2002年度研究会活動報告

2002年度研究会・研究グループ活動報告


<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS

<情報環境領域>
DPS HI CG IS FI AVM GN DSM DD MBL CSEC ITS QAI EVA ICIIgr IACgr BCCgr

<フロンティア領域>
NL ICS CVIM CE CH MUS SLP EIP GI



コンピュータサイエンス領域


◆データベースシステム(DBS)研究会

[主査:清木 康、幹事:市川哲彦、佐藤 聡、原 隆浩、細川宜秀]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.情報処理学会論文誌:データベースの報告
4.総括
5.その他

 

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◆ソフトウェア(SE)工学研究会

[主査:青山幹雄、幹事:田村直樹、中島 震、中谷多哉子]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.ワ-キンググループ活動
4.総括
5.その他

 

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◆計算機アーキテクチャ(ARC)研究会

[主査:笠原博徳、幹事:安里 彰、工藤知宏、西 直樹、森眞一郎]

1.定例の研究会活動報告

 平成14年度は、第140~144回の5回の研究発表会を開催した。最終的な発表件数はほぼ計画(92件)通りの94件であった。しかし実際には、後述のように2002年3月に開催したHoKKE-2003において56件と非常に多くの発表申し込みを戴き、例年のようにHPC研究会との共催の形では1冊の技術報告として製本するのは困難という事情から両研究会の連続開催という形式に変更し、ARCでは約半数の27件のご発表戴いた。このため、最終数は上記の94件という数字であるが、実際の申し込みは123件と計画を大幅に上回る数となった。以下各研究発表会の概要を報告する。
第140回は2002年 5月13日に東京お台場の産業技術総合研究所 生命情報科学研究センターにて、一般テーマで開催し8件の発表が行われた。研究会終了後、秋山センター長に同センターの見学会を御設定戴いた。第141回は2002年 8月21-23日に大分県湯布院ハイツにてSWoPP2002((CPSY, DC, OS, HPC, PRO, EVA と同時・連続開催)として開催し、28件の発表があった。第142回は2002年 11月28日にラフォーレ琵琶湖にてシステムLSIシンポジウムと連続してデザインガイア2002 (CPSY, DC, ICD, VLD, SLDM と同時/連続) を開催し、ARCは"チップマルチプロセッサおよび一般"をテーマとし、招待講演を含め20件の発表があった。第143回は2003年 1月31日に京都大学にてSHINING 2003というニックネームで"アーキテクチャとコンパイラの協調および一般"のテーマで開催し、11件の発表があった。SHININGは2000年度からPACT、 ASPLOSのような分野の議論を盛り上げるために開始したが、引き続き好評であった。また、当日は富田研究室の見学会及び懇親会も開催され活発な議論を行うことができた。第144回は2003年 3月10-12日に科学技術振興事業団研究成果活用プラザ北海道にてHoKKE-2003(ハイパフォーマンスコンピューティングとアーキテクチャの評価に関する北海道ワークショップ:HPC研究会との合同)として開催したが、発表申し込みが全体で56件と非常に多かったため、本年度は例年と異なりARC・HPCの連続開催とし、前半の3月10日 から11日に開催したARCでは27件の発表が行われた。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
  • 2002年並列処理シンポジウム (JSPP2002)
    2002年5月29日~31日の3日間、山口喜教実行委員長、中島浩実行副委員長、妹尾義樹実行副委員長、石川裕プログラム委員長の下、エポカルつくば(つくば国際会議場)にて開催された第14回JSPP2002は、並列分散処理分野を含めたコンピューティングシステムの新しい展開を目指すSACSIS (先進的計算基盤システムシンポジウム:Symposium on Advanced Computing Systems and Infrastructures)への発展的移行のため、JSPPという名称で開催する最後のシンポジウムとなった。このJSPP2002では、HPS論文誌との連携を実施しJSPPとHPSとの同時投稿を可能とすると共に、long paperとshort paperの2カテゴリー制の導入という新しい試みが行われた。これらの新システムの下、66件の投稿論文(long:56件, short:10件)より採択された32件のlong paper、4件のshort paperに加え、23件のポスター論文発表、基調講演(海外招聘)、地球シミュレータに関する特別講演、3件のチュートリアル等の内容で開催され、興味深い議論が多く展開された。

3.総括

 平成14年度は上記5回の研究会を開催し、上述のように123件と非常に多くの発表申し込みを戴いた(HoKKEをHPC研究会との連続開催に切り替えたため公式には94件という発表件数となっている)。年間を通し、多くの質の高い論文と多くの参加者を得、熱気のこもった興味深い議論を展開することができた。14年度の発表論文の傾向としては、チップマルチプロセッサアーキテクチャ、リコンフィギャラブルアーキテクチャ、メモリアクセスオーバーヘッド軽減のためのアーキテクチャ及びソフトウェアによる最適化技術、並列化コンパイラ技術等の発表が多くなっていることが挙げられる。また、並列分散処理を含めたコンピューティングシステムの新しい展開を目指し、JSPPからSACSISへの発展的移行等も行われ、新しい時代の幕開けが感じられる年となった。

4.その他

 平成14年度は、JSPPからSACSISへの発展と共に、平成12年度より発行が開始されていたHPS(ハイパフォーマンスコンピューティングシステム)論文誌もACS(コンピューティングシステム:通称ACS)論文誌へと発展する年となった(HPS7号をACS1号として発行)。HPSは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会および本計算機アーキテクチャ(ARC)研究会が編集/財務責任研究会となり、システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会およびプログラミング(PRO)研究会が編集責任研究会として協力する形で発行されていたが、OS研究会を財務責任研究会に迎えるのを期に、2003年初頭よりACS論文誌(IPSJ Transactions on Advanced Computing Systems)へと移行した。ACSは、中島浩編集委員長、石川裕・佐藤三久・中村宏副編集委員長の下、ハイパフォーマンスコンピューティング、組み込み技術、省電力技術等の高度基盤システム技術分野に焦点をあて、計算システムの高機能高性能化を進め産業ならびに科学技術の発展に寄与することを狙いとして順調に発行が進められており、すでに上記ACS1号の編集が終了しており、2号~3号も順調に編集が進められている。

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◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会

[主査:石川 裕、幹事:木下俊之、河野健二、西尾信彦]

1.定例の研究会活動報告

第90~92回の研究発表会を開催した。

第90回は、例年通り6月末の27・28日に、電子情報通信学会コンピュータシステム研究会と共催、テーマは「マルチメディアネットワーク社会(inter、intra、extranets)のシステムソフトウエアと応用技術、ならびにシステムソフトウエア一般」であった。22件の論文が集まり、情報家電とマルチメディア、資源管理、ネットワーク、セキュリティ、分散・並列システム、OS の構成法および実装技術、シミュレーションおよびOS教育、の7セッションで発表が行われ、活発な議論が行われた。
第91回は、7月21・22日に湯布院ハイツにて, 並列/分散/協調処理に関する研究会を電子情報通信学会ならびに他研究会と合同で開催した。 OS研究会としての論文発表は9件であった。通信およびスケジューリング、資源管理および 設計、マルチOSおよび分散OS、の3つのセッションで構成し、活発な議論が行われた。
第92回は、2月27・28日に立命館大学において開催した。セッションは、システムソフトウェアの生成法と適応処理、システムソフトウェアの動的構
成法、システムソフトウェアの構成方式、リアルタイム処理、ネットワークコンピューティング、JAVA, の6つで構成し、合計19件の一般発表が行われ、活発に議論された。また、初日のセッション後には懇親会を開催した。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
  • コンピュータシステム・シンポジウム
    11月19・20日にパシフィコ横浜で, 昨年度同様, Embedded Technology 2002に併設し,システム評価研究会との共催で,「ポストPC時代を支える基盤ソフトウェアとシステム評価」をテーマに選び、2件の招待講演と18件の一般講演があり、活発な議論が行われた.また、シンポジウム直後の論文誌特集号での投稿クォリティの向上を期待して、カメラレディ原稿に対しての査読サービスを実施した.

