2010年度喜安記念業績賞

2010年度喜安記念業績賞の表彰

◆大規模ネットワーク障害原因および障害箇所特定技術の開発

[推薦理由]

大規模IPネットワークにおいて,機器の故障やケーブルの誤接続によりICTサービスが広範囲にわたって利用不可能となるL2ループ障害の原因箇所を特定し,ネットワークを復旧する技術や,システム側ではエラーと認識しないがユーザがレスポンス遅延などとして認識する「サイレント障害」の検知と原因の分析技術,および障害個所を即座に特定する技術を開発した.本技術は,大規模IPネットワークの安定運用を可能とし,社会システム,企業システムの安定稼動に貢献している.

 

福山 訓行 君(正会員)

1988年大阪大学大学院工学研究科通信工学専攻修士課程修了.同年,富士通(株)入社.1992年(株)富士通研究所.以来,コミュニケーションサービス,IPネットワーク品質管理の研究開発を経て,現在,研究企画に従事.情報処理学会,電子情報通信学会会員.
 

野村 祐士 君

1994年北海道大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年,(株)富士通研究所入社.以来,ネットワークアーキテクチャ,IPネットワーク計測・運用技術の研究開発に従事.2001-02年コロンビア大学客員研究員.電子情報通信学会会員.

安家  武 君

1998年大阪大学大学院工学研究科通信工学専攻修士課程修了.同年(株)富士通研究所入社,現在に至る.主にネットワーク監視・診断技術に関する研究開発に従事.電子情報通信学会会員.

森永 正信 君(正会員)

1993年九州大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了.同年,(株)富士通研究所入社.IPネットワークにおけるVoIPを主としたシステム・サービスの研究開発を経て、現在,ICTシステムの運用管理と,その運用管理におけるセキュリティ技術に関する研究に従事.情報処理学会会員.

西  哲也 君

1991年佐賀大学理工学研究科電子工学専攻修士課程修了.同年,(株)富士通研究所入社,ATMにおけるコネクションレス通信,光ネットワークの設計および光クロスコネクト装置のアーキテクチャ,エンタープライズネットワークにおけるトポロジ認識ならびに大規模障害検知,データセンターの広域負荷分散制御に関する研究開発に従事.

◆高精度顔認証技術の研究開発

[推薦理由]

米国国立標準技術研究所で2010年に実施された顔認証ベンチマークテストMultiple Biometric Evaluation静止顔画像認証部門に参加し,認証精度,検索精度,処理速度において最高性能を達成した.160万人に対する本人の顔画像検索精度が92% (2位は87%),他人受理率0.1%の時の本人拒否率が0.3% (2位の約1/10),160万人に対する検索速度が0.39秒(検索性能2位エンジンの1/7)など,他を圧倒する性能で第1位を獲得,国際的に大きなインパクトを与えている.本技術は,出入国管理や施設の入場管理など国内外の幅広い分野ですでに活用されており,安心安全な社会の実現に貢献している.

 

今岡  仁 君(正会員)

1997年大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士課程修了.同年,NEC入社.以来,脳視覚情報処理,顔認証技術に関する研究開発に従事.現在,NEC情報・メディアプロセッシング研究所主任研究員.工学博士.情報処理学会,電子情報通信学会,日本神経回路学会会員.

森下 雄介  君

2008年筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻修士課程修了.同年,NEC入社.以来,顔検出技術に関する研究開発に従事.現在,NEC情報・メディアプロセッシング研究所勤務.電子情報通信学会会員.

宮野 博義 君

1997年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了.同年,NEC入社.以来,パターン認識,動画像処理に関する研究開発に従事.2009年よりNEC情報システムズ(株)に勤務.現在,先端技術ソリューション事業部エキスパート.電子情報通信学会会員

佐藤  敦 君

1989年東北大学大学院理学研究科原子核理学専攻博士課程修了.同年,NEC入社.以来,ニューラルネット,パターン認識に関する研究開発に従事.1994年-95年,米国ワシントン大学客員研究員,2008年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員.現在,NEC情報・メディアプロセッシング研究所主席研究員.理学博士.電子情報通信学会,人工知能学会,IEEE各会員.

