会全体を挙げて、これまでの取り組みを総括するとともに、新たな展開を打ち出すこととしたい。

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◆音楽情報科学(MUS)研究会

[主査:堀内靖雄、幹事:菅野由弘、後藤真孝、長嶋洋一、平井重行]

1.定例の研究会活動報告

 

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 

3.総括

 

4.その他

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◆音声言語情報処理(SLP)研究会

[主査:中村 哲、幹事:大淵康成、武田一哉、山田武志]

1.定例の研究会活動報告

 第56~60回の研究会を開催し、合計109件の講演、うち6件の招待講演(プロジェクト紹介を含む)、1件のパネルディスカッションが行われた。

  • 第56回:自然言語処理研究会と合同で開催した。対話に関する合同セッションを企画した。本セッションでは6件の講演がなされ、両研究会の交流を深めることができた。また、14件の一般講演があった。
  • 第57回:函館湯の川温泉で合宿形式の研究会を開催した。音声言語獲得・学習技術に関する特別セッションを企画した。本セッションでは、荒木健治氏(北大)と中島秀之氏(はこだて未来大)による招待講演、及び5件の関連講演がなされ、活発な議論が行われた。また、17件の一般講演があった。
  • 第58回:今回は、特別企画として「音声認識技術の実用化」と題してパネルディスカッションを開催した。パネリストとして、赤堀一郎氏(デンソー)、渡辺隆夫氏(NEC)、河井恒氏(KDDI)、庄境誠氏(旭化成)、畑岡信夫氏(日立)の5名をお招きすると同時に、小林哲則教授(早稲田大)、河原達也教授(京都大)、鹿野清宏教授(奈良先端大)、および中村主査・武田幹事にディスカッサントとして議論に参加していただいき、大変好評であった。5件の一般講演があった。
  • 第59回:音声研究会(電子情報通信学会および日本音響学会)、言語理解とコミュニケーション研究会(電子情報通信学会)との共催で、2日間にわたって音声言語シンポジウムを開催した。SLP提案企画として「共通コーパスを利用した耐雑音技術評価」のスペシャルセッションを開催、庄境誠氏(旭化成)をお招きしての招待講演および1件の口頭発表と9件のポスター発表を行なった。また、李晃伸助教授(名工大)に特別講演をお願いした。この他、共催研究会からの招待講演2件および一般口頭発表19件、ポスター発表16件があった。当日は西日本の雪のため交通機関に乱れが生じていたが、研究会は大きな混乱もなく成功裏に終わった。
  • 第60回:熱海温泉で合宿形式の研究会を開催した。ロボットの音声対話技術に関連して、ロボット技術が注目を集めた愛・地球博のプロデューサ補である石川氏(シンクコミュニケーション社)と同博覧会のロボットプロジェクトのサブリーダである比留川博士(産総研)に博覧会の先端技術と、ロボット技術の役割、音声対話に対する期待について分かりやすい講演をいただいた。また10件の一般講演が行われた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成17年度は実施なし。

3.総括

 本年度も運営委員により専門分野ごとの企画を行ったため、種々の新しい企画が立案され、大変成功裏に終わった。今後も、この体制で新しい企画をさらに生み出して、研究だけでなく、研究会にも新規性を吹き込みたい。
特に、第58回の研究会において、音声認識技術の実用化についてのパネルディスカッションを設けた。例年よりも遙かに多くの参加者があり、一般の発表では難しい内容の報告や、実用化における問題の意見交換が出来た。音声言語処理研究会が、実学としてこの分野に議論の場を提供できたということは非常に重要な意味があると感じている。
また、本年度は、音声対話技術コンソーシアム(ISTC)が、新しくSLP傘下のコンソーシアムとして再発足した。マルチモーダルインタフェース、音声対話技術は、音声言語情報処理の核の技術であり、これらに対する標準的ツール群がコンソーシアムから配布され、研究開発のインフラとして普及することを切に願うものである。
また、雑音下の音声認識評価を目的としたSLPのワーキンググループの活動により、連続数字、自動車内発話の単語を対象とした標準学習データ、評価データ、認識スクリプトなどの配布がなされた。このようなフレームワークは評価の困難な音声認識に極めて重要であると考える。また、7年目を迎えた12月開催の「音声言語シンポジウム」は、多くの講演があり、例年にもましての盛況をみた。

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◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会

[主査:岸上順一、幹事:井出 明、櫻井紀彦、中野 潔]

1.定例の研究会活動報告

 第28-31回の研究発表会を開催した。発表者の専門分野は理工系のみならず、法学系や経済・経営系などのいわゆる"文系"も多い。テーマとしては、コンテンツ管理やその社会科学的分析に加え、プライバシー保護や情報政策全般に関わる発表も行われている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 社会情報学フェア2005に参加。"情報技術と社会制度を考える"という特別セッションを主催した。

3.総括

本研究会は情報処理学会でも特別な地位を占めており、技術と社会制度の境界領域を扱っている。発表者も大学の研究者・学生に加え、企業等の産業界に属している者や弁護士等の実務家も多く講演している。

4.その他

 本研究会では、年に最低一回は他研究会や他学会との共催を積極的に企画し、分野を越えた高次のコラボレーションを、目指している。今後の高度情報化社会の進展を考えたとき、本研究会の役割は一層重要になっていくと思われる。

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◆ゲーム情報学(GI)研究会

[主査:飯田弘之、幹事:伊藤毅志、金子知適、中村貞吾]