3.総括

 前年度に引き続き、インターネット、組み込み向けオペレーティングシステム、実時間処理などの分野で活発な討論が行われた。コンピュータシステムシンポジウムでは、 参加者が少なかった。 次年度は、研究会論文誌ACSとの連携を行ない、活発な議論の場を設けるべく計画をたてている。
今後も、インターネット、組み込みシステム、情報家電等時代のニーズに即したテーマを中心に、他研究会や企業主体のシンポジウムと連携しながら、システムソフトウエアの観点から活発な研究会活動を推進していきたい。

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◆システムLSI設計技術(SLDM)研究会

[主査:寺井秀一、幹事:沼 昌宏、福井正博、築添 明]
1.定例の研究会活動報告
    以下に示す第106~109回の研究発表会を開催した。

  • 第106回:発表件数:14件、5月23・24日、テーマ:システムレベル設計および一般、石川ハイテク交流センター、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD))と共催
  • 第107回(デザインガイア2002):発表件数:20件、11月27・28日、テーマ:システム設計とCAD技術および一般、ラフォーレ琵琶湖、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、集積回路研究会(ICD)、コンピュータシステム研究会(CPSY)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC))、情報処理学会(計算機アーキテクチャ研究会(ARC))と共催
  • 第108回:発表件数:23件、1月28・29日、テーマ:FPGAとその応用および一般、慶応大学日吉キャンパス、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、コンピュータシステム研究会(CPSY))共催
  • 第109回:発表件数:9件、3月10・11日、テーマ:実時間処理、組込システムおよび一般、宮城県産業技術総合センター、実時間処理に関するワークショップ:RTP2003、CPSY共催
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
    以下に示すシンポジウムを開催した。  
  • DAシンポジウム2002:発表件数:43件、7月22~24日、浜名湖遠鉄ホテルエンパイア、SWEST4(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ)と同時開催
3.その他の活動

 編集委員会を組織してジャーナル特集号「システムLSIの設計技術と設計自動化」の論文募集、編集を行った。
集積回路研究会(ICD)、ディジタル信号処理研究会(DSP)、画像工学研究会(IE)の共催による電子情報通信学会研究会(10月24・25日、宮城・作並温泉)に協賛で参加し、来年度からは共催で研究会を開催する運びとなった。
運営委員会を年度内に4回開催し、以上の活動や全体の方針を審議決定した。

 

4.総括

 本研究会は、システムLSIを中心とする電子装置の設計技術、設計自動化技術の研究分野をスコープとして活動している。
平成11年度に実施された「設計自動化研究会」からの改称と、それに伴うスコープの拡大により、活動の活性化が進んでいる。特に、研究会単独主催の「DAシンポジウム」は年々参加者が増大し、今年度は163名を数えるに至っている。

5.その他

 本研究会は、今後共、常に時代の要請に的確に応えながら、将来の電子機器の設計およびEDA技術の先端研究開発の交流の場として、皆様のお役に立てるよう一同頑張って参りたいと存じます。今後共ご支援の程お願い申し上げます。活動予定については、下記をご参照ください。
http://cas.eedept.kobe-u.ac.jp/SLDM/

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◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会

[主査:関口智嗣、幹事:安崎篤郎、高橋大介、横川三津夫]

1.定例の研究会活動報告

第90~93回の研究発表会を開催した。第90回は海洋科学技術センター地球シミュレータセンターにて、第91回は例年どおりSWoPP2002として大分県湯布院にて、第92回は日本原子力研究所関西研究所にて開催した。第93回は「ハイパフォーマンスコンピューテイング、アーキテクチャ、オペレーティングシステムの性能評価」に関するワークショップHOKKE-2003を、北海道札幌にて計算機アーキテクチャ研究会と連続開催した。
発表件数はそれぞれ11件、36件、9件、29件の合計85件と前年とほぼ同数であった。ただし、第93回(HOKKE-2003)の29件は昨年までの発表件数と意味が異なる。すなわち、計算機アーキテクチャ研究会と共催予定で発表論文を募集したところ、発表申込み件数が56件となり予定件数を大幅に上回ったため、2日間の開催期間を3日間に延長し、計算機アーキテクチャ研究会と連続開催とした。したがって、昨年までの考え方では発表件数は56件である。昨年に引き続き
申込み数が多いことが問題となり、研究会を充実させるためにも、その募集方法の検討を行い、今後は研究会登録者を優先して発表論文を決定することになった。
発表内容の傾向としては、従来のスーパーコンピュータや超並列計算機だけでなく、多様な計算基盤を高度に利用する技術が注目されており、ワークステーションやPC等などを高性能ネットワークで結合する並列計算環境としてクラスタ技術関連や、グリッドコンピューティング関連技術の研究に関するものが増加している。本研究会の目標である応用分野と計算機技術分野のより活発な交流のためにも、新しい技術を適用した応用分野からの研究発表を取上げて行きたい。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
  • 2002年並列処理シンポジウム(JSPP2002)
    例年通り、計算機アーキテクチャ研究会等と第14回目の並列処理シンポジウムJSPP2002を開催した。シンポジウムでは、論文発表37件、ポスター発表23件を行った。本研究会では、並列応用、性能評価、並列数値計算、及びグリッド関連研究等の分野に応募された論文を担当した。発表論文の質の向上、投稿数の増加を目指し、初めての
    試みとして、本研究会が参加している研究会論文誌「ハイパフォーマンスコンピューティングシステム」への同時投稿を実施したが、投稿数は前年度と比較してあまり増加しなかった(59件→65件)。これは最近の計算システムや基盤システムに関する研究が組込みシステム、省電力技術及びWebサービスなど様々な分野に広がりを見せており、もはや「並列・分散」というキーワードでは最新の技術動向を盛り込むことが出来ないためではないかと分析した。このため、シンポジウムがカバーする分野を広げる必要性を感じており、シンポジウムの新たな運営方法を検討する時期に来ていると思われる。
  • 2003年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS2003)
    昨年に引き続いて、計算機システム側の研究者と計算科学の研究者との情報交換の場としてシンポジウムを開催した。22件の論文投稿があり、19件を採録した。また、2件の招待講演を企画した。論文投稿は低調であったが、参加者の間では有意義な議論ができたと考える。本シンポジウムにおいても、研究会論文誌「ハイパフォーマンスコンピューティングシステム」との連係編集を行った。情報処理技術に関するシーズとそれを利用する側のニーズを結びつけるためにも、より緊密に応用分野の研究者との連携を図る必要があり、シンポジウム運営についてHPCに関連の深い応用分野の学会等との連携を強化していくことが肝要である。
3.総括

研究会の発表の傾向に見られるように、クラスタ技術による並列計算やグリッドコンピューティングなどの技術が高性能計算を支える技術になりつつある。新たな分野からの研究会参加が増加し、研究会活動が活発化しているといえる。また、従来からの基礎的数値アルゴリズムなどの発表もあり、ハイパフォーマンスコンピューティングをキーワードとして、ハードウェア、コンパイラなどの基盤的ソフトウェア、応用分野の研究など広い分野の議論の場となっている。さまざま計算基盤が利用できる現在において、それらを利用する技術はますます重要性を帯びており、計算機システム側の研究者だけではなく、それらを利用する応用分野の研究者との交流を深めて、大学や研究所だけでなく産業界へも広くHPC技術の普及に努めたい。

4.その他

本研究会が参加し、刊行している研究会論文誌「ハイパフォーマンスコンピューティングシステム」は、システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会の財務責任研究会となることによって、平成15年度より研究会論文誌「コンピューティングシステム」として発刊することになった。年間4号のペースで論文募集を行い、そのうち2回はJSPPとHPCSとの同時投稿を行った。迅速な研究成果発表の場を提供することによって、この分野の研究活動がさらに発展することが期待される。

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◆プログラミング(PRO)研究会

[主査:村上昌己、幹事:小野寺民也、八杉昌宏、渡部卓雄]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他

 

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◆アルゴリズム(AL)研究会

[主査:徳山 豪、幹事:宇野毅明、藤田 聡、古賀久志]

1.定例の研究会活動報告

 第84~89回の研究発表会を開催した。発表は計65件であった。発表内容は、グラフ・ネットワークに関するアルゴリズム、計算幾何学、近似アルゴリズム、量子計算、並列・分散アルゴリズム、ゲノム情報解析, 計算複雑度理論と多岐に渡っている。咋年度より、毎回の研究会において招待講演を企画しており、幅広いアルゴリズム研究における各分野の最先端の動向を知るよい機会となっているばかりでなく, 次の何を研究すべきかを示すものにもなっており、来年度もこの企画を継続、さらに充実させる予定である。
他学会研究会との連携として、数理モデルと問題解決研究会と1回、電子情報通信学会コンピュテーション研究会と1回、同回路とシステム研究会・ コンカレントシステム研究会と1回の連続開催を行い、これら研究会の間の研究交流も行った。

