[プレスリリース]2011年度情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定式

情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定式

報道関係者各位
プレスリリース

2012年2月28日
一般社団法人 情報処理学会

「情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定式」開催
〜2012年3月6日名古屋工業大学 御器所(ごきそ)キャンパス〜

 

 一般社団法人情報処理学会(会長:古川一夫)は、我が国のコンピュータ技術発達史上の貴重な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品など、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ情報処理技術遺産の保存と活用を図るために、2008年度より情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定制度を設けています。

本年度は、第4回目となり12件の情報処理技術遺産と1件の分散コンピュータ博物館を認定し、史料および施設の所有者をお招きして認定式を行うことになりましたので、お知らせいたします。

■期 日 2012年3月6日(火)9:30〜10:10
■会 場 名古屋工業大学 御器所キャンパス 第1イベント会場(51号館1F5111)
(〒466-8555 愛知県名古屋市昭和区御器所町)

●認定制度制定の背景と目的
情報処理学会では我が国のコンピュータ発達史上の重要な成果や製品を当会ホームページの中の「コンピュータ博物館」に掲載して、紹介してきました。約1,700点の写真を含めてその史料点数は3,000点を超えており、月に10万件前後のアクセスがあるなど、多数の方々にご利用いただいております。
しかしながら、それら史料の大半はすでに実物としては存在しておりません。コンピュータ技術の急速な発展や利用環境の変化の中で、古い技術や製品の意義が見失われ、廃棄されて急速に失われつつあります。情報処理学会では、現存する貴重な史料をコンピュータに特化した実博物館などで保存すべきと考えて各方面に働きかけるなど努力してきましたが、残念ながら未だ実現の可能性がみえません。
このような状況の中で、わずかに残っている貴重な史料の保存を図るとともに、我が国のコンピュータ技術の発展を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことが急務と考えております。その一助として、情報処理技術遺産の認定制度を設けました。

また、小規模ながら、貴重な史料を保存・展示しておられる資料室やコレクションが日本各地に点在いたします。それらをネットワーク化して利用を拡大することも有意義であると考え、併せて分散コンピュータ博物館の認定制度も設けました。

●2011年度認定リスト

<情報処理技術遺産>12件
1)東京大学生産技術研究所微分解析機(トルク増幅機などの構成部品)
製造者:東京大学生産技術研究所
製造年:1953〜1955年
東京大学生産技術研究所が1953〜55年に開発し、当時世界最高水準の性能を実現した機械式微分解析機の構成部品。

2)HIPAC MK-1
製造者:(株)日立製作所
製造年:1957年
日立における最初のディジタルコンピュータ。論理素子にパラメトロン、記憶装置に磁気ドラムが使用された。

3)NEAC-1101
製造者:日本電気(株)
製造年:1958年
日本電気が開発した同社初のディジタルコンピュータ。日本で初めて浮動小数点演算方式を採用した。

4)MELCOM 1101
製造者:三菱電機(株)
製造年:1963年頃
三菱電機の最初のディジタルコンピュータ。全回路トランジスタ化。主記憶に遅延線形磁気ドラムを使用。

5)ASPET/71光学的文字読取装置
製造者:(株)東芝・電気試験所(現・産業技術総合研究所)
製造年:1971年
従来技術をはるかに凌駕した高性能光学的文字読取装置。産業技術総合研究所と東芝が1971年に共同開発。

6)Busicom 141-PF
製造者:ビジコン(株)
製造年:1971年頃
マイクロプロセッサの嚆矢であるIntel 4004の開発のきっかけとなり、それを初めて搭載した電子式卓上計算機。プロセッサの開発ではビジコン社も大きな役割を果たした。

7)NEACシステム100
製造者:日本電気(株)
製造年:1974年
日本電気が1973年に発売した初期のオフィスコンピュータ。伝票処理、一括処理、オンライン処理を可能にした。

8)LSIパッケージMB11K搭載のMCCボード
製造者:富士通(株)
製造年:1976年
世界初の全面LSI採用の超大型コンピュータモデルに用いられたLSIパッケージとその高密度実装ボード。

9)オートテラーターミナルAT-20P
製造者:沖電気工業(株)
製造年:1977年
現金自動預払機。1971年に始まる金融機関向けオンライン自動取引機で、CDに替わる日本における本格的なATM時代の幕開けを担った装置。

10)神戸大学Lispマシン FAST LISP
製造者:神戸大学工学部システム工学科
製造年:1978〜1979年
ビットスライスプロセッサ上に、マイクロプログラム化したLispインタプリタを載せ、1979年に神戸大学で開発された、我が国初のLispマシン。

11)大阪大学EVLISマシン
製造者:大阪大学工学部応用物理学第一講座
製造年:1979〜1982年
Lispの並列処理を目的とするEVAL IIプロセッサを搭載し、1982年に大阪大学で開発されたLispマシンで、Prologやニューロ手続きの実行にも使われた。

12)T1100
製造者:(株)東芝
製造年:1985年
世界初のIBM PC互換ラップトップPCを商品化。PCをいつでもどこでも使える身近なデバイスへと進化させ、現在のノートPC市場の創造に大きく貢献した。

<分散コンピュータ博物館>1件
・NTT技術史料館(NTTの歴史的なコンピュータの展示エリア)

以上

<本件に関するお問い合わせ>
企業名:一般社団法人情報処理学会
担当者名:会誌編集部門 TEL:03-3518-8371 Email:editj <at> ipsj.or.jp