◆放送・監視業務用高品質H.264映像符号化ワンチップLSI の開発・実用化

[推薦理由]
業務用途として必要な色解像度が高い4:2:2フォーマット(High422プロファイル)をサポートし,小型化と高圧縮を両立するHDTV対応H.264 1チップLSIを開発した.従来のMPEG-2に比べて約10倍の演算量が必要なH.264符号化に対し,各圧縮機能ごとにCPU処理とH/W処理を最適化することで性能とLSIゲート規模削減を両立した.また,視覚特性を考慮した適応的符号化制御による高圧縮化と低遅延動作を実現した.装置の小型化と高圧縮化による回線コスト削減などによるサービス向上で放送業界の更なる発展に貢献すると共に高画質かつ低遅延な映像監視装置の実現を可能にするものである.

 

加藤 嘉明 君(正会員)

1986年,大阪大学大学院応用物理学専攻修士課程修了.同年,三菱電機(株)入社.以来,画像高能率符号化,広帯域映像通信,デジタル放送の研究開発に従事.1991-92年,米カリフォルニア大学ディビス校客員研究員.現在,同社先端技術総合研究所に所属.IEEE,情報処理学会,電子情報通信学会,映像情報メディア学会会員.博士(情報科学)

坂手 寛治 君(正会員)

1998年,大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了.同年,三菱電機(株)入社.以来,情報技術総合研究所にて映像符号化伝送技術の研究開発に従事.情報処理学会会員.

本山 信明 君(正会員)

1990年,中央大学理工学部電気電子工学科卒業.同年,三菱電機(株)入社.現在,同社情報技術総合研究所に所属し,LSI設計技術・画像圧縮技術の研究開発に従事.情報処理学会,電子情報通信学会会員.

猪股 英樹 君(正会員)

1984年,横浜桐蔭高専電気工学科卒業.同年,三菱電機(株)入社,情報技術総合研究所にてTV会議システム,放送用コーデック,映像符号化LSIなどの研究開発に従事.2010年より同社通信機製作所通信情報システム部にてコーデック開発プロジェクトを担当.情報処理学会,映像情報メディア学会会員.
 

山本 好彦 君(正会員)

1986年,同志社大学工学部電子工学科卒業.同年,三菱電機(株)入社し,同社通信機製作所にて衛星通信用デジタル変復調装置の開発設計に従事.1995年より高画質画像の衛星伝送システム開発を担当.放送局向け素材伝送システム;SNG(Satellite News Gathering)のデジタル化,HDTV化を推進.現在,同社通信機製作所通信情報システム部に所属.

  ◆第3世代携帯電話における大語彙連続音声認識を可能にした分散型音声認識システムの開発と商用化

[推薦理由]
携帯インターネットや様々なアプリケーションが利用できるようになった第3世代携帯電話に大語彙連続音声認識を提供するという課題に対し,携帯電話とサーバで処理を分担する分散型音声認識システムを開発し,音声検索サービスを世界で初めて実用化した. 端末性能に依らず実用的な精度と応答時間を両立させ,2006年の実用化以来,同機能はKDDIの携帯電話のほぼ全機種に搭載された.乗換検索,歩行者用や同乗者用のナビゲーションなど,主要な携帯アプリで利用されている.

 

加藤 恒夫 君(正会員)

1994年東京大学工学部電子工学科卒.1996年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.同年国際電信電話(株)入社.KDD研究所にて音声認識システムの研究開発に従事. 2007-08年米国南カリフォルニア大学客員研究員.2009年より(株)KDDI研究所 ユーザインタフェースグループ グループリーダー. 情報処理学会,日本音響学会,電子情報通信学会各会員. 

宇都宮 栄二 君

KDDI研究所にて,ソフトウェア開発支援技術や分散オブジェクト技術などの研究開発を経て,音声認識,音声合成や雑音抑圧など音声信号処理の技術開発・サービス開発に従事.現在,同研究所サービス開発グループリーダー. 

内藤 正樹 君

1989年電気通信大学・電気通信学部・計算機科学科卒.1991年同大大学院 電気通信学研究科 博士前期課程 情報工学専攻了.同年国際電信電話(株)入社.1997-2000年ATR音声翻訳通信研究所,ATR音声言語通信研究所に出向.2000年より(株)KDDI研究所において音声認識システムの研究・開発に従事.博士(工学).日本音響学会,電子情報通信学会各会員. 

内部 利明 君

1994年東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了.同年国際電信電話(株)入社.音声認識,話者認識の研究開発等を経て,現在KDDI(株)にて電話サービスに関するソリューション業務に従事. 
 

河井  恒 君

1984年東大・工・電気卒,1989年東大・院・電子修了.博士(工学).1989-2000年KDD研究所,2000-04年ATR,2004-09年KDDI研究所,2009年より情報通信研究機構に勤務.音声の認識・合成,音響信号処理,音声翻訳の研究開発に従事.