2007年度研究会活動報告
2007年度研究会・研究グループ活動報告
<調査研究運営委員会>
CMSgr
<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS EMB
<情報環境領域>
DPS HI CG IS FI AVM GN DSM DD MBL CSEC ITS QAI EVA UBI BCCgr
<フロンティア領域>
NL ICS CVIM CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO NEgr
調査研究運営委員会
◇教育学習支援情報システム(CMS)研究グループ
[主査:美濃導彦、幹事: 井上 仁,角所 考,梶田将司,渡辺博芳]
1.定例の研究会活動報告
平成19年度は,第5-7回の研究発表会を開催した.
第5回は大阪大学で開催し,「CMSにおけるユーザインタフェース」に焦点をあて,大阪大学岸野教授による招待講演および8件の一般研究発表があった.
第6回は教育とコンピュータ研究会と共催の研究会を高知工科大学で開催した.東京農工大学中森教授による特別講演および18件の一般研究発表があった.
第7回は福井県国際交流会館で「授業・学習の可視化シンポジウム」と連続して開催し,「学習履歴利用に関する研究,実践,システム開発」をテーマにした5件の一般研究発表と,オープンソースCMSのSakaiのチュートリアルを行った.
以上3回の研究発表会では,いずれも40名程度の参加者があった.
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
9月に開催されたFIT2007においてコンピュータと教育(CE)研究会と共同で「eポートフォリオによる新たな教育・学習環境の構築と実践」と題したイベント企画セッションを開催し,様々な分野から約40名の参加があった.
3.総括
本研究グループでは,オープンソースシステムによるコース管理システムの開発報告,導入実践報告,商用システムを使った実践報告などを主な研究テーマとしており,設立以来,これらのテーマに関連する研究発表会を開催しているが,毎回安定した参加者数が得られており,昨年度に関しても1.で述べたように,各回40名程度の参加者が見られたことから,本研究グループの活動意義は十分に存在すると考えている.
また,2.で述べたように,昨年度は通常の研究発表会に加え,関連研究会との共同によるイベント企画セッションをFIT2007において開催したが,これに対しても相当数の参加者が認められたことから,周辺分野との連携も重要であると考えている.
近年,大学における教育の情報化は益々加速しつつあり,本研究グループにとってもさらなる活動の拡大が見込まれる状況であることから,他研究会やシンポジウムとの共催や連続開催等も検討しつつ,教育学習支援システムに携わる多くの人々の議論の場を引き続き提供してゆきたいと考えている.
4.その他
以上の状況を踏まえ,第7回の運営委員会において今後の活動方針を議論し,別途報告の通り,平成20年度の活動計画を決定した.具体的には,5月に名古屋,9月に大阪,12月に北九州で研究発表会を開催予定である.このうち,5月研究会は「キャンパス情報システム」をテーマとし,日本学術振興会産学協力研究委員会インターネット技術第163委員会(通称: ITRC,URL: www.itrc.net) 第23 回研究会・シンポジウムとのコロケーションを企画中(招待講演,懇親会)である.また,12月研究会は情報教育研究集会とのコロケーションの可能性も検討している.
コンピュータサイエンス領域
◆データベースシステム(DBS)研究会
[主査:角谷和俊、幹事:有次正義、菅 将孝、中島伸介、土方嘉徳、森嶋厚行]
1.定例の研究会活動報告
第142~144回の研究発表会を開催した。特集テーマとしては、次世代情報アクセス・マイニング技術などを取り上げた。特に7月に開催した第143回研究会は発表件数92 件、招待講演2件、参加者数も188名に上る会議となり盛況を博した。また、1月に開催した第144回研究会ではデータベース分野と他分野の融合を目的として、昨年に引き続き情報処理学会グループウエアとネットワークサービス研究会、放送コンピューティング研究グループとの共催研究会を開催した。
主な研究発表は、データベース技術、データベース応用、マイニング、パーソナライゼーション、XML、検索エンジン応用、情報抽出、情報推薦、SNS・ブログ、ソーシャルWeb、マルチメディアデータ、情報可視化、クラスタリング、問い合わせ処理、ストレージ、時系列データ・ストリーム処理、DB高度応用、感性情報処理、地理情報処理などである。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
・データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム(DBWeb2007)本シンポジウムは、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」、筑波大学 知的コミュニティ基盤研究センターとの共催のもと、電子情報通信学会 データ工学研究専門委員会、電子情報通信学会 Webインテリジェンスとインタラクション研究会、日本データベース学会、ACM SIGMOD日本支部、日本PostgreSQLユーザ会、Firebird日本ユーザ会、日本MySQLユーザ会 にも協賛を頂いており、我が国におけるデータベース研究領域の最大規模のシンポジウムとして、11月27日、28日の2日間にわたり東京大学 生産技術研究所で開催した。
第一線で活躍されている方々からの招待講演からなる特別セッションと、一般セッションによる例年通りの構成に加えて、前年のDBWeb2006から導入した共催団体および協賛団体との連携による招待ポスターレセプションを行った。これらの取り組みに加えて、盛況であったDBWeb2006の成功要因を分析し、企画、参加費設定、および広報活動などを適切に行った結果、昨年をさらに100名近く上回る344名(招待14名、産学連携36名、プレス招待4名を含む)が参加した。データ工学研究に関する産学イベントとしてこれだけの参加者が集まったことは大変意義があると考えられ、今後もこの経験を生かしたシンポジウム運営を行っていきたい。
また、本シンポジウムでは、プログラム委員会が行った査読結果に基づき、著者から推薦の希望のあった論文の中から優秀な論文に対して、情報処理学会論文誌「データベース(IPSJ-TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会共同編集)へ推薦するという形での連係を行った。
3.情報処理学会論文誌:データベースの報告
平成10年度にFI研と合同で創刊した研究会論文誌「データベース(IPSJ-TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会共同編集)の第34号、第35号、第36号、第37号の発行を終えた。また、第34号では18件、第35号では11件、第36号では6件、第37号では5件が採録された。
4.総括
データベースシステム研究会は、情報の共有・検索・利用のための諸技術に焦点をあてた研究会であり、メディアデータおよびネットワークが形成する新しい情報環境を視野に入れながら、今後も積極的に情報・コンテンツ処理およびデータベース技術への貢献を目指していく。また、今後もデータベースに関する技術革新をおこなうと共に、益々その守備範囲を拡大させていくことが必要となる。そこで研究会・シンポジウム・研究会論文誌において他学会の関連組織(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会、ACM SIGMOD 日本支部、日本データベース学会)と連携を強化し、データベース関連の研究者、技術者のコミュニティの一層の発展を目指ざす。特に、年3回の研究会と年1回のシンポジウムについては、平成20年度より関連組織との連続開催を基本とする。当研究会では、今後もデータベースシステム分野の発展拡大のために、他分野との連携を積極的に行う予定である。
◆ソフトウェア(SE)工学研究会
[主査:羽生田栄一、幹事:紫合 治、野中 誠、丸山勝久、山本理枝子、鷲崎弘宜]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.ワ-キンググループ活動