2.総括

 情報科学・情報工学の土台であるアルゴリズムを研究する研究会として、新規挑戦分野を開拓していくことが重要であり、そのためにも1昨年度より企画している招待講演が非常に役にたっている。第一線のお忙しい先生方に、毎回1時間にわたってよくまとまった講演を頂いており、研究会参加者の増大にもつながっている。平成14年度は, この試みを軌道に載せることができたといえる。
本年度はFITが研究会の発表の場として加わり、本研究会からも多数の投稿があった。これを加えると、発表申し込み件数は例年を上回るものであった。今後も研究会の質の向上と参加者数の増加を進めて行くことを課題とする。

3.その他

情報処理の土台となるCS領域の研究会として、継続して基礎分野の充実を図るとともに、新規重要分野の開拓が行われつつある。たとえば、量子計算がその際たるものである。そのためにも、招待講演をさらに発展させた新規分野のチュートリアル開催など研究普及面でのさらなる企画も望まれる段階といえる。

 

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◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会


[主査:城 和貴、幹事:秋山 泰、鈴木泰博、中條拓伯、三木光範]


1.定例の研究会活動報告

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

3.総括

4.その他

 

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情報環境領域


◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会

[主査:東野輝夫、幹事:勝本道哲、木原民雄、串田高幸、佐藤文明]

1.定例の研究会活動報告

定例の研究会は、以下の通り5回実施した。

第108回 DPS研究会 / 2002年6月6日-7日 / 岩手県立大学(岩手県滝沢村)
第109回 DPS研究会 / 2002年9月12日-13日 / 九州大学(福岡市)
第110回 DPS研究会 / 2002年11月21日-22日 / 慶應大学矢上(横浜市)
第111回 DPS研究会 / 2003年2月27日-28日 / 京都キャンパスプラザ(京都市)
第112回 DPS研究会 / 2003年3月20日 / NTTドコモR&Dセンター(横須賀市)

第108回では、岩手県立大学と共催として開催し、岩手IT研究開発センターの見学ツアーが設定された。第109回では、EIP研究会と合同開催を行った。招待講演として、京都市の清水氏による京都の文化財をベースにしたコンテンツビジネスの概要について興味深いが講演があった。第111回では、CSEC研究会と合同で開催した。ここでは、京都府警の寺田氏よりハイテク犯罪の現状についての興味深い講演を頂いた。研究発表数は、招待講演も含めて115件であった。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
  • マルチメディア、分散、協調とモーバイルシンポジウム(DICOMO2002)
    平成14年7月3~5日、於土肥温泉桂川シーサイドホテル(静岡県土肥町)発表件数:143件(招待講演2件を含む)。
    本シンポジウムは、DPS、GW、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAIの7つの研究会に加えて、知的都市基盤、放送コンピューティングの2つの研究グループが参加した非常に大規模なシンポジウムとなった。招待講演は、Melody Moh教授(San Jose State University)によるQoSマルチキャストの話題と、通信総研の鈴木氏による成層圏プラットフォームの話題で、どちらもエキサイティングな講演であった。また、今回からはデモセッションが開催され、優秀なデモには野口賞という野口先生の名前を頂いた賞が送られることになった。
    本シンポジウムにおける、DPS関連発表は、45件と約3分の1を占める数となっており、このシンポジウムへの関心の高さが伺えるものとなっている。
  • マルチメディア通信と分散処理ワークショップ
    今回で10回目となった本ワークショップは函館で開催された。51件の論文発表と、1件の特別セッションを合宿形式で行い、81名の参加者のもと真摯な議論が行われた。投稿されたすべての論文は、プログラム委員によって査読された。発表は既存の研究分野にとらわれずに、分野を越え、分野を融合した先駆的試みを持つ論文も多く見られ、査読コメントに基づいて改良された論文をベースとした討論は、発表の場として発表者及び参加者の双方にとって有意義であった。
    また、全発表を複数のプログラム委員が評価することにより審査を行い、Best Paper Award 4件、Young Researcher Award 4件がおくられた。さらにまた、参加者の投票により、Best Presentation Award 6件、Best Conversant Award 2件がおくられた。これらの賞により、優秀な研究成果及び研究者を評価奨励し、活発なワークショップとすることができた。
    今年度は、招待講演として東北大学 白鳥則郎先生、仙台応用情報学研究振興財団 野口正一先生にご講演を頂き、最新のマルチメディア通信関連技術の見識を深めることができた点、また恒例となった合宿形式によるワークショップの実施により、終了時間を意識することのない論文発表に対する深い議論の促進と、参加者間の懇親を深めたという点でも、今後の本研究領域の発展に寄与するものと考えられる。
  • 論文誌「高速ネットワークとマルチメディアアプリケーション」特集
    この特集号では、21世紀の高度情報化社会の実現に向けて、高速ネットワークを基盤とするマルチメディア通信ネットワークが実現されつつあるなか、高速ネットワーク及びマルチメディアアプリケーションの研究を行っている多数の研究に対する研究論文を一括して掲載することを目的して企画された。ゲストエディタとして本分野の指導的な研究者であり、DPS研の前主査である滝沢誠氏(東京電機大)を迎えて編集委員会を組織した。通常の新規性や独創的な研究論文に加えて、システムとして実装しその評価から得られた有効性や問題点を明らかにし、その有用性を示した論文を積極的に評価する方針とした。58件の論文投稿を、編集委員による査読評価の結果、34件を採録とした。この59%という採択率は、当初の目標としていた60%には、若干、至らなかったが、採録された論文は、理論的な分野、プロトコル、システム構築の方法論、システム評価論文を含め、高速ネットワークを基盤としたマルチメディアシステム構築のための技術に関する十分な品質の論文を掲載することができたと考えられる。
3.総括

 本研究会では、5回の定例研究会、シンポジウム、ワークショップを通して、研究者相互の交流と研究に対する活発な意見交換の場を提供することができた。特集論文については、非常に多くの方にご協力いただき、遅延のない査読プロセスを進めることができた。ここに改めて、ご協力頂いた皆様に感謝する。今後も、DPS関連研究者の更なる研究の活性化、また国際化への支援を進めていく予定である。皆様の積極的参加とご協力をお願いしたい。

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◆ヒューマンインタフェース(HI)研究会

[主査:増井俊之、幹事:大野健彦、小池英樹、中小路久美代]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他

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◆グラフィクスとCAD(CG)研究会

[主査:斎藤隆文、幹事:岡田 稔、金田和文、山口 泰]

1.定例の研究会活動報告
    本年度は第107~110回の研究発表会を開催した。
    各研究会の概要は以下のとおりである。

  • 第107回:学会会議室にて4月19日に開催し、8件の発表があった。また、平成13年度に開催された研究会ならびにシンポジウムにおける優秀な論文発表を対象とした、「情報処理学会グラフィクスとCAD研究会優秀研究発表賞」の表彰式を行った。
  • 第108回:夏の集中研究集会として「CGによる新たな表現と応用を目指して」をテーマに、蒲郡にて 8月 8~ 9日に催した。CGの新たな応用を目指した研究に関して21件の発表があり、1泊2日で活発な議論が行われた。
  • 第109回:慶應大学湘南藤沢キャンパスにて11月22日開催、「グラフィックスハードウエアを利用したCG ・モデリング技術」をテーマとした。12件の発表があった。なお、本研究会は、慶應大学の Open Research Forum の日程に合わせて開催することにより、出席者が大学の他の展示を見学できるようにした。
  • 第110回:岩手県地域連携研究センター(滝沢村)にて2月14日開催。テーマは「情報伝達のCG」で、15件の一般発表があった。また、来日中の Qun-Sheng Peng 氏 (Zhejiang University)に「Global Occlusion Map: A New Occlusion Culling Approach」というタイトルで招待講演をお願いした。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

グラフィクスとCADシンポジウムを、6月20~21日に画像電子学会Visual Computing研究委員会と合同で、早稲田大学にて開催した。本シンポジウムは、研究発表と討論を重視するシンポジウムとして高い評価を得ており、本年は過去最高の51件の投稿があった。時間の制約から、登壇発表とポスター発表合わせて32件を採録した。一般セッションは、情報の提示と検索、レンダリング、曲面、ノンフォトリアリスティックレンダリング、メッシュ処理、キャラクタデザインとアニメーション、という構成となった。いずれのセッションも、活発な討論により時間が不足気味であった。ポスターセッションの前に、各ポスターの概要を1件あたり3分で登壇発表していただいた。一般講演とは別に、日本からEurographicsに採択された研究の概要を
報告してもらう招待講演を2件行った。SIGGRAPHについては、残念ながら日本からの採録論文が無かった。特別講演は、「マイクロソフトリサーチアジアにおけるCG研究および研究戦略」と題して ハリーシャム 氏にお願いした。

