組込みシステム(EMB)研究グループ新設のお知らせ
組込みシステム(EMB)研究グループ新設のお知らせ
目的
各種の機械・機器に組み込まれてそれを制御するコンピュータシステムである組込みシステムは,我が国が競争力を持つ産業の多くを支える重要な技術と なっており,活発な研究・開発が望まれている分野である。近年産業界においては,組込みシステム技術の重要性が認識され,企業における研究開発も活発化し つつあるが,大学等で組込みシステム技術に取り組んでいる研究者は期待される程には増えていない。
一方海外においては,情報処理系の学会において組込みシステム技術に対する取組みが急速に活発化している(注1)。組込みシステム技術は,我が国が比較的 競争力があると考えられている分野であるが,このまま大学等での取組みが活発化しない状況が続くと,国際競争力低下が避けられないと危惧される。
本研究グループは,このような問題に対して,学会の立場から取り組むことを趣旨とする。具体的には,組込みシステム技術に関する研究発表の場や技術交流の 場を設けることで,大学等での研究の活性化を図る。それに加えて,産業界における要求事項や課題を大学等に知らせることや,大学等での研究成果を産業界に 紹介することを通じて,産学連携の推進も図る。特に組込みシステム分野においては,産業界における開発の現状や課題が大学等の研究者からは見えにくい状況 にあり,研究活性化のために産学連携の推進が欠かせないと考えられる。さらに産業界においても企業間の壁が高いという課題があり,産産連携の場を提供する ことも目的とする。
組込みシステムにおいては,それぞれの応用毎に要求に応じて,コンピュータシステム全体が最適に設計されるために,システムを構成する様々な要素技術が密 接に関係する傾向にある。そのために,異なる技術分野間の連携が強く望まれている。一例を挙げると,ハードウェア設計とソフトウェア設計が密接に関係して いるために,ハードウェア/ソフトウェア協調設計技術が必要とされている。このような技術の研究を推進するには,ハードウェア設計技術を扱う研究コミュニ ティとソフトウェア設計技術を扱う研究コミュニティの連携が必要である。
情報処理学会においては,いくつかの研究会において,組込みシステムに関する研究発表が行なわれ,それをテーマとしたシンポジウムも開催されているが,そ れらの間の連携が十分でなく,数少ないこの分野の研究者がそれらに分散しているのが現状である。本研究グループは,それらの間の連携を図ることで,組込み システム技術に関して幅広くかつ統合的に扱うことを目的とする。
(注1)海外の情報処理系の学会において組込みシステム技術に対する取組みが活発化している例として,ACMにおいては,Transactions on Embedded Computing Systemsが創刊されたことに加えて,Special Interest Group on Embedded Systems(SIGBED)が設立されている。また,組込みシステムを主に扱う国際シンポジウムも,ここ数年で急激に増えている。
組込みシステム研究グループWebページ:http://www.ertl.jp/SIGEMB/主な研究分野
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