4.総括
◆計算機アーキテクチャ(ARC)研究会
[主査:中村 宏、 幹事:井上弘士、吉瀬謙二、佐藤真琴、森 敦司]
1.定例の研究会活動報告
平成19年度は以下の5回の研究会を開催した。
- 第165回 2007年 5月31日-6月1日 @富士通研究所(ICD と共催)
テーマ:集積回路とアーキテクチャの協創 ~プロセッサ、メモリ、システムLSIおよび一般~ - 第166回 2007年 8月1-8月3日 @旭川国際会議場[SWoPP2007]
- 第167回 2007年 11月20-11月22日 @北九州国際会議場(デザインガイア2007の一環)
- 第168回 2008年 1月15-1月16日 @慶応大学日吉キャンパス(EMB と共催)
テーマ:組込みシステムアーキテクチャおよび一般 - 第169回 2008年 3月5-3月6日 @北海道大学学術交流会館第一会議室及び小講堂(HPCと共催)
テーマ:「ハイパフォーマンスコンピューティングとアーキテクチャの評価」に関する北海道ワークショップ(HOKKE-2008)
2.シンポジウム・国際会議等の報告
先進的計算基盤システムシンポジウムSACSIS2007を、2007年5月23日(水) - 5月25日(金) の日程で学術総合センターにて、HPC, OS, PRO, 及び電子情報通信学会のCPSY, DC, RECONFと共催で開催した。
3.総括
応用面では高性能分野、設計階層では上位分野との連携が強く、具体的にはHPC研究会との共催や、シンポジウムでもOSやPROなどとの共催を行っている。一方で、設計階層では下位の回路技術、応用面でも設計制約が厳しい組込みシステム分野との連携が重要になってくると考え、H18年度より開始した電子情報通信学会の集積回路研究専門委員会、および当学会の組込みシステム研究会との共催の研究会を、H19年度も引き続き開催した。いずれの研究会も、発表件数、参加者どちらも多く盛況であった。また、新しい試みとして、組込みシステム研究会とハイパフォーマンスコンピューティング研究会と共催で、マルチコアプログラミングコンテスト 「Cellスピードチャレンジ2007」を開催し、こちらも多くのチームが参加し盛況であった。今後も、学会員が必要とする研究発表の場を提供すべく、関連する研究会と密な連携を保ちつつさらに活動を盛り上げていく予定である。
◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会
[主査:並木美太郎、幹事:大山恵弘、光来健一、新城 靖、廣津登志夫]
1.定例の研究会活動報告
第105~107回計3回の研究発表会を開催した。
- 第105回 2007年4月5日~6日 沖縄県那覇市青年会館
システムソフトウェア一般をテーマとして、並行処理、仮想化、セキュリティ、継続、並列・分散、ファイルシステムについて全21件の発表が行われた。 - 第106回 2007年8月1日~8月3日 北海道旭川市大雪クリスタルホール旭川国際会議場
「並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ」として複数の研究会と共催により開催された。実行基盤、セキュリティ、OS実装、分散システム、オーバレイについて全16件の発表が行われた。 - 第107回 2008年1月30日~31日 奈良先端科学技術大学院大学
システムソフトウェア一般として、仮想化、分散システム、ネットワーク、プロセス間通信、メモリ管理について全16件の発表が行われた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
○第19回コンピュータシステムシンポジウム 2007年11月27日(火)~11月28日(水)
場所 東京ファッションタウンビル
今回のシンポジウムは投稿数も多く、一般論文10件、ショート発表論文14件として採択した。また応募時に情報処理学会「論文誌:コンピューティングシステム」(ACS論文誌)第21号への同時投稿を可能にし、最新の成果を迅速に雑誌論文として発表できるように配慮した.
招待講演としてインテル株式会社の大島久樹氏をお招きし、「次世代セキュリティ技術の基盤:インテル トラステッド・エグゼキューション・テクノロジーについて」と題してセキュリティを実現するためのプロセッサ技術について講演して頂いた。また、グーグル株式会社の鵜飼文敏氏より、「Googleを支えるインフラ技術」と題して大規模な計算システムを構築、運用するための技術についての招待講演をいただいた。いずれの講演も会場から活発な意見交換が行われ、好評を博した.また、萌芽的な研究やデモンストレーションを交えた研究発表の場としてポスターセッションを用意し11件の発表が行われた。
2日間のシンポジウム全般にわたって活発な質疑応答が行われ、当初の目的は十分に果たしたといえる。
OS研究会として主催したコンピュータシステムシンポジウム以外にも、SACSIS(先進的計算基盤システムシンポジウム)を計算機アーキテクチャ研究会などと主催したほか、組込みシステム研究会主催の「組込みシステムシンポジウム2007」、インターネットカンファレンスを協賛し、OSに関連する分野との連携を行った。
3.総括
例年行っているシステムソフトウェアとオペレーティングシステム分野の研究発表活動では、社会的要請からVMなどの仮想化技術、セキュリティなどが増えたほか、ストレージ、ネットワーク関連の発表も多い。また、前主査から引き続き産業界の視点からの話題を増やし、一般研究会での企業から研究発表、シンポジウムにおける企業からの招待講演などを依頼した。
◆システムLSI設計技術(SLDM)研究会
[主査:小野寺秀俊、幹事:石原 亨、内海功朗、田宮 豊]1.定例の研究会活動報告
以下に示す第130~134回の研究発表会を開催した。
- 第130回:発表件数:16件、5月10・11日、テーマ:システム設計および一般、 京大会館、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD))と共催
- 第131回:発表件数:7件、10月26日、テーマ:システム LSI の応用とその要素技術,専用プロセッサ,プロセッサ,DSP,画像処理技術,および一般 、 福島県 会津東山温泉 くつろぎ宿 、電子情報通信学会(信号処理研究会(SIP)、集積回路研究会(ICD)、画像工学研究会(IE))と併催
- 第132回(デザインガイア2007):発表件数:59件、11月20~32日、テーマ:VLSI の設計/検証/テストおよび一般、北九州国際会議場、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、コンピュータシステム研究会(CPSY)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC)、リコンフィギャラブルシステム研究会(RECONF))と共催
- 第133回:発表件数:32件、1月16・17日、テーマ:FPGAとその応用および一般、慶応大学日吉キャンパス、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、リコンフィギャラブルシステム研究会(RECONF)、コンピュータシステム研究会(CPSY))と共催
- 第134回:発表件数:39件、3月27・28日、テーマ:組込技術とネットワークおよび一般、鹿児島県 屋久島離島総合開発センター、組込みシステム研究会(SIGENB)、電子情報通信学会(コンピュータシステム研究会(CPSY)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC))と共催
2.シンポジウム・国際会議等の報告
以下に示すシンポジウムを開催した。
- DAシンポジウム2007:発表件数:38件、8月29・30日、浜名湖遠鉄ホテルエンパイア、SWEST9(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ)と同時開催
3.総括
本研究会は、システムLSIを中心とする電子装置の設計技術、設計自動化技術の研究分野をスコープとして活動している。