3.総括

当研究会では、シンポジウムを合同開催するようになって以来、シンポジウムが著しく活性化され、年間の活動の中心となっている。それと共に、研究会への投稿件数も増加傾向にある。それらの他に、研究会登録会員へのサービスとして、以下のことを検討、実施した。

  1. 「情報処理学会グラフィクスとCAD研究会優秀研究発表賞」の制定
    2年に一度の山下記念研究賞の選考方法改善と、優秀な研究発表者の奨励を目的として、研究会独自の賞(通称GCAD賞)を制定した。これは、毎回の研究会ならびにシンポジウムの一般発表の中から、研究内容と発表の双方が優れたものを選定し、研究会として表彰するものである。平成13年4月の第103回研究会から適用され、前年度分の表彰を第107回研究会において行った。次回の山下記念研究賞は、平成13~14年度のGCAD賞受賞者を対象として、研究会としての選考が行われることになる。
  2. シンポジウム予稿集の研究会登録会員への配布
    前述のように、シンポジウムは当研究会活動の柱であり、発表論文の質も非常に高くなっているにもかかわらず、その予稿集は基本的に参加者だけに配布されるものであった。そこで、平成15年度からは、シンポジウム予稿集を研究会登録会員にも送付することとした。平成14年度については、そのための予算措置をしていなかったが、研究会積立金を活用することで、送付することとした。

     

4.その他

トランザクションやジャーナル特集号の議論が、このところストップしている。研究会としての方向性を再検討していきたい。また、シンポジウムの投稿件数の単調増加に今後どう対応していくか、検討が必要である。

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◆情報システムと社会環境(IS)研究会

[主査:神沼靖子、幹事:阿部昭博、魚田勝臣、椎名洋充]

1.定例の研究会活動報告
平成14年度から開催回数を年4回に戻し、第80~83回の研究発表会を開催した。第80回(6月22日、同志社大学、発表7件)は、電子政府・自治体を特集テーマとして、技術論のみならず自治体政策、法的制度の視点を交えて現状の課題と将来動向について理解を深めた。第81回(9月17日、学会会議室、発表5件)は、地域医療連携のための情報システム、タイ・日本等の事例比較に基づく政府の情報システムアウトソーシングに関する考察など、公共情報システム構築運用上の諸問題を中心とした研究発表が行われた。第82回(11月22日、学会会議室、発表7件)は、マーケティング理論のシステム開発への応用、ISM適用による問題構造化とワーキングデザイン技法を用いた情報化促進施策の分析など、消費者ニーズやIT政策の分析に立脚した研究発表が行われた。第83回(3月14日、専修大学、発表12件)の若手の会は、学部生・院生を中心に萌芽的な研究テーマについて議論が行なわれた。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
情報システム再構築におけるERPの重要性に着目し、「情報システムの再構築とERPワークショップ」を7月27日、大阪市の大和総研にて開催した。本テーマに興味を持つ実務家を中心として約50名の参加を得て、ERPユーザ、ERPベンダー、アプリケーションアーキテクチャ標準化推進者等、複数の立場から情報システム再構築におけるERPの役割と導入上の留意点について共有することができた。
3.総括

当研究会では、情報システムに関する種々の問題点の指摘やその解決策、利用者と共存するためのあるべき姿などを、情報システムに対して問題意識を持っている利用者、設計者、開発者などの多様な視点から議論してゆくことを目的として、活動を行なっている。平成14年度も13年度と同様に情報システムの方法論の提案や、具体事例の分析・考察を中心として、上記の通り定例の研究会活動を実施した。また、情報システム研究の活性化の方策として、本年度も最新トピックスをわかりやすく解説するチュートリアルを実施した。次年度は、これらに加えて、新たに情報システム研究における火急のテーマを取り上げた分科会活動を開始する予定である。

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◆情報学基礎(FI)研究会

[主査:仲尾由雄、幹事:岩山 真、浦本直彦、大山敬三、原田隆史]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他

 

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◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会

[主査:渡辺 裕、幹事:高村誠之、内藤 整、永吉 功]

1.定例の研究会活動報告
第37~40回の研究発表会を開催した。

第37回 7月26日、金沢大学工学部、発表件数4件。MPEG-4符号化、ベクトル量子化、教育用VODシステム記述言語などについて研究報告があり、活発な議論が行われた。
第38回 11月14日~15日、函館未来大学、発表件数37件。電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信研究会、情報ネットワーク研究会およびマルチメディア仮想環境基礎研究会との共済で行われた。ユビキタス・アドホックネットワークに関連した無線・画像・システム関連の研究発表がなされた。特別講演として、赤外線通信による携帯電話の可能性、GPS携帯の機能とサービス、次世代高圧縮MPEG-4符号化標準のMPEG-4 AVC/H。264に関連する3テーマが行われ、多くの質疑応答があった。
第39回 12月16日~17日、北海道大学工学部/名古屋大学工学部、発表件数33件。電子情報通信学会および映像情報メディア学会との共催で、岡山大、奈良先端大、北陸先端大など各大学を衛星回線で結んで行われた。 MPEG関連では、網品質に適合するQoS配信、MPEG-4ソフトコーデック、IP伝送のためのクロック再生、DV/MPEG-2トランスコードなどの発表があった。新しいところでは自由視点テレビに関する報告や低レートオーディオの客観音質評価法の報告もなされ、興味を引いた。
第40回 3月7日、 KDDI沖縄支店、発表件数13件。MPEG-4 FGSやJPEG2000を用いたスケーラブル符号化、アニメーション符号化、MPEG-7をベースとする映像素材アーカイブシステムやメタデータ交換サービスに関する報告のほか、興味を引いたところでは、生体信号から癒しのためのマイサウンドを生成するシステムの発表があった。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

 AVM研究会の取り扱う分野に関連が深い、「画像符号化シンポジウム(Picture Coding Symposium)および映像処理シンポジウム(Intelligent Media Processing Symposium)」へ共催した。2002年の11月11日~13日の3日間、浜名湖ロイヤルホテルにて開催され、約200名の参加があった。画像符号化や次世代映像処理について、106件の発表が行われ、特別講演や3次元映像処理に関する深夜までのナイトセッションも行われた。

3.総括

 AVM研究会はオーディオおよびビデオの圧縮、検索、流通にかかわる要素技術やシステム技術を取り扱っているが、今年度の特徴として、符号化や検索といった個々の技術だけでなく、それらをネットワーク特性を組み合わせた制御技術が増加したことが挙げられる。ADSLや光IPネットワークの普及に伴って、そのNW上での映像サービスを具体化する上で、実用技術という観点から重要視されてきていると思われる。このような観点から、今年度はモバイルやネットワーク系の研究会との連携を推し進めた。結果として、より多方面からの視点でオーディオビジュアル処理技術を見据えることができたとともに、人的ネットワークも拡大し、研究会の活性化にもつながった。平成15年度も積極的な連携を模索していきたいと考えている。

4.その他

 平成15年度は、従来から取り組んでいる国際標準化関連技術と連携した研究活動とともに、シンポジウムとしてはディジタルシネマなど、より専門性を深めた質の高い研究活動を行っていく予定である。

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◆グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会

[主査:星  徹、幹事:関 良明、垂水浩幸、野村恭彦]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括

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◆分散システム/インターネット運用技術(DSM)研究会

[主査:箱崎勝也、幹事:相原玲二、大塚秀治、宮地利雄]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括

 

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◆デジタル・ドキュメント(DD)研究会

[主査:大野邦夫、幹事:市山俊治、今村 誠、根岸寛明]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他

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◆モバイルコンピューティングとワイヤレス通信(MBL)研究会

[主査:高橋 修、幹事:井手口哲夫、井戸上彰、太田 賢、塚本昌彦]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括

 

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◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会

[主査:岡本栄司、幹事:菊池浩明、寺田真敏、村山優子]

1.定例の研究会活動報告

H14年度は、第17回~第20回の研究発表会を開催し、発表件数合計108件にのぼった。このうち、第18回の研究発表会では、セキュリティ分野での学会間の交流を目的とした合同研究発表会を「電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC)」と共に、また、第20回の研究発表会では、研究会間の交流を目的とした合同研究発表会を「マルチメディア通信と分散処理研究会」と共に開催した。いずれの合同研究発表会も、セキュリティの研究視野を広げる上でも有意義であった。平成14年度の発表内容も、電子社会、電子透かし、ネットワークセキュリティ、暗号、セキュリティ評価など多岐に渡っている。

