2024年06月27日版:井上 美智子(論文誌担当理事)

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    「日本語でも英語でも投稿できる情報処理学会論文誌

    井上 美智子(論文誌担当理事)


     昨年(2023年)の6月に理事就任と同時に論文誌の担当となり、この6月から2年目に突入しました。本会の論文誌編集にはこれまでかかわったことなかったのですが、ご縁があり担当理事となりました。本会論文誌の特徴の1つは、日本語でも英語でも投稿できることかと感じています。論文誌には、一般誌である論文誌(ジャーナル)と研究会を母体とし研究分野に特化した10の論文誌(トランザクション)があります。同じ論文誌に投稿された論文は、和文でも英文でも同じ基準で査読され、編集委員会で慎重に審議され採否が決まります。採択された論文は、本会電子図書館に掲載されるほか、英文のものは、Journal of Information Processing(JIP)にも掲載され、J-STAGE1)で公開され、なんと無料でアクセスできます。引用数を増やしたい著者にはお薦めです。

     担当してみると、多くの方に支えられ論文誌ができているのがよく分かります。昨年度は、一般誌で220編、トランザクションで120編の論文を採択しました。残念ながら不採択となった論文を合わせると、さらに多くの論文を扱いました。それぞれの論文に査読者が2名割当てられ、慎重に査読をし、編集委員会でも慎重に審議され採否が決まります。一般誌は基盤・ネットワーク・知能・情報システムの4つのグループに計100名以上、トランザクションには計250名以上の編集委員がいて2)、一般誌では、毎月編集委員会を開催しています。編集委員会を専用に設ける特集論文をを合わせるともっとたくさんの方が編集にかかわってくださってます。編集委員が母国である日本語で議論できるのは、国内学会の論文誌ならではかと感じます。なので、編集委員会では深〜い議論ができてしまい、その分、審議にも時間がかかってしまいます。著者からすると、丁寧に審議された結果が返ってくるので、採択されてもされなくてもご自身のためになる情報が返ってくるのではと期待します。論文が採択されるまでに、ほんとに多くの方が協力してくださってますが、査読も編集も、みんなボランティアなんです。皆さん、情報処理にかかわる学術発展のために労力を惜しまず携わっていただき、本当に大変ありがとうございます。

     いつも丁寧な審議を変わらずに続ける編集委員会ですが、変わらないものだけでなく、時代に合わせて変わるものもあります。私が学生のころは、科学技術文書では、3文字以上のカタカナには長音符号「ー」は付けないと学びました。「コンピューター」でなく、「コンピュータ」と書きなさい、という決まりです。JISでそのような規定があったのですが、実は今はなくなってるとのことを担当理事になって知りました。現在、外来語の表記に関する内閣告示では、英語で語尾を伸ばす場合は日本語でも原則として「ー」を付ける、でも、慣例に応じて「ー」を省いてもいい、ってことになっています。本会論文誌では、30年近く古いJISに従っていた校正ルールを見直し、「ー」を付ける付けないは著者の意向に従うと変更しました。要するに、「コンピュータ」でも「コンピューター」でもどっちでも大丈夫になりました。そしてもう1つ、これから変わるものもあります。一昔前まで、研究者の論文にかかわる評価は論文数だけだったのですが、今は、論文インパクトファクターのある論文誌に採択されたか、何回引用されたかなど、細かい評価が行われるようになってます。そこで、本会でもJIPに論文インパクトファクターを付けるための活動を始めました。論文編集委員会では、著者にも読者にも役立つ論文誌を目指して日々尽力しています。これからも本会論文誌をよろしくお願いします。

    1)J-STAGE(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/ipsjjip/
    2)論文誌編集委員会(https://www.ipsj.or.jp/annai/committee/meibo/2024ronbunshi.html
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