1.定例の研究会活動報告

 第14回の研究会は、台湾(台北)にて開催された 10th Computer Olynpiad と 11th Advances in Computer Games Conference(9月6日~9日)の前日(9月5日)に開かれた。発表件数は10件であった。海外での開催であったので、英語での発表を推奨し、発表者は当日全員英語で発表した。その結果、国外の研究者も参加する国際的な会となった。発表内容は、将棋研究3件、パズル研究3件、囲碁研究2件、その他2件と多岐に渡り、国際的な交流を深めることが出来た。第15回の研究会は、3月7日に電気通信大学青山スカイオフィスにて開催された。発表件数は10件であった。発表内容は、囲碁3件、ロボカップ2件、将棋3件、新しいゲーム2件とバリエーションに富んだものだった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第10回ゲームプログラミングワークショップを11月18日から20日まで2泊3日の泊り込みで箱根の仙石原セミナーハウスにて行なった。64名の参加者を集め、25件の一般発表(口頭14件、ポスター11件)と3件の招待講演があり、大盛況であった。このワークショップは、1994年にコンピュータ将棋協会の主催で始まり、当初は隔年で行なわれていた時期もあるが、情報処理学会本研究会が主催となり、最近は毎年開催されるようになっている。この会議は、この分野の研究者にとって、時間に拘束されずゆっくりと情報交換ができる年に1度の貴重な機会となっている。今回は、特に第10回記念ということもあり、海外からJaap van den Herik 氏をお招きし、特別講演をしていただいた。また、招待講演も「ゲームと脳」や「麻雀」という新しい分野の研究の話を聴く事ができ、新しい刺激を受ける大会となった。

3.総括

 3月に行なわれた情報処理学会全国大会では、「ここまで来たコンピュータ将棋」というタイトルの特別イベントが組まれた。昨年は、将棋ソフト「激指」のアマチュア竜王戦での活躍や、日本将棋連盟が「公の場でのプロ棋士のコンピュータとの対戦を禁ずる」というニュースがマスコミを賑わし、コンピュータ将棋ソフトの強さは注目を集めている。本イベントでは、アマチュアトップの清水上氏と将棋ソフト「激指」の公開対局解説、及びパネル討論を行ない、多くの聴衆を集めた。

4.その他

 本研究会は発足後7年が経過し、関係者の発表の機会を与えるものとして十分に定着してきた。上述のコンピュータ将棋の進歩は、本研究会が開発や研究発表や情報交換の場を提供することで多くの寄与をしてきたと自負している。研究発表を見ると、将棋研究だけでなく、囲碁研究やロボカップや新しいゲームやパズルなど更なる広がりを見せている。これらの研究テーマは、これからの情報処理技術にとって重要な貢献を果たすと考えられ、さらなる展開が期待される。

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◆エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会

[主査:星野准一、幹事:関口大陸、馬場哲治、松原 仁]

1.定例の研究会活動報告

 第1~3回の研究発表会を開催した。

  • 第1回 2005年6月4日 東京工業大学 発表14件
  • 第2回 2005年12月17日 東京大学柏キャンパス 発表14件
  • 第3回 2006年3月13日・14日 ATR 発表20件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • EC2005シンポジウム 2005年9月16日~18日
    発表29件、招待講演3件

3.総括

 EC研究会の初年度にあたり、通常研究会とワークショップを実施できる体制を整えることに重点を置いた。発表件数は安定してきており、新しい研究分野に対する興味も高まってきていると考えられる。

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◆バイオ情報学(BIO)研究会

[主査:植村俊亮、幹事:阿久津達也、石井 信、山本雅幸]

1.定例の研究会活動報告

 第1-4回の研究発表会を、順に産業技術総合研究所臨海副都心センター、京都大学バイオインフォマティクスセンター、東京大学医科学研究所、北海道大学高等教育機能開発センターで開催し、発表総数は38であった。第3回研究会は、バイオインフォマティクス学会生物情報ネットワーク研究会との共催である。また、第1回研究会では産総研臨海副都心センター、第2回研究研究会では京大バイオインフォマティクスセンターの見学会も開催された。遺伝子発現解析法、システムバイオロジープラットフォームの開発、創薬インフォマティクス、生物文献マイニングなどの広い分野に関わる情報処理学的アプローチの研究発表が行われ、活発な議論が行われた。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

平成17年度は実施なし

3.総括

 17年4月発足の新しい研究会ではあるが、バイオインフォマティクスの広い分野での情報処理学的アプローチの研究発表が行われ、研究会の今後の発展が期待できる。17年度は北海道で開催し、18年度も沖縄での開催を予定するなど、研究会開催地のバラエティに心掛けている。研究会の開催は、主に担当運営委員により行われ、現地との連携の下で良好な運営がなされている。未だ発表申し込み件数が多過ぎるという状況にはないが、研究会の知名度が上がるにつれて、申し込み件数および登録者増加が期待される。18年度よりトランザクションがスタートするので、研究会での優秀発表をトランザクションに招待する、あるいはトランザクションと連携したシンポジウムを開催するなどの施策を検討する予定である。

4.その他

 18年度は、6月に沖縄先端大、9月に奈良先端大、12月に電気通信大、3月に大阪大学にて開催する予定である。

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◇ネットワーク生態学(NE)研究グループ

[主査:上林憲行、幹事:林 幸雄、藤原義久、小島一浩]

1.定例の研究会活動報告

 

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 

3.総括

 

4.その他

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