特に、第20回の研究発表会において実施した2件の招待講演は好評であった。
・ハイテク犯罪の対策活動を事例と共に紹介した
「ハイテク犯罪の現状と対策について」    寺田良輝 (京都府警察本部 ハイテク犯罪対策室長)
・ディジタルコンテンツのビジネス活用事例を紹介した
「ディジタルアーカイブについて」    清水宏一 (京都デジタルアーカイブセンター副所長)

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
  • コンピュータセキュリティシンポジウム2002 (CSS2002)
    2パラレルセッションで3日間の形式とし、大阪市立大学メディアセンターで10月30日~11月1日にかけ開催した。昨年に引き続き開催期間を3日としたこと、関西地区で開催したこともあり、参加者総数196名、最終投稿数は特別講演を含み81件、セッション数も特別講演を含み24となり、盛況なシンポジウムとなった。また、会期中インターネット接続環境を提供したり、招待講演をインターネット中継するなど、大阪市立大学メディアセンターのネットワーク施設を最大限活用したサービスを提供することで、シンポジウムの活性化にも努めた。

    ・「ISO/IEC JTC1/SC27における情報セキュリティ標準化動向」
    中尾康二 (KDDI研究所 コンピュータセキュリティグループ)
    櫻井幸一 (九州大学大学院 システム情報科学研究院)
    ・「個人情報保護法案と情報セキュリティ」
    鈴木正朝 (ニフティ株式会社)

  • マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2002) シンポジウム
    7月3日~5日にかけ、西伊豆 土肥温泉 桂川シーサイドホテルにおいて開催した。 DICOMOは、情報処理学会のCSEC研究会を含む多数の研究会が協賛しているシンポジウムであり、ネットワークからセキュリティまで幅広い研究分野をカバーしている。このため、セキュリティについての発表テーマも、セキュリティ管理、セキュアシステムとその実現手段、認証ならびにプライバシ保護と多岐に渡っている。一般講演141件、参加者総数250名前後と盛大なシンポジウムとなった。
  • 論文誌「電子社会に向けたコンピュータセキュリティ技術」特集
    本特集では、情報処理技術と通信技術の発展により生まれた情報環境を安全な電子空間とするための基礎となる理論や方法論のみならず、実際の応用システムに関する研究論文を一括掲載することを目的として企画し、査読の結果、27件を採録とした。特集号では、当初のねらい通り、セキュリティに関する、方法論や実システムの評価論文を多く採録することができ、電子社会に向けたコンピュータセキュリティ技術を読者に十分に伝えることができるであろうと考えている。
  • 論文誌「新たな脅威に立ち向かうコンピュータセキュリティ技術」特集
    本特集号は、2003年8月の発行を予定しており、現在、特集号編集委員会により編集作業を進めている。本特集号においても方法論だけではなく、実システムの評価論文も数多く採録することにより、コンピュータセキュリティ技術の新たな側面を読者に伝えていきたいと考えている。
3.総 括

研究発表会4回のうち2回を合同研究会形式とし、また、DICOMO2002シンポジウム、(財)日本情報処理開発協会 ワークショップ「ユビキタス情報社会におけるセキュリティ・プライバシー確保を目指して」にも協賛するなど、研究会発足5年目も、学会ならびに研究会間の交流に力を入れ、セキュリティ技術研究の広がりと深みを増すための場の提供に注力した。ユビキタスコンピューティング、電子政府や電子投票など、コンピュータを利用した新たなシステムが現実のものとなるにつれ、研究会の関連する分野も広がってきている。このような時代のニーズに答えるべく、今後も、各方面の研究者の意見交流の場の提供、CSEC 関連研究者の更なる研究の活性化、また国際化への支援を進めていく予定である。皆様からの、CESC 研究会への多くのご意見、またご協力をお願いしたい。

4.その他

平成15年度は、研究発表会4回(うち地方開催2回)、10月末に北九州(北九州国際会議場)でのシンポジウムCSS2003を開催する予定である。研究発表会では、H14年度に引き続き、第22回「電子情報通信学会ISEC」との合同開催、第24回「マルチメディア通信と分散処理研究会」との合同開催を計画している。また、2004年8月特集号『プライバシを保護するコンピュータセキュリティ技術』発行をめざした特集号編集委員会の立ち上げ、「マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2003) シンポジウム」なども計画している。今後共、会員の方々には積極的な発表、論文投稿と参加をお願いしたい。

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◆高度交通システム(ITS)研究会

[主査:松下 温、幹事:小花貞夫、小西達裕、関  馨、屋代智之]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他

 

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◆高品質インターネット(QAI)研究会

[主査:尾家祐二、幹事:江崎 浩, 岡村耕二, 山崎克之, 吉田健一]

1.定例の研究会活動報告

本研究会は電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究会(IA)及びインターネット時限研究会(IRC)と合同で活動を行っている。14年度は4回の研究発表会を開催した。IA, IRCに加え、5月に開催した第1回研究会は日本学術振興会第163インターネット技術研究委員会と、10月に開催した第3回研究会は通信・放送機構と、2 月に開催した第4回研究会は電子情報通信学会情報ネットワーク研究会とそれぞれ共催した。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
「マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2002)シンポジウム」をDPS, GN, DSM, MBL, CSEC, ITSの各研究会と共催した(西伊豆 土肥温泉 桂川シーサイドホテル)。QAIは情報処理学会とIEEE Computer Society共催の国際会議SAINT(International Symposium on Applications and the Internet)の日本側における中心的な活動を行っている。平成14年度は1月27日~31日にSAINT2003を米国フロリダで開催した。
3.総括

既存のアプリケーションの通信機能の評価、既存のトランスポートプロトコルの品質評価、ルータにおける品質制御手法の評価、ユーザ側での品質改善手法の評価、新しいトランスポートプロトコルの評価、インターネット向きトラフィックモデルの確立、通信路実験装置、トラフィックデータのデータベース化、伝送レベルでのデータ収集に関する社会的妥当性の検討などインターネットの普及にともない重要性の高まっているインターネットの基礎技術について広く議論した。

4.その他

今後もIA、IRC等との協力関係を維持し、インターネット基礎技術研究者の活動を広く集約することを目指して活動を継続していく予定である。

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◆システム評価(EVA)研究会

[主査:福田 晃、 幹事:河野知行、 清水尚彦、 中西恒夫]

1.定例の研究会活動報告

平成14年度は、第3から5回、計3回の研究発表会を開催し、21件の発表が行われた。

* 第3回研究発表会
2002年6月7日に東京都文京区の株式会社アイアイエムにて第3回研究会を開催した。マルチメディア、ネットワーク、CPU/ストレージ等の評価に関する発表が 6 件、シミュレーションに関する発表が 2 件、合わせて 8 件の発表が開催され、評価を共通のキーワードにアプリケーションドメインをまたがる活発な議論が行われた。
* 第4回研究発表会
2002年8月21日に大分県湯布院町の湯布院ハイツにて第4回研究会を開催した。当該研究発表会は、毎年夏に並列/分散/協調処理に関連する情報処理学会の4研究会(ARC、HPC、OS、 PRO)ならびに電子情報通信学会の2研究会(CPSY、 DC)が連続開催される「並列/分散/協調処理に関するサマーワークショップ(SWoPP)」の一環として開催された。システム評価研究会が SWoPP に参加するのは今回が始めてである。並列処理と評価、ならびにシステム評価一般に関する 6 件の発表が行われた。
* 第5回研究発表会
2003年3月7日に愛知県瀬戸市の南山大学にて第5回研究会を開催した。システム評価研究会が東海地方で開催されるのは今回が始めてである。システム評価一般に関する 7件の発表が行われた。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

* コンピュータシステムシンポジウム 2002
2002年11月19日から20日に横浜市西区のパシフィコ横浜にてコンピュータシステムシンポジウム 2002 を、組込みに関する総合展示会「Embedded Technology 2002」と併設する形で開催した。当該シンポジウムはシステムソフトウェアとオペレーティングシステム(OS)研究会が主催となって長年開催してきたものであるが、平成13年度よりシステム評価研究会も参加し、同研究会との共催は2年目である。「ポスト PC 時代を支える基盤ソフトウェアとシステム評価」をテーマに、18 件の一般発表と 2 件の招待講演が行われた。システム評価研究会からは招待講演者として Univ. of California、 Irvine の Prof. Alex Nicolau を招いた。