平成11年度に実施された「設計自動化研究会」からの改称と、それに伴うスコープの拡大により、活動の活性化が進んでいる。特に、研究会単独主催の「DAシンポジウム」では、組み込みシステム技術に関するサマーワークショップと同時開催することにより、相互に技術交流を図っている。今年度の参加者は、154名である。
また、平成18年度より、学生会員育成のための表彰SWGを新たに設けて、研究活動の更なる発展に向けて活動している。
研究会独自のトランザクション創刊に向けて、編集委員会を発足した。論文募集(12月25日)と第1回判定会議(2月18日)を終えて、平成20年9月の発刊を予定している。
4.その他
本研究会は「DA シンポジウム」を中心としながら、電子機器の設計およびEDA技術の先端研究開発の交流の場を提供しています。発表件数と参加登録費がリンクしており毎年頭を悩ませていますが、研究会の企画・運営を工夫して、今後も種々の分野との連携を活発化させたいと考えています。活動予定については、下記をご参照ください。
http://www.sig-sldm.org/
◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会
[主査:朴 泰祐、幹事:佐藤周行、合田憲人、加納 健、高木亮治]
1.定例の研究会活動報告
- 第110回 6月8日 海洋研究開発機構横浜研究所三好記念講堂
- 第111回 8月1日~3日 旭川市大雪クリスタルホール旭川国際会議場 [SWoPP2007]
- 第112回 9月9日 韓国・ソウル・ロッテホテル [HPC Asia2007 併設]
- 第113回 12月7日 筑波大学計算科学研究センター国際ワークショップ室
- 第114回 平成20年3月5日~6日 北海道大学学術交流会館 [HOKKE2008]
2.シンポジウム・国際会議等の報告
- 「先進的計算基盤システムシンポジウム」SACSIS2007 5月23日~25日 学術総合センター講堂・会議室(東京都千代田区)(ARC、OS、PRO、AL各研究会及び他学会と共催)
- 「インターネットコンファレンス2007」 10月25日~26日 福岡ソフトリサーチパークビル(福岡県福岡市)(他学会と共催)
- 「ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム」HPCS2008 平成20年1月17日~18日 東京工業大学 (東京都目黒区)
3.総括
計算科学・計算工学分野におけるHPC技術の需要は益々増えており、今後も大規模科学技術計算及び大容量データ処理/ネットワーク処理における本研究会の活動がアプリケーション分野に与える影響は大きくなると考えられる。学生発表等に代表される人材育成も順調で、より広い分野での実応用に結びつく研究を推進する必要がある。同時に、他の各要素技術分野との連携を一層深め、基礎研究と実応用の両面での一層の展開が期待される。
4.その他
研究会としての活動は充実の一途を辿り、関連分野の国際会議との連携や、年間研究会開催回数の増加等も進めています。HPC研究は1つの確立した研究分野ではなく、今後も様々な研究会・学会と連携して活動していくつもりです。応用分野との連携は特に重要で、HPCSシンポジウムを始めとする様々な場で協調していくと共に、複数分野に跨る人材育成における役割も増していくと考えています。
◆プログラミング(PRO)研究会
[主査:岩崎英哉、幹事:小川瑞史、西崎真也、前田敦司]
1.定例の研究会活動報告
第64~68回の研究発表会を開催し,合計52件の発表があった.このうち,第65回(8月,SWoPP2007)が他研究会との連続開催であり,残りの4回が単独開催である.SWoPPの回には特集テーマを定めたが,特集テーマと直接は関係しない発表も常に受け付けるようにした.
平成19年度も,トランザクション:プログラミング(PRO)と密着した体制で研究発表会を開催した.トランザクション(PRO)に投稿された論文は,まず研究会で発表され,発表会の直後に開催されるトランザクション(PRO)編集委員会において議論し,査読者を定めて本査読を行なった.例年通り,投稿の有無に関わらず,1件あたり発表25分,質疑・討論20分の時間を確保し,参加者が研究の内容を十分に理解するとともに,発表者にとっても有益な示唆が得られるように務めた.発表総数52件中,投稿論文からの総採録件数は28件程度になると予想される.採択率は約67%であり,平成18年度 (約75%) に続き高めであった.
また,若手を対象としたコンピュータサイエンス領域奨励賞の受賞者を2名選び,研究発表会の場で表彰式を行った.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
情報処理学会4研究会(ARC,OS,HPC,PRO)および電子情報通信学会3研究会(CPSY,DC,RECONF)およびIEEE CS Japan Chapter の共同主催ならびに情報処理学会1研究会(EMB)の協賛により,先進的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS2008)を,5月23~25日に東京の学術総合センター行動で開催した.
また,第15回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2007) 12月5~7日,日本ソフトウェア科学会「インタラクティブシステムとソフトウェア」研究会に協賛した.
3.総括
プログラミング研究会の発表件数は減少傾向にあった(平成16年度58件,17年度49件,18年度46件)が,今年度は52件と増加に転じ,平成17年の数を上回った.また,トランザクションへの採択件数は,18年度の27件に対して,19年度も28件程度であり,発表件数が増えただけではなく,その質の高さも高い水準を維持しているといえよう.
4.その他
来年度よりトランザクションのオンライン化が開始され,紙媒体としてのトランザクションの送付がなくなる,論文の別刷代が掲載料という形にかわるなど,研究会をとりまく環境が大きく変化する.このことが,研究会に与える影響を注意深く見守りながら,発表申し込み数,トランザクションへの投稿,掲載件数を増やすべく努力をしていきたい.
◆アルゴリズム(AL)研究会
[主査:永持 仁、幹事:梅谷俊治、野々部宏司、柳浦睦憲]
1.定例の研究会活動報告
第112から第117回までの合計6回の研究発表会を開催し、総発表数は59件であった。発表の内容は、グラフアルゴリズム、ネットワーク通信、計算幾何、列挙アルゴリズム、近似アルゴリズム、計算複雑度、情報セキュリティ、バイオインフォマティクスなど、多岐に渡っている。本年度は3件の特別講演を企画し、アルゴリズム研究に関わる幅広い分野から、第一線で活躍されている方々にご講演いただいた。この企画は、参加者が視野を広げ、研究に新たな刺激を受けるよい機会となっている。他研究会との交流としては、電子情報通信学会のコンピュテーション研究会と9月に連続開催、同学会の回路とシステム研究会・コンカレント工学研究会と11月に同時開催を行い、これらの研究会との研究交流も行った。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
小規模国際会議として、韓国の研究会と連携して Korea-Japan Joint Workshop on Algorithms and Computation(アルゴリズムと計算理論に関する韓日合同ワークショップ)を定期的に開催している。本年度は第10回のワークショップを8月に韓国(光州)にて開催し、発表件数は21件であった。
また、FIT2007 においてイベント企画「ここまで使える数理計画」を実施し、 好評であった。
3.総括
年6回の定例研究会に加え、小規模国際会議と FIT でのイベント企画を開催し、例年通り活発な活動ができたと考えている。定例研究会では、学生を含め、若手研究者による発表が多数あり、当該研究分野の将来性が期待される。今後、若手研究者による発表件数を維持、あるいは増加させながら、幅広い年齢層の研究者に論文の投稿を呼びかけ、研究会のさらなる活性化を図っていきたい。。
4.その他
昨年度までと同様、CS領域のご協力をいただき、スーパーコンピューティングコンテスト(SuperCon2007)への協力を行った。このような協力は、優秀な高校生に情報分野への興味を持たせるためにも、非常に有意義であると考えている。
◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会
