2024年05月16日版:長谷川 輝之(監事)

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    「監事業務を振り返って

    長谷川 輝之(監事)


     2022年度より監事を拝命し、足掛け2年の任期もあと1カ月を切りました。私自身はこれまで2016〜17年度に事業担当理事を拝命しており、今回が2回目のボード参加となります。理事時代は、定められた所掌(事業担当であれば全国大会やFITの組織・運営、プログラミング・シンポジウム、国際会議の協賛・後援に関することなど)の責任者として業務を執行しておりましたが、監事の業務は、情報処理学会定款の第26条に定められているとおり「理事の職務の執行、およびこの法人の業務ならびに財産の状況を監査し、法令で定めるところにより監査報告を作成する」となります。企画(Plan)・実行(Do)・確認(Check)・改善(Action)という業務サイクルの中で、主として確認と改善の一翼を担っており、コンプライアンス遵守、すなわち、本会の各種活動が本会の目的・定款や関連法令に則って実施されていることを確認し報告すること、が担務となります。以下、監事業務の簡単な紹介、ならびに、業務執行にあたって自身が心がけたことやそこで感じたことを述べたいと思います。

     先の説明のとおり、本会が定めた方針・計画に沿って施策を企画・実行する執行責任者は当該領域の担当理事であり、監事自身は各施策の企画・実行には直接関与せずさまざまな観点で確認(監査)を行う立場です。具体的には①理事会に参加し、承認(意思決定)・報告の内容が本会の目的に沿っていて、かつ、適切な手順を経て実施されていることを確認します。これとは別に、本会が運営にかかわる(複数の)②国際会議や③受託業務の完了報告を受けて適正に会計処理が行われていることを確認します。さらに、年度の最終的な内部・外部監査として、④学会事業務監査・⑤独立監査人(監査法人)との監査報告会(上期末の中間報告有)を行い、年度を通じて業務が適正に執行され、財務状況に瑕疵がないことを確認します。

     本会は、事務局や理事の皆様の尽力もあり、しっかりと業務を計画し執行いただいておりますので、上記の業務説明だけを読むと、実施する施策の執行プロセスを追認するだけで「守り」の印象が強く、あまり面白みがないと感じるかもしれません。しかしながら、本会では、当該年度の事業報告や次年度の事業計画を受けて、学会運営の方向性や解決すべき課題を「監事付帯意見」として理事会に提示し定時総会にて報告する仕組みが導入されており、監事業務の中で最も重要な位置を占めています。大変責任の重い業務でもありますが、さまざまな施策を学会全体を広く俯瞰する立場で理解した上で、学会運営の持続性を高めることに貢献できればと考えて取り組んできました。学会運営の把握という観点では、数年前から、会長・副会長・総務・財務・企画・長期戦略理事等のコアボードメンバが集う経営企画委員会に、監事がオブザーバとして参加できることとなっていて、各種の施策についてその背景や検討過程を含めたより多くの情報を得られる機会にも恵まれました。これらの場で得られた情報に基づいて、学会運営の持続性を高めるための付帯意見を纏めておりますので、皆さまのご検討をいただければ幸いです。

     皆さまのご尽力の結果、2023年度も会員数増という形で終えることができました。20,000名を超える会員数を擁する組織として、引き続き順調に学会の運営を持続できることは大変喜ばしいことであると考えております。会員・役員・各委員会・研究会関係者ならびに事務局職員の皆様のご努力に改めて敬意を表します。

     付帯意見の中でも触れておりますが、コロナ・戦争・大規模障害・DX拡大・ドローン・生成AIなど、社会的な側面・技術的側面の双方で情報処理技術をめぐる環境変化は著しく、2024年度も引き続き大きな変革の波の中で社会が動いていくものと考えます。情報処理技術のエキスパート集団である本会が発信する中立的な情報は社会に対して大きな価値を提供できると考えておりますので、積極的な発信を通じて社会における本会の存在感を高めていただき、最終的には会員増に繋げて学会運営の持続性を高めていければと考えております。引き続き積極的な学会活動へのご参加のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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