3.総括

システム評価研究会の使命は、これまで情報科学、情報工学の分野でアプリケーションごとに議論されてきた「評価」の問題を横断的に議論する場を提供するところにある。今年度の研究発表会における発表の内訳はオペレーティングシステム、アーキテクチャ、ネットワークに関するものが多く見られ、システム評価研究会で議論される分野が拡大されつつあるように感じられる。研究発表会において、参加者の出身分野がまちまちであることもあり分野をまたがった評価に関する議論を誘起するには至っておらず、その点については運営側の課題が残る。今年度は、各方面の分野において評価に携わる発表者・参加者を一層募るとともに、個々の研究発表会のセッションでは対象分野について一定のベクトルを示す等の運営上の工夫を施し、上述の課題を克服したい。

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◇知的都市基盤(ICII)研究グループ

[主査:中島秀之、幹事:大内一成、久野 巧、平松 薫]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他

 

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◇情報家電コンピューティング(IAC)研究グループ

[主査:徳田英幸、幹事:井上雅裕、斉藤 健、戸辺義人]

1.定例の研究会活動報告

平成14年度は、第3~5回の研究発表会を開催した。第3回研究会は6/14に、電子情報通信学会新世代ネットワークミドルウェアと分散コンピューティング研究会と共催形式で、大阪大学吹田キャンパスにて開催した。一般発表6件以外に、ケンブリッジ大学 Andy Hopper 教授による招待講演と京都大学岡部先生の特別講演があり、充実した議論を行うことができた。第4回研究発表会は11/18に、情報処理学会会議室にて開催した。9件の一般講演と1件の特別講演からなり、情報家電、デジタル放送等システムソフトウエア/ミドルウエア等、多岐に渡る分野における発表が行った。第5回研究発表会は3/4に、映像情報メディア学会コンシューマエレクトロニクス研究会と共催で慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにて開催した。映像情報メディア学会と共催ということもあり、通常よりもさらに家電に特化した議論を行うことができた。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

IEEE International Conference on Distributed Computing Systems (ICDCS) 2002 の併設ワークショップであり、7/2にウィーンにて開催された
IWSAWC (International Workshop on Smart Appliances and Wearable Computing) に協賛で参画した。欧米各国の研究者、技術者を交えて、情報
家電に関する多くの議論を行うことができた。

3.総括

本研究グループは、2001年度発足し、産業界から多くの参加者を集めることができ、産学合同での議論の場を提供することができた。また、本研究グループを窓口として、海外の一線で活躍する研究者を招いて議論できたことは、本分野の促進に貢献できたと考えられる。情報家電は個々の事例を見ると製品化の動きも目覚しいものがあるが、システム全体としての議論も重ねて行く必要もあるし、情報家電によるコンピューティングをユビキタスコンピューティングの一例としてより広い議論を行う必要もあり、平成15年度からはより広く、ICII研究グループと共に、ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI)として活動することにした。

4.その他

産業フォーラム/情報家電を企画、開催し、情報処理学会の非会員を多く集め、産業界の専門家による講演とパネル討論を通じ、情報処理学会の中での情報家電に関する取り組みを知っていただいた。本研究グループの活動を通して、以前は情報処理学会と接点のなかった産業界の人々に情報処理学会に参加していただくことが可能となった。

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◇放送コンピューティング(BCC)研究グループ

[主査:水野忠則、幹事:岡田謙一、菅 隆志、楠見雄規]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
 

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フロンティア領域


◆自然言語処理(NL)研究会

[主査:島津 明、幹事:奥村 学、内元清貴、白井清昭]

1.定例の研究会活動報告

第149~154回の研究発表会を開催した。

5月の研究会はSLP研と合同で千葉大学開催し、一般発表に加え音声言語に関する言語処理の特別セッションを開いた。このテーマに関する多くの発表があり、有意義な議論が展開された。7月には、電子情報通信学会のNLC研と合同で東北大学で開催した。地方の開催であるにもかかわらず、28件という多数の研究発表があった。9月にはFI研との合同研究会を国立国語研究所にて開催し、文書検索・分類、機械翻訳などの研究発表が行われた。後半の3回の研究会は単独開催であったが、言語分析、形態素解析、構文解析、意味解析、談話解析などの言語処理の基礎的な解析技術から文書処理、要約、情報抽出、機械翻訳などの幅広い応用に関する発表がバランスよく行われた。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

平成14年度は実施なし。

3.総括

平成14年度も6回の研究会を開催した。発表申込、参加申込とも順調で、132件の発表と398名の参加者を集めることができた。開催の半数を他学会(電子情報通信学会NLC研究会)および他研究会(SLP, FI)との協賛とする方式、および、隔月で関東方面とその他の地域を交代で開催地とする方式も定着し、自然言語処理に関する代表的な研究発表の場として機能している。

4.その他

今後も、年6回の関東およびその他地域での開催、他研究会との合同開催を進める予定である。

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◆知能と複雑系(ICS)研究会

[主査:沼尾正行、幹事:和泉 潔、小野 哲雄、河野浩之、栗原 聡]

1.定例の研究会活動報告

 第128-132回の5回の研究発表会を開催した。

  • 第128回 平成14年5月23、24日 発表32件、人工知能学会知識ベースシステム研究会との共催で、韓國海洋大學校で開催された。一般講演が5件、特集 「アクティブマイニング」の発表が27件に加えて、柳吉洙教授(韓国海洋大学校)の招待講演をもった。特定領域(B)「アクティブマイニング」と協力をもったことから、情報洪水時代におけるデータ収集・発掘・洗練の統合による知の上昇スパイラルに関わる幅広い視点から研究発表が行われた。なお、「アクティ ブマイニング」セミナーが併催された。
  • 第129回 平成14年7月25日26日 発表10件+招待講演1件。岩手県立大学にて、ICS、IEICE-SITE(技術と社会・倫理研究会)、IEICE-OIS(オフィスインフォメー ション研究会)、IEICE-AI(人工知能と知識処理研究会)の4研究会共催研究会と して開催された。「ブロードバンド時代のAIとオフィス」という議題を設け、招待講演として岩手県立大学の村山優子教授による「ブロードバンド時代の新しいコミュニケーション」というテーマでの講演を企画した。AI、倫理、オフィ スという分野の異なる研究会の共催ということで、多彩な研究発表が行われ、活発な議論が展開された。
  • 第130回 平成14年11月12・13日 発表19件。人工知能学会知識ベースシステム研究会との共催で、函館大沼プリンスホテルで開催された。一般発表が7件、 特集「ヒューマンエージェントインタラクション」の発表が12件あった。エージェントのシンポジウムであるJAWSと連続開催であったこともあり、人とエージェント(ロボット)との相互作用に関する幅広い研究結果が紹介され、活発な議論がなされた。
  • 第131回 平成15年1月29日~31日 パネル討論1件・他特集38件、一般3件。 電子情報通信学会(人工知能と知識処理研究会)との共催で、産業技術総合研究所臨海副都心センター(東京)において開催された。テーマは、「社会システムにおける知能」で、一般発表も含めた42件 (うち、1件はパネル討論)の発表があった。主に、経済システムのモデル、 人工知能、知的情報検索、推論、 エージェントなどに関する発表が多く、 活発な議論が行われた。例年は2日間の開催であるのだが、今年は多数の発表申し込みがあったため、3日間に拡大して開催した。
  • 第132回平成15年3月13、14、15日 発表33件、電子情報通信学会人工知能 と知識処理研究会、人工知能学会人工知能基礎論ならびに知識ベースシステム研究会との共催で、大阪市立大学文化交流センター(13、14日)大阪市立大学 医学部医学情報センター(15日)で開催された。一般講演が5件、特集「アク ティブマイニング」の発表が28件あった。文部科学省科学研究費特定領域研究 「情報洪水時代におけるアクティブマイニングの実現」の公開シンポジウムと連携したことから、データベースやネットワーク技術の進展に伴い変化する多様な領域に関わる研究発表が行われ、活発な討論が行われた。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

 平成14年度は実施なし。

3.総括

 発表件数および参加者はかなり多く、この分野の研究活動が盛んになりつつあ ることが実感された。韓国での開催の試みも成功であった。

4.その他

 特になし。

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◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会

[主査:池内克史、幹事:佐藤洋一、村上和人、八木康史、和田 俊和]