[主査:北 英輔、幹事:小林 聡、佐藤彰洋、藤本典幸、古瀬慶博]
1.定例の研究会活動報告
第64-68回の研究発表会を開催した。
- 第64回:5月17日(木)、於大阪大学豊中キャンパス基礎工学部国際棟、発表13件、参加者数20名程度。
- 第65回:6月25日、於Monte Carlo Resort (Las Vegas)、発表16件、参加者数約20名。
- 第66回:9月3、4日、於名古屋大学、発表29件(招待講演2件を含む)、参加者数約40名。
- 第67回:12月20、21日、於産総研CBRC、発表60件(招待講演2件を含む)、参加者数約80名。
- 第68回:3月3、4日、於松山道後温泉ホテル椿館、発表47件、参加者数約60名。
平成19年度の発表の内訳は、学習理論、ゲノム、数理生物、並列分散処理、パターン認識、進化的計算、認知科学、金融工学、経済物理学、行動ファイナンス等の分野から合計125件であった。昨年度が165件であったのと比べると、約30%増となった。これまでにも多数の講演があった進化的計算、ゲノム、金融・経済分野などの分野に加えて、本年度はデータマイニング、ネットワーク、確率推定モデル等の新たな分野からの講演申込が増えつつある。また、金融経済分野と関連づけたマルチエージェント等のシミュレーション、データマイニングとの関連で従来から多数の研究発表があるアルゴリズムなどの分野が一層活性化されている。
本年度は情報処理学会内外のいくつかの研究会と共催して開催した。第65回研究会は国際会議PDPTA07、第67回研究会はバイオ情報学研究会と共催を行ない、それぞれ大盛況に終った。
第65回を除く各研究会でプレゼンテーション賞を選出するとともに、第68回研究会では、功績賞3名の表彰式を行った。2.シンポジウム・国際会議等の報告
-
MPSシンポジウム2007
10月24~25日に、産総研CBRCにおいて、ネットワークが創発する知能研究会ワークショップ2007と共催で「MPSシンポジウム2007」を開催した。4件の招待講演、30件程度の一般講演があり、盛況に開催された。国際会議、シンポジウムなどへの共催
本年度は以下の国際会議、シンポジウムへの協賛を行った。- ネットワークが創発する知能研究会ワークショップ2007
- 2nd International Workshop on Natural Computing (IWNC2007)
- FIT2007
- 進化的計算研究会2007
3.総括
本研究会では、これまでも活発に活動を行ってきた数理アルゴリズム、進化的計算などの分野に加えて、新規分野の開拓と近年増加している新規分野の一層の活発化に努めた。その結果、金融経済分野、データマイニング、ネットワーク等の分野の研究発表が増加した。そこで、今後も他の研究会や他学会などとの共同開催をすすめるなど、積極的な活動を行うことで、新規分野の一層の開拓に努めたいと考えている。
◆組込みシステム(EMB)研究会
[主査:高田広章、幹事: 沢田篤史、追川修一、平山雅之 ]
1.定例の研究会活動報告
下記の通り、第5~8回の研究発表会を開催した。
- 第5回研究発表会
日程:2007年5月28日(月)~29日(火)
会場:化学会館
議題:一般
共催:ソフトウェア工学研究会
発表件数:一般講演14件 - 第6回研究発表会
日程:2007年12月4日(火)10:15~16:30
会場:名古屋大学
議題:一般
共催:システム制御情報学会・組込みシステム研究分科会と共催
発表件数:一般講演8件、招待講演1件 - 第7回研究発表会
日程:2008年1月15日(月)~16日
会場:慶應義塾大学日吉キャンパス日吉来往舎
議題:組込みシステムアーキテクチャおよび一般
共催:計算機アーキテクチャ研究会
発表件数:一般講演13件、招待講演1件 - 第8回研究発表会
日程:2008年3月27日(木),28日(金)
会場:屋久島環境文化村センター
議題:組込技術とネットワークに関するワークショップ ETNET2008
共催:システムLSI設計技術研究会、電子情報通信学会コンピュータシステム研究会、同ディペンダブルコンピューティング研究会
発表件数:一般講演39件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
下記の通り、組込みシステムシンポジウム2007を共催した。
日程:2007年10月18日(木)~20日(土)
会場:日本科学未来館(東京)
参加人数:184名
発表件数:一般講演27件、基調講演2件、チュートリアル4件、パネル1件、ポスター9件
また、下記のイベントを共催または協賛した。
協賛:先進的計算基盤システムシンポジウム(平成19年5月23~25日)
協賛:DAシンポジウム2007(平成19年8月29~30日)
共催:組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(平成19年8月30~31日)
3.総括
組込みシステム研究会は、平成19年度に定例の研究発表会を4回実施し、10月に組込みシステムシンポジウム2007を開催した。同シンポジウムには32件の質の高い投稿があり、うち27件を採択した。参加者も231名に上り、組込みシステム技術に関する議論が積極的に行われた。また、同シンポジウム開催を受け、情報処理学会論文誌に「組込みシステム工学特集」を企画した。1月初旬に投稿を締切り、27件の投稿を受け付けた。現在、第1回目の判定が終わり、著者に照会中である。関連するシンポジウムやワークショップにも積極的に協賛し、他研究会や他学会との交流を行った。
4.その他
平成19年度と同様、平成20年度も4回の研究発表会と組込みシステムシンポジウムを開催する予定である。組込みシステムシンポジウムは、平成19年度は科学未来館での開催であったが、平成20年度は国立オリンピック青少年総合センターでの開催を予定しており、学生会員を含む若手技術者向けのイベントなども企画することで組込み技術の拡大を図っていく予定である。研究会全体の運営としては、組込みシステム研究会の独自性を打ち出しつつ、関連する多くの他研究会や他学会との連携も引き続き強化していきたい。
情報環境領域
◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会
[主査:櫻井紀彦、幹事:明石 修、菅沼拓夫、寺西裕一、西山 智]
1.定例の研究会活動報告
定例の研究会は、以下の通り4回実施した。
- 第131回DPS研究会/2007年6月6日~7日/岩手県立大学(盛岡市)
- 第132回DPS研究会/2007年9月20日~21日/山口市菜香亭(山口市)
- 第133回DPS研究会/2007年11月26日~27日/東洋大学(川越市)
- 第134回DPS研究会/2008年3月6日~7日/ATR(けいはんな学研都市)
第131回は、19 件の研究発表が行なわれ、岩手県立大 伊藤憲三教授より「聴こえを支援する技術」という題目で講演をいただいた。第132回は、山口市の菜香亭において GN, EIP との合同での開催とし、全体で 30 件の研究発表(うちDPS は18件)が行なわれ、山口大学 藤沢健太准教授より「電波天文観測データの分散処理」という題目で講演をいただいた。第133回は、16 件の研究発表が行なわれ、新たなマルチメディアアプリケーション、フォールトトレラントシステムなどについて活発な議論が行なわれた。第133回は、CSEC との合同開催とし、全体で 54 件の研究発表が行なわれた(うち DPS は 20 件)。また、ATR代表取締役社長 平田康夫氏より「情報通信の進化を支える研究開発と若手研究者への期待」という題目で興味深い講演を頂いた。
平成19年度の研究発表件数は、72 件(招待講演のぞく)であった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
- マルチメディア、分散、協調とモーバイルシンポジウム(DICOMO2007)
平成19年7月4~6日、於 三重県鳥羽「戸田家」発表件数:271件(デモ 15 件、招待講演1件を含む)。本シンポジウムは、DPS、GW、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBIの8つの研究会の主催、及び放送コンピューティング研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会の協賛による非常に大規模なシンポジウムである。招待講演は、「タンジブル・ビット:情報の感触・情報の気配」と題してMIT Media Laboratory の石井 裕教授より示唆に富んだご講演をいただいた。本シンポジウムにおけるDPS関連発表は、ほぼ 6 分の1程度を占めており、多くのDPS関連の研究者がこのシンポジウムに参加し、交流を深めた。 - マルチメディア通信と分散処理ワークショップ
今回で15回目となった本ワークショップは石川県七尾市の和倉温泉で開催された。41件の論文発表と、デモ・ポスターセッションでの 14 件の発表を合宿形式で行い、85名の参加者のもと真摯な議論が行われた。投稿されたすべての論文は、プログラム委員によって並列査読された。参加者全員参加による深い議論を目指し、今年度もシングルセッションによる開催とした。研究発表セッションの他にデモ・ポスター発表セッションを設け、研究発表の内容や進捗具合にあわせた発表形態を選択できるようにしている。また、研究発表セッションにおいては、審査の結果が優秀な論文をロングプレゼンテーションとし、通常発表よりも長い発表時間を設け、より深い議論を行なえるようにした。発表は、既存の研究分野にとらわれず、分野を融合した先駆的試みを持つ論文も多く見られた。査読コメントに基づいて改良された論文をベースとした討論は、発表の場として発表者及び参加者の双方にとって有意義であった。表彰としては、
プログラム委員会の審査により最優秀論文 1 件、学生最優秀論文 1 件、優秀論文 3 件、学生優秀論文 2件、学生奨励賞 4件、審査員特別賞 (デモ・ポスター部門)1 件がおくられた。またベストデモンストレーション賞 1 件、ベストポスター賞 1件、ベストプレゼンテーション賞 1件、優秀プレゼンテーション賞 3件、ベストカンバサント賞 1件が参加者の投票によりおくられた。これらの賞により、優秀な研究成果及び研究者を評価奨励し、活発なワークショップとすることができた。また、恒例となった合宿形式によるワークショップの実施により、論文発表セッションでは勿論のこと、懇親会や温泉に浸りながら、大学や企業組織の枠を超えて議論し、新しい研究の発展が得られるワークショップとなった点でも, 今後の本研究領域の発展に寄与するものと考えられる。 - 論文誌「情報洪水時代のネットワークサービス」特集
近年発展が目覚しい Blog,SNS などの CGM, CMS に基づく個人による情報発信、情報家電やセンサによる情報提供など、あたかも洪水が発生するかのように情報が氾濫する情報洪水時代に相応しい、新たな情報管理技術やネットワークサービスに関連する研究全般についての論文を一括して掲載することを目的として企画された。ゲストエディタとして大阪大学の東野輝夫教授を迎えて編集委員会を組織した。通常の新規独創的な研究論文に加えて、サービスを実現するためにシステムの実装やその評価から得られた有効性や問題点を明らかにし、その有用性を示した論文を積極的に評価する方針とした。46 件の論文投稿に対し、編集委員による査読評価の結果、27 件を採録とした。最終 59 %という採択率は、当初の目標としていた 60 %をほぼ達成し、かつ、採録された論文は、理論、プロトコル、システム構築の方法論、システム評価論文を含め、情報洪水時代のネットワークサービスに関する十分な品質の論文を掲載することができたと考えられる。
3.総括
本研究会では、4回の定例研究会、シンポジウム、ワークショップを通して、研究者相互の交流と研究に対する活発な意見交換の場を提供することができた。特集論文については、非常に多くの方にご協力いただき、遅延のない査読プロセスを進めることができた。ここに改めて、ご協力頂いた皆様に感謝する。今後も、DPS関連研究者の更なる研究の活性化、また国際化への支援を進めていく予定である。皆様の積極的参加とご協力をお願いしたい。
◆ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会
[主査:中小路久美代、幹事:青木 恒、加藤直樹、河野恭之、志築文太郎、水口 充]
1.定例の研究会活動報告
第123-127回の研究発表会を開催した。なお、各研究会のテーマ名および招待講演は下記の通りである。
- 第123回 2007/05/11 「インタラクションデザイン:理論と実践」
招待講演:
"Users, participants, and members: Social science and the design of public space interactive media"
Elizabeth F Churchill氏 (Yahoo! Research)
「インタラクティブツールによる<もの>と<こと>の支援研究: 捉え方,進め方,評価の仕方に関する考察」
中小路久美代教授 (SRA-KTL/東大, SIGHCI主査) - 第124回 2007/7/6,7 「しっかり/かっちりインタラクション」
招待講演:「しっかり/かっちりロボットデザイン~インタラクショ ンデザインのススメ~」 園山隆輔氏(T-D-F) - 第125回 2007/9/28 「どきどきわくわくインタラクション」
招待講演:「テルミン: 自由で不自由なユーザーインターフェース」 菊池誠教授(大阪大学) - 第126回 2007/11/12 「さくさく/きびきびインタラクション」
招待講演:
「最速インターフェースの研究と実践」mala氏(ライブドア)
「他者の力:意思決定における社会的要因」渡邊克巳准教授(東京大学 先端科学技術研究センター) - 第127回 2008/1/31~2/1 「よりそいインタラクション」
招待講演:「情報処理とヒトの進化」赤澤威教授(高知工科大学)
2.シンポジウム・国際会議等の報告
第12回ヒューマンコンピュータインタラクションプロフェッショナルワークショップ(HCIP12)を、「論文メンタリングプログラム」のテーマで2007/7/6~7に開催した (第124回研究会と併催)。
インタラクション2008をグループウェアとネットワークサービス研究会(GN)、ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI)と共催で、 2008/3/3~4の日程で開催した。
3.総括
研究会の名称を「ヒューマンコンピュータインタラクション研究会」に改称した1年目であったが、大きな混乱もなく、研究会の意図を明確に
伝えることができたと思う。
昨年度と同様、招待講演には本研究会とは直接的には関係の薄い分野の方を招く方針で企画した。いずれの講演も普段の研究活動ではなかなか聴く機会が少なく、大きくインスパイアされる内容であり、とても好評であった。
HCIP12では論文の書き方のメンタリングを試みた。これは、HCIの分野では論文の書き方が難しいという意見を受けたものである。論文の質の向上を通して研究分野の活性化を図るべく、今後も企画を検討したい。
4.その他
関連研究分野との交流を深めるべく、研究会の共催・併催も進めていきたい。第128回研究会は音楽情報研究会(MUS)と共催を予定している。他、ユビキタス系の研究会との併催を計画中。
◆グラフィクスとCAD(CG)研究会
[主査:西田友是、幹事:柿本正憲、栗山 繁、齋藤 豪、乃万 司]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括
◆情報システムと社会環境(IS)研究会
[主査:市川照久、幹事:鈴木律郎、冨澤眞樹、松永賢次]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括
◆情報学基礎(FI)研究会
[主査:岸田和明、幹事:浦本直彦、酒井哲也、田村直良、吉岡真治]
1.定例の研究会活動報告
第87-90回の研究発表会を開催し、合計52件の発表があった(昨年度も52件)。