1.定例の研究会活動報告

第133-137回の研究会を開催した。本年度は、以下のテーマ別オーガナイズドセッションを企画し、毎回100名前後の聴講者があり、熱心な討論が行われた。
第5回(2002年11月):新しいロボットビジョンの動向(1)--作業のための視覚
第6回(2003年1月) :新しいロボットビジョンの動向(2)--移動のための視覚
また、若手研究者の育成を目的に前年度に開始した企画として、前年度学部を卒業し修士課程に進学した学生を対象とした特別セッションを2002年5月にその第2回目を開催した。この特別セッションでは、学部課程で研究してきた内容(卒業論文の内容)をポスター形式で発表してもらった。そして、優秀な発表に対して、研究会より最優秀賞ならびに優秀賞を授与した。以下は、2002年5月開催の第2回卒業論文セッションの受賞者である。

最優秀賞 (1名)
【133-2】 題名:室内における背景と物体の分離  著者:○森田 順也、岩井 儀雄、谷内田 正彦(阪大)
優秀賞 (2名)
【133-9】 題名:実時間手指姿勢推定のためのロバストな輪郭画像照合   著者:○今井 章博、島田 伸敬、白井 良明(阪大)
【133-13】題名:高精細パノラマ画像入力システム   著者:○福井 章仁、八木 康史、谷内田 正彦(阪大)

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

2002年7月30日(火)から8月1日(木)の3日間にわたり、名古屋工業大学にて、第6回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2002)(主催:情報処理学会コンピュータビジョンとイメージメディア研究会(CVIM)、共催:電子情報通信学会ISSパターン認識・メディア理解研究会(PRMU))を開催した。MIRUは、国内で最大規模の画像の認識と理解に関するシンポジウムで、同分野の多くの研究者が集い新しい研究展開を議論したり、情報を交流する場となっており、今回も300名以上の参加者があった。なお、今回は新しい試みとして査読によって優秀論文10編を選定し、シングルトラックでの発表枠を設定するとともに、情報処理学会論文誌:コンピュータビジョンとイメージメディアにおけるMIRU2002優秀論文特集号への推薦制度を実施した。

3.情報処理学会論文誌:コンピュータビジョンとイメージメディアの報告

本年度は、第4号、第5号を発行した。いずれも、平成13年度に実施した研究会のテーマ別オーガナイズドセッションと連携した形で特集号を組んでいる。また、第5号では、研究会における優秀発表を選出した研究会推薦論文を合わせて掲載した。
第4号 「特集:人を観る」(2002年6月発行)
第5号 「特集:大量カメラとネットワーク」+「研究会推薦論文」(2002年12月発行)

4.総括

本年度は、研究会論文誌への推薦制度が具体的な形として結実した。また、当該分野における国内で最大のイベントである画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2002)を主催し、分野の活性化に大いに貢献した。また、研究会、MIRU、研究会論文誌の連携も特筆できる。

5.その他

次年度は例年通り6回の研究会開催を予定している。研究会におけるオーガナイズドセッションと研究会論文誌との連携を継続・強化する予定である。さらに、関連する他学会研究会との連携を強化するために、2003年9月にFIT2003と連動して、PRMU研究会との併催を予定している。オーガナイズドセッションでは以下のテーマを予定している。
第7回(2003年7月) :顔モデリングと画像認識・合成
第8回(2003年11月):街を観る(1)
第9回(2004年1月) :街を観る(2)

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◆コンピュータと教育(CE)研究会

[主査:川合 慧、幹事:佐野 洋、澤田伸一、辰己丈夫]

1.定例の研究会活動報告

 第64~68回の研究発表会を開催した。第64回から順に、大阪学院大学、豊橋技術科学大学、長野大学、東京農工大学、学会会議室での開催であり、全体で46件の発表があった。前年と比べて研究会回数を1回増やしており、発表件数もそれに応じて増加している。後述の夏の情報教育シンポジウムにおいても、招待講演を除いて35件の質の高い研究発表があり、定期研究会の活動が年を追って活発化して来ていると言える。
昨年度とくに顕著になってきた傾向としては、実際的なeラーニングを目指す研究、教育・学習支援システムや教材コンテンツの研究、教育現場の環境を高度化する研究、HCI(Human-Computer Interaction)とも関連して、教材やシステムに意味論的な視点を持ち込む研究、などが盛んになってきたことである。また、新学習指導要領の中の「情報」に関しては、概念的な議論から実際の教育内容と方法とに関心の重点が移ってきており、実際的な分析研究も見られるようになってきた。さらにこれらを意識しながら大学教育を考える傾向も強まっており、2006年度への対応の必要性が強く認識されるようになってきているといえるであろう。

2.シンポジウムの報告

 平成14年8月21日~23日に「情報教育シンポジウム SSS2002」を兵庫県三田市の関西学院大学および同大学の千刈セミナーハウスで開催した。これは、当研究会が主催するシンポジウムとしては4回目となるが、副題である「これまでの情報教育・これからの情報教育」が示すとおり、変革期にある情報教育について、“情報教育”に関わる三つの軸 — 学校教育サイド、研究者サイド、教具教材開発サイド—が、立場の差異を認識しつつもその境界を乗り越えて語りあうという趣旨で開いたものであり、SSS99以来、熱気のこもった合宿型研究発表会となっている。今回も、査読制の基で、252ページに上る論文予稿集を初日に配布し、二泊三日にわたって深更まで議論するという厳しいものであったが、127名に上る参加者があって成功した。全体セッションが2、分科会セッションが6、そして、いまではすっかり名物となったナイトセッション2とレイトナイトセッションが、ビールサーバの活躍のもとで開かれた。内容的にも優れた論文が多く見られ、併設した企業展示ともあいまって、充実したシンポジウムとなった。

3.総括

 平成14年度は、「初等中等教育における情報教育」への対応から、より高度な「大学などにおける情報教育」へと力点が移り始めた年であり、研究の新たな方向を求めての活動が始まった年と位置づけることができる。2項に述べたように、発表された研究会論文は、実用性や先見性の点で従来とは違った特徴と充実が見られるようになり、こらからの発展が期待される。
それでもまだ、研究会の登録会員数に比べて発表件数が多いとは言えない。一昨年度の議論により研究会の開催数を増やし開催地の選定にも配慮を払ったが、一層の改善が求められていると認識している。ただし、「教育」ということを掲げる研究会であるため、他の研究会に所属し、当研究会の研究報告だけを閲覧する会員もかなりの数に上ることが分かっているので、単に発表数を増やすだけではなく、近年の教育観の変化と、情報社会に対する洞察を根底において、独創的な研究活動の支援を発展充実させることを目標にしている。
また、研究会で発表された研究の成果が出来るだけ広く流布されることが、研究会として最も重要なことであるという認識のもとに、以前から検討を重ねていた論文化推進委員会の活動によって、研究会発の研究論文を数多く世に出す活動も継続して行なっている。

4.その他

  平成12年度から始まった研究運営委員制度について、前主査の基本方針、すなわち単なる情報収集から主体的参加者への転換が次第に浸透・定着してきた。具体的には、運営委員の研究会運営への積極的な参加、たとえば運営委員会への出席、研究会発表の推進、シンポジウム他の活動への積極的な寄与、などの機運が高まり、研究会の主体性が確立してきた。その結果、発表会の司会にに若手で意欲的な研究者を当てることが出来るようになり、討論の内容も深まってきた。

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◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会

[主査:加藤常員、幹事:相田 満、山本泰則、リンネ マリサ]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他

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◆音楽情報科学(MUS)研究会

[主査:小坂直敏、幹事:片寄晴弘、菅野由弘、堀内靖雄]

1.定例の研究会活動報告

第45~49回の研究発表会を開催した。平成14年度は分野の学際性を反映し、他研究会等との共催研究会が4回を数え、また、コンサートも含めて発表内容は多岐にわたった。年間発表件数(研究報告目次掲載分)は80件であり前年度の56件に比べて飛躍的に増加した。各研究発表会の内訳は以下の通り。

* 第45回(5月18・19日:図書館情報大学・メディアホール) 日本音楽知覚認知学会と共催。発表23件およびフリーディスカッション。
* 第46回(7月7日:ATR)。音楽の表情付けに関する国際ワークショップ 蓮根の翌日開催。発表12件とフリーディスカッション。
* 第47回(10月25・26日:北陸先端大学)発表22件とフリーディスカッション。
* 第48回(12月21・22日:くらしき作陽大学)インターカレッジ・コンピュータ音楽コンサートと共催。発表8件。コンサート33作品、展示若干。
* 第49回(2月21・22日:大分:日本文理大学 湯布院研修所)日本音響学会音楽音響研究会と共催。発表15件。