第87回は「次世代情報アクセス・マイニング技術」をテーマにデータベースシステム研究会と合同で開催し、12件の発表があった。第88回はデジタル図書館ワークショップと共同で開催し、9件の発表があった。第89回は自然言語処理研究会と合同で開催し、21件の発表があった。特に、この研究発表会では、1日目の午後を「NTCIR特別セッション」にあてるとともに(NTCIRは、テキストを中心とした情報アクセス技術について研究を行っているワークショップ型共同研究)、その日の午前中に「情報検索テストコレクションと評価指標」のチュートリアルを開催した。これらは以前の「情報学シンポジウム」の代替企画としての試みであり、情報検索を含む情報アクセス技術に関する研究のいわば「裾」を広げることを意図したものである。当日はかなりの盛況であり、一定の成果をあげることができたと考える。その後の第90回研究会は「学生チャレンジ特集」をテーマに、デジタルドキュメント研究会と合同で開催し、11件の発表があった。この学生チャレンジ特集は、研究会に関係する学生を対象に研究会を積極的に活用してもらうことを目的に昨年に引き続き実施したもので、今回は、学生の発表に対して両研究会から1名ずつのコメンテータを出し、研究改善のためのコメントや示唆を発表者に送付することを試みた。以上のいずれの回も、多くの発表・参加者を集めることができ、貴重な議論の場を持つことができた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
情報学基礎研究会は、以前は「情報学シンポジウム」の運営にあたっていたが、学術会議における情報学シンポジウムの位置づけが大きく変わったことから、昨年度より、本研究会はこのシンポジウムに直接関与しない形になっている。昨年度はその代替となるシンポジウムについての検討を行い、その結果として、上で述べたように、第89回研究会の一部として、「情報検索テストコレクションと評価指標」のチュートリアルおよび「NTCIR特別セッション」を開催した。これは単独のシンポジウムではないが、シンポジウム的な性格を色濃く持った企画であり、通常の研究発表セッションにおける議論とは性質の異なる、有意義な討議の場を持つことができた。この成果についての事後的評価も含めて、引き続き、「情報学シンポジウム」に代わる企画の検討を進めていく予定である。
3.研究会論文誌の活動報告
データベースシステム研究会および電子情報通信学会データ工学研究専門委員会と共同で刊行している研究会論文誌「データベース(TOD)」については、第34-37号を予定通り刊行した。昨年度と同様に、各号に平均で約20件(15~26件)の一般論文投稿があり、この分野において、主要な論文投稿先の一つとして認知されているとみなすことができる。
4.総 括
本研究会の基調テーマは、情報とその利用に関する基礎理論(情報の特性解析・情報/ユーザのモデリング・情報組織化等)であるが、近年は、Web情報処理やコンテンツ・知識管理など、適用分野が大きく拡大してきている。そのため、研究対象が関連し、異なる技術的あるいはシステム的指向を持つ他の研究会と、研究発表会や研究会論文誌などを通じて連携を深めていく事を考えている。
また、当研究会では、かねてよりNTCIRとの連携を模索してきたが、今年度は「NTCIR特別セッション」としてその目的を部分的に達成できた。今後も、情報検索を含む情報アクセス技術のより一層の発展のために、引き続き、同様の企画を立案していく予定である。
◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会
[主査:甲藤二郎、幹事:高木真一、橋本真幸、坂東幸浩]
1.定例の研究会活動報告
- 第57回は7月19日,20日に新潟大学五十嵐キャンパスにて開催し、電子情報通信学会モバイルマルチメディア研究会(MoMuC)との共催で行われた。一般セッションとして、多視点映像符号化、組込み用途H.264デコーダの並列化、ウェーブレット変換符号化の特性改善法、超広帯域音声符号化技術、などに関する研究報告が行われ、活発な議論が行われた。また、招待講演として、NICTの榎並氏による「わが国における超臨場感システムに関する研究と産学官フォーラム」と、新潟大の間瀬先生による「無線メッシュネットワーク標準化動向及び山古志ねっと共同実験プロジェクトの概要」の発表が行われ、多数の質疑応答があった。また、チュートリアル招待講演として、新潟大の村松先生による「多次元フィルタバンクの設計とその映像信号処理応用」の発表が行われ、多数の質疑応答があった。
- 58回は9月25日,26日に九州工業大学戸畑キャンパスにて開催し、12件の発表があった。H.264/SVCにおけるプレフィルタの設計方法、近傍領域の周波数成分を考慮したイントラ予測方法、動き検出を用いた符号化画像の画質改善方法、複素ウェーブレットを用いた画像圧縮手法、方向性フィルタバンクを用いた階層化手法、などに関する研究報告が行われた。また、チュートリアル講演として、早稲田大学の池永先生による「動画像圧縮LSIの技術動向」と、九州大学の高橋先生による「サポートベクトルマシンとその効率的学習アルゴリズム」の発表が行われ、共に多数の質疑応答があった。
- 59回は12月13日,14日に、北海道大学と名古屋大学の二会場にて開催し、25件の発表があった。電子情報通信学会画像工学研究会、通信方式研究会、映像情報メディア学会放送技術研究会との共催で、大学間を衛星回線で接続して行われた。通信方式,放送方式、画像符号化方式、画像解析/認識技術、超解像技術、電子透かしなどの分野から幅広い発表があり、活発な質疑応答が行われた。
- 60回は3月6日,7日に沖縄セルラー電話株式会社にて開催し、12件の発表があった。音楽検索、領域分割、動画像のロスレス符号化、映像要約、画質改善などに関する研究報告があり,活発な議論が行われた。また、3件のチュートリアル講演が実施され、神奈川大学の齋藤先生による「Total Variation正則化の画像処理への応用」、琉球大学の仲尾先生による「360度パノラマ動画像WEB配信における問題点と検討」、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の守谷氏による「オーディオ符号化の最新標準化動向」の発表が行われ、それぞれ多数の質疑応答があった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
- 画像符号化シンポジウム(PCSJ)、映像メディア処理シンポジウム(IMPS)
当研究会の取り扱う分野に関連が深い「画像符号化シンポジウム(Picture Coding Symposium)および映像処理シンポジウム Intelligent Media Processing Symposium)」へ共催した。2007年の10月31日~11月2日の3日間、ラフォーレ修善寺にて開催され、約200名の参加があった。画像符号化や次世代映像処理について約100件強の発表が行われ、また特別講演として、立命館大の山内先生による「画像処理とそのシステム化について」、及び千葉大の三宅先生による「分光画像と質感表現」の発表が行われ、多数の質疑応答があった。また、ナイトセッションとして、University of Southern California の Ortega 教授による「Video coding: making decisions is hard, especially about the future」、及び、東大の小室先生、シャープの吉田氏、NTTの坂東氏による画像の入出力と処理に関する講演が行われ、引き続いて、活発な議論と意見交換が行われた。 - 情報処理学会第70回全国大会シンポジウム
2008年3月13日に、筑波大学で開催された情報処理学会全国大会のイベント企画として、「超臨場感コミュニケーションの動向と将来展望」と題するシンポジウムを開催した。ここでは、2007年3月に設立された「超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム」のメンバの方々に講演をお願いし、NICTの榎並氏による基調講演、および、農工大の高木先生、早大の河合先生、NICTの安藤氏による講演をいただき、多数の質疑応答が行われた。さらに、前記講演者に加えて、NHK技研の岡野氏、KDDIの酒澤氏、日本SGIの森田氏も加えたパネル討論を行い、活発な議論と意見交換を行った。
3.総括
当研究会はマルチメディア情報の符号化方式、検索技術、流通に関する要素技術やシステム技術を取り扱っている。前年度に引き続いてH.264/AVCやJPEG2000などをベースとした符号化方式、検索技術、配信システムの発表が継続的に議論されれると共に、多視点符号化方式や超高精細画像の符号化方式および伝送技術等の数年先を意識した発表が明確な増加傾向にあり、現在主流となっている技術の実用化から数年先の産業基盤となりうるコア技術の開発まで、幅広い分野からの研究発表がなされている。
4.その他
従来から取り組んでいる国際標準化関連技術に関連した研究発表と共に、今後もより専門性を高めた質の高い研究活動を行う予定である。
また、電子情報通信学会間モバイルマルチメディア研究会との合同研究会は平成20年度も継続して開催の予定であり(7月開催の予定)、引続き、両研究会の連携を深めていきたい。
さらに今年度より、電子情報通信学会信号処理研究会とスマートインフォメディア研究会との共催による合同研究会を予定している(9月開催の予定)。これを機に、三研究会の間の連携を深めていきたい。
◆グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会
[主査:宗森 純、幹事:市村 哲、鵜飼孝典、葛岡英明、爰川知宏]
1.定例の研究会活動報告
平成19年度は以下の通り、第60-63回の研究発表会を開催しました。
- 第64回(平成19年6月1日 大阪産業創造館):
発表13件(3セッション)、参加者46名 - 第65回(平成19年9月20-21日 山口市 菜香亭):
発表28件(9セッション)、参加者61名
DPS, EIPと共催。藤沢健太教授(山口大学)による招待講演 - 第66回(平成20年1月24-25日 群馬県渋川市 ホテル天坊):
発表26件(7セッション)、参加者50名
DBS, BCCと共催。平野哲行氏(平野デザイン設計)による招待講演 - 第67回(平成20年3月21日 東京工科大学):
発表24件(7セッション)、参加者40名
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年度は以下の通り、2シンポジウム、1ワークショップ、1国際会議を開催しました。
- DICOMO2007シンポジウム(平成19年7月4-6日 三重県鳥羽市 戸田家):
発表252件、参加400名、デモ10件、企業展示5件、招待講演1件
平成9年度より共催しているDICOMOは、DPS、GN、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBI の8研究会の共催で、BCC研究グループおよびEIPが協賛 - インタラクション2008(平成20年3月3日-3月4日 学術情報センター):
一般講演13件,インタラクティブ発表57件、ポスター発表77件,参加者650名以上
平成9年より共催している「インタラクションシンポジウム」は、HI、UBIと共催 - グループウェアとネットワークサービスワークショップ2007 (平成19年11月8-9日 ホテル磯部ガーデン):
発表26件(査読付7件、一般14件、ポジション5件)、参加者48名
質の高い査読付き論文発表、通常研究会に準ずる一般発表に加えて、萌芽期の研究や研究提案などに対しても発表・議論の場を提供することを目的として、第4回ワークショップを開催した。各セッションにおいて、多様な研究発表・討論・意見交換が行なわれ、また、参加者全員が一箇所に宿泊したことにより、セッション外でも活発に意見交換が行なわれた。 - 第3回コラボレーション技術に関する国際会議 (CollabTech2007)(平成19年7月12-13日 ソウル(韓国))
第3回目となるCollabTech 2007は、韓国Information and Communications UniversityのDongman Lee教授を大会長に迎えて、初めて海外(韓国ソウル)で開催された。例年通りシングルトラック構成として、チュートリアル1件、招待講演1件、一般講演24件(9件は日本以外の論文)となった。この韓国開催によって、少しずつではあるが、アジア地域にCSCW/グループウェアのコミュニティを広げることに貢献できたと確信している。平成20年度は和歌山での開催を予定している。
3.総括
当研究会は、平成5年度の発足以来、グループウェア技術に関して、理論から応用、情報科学から社会科学、と幅広い学際的研究活動を活発に推進してきました。この間、Webなどのグループウェアの実用化が急速に進み世の中に定着しました。当初は企業内の既成組織など目的の明確なグループの協調作業を対象にした研究や応用システムが大部分でしたが、インターネット技術の発展とともに、企業対企業、企業対個人、また個人対個人での作業、あるいは業務にとらわれない人と人とのコミュニケーションや興味を主体とするコミュニティ形成にまで対象が広がってきております。
これらの動向を踏まえて、平成13年度より、研究会名称をグループウェアとネットワークサービス研究会へと変更し、ネットワークサービスも対象として、これらの分野での研究の推進役としての活動を行っております。発表内容もマルチユーザインタフェースからWeb2.0関連サービスまで広がっています。具体的な活動として、4回の研究会、1回のワークショップ、2回の共催シンポジウムの開催に加え、今年度は、国際会議CollabTech2007に協賛しました。また、昨年度から優秀発表賞を設け、主催研究会にて優秀な発表を行った論文(発表者)を対象に表彰を実施しています。
4.その他
- 平成20年度は国際的な活動への貢献として、国際会議CollabTech2008の主催を予定しています。
- 研究会関連メンバへのサービスとしては、平成13年4月から毎月メーリングリストによるニュースレターの発行を継続しており、現在約350名がメーリングリストに登録されています。
- 今年度より、優秀発表賞に加え、「グループウェアとネットワークサービス研究賞」を新たに創設し、年度を通じて継続的な発表活動を行った論文(発表者)を対象に表彰を実施する予定です。
◆分散システム/インターネット運用技術(DSM)研究会
[主査:藤村直美、幹事:今泉 貴史、坂下 秀、山之上卓]
1.定例の研究会活動報告
次に示すように第41~44回の研究発表会を開催した(カッコ内は参加者数)。
- 第45回 5月10日(木)~11日(金) 高知工科大学(34名)
- 第46回 7月19日(木)~20日(金) 京都女子大学(53名)
- 第47回 9月21日(金) 山梨県立大学(40名)
- 第48回 3月6(木)~7日(金) 北陸先端科学技術大学院大学(57名)
発表件数は、第45回が21編、第46回が20編、第47回が10編、第48回が14編、合計で65編となっており、今年度は昨年度(59編)に比べて、全体として発表件数が大幅に伸びた点に特徴がある。特に第46回の研究会は開催時期と女子大学という場所柄が良かったのか、論文投稿が昨年度(9編)よりも目立って多かった。参加者についても、第46回と48回が50名以上と多く、第45回が30名少々で少なめであったが、全体としては昨年度よりもかなり増加した。
第45回は電子情報通信学会のテレコミュニケーションマネジメント(TM)研究会との共催、第46回は電子情報通信学会のインターネットアーキテクチャ(AI)研究会との共催であった。いずれの研究会においても、情報教育関連、インターネット運用技術、電子メール、基盤ネットワーク、経路制御、性能評価など、幅広いテーマで議論が行われた。第46回研究会では通信事業者の実際に運用に関わっている人たちによる招待講演が行われ、好評であった.通常の研究発表としては、性能評価、基盤ネットワーク、セキュリティなどに関連して発表と活発な議論が行われた。
いずれの研究会会場でもネットワークリーチャビリティが確保され、快適な環境での開催であった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
分散システム/インターネット運用技術シンポジウム2007
日程: 11月26日(月)~27日(火)
会場: 学校法人学習院 学習院創立百周年記念会館・小講堂
参加人数: 50名
プログラム委員長:齊藤 明紀(鳥取環境大学)
実行委員会委員長:村上 登志男(学習院大学)
今回のシンポジウムは「柔らかなサービスを支える技術」を全体テーマとし、ユーザの手による情報の自由な整理や高品質なユーザ利用環境をどう捉えていくかに注目し、招待講演1件、パネル討論2件、一般講演13件で構成した.招待講演では「柔らかなネットワークを目指して IPネットワークの現在、そして未来」というテーマで東京大学の加藤先生に講演をお願いし、好評であった。パネル討論では「VoIPと柔らかなサービス」と「仮想化と柔らかなサービス」というテーマで活発な議論が行われた。一般講演では、講義システム、TCP/IP、グループ連携、システム設計、管理手法などに関して、2日間を通じて活発な議論が行われた。