研究会参加者人数は平均40名であった。例年同様、自動作曲・編曲、作曲支援、音楽分析、自動伴奏、自動演奏、演奏モデル、音色合成、物理モデル、自動採譜、音楽検索、音楽情報処理システム、メディア情報処理システム、邦楽・民俗音楽の情報処理、音楽認知・理解、等、音楽情報科学全般にわたり幅広い発表があった。第45,46,48,49回は2日プログラムであった。蓮根のプロジェクトは、国際的な場としても発展している。第46回は同ワークショップの翌日と位置づけたため、研究会自体が国際的な場となった。

2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告

平成13年度のサウンド・プログラミング入門のチュートリアルの成功を受けて、平成14年度もコンピュータ音楽チュートリアルの実施を予定していたが、これは実現されなかった。こうした企画が実現しなかった理由としては、適当なチュートリアル推進者がみつからなかったことがある。

3.総括

本研究会の特徴のひとつとなっているインターカレッジコンサートは、各大学の表現、制作系の学生の作品発表と交流を中心とした企画で、年々充実してきた。平成13年度は、研究とのコミュニケーションがうまくはかれなかったが、これを改善するため、1)インターカレッジのワーキンググループ(WG)化を図る。2)運営委員会に毎回WGからのメンバが参加する、ことを義務付ける、ことでコンセンサスが得られ、制作系と研究者との協力体制が確認された。一方、インターカレッジとは別に、一般人の制作者の作品発表の機会の場として新たにコンピュータ音楽シンポジウムを立ちあげる構想が持ち上がり、現在推進している。

4.その他

論文特集号を2年に一度程度発行することでコンセンサスが得られてきた。初回は平成13年度であったため、平成15年度に第2回目の論文特集号が発行できるよう企画し、学会に提案しオーソライズされた。ここでも、コンテンツ系の論文を受け入れられるよう、対象とするテーマの幅をやや広くして音楽研究分野の発展を促す意図を明らかにした。今後は蓮根WGのますますの充実、インターカレッジの研究発表への参画、制作系WGの立ち上げと研究会への積極的な関わり、エンターテインメント、音楽ビジネスを意識した研究、あるいはこれらのテーマに関連するテーマを含む研究
会とのリンク(協賛あるいは共催企画)などについて見当していきたい。

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◆音声言語情報処理(SLP)研究会

[主査:小林哲則、幹事:伊藤克亘、河原達也、中村 哲]

1. 定例の研究会活動報告
第41~50回の研究会を開催し、合計85件の一般講演、11件の招待講演(記念講演を含む)、2件のサーベイ講演が行われた。
  • 第41回:一部を自然言語処理研究会(NL)と合同開催。「情報検索のための音声・言語処理」をテーマとして、徳永健伸氏 (東工大)による「アニメーション生成のためのレキシコンの構築」と題した招待講演と10件の講演があり、活発な討論が行われた。

  • 第42回:1泊2日の合宿形式。ロボット・人工物とのインタラクション、雑音下音声認識をテーマに、13件の講演と自由討論が行われた。雑音下音声認識は世界的規模で定期的にコンテストが実施されているテーマであり、また当研究会にワーキンググループを設けたテーマでもある。今後、急速に発展が見込めるテーマである。

  • 第43回:「音声・言語による非構造化データの情報検索」をテーマとして、黒橋禎夫氏(東大)による「自動質問応答システム・ダイアログナビの現状と課題」、伊藤克亘氏 (産総研)による「NTCIR-3ワークショップにおける音声入力型ウェブ検索タスク」の2件の招待講演を行うとともに、6件の一般講演が行われた。残念ながら一般講演の中にはテーマ関連の研究は少なかったが、今後活発な取組みが予想される魅力的テーマと考えている。

  • 第44回:第4回目となる「音声言語シンポジウム」の形式で開催。電子情報通信学会音声研究会・言語理解とコミュニケーション研究会、音声研究会と共催(2日間)。4件の招待講演(「パターン認識における特異モデルの役割について」渡辺 澄夫氏 (東工大)、「音声による言語バリアフリーな多言語情報アクセス」 藤井 敦氏 (筑波大/科技団CREST))、2件のサーベイ(セグメントモデルに基づく音声認識、有限状態トランスデューサ(FST)を用いた音声言語処理)を中心に、36件の一般講演があり、熱心な討論が行われた。また、山下賞授賞記念など4件の記念講演も行われた。

  • 第45回:1泊2日の合宿形式。「Usefulness of Phase in Speech Processing」 Kuldip.K.Paliwal氏 (Grifith_Univ./ATR-SLT)、「インターネット上の最近のコ ミュニケーションツール」増井俊之氏(ソニーCSL) の2件の招待講演と、20件の一般講演が行われた。

2.シンポジウム・小規模国際会議の報告

平成14年度は実施なし。

3.総括
4年目を迎えた12月開催の「音声言語シンポジウム」は、一定の評価を得て、企画として定着してきた。本年度も、招待講演、サーベイともに優れた講演が続き、充実していた。
15年度の傾向としては、雑音音声のワーキンググループが立ち上がったこともあって、従来からの音声・言語処理の応用的研究発表に加え、信号処理的な研究発表が増加したことが挙げられる。今後研究会は、音声言語処理のフロントエンドからバックエンドに跨る総合的な研究分野を志向することが予想される。
4. その他

 昨年度に引き続き、連続音声認識コンソーシアム(CSRC)(代表:河原幹事)が着実な成果を上げている。本コンソーシアムは、共通利用可能な音声認識ツールの提供とその普及を目的とするものであるが、順調に体制を固めるとともに、求められる役割を確実に担っている。
また、雑音音声認識をテーマとして立ち上げたワーキンググループも、国際コンテストに関する啓蒙活動や共同研究報告など、順調な活動を続けた。今後益々の成果が期待できる。
尚、本年度は山下賞選奨の年であり、「音声補完:“TAB” on Speech」後藤 真孝氏 (産総研)と「『日本語話し言葉コーパス』の設計の概要と書き起こし基準について」小磯 花絵氏 (国語研)の2件を選出した。音声言語情報処理研究会に相応しい優れた内容の研究を複数選出できたことは、大きな喜びであった。

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◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会

[主査:安田 浩、幹事:河原正治、中野 潔、山下博之]

1.定例の研究会活動報告
    以下の通り、第16~19回までの4回の研究会を開催した。

  • 第16回:6月22日、東京大学駒場リサーチキャンパスにおいて開催。発表件数7件。
  • 第17回:9月12、13日、九州大学工学部箱崎地区 ベンチャービジネスラボラトリにおいて開催。発表件数19件(マルチメディア通信と分散処理研究会と共催)。
  • 第18回:12月7日、お茶の水女子大学において開催。発表件数6件。
  • 第19回:2月22日、早稲田大学において開催。発表件数6件。
2.シンポジウム・小規模国際会議の報告

平成14年度は実施なし。

3.総括

 平成14年度は、昨年度に引き続き、研究発表・議論の場を提供すると同時に、計4回の研究発表会において招待講演を設定することで、聴講者にタイムリーな話題を総合的に紹介することを心がけた。また、第17回研究会は、マルチメディア通信と分散処理研究会と共催したことにより、両研究会での境界領域のテーマでの発表が喚起された。
発表テーマとしては、平成14年度に引き続き、著作権管理システムおよび電子商取引に関するものが中心であった。今年度の特色の一つとして、デジタルアーカイブに関する技術的・法的課題に関する研究発表が増えたことが挙げられる。また、モバイルコマースやインターネットオークションに関わる問題についても意欲的な発表が多く、活発な討論が展開された。平成15年度もこのような新しい視点での研究発表が増加すると考えている。

4.その他 

本研究会の特徴は、情報技術者だけではなく、弁護士、ジャーナリスト、行政関係者など、隣接分野からの参加者も交えて、オープンな討論が行われることであり、平成15年度も同様に4回の研究発表会を開催し、活発な議論の場を提供していく予定である。また、平成15年度は研究会主催の初めてのシンポジウムである「電子政府に向けての社会基盤シンポジウム」を計画している。

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◆ゲーム情報学(GI)研究会

[主査:松原 仁、幹事:飯田弘之、田中哲朗、吉川 厚]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議の報告
3.総括
4.その他

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