シンポジウムの参加者数は、当初の計画人数である80名には及ばす、最終的には50名となった。企業展示は11社あり、多くの参加者が見学し、賑やかであった.今回、シンポジウムの参加者数が少なかったが、東京地区で開催すると参加者が少ないというジンクスをまたしても破れない結果となった。
3.総括
上記の研究会、シンポジウムに加えて、7月4日(水)~6日(金)に三重県 鳥羽温泉 戸田家においてマルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO)シンポジウムを共催した。このシンポジウムでも本研究会に関連したテーマで19件(セッション1H、2H、3H、4H、8H)の発表が行われた。
前年度に引き続いて、本研究会が中心となり、『新しいパラダイムの中での分散システム/インターネット運用・管理』をテーマとする論文誌特集号を企画し、論文募集を行った.これまででもっとも多い52編の投稿があり、27名からなる特集号編集委員会で審査した結果、最終的に22編を採録とした。採択率は42%となり、当初の予想よりも低い結果となっているが、採録数自体はほぼ例年通りで安定している。
4.その他
研究会の会員数は安定して増加しており、参加者数も今年度は昨年度に比較して増加している。そうした中で、平成20年度からはQAI(高品質ネットワーク)研究会との統合もあり、研究会の会員数はさらに増加し、財政的にも安定する見通しである。
◆デジタル・ドキュメント(DD)研究会
[主査:大場みち子、幹事:鬼塚 真、斎藤伸雄、菅沼 明、中挾知延子]
1.定例の研究会活動報告
2007年度は研究発表会5回、投稿総数62件で、前年度の研究発表会6回、投稿総数66件に対して研究会の回数が1回少ないのはシンポジウムを開催したためである。研究会発表会あたりの投稿件数は前年度11件から12.4件に増加している。
- 第61回 2007年5月25日(金) 日立製作所大森ベルポート 発表件数6件
- 第62回 2007年7月26日(木)~27日(金) はこだて未来大学 発表件数14件
- 第63回 2007年9月28日(金) 日立製作所大森ベルポート 発表件数9件
- 第64回 2007年1月31日(木)~2月1日(金) 鳥取環境大学 発表件数22件
- 第65回 2007年3月28日(金) 専修大学 発表件数11件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
当研究会では隔年でシンポジウムを開催しており今年度は下記のとおり第6回デジタルドキュメントシンポジウムを開催した。
- デジタルドキュメントシンポジウム2007
2007年11月22日(木) 日立製作所大森第二別館 1階講堂
テーマ「知・情・意の発現(イマージュ) ~デジタルドキュメントが拓くWeb革新と先進の流儀」
個人や組織の知識や感情・イメージ・意志をドキュメントとしてどのように発現し、そこからいかに新たな可能性を見出し、どうイノベーションに繋げるか、そしてドキュメントとして伝えるべき知・情・意を発現するための様々な流儀について、各分野で新しい実践を指向する方々を講師に迎え、次世代デジタルコミュニケーションの役割とそこでの流儀を示した。
今回は4団体(アート・ドキュメンテーション学会、XMLコンソーシアム、情報知識学会、テクニカルコミュニケーター協会からの協賛を得て前回に比べ参加者が激増した(29名→107名)。
web革新を支えるコミュニケーションツールとしてデジタルドキュメントを捉え、関連して多様な方面での注目すべき取組みに関する講演を盛り込んだ事で企業関係者の参加が多く、企業の学会離れが懸念される情勢の中で大いに健闘したと考える。
3.総括
webの世界やデジタルコミュニケーションの分野では、既存の枠を打ち破り新たなイノベーションが展開されている。当研究会ではデジタルドキュメントに関わる基礎研究から応用研究まで幅広い分野を対象としてきたが、webの世界のみならずデジタルコミュニケーションにおけるドキュメントの果たす役割は幅広く、ますます重要となってくるであろう。これからの研究会活動においては、デジタルドキュメントの役割を追求するとともに、今後のWebやユビキタスネットワーク社会のさらなる進展に伴う社会環境やビジネス環境の変化を踏まえて研究の方向付けをして行きたいと考える。
4.その他
前年度に継続して、幅広い研究分野とのコラボレーションを促進しつつ積極的な議論が行なわれる文化を尊重して行きたい。毎回の研究会において研究発表者への討議内容のフィードバックを図り、研究発表の質の向上と発表内容の論文化を積極的にバックアップし、研究会推薦論文を継続して実施して行く。
◆モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会
[主査:渡辺 尚、幹事: 石原 進、清原良三、竹下 敦、長谷川輝之、山本 幹]
1.定例の研究会活動報告
第41-44回の研究発表会を開催した。
- 第41回研究会 5月17、18日 沖縄県青年会館
共催:電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信研究会(MoMuC) - 第42回研究会 9月27、28日 東京電機大学お茶の水アネックス
- 第43回研究会 11月21日、22日 京都大学学術情報メディアセンター
共催:ITS研究会、BCC研究グループ、京都大学学術情報メディアセンター - 第44回研究会 3月5、6日 慶応義塾大学三田キャンパスG-SEC 共催:UBI研究会
本年度の定例研究会の発表件数は昨年度を10%ほど上回る64件であり、モバイルコンピューティングの研究が堅調かつ活発に行われていることを示している。発表の内容としては、引き続きアドホックネットワークに関する研究への関心が高く、環境・デバイス等を考慮した経路制御方式や安定化、効率化を図る方式など、より応用的なテーマへ移行している。また、位置情報推定・利用やコグニティブ無線技術、セキュリティを含む端末実装技術に関連した発表も増加しつつある。また、新たな試みとして、MobiCom/MobiHocといったトップクラスの国際会議の報告や標準化動向の報告等もあり、有益な情報交換機会を提供することができた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
- マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム
平成19(2007)年 7月4~6日 戸田家(三重県鳥羽市)
共催:DPS, GN, DSM, CSEC, ITS, QAI, UBI研究会
協賛:BCC研究グループ, EIP研究会
本シンポジウムは今回で11年目を迎え、昨年同様8つの研究会の主催の他、1研究グループ、1研究会の協賛による大規模な開催となった。今年は約400名の参加者が集まり、263件の研究発表が8パラレルセッションで行われた。併せて招待講演1件、デモ発表10件、企業展示6件も実施され、それぞれの分野の研究者の間で活発な議論が行なわれた。MBL研究会からは45件の発表があり、主催研究会中最多の11セッションが構成されるなど盛況振りを見せた。また優秀論文も5件(内推薦論文は3件)選出され、発表の質も高いものとなった。 - 論文誌特集号集号の発行・企画
①MBL・ITS特集号
掲載:平成20年1月号
MBL・ITS両研究会の共同企画による論文誌特集号は平成13(2001)年7月号以来8回目の発行となる。今回は、40件の投稿があり17件を採録した。例年30~40件程度の安定した投稿があり、本分野の研究成果を示す場として広く認識されていることを示している。平成20年度も3月末締切にてMBL/ITS特集号を企画し43件の投稿件数を達成している。
②ICMU特集号
掲載:平成19年6月号
2006年10月に英国にて開催したMBL研究会主催の国際会議ICMU2006に採録された25件(投稿69件)の論文より6件を選定し論文誌特集号を発行した。国際会議への投稿数に対する採録率は10%以下であり、アドホックネットワーク関連を中心に質の高い論文を掲載することができた。 - 国際会議ICMU2008に向けた準備
投稿締切:平成19(2007)年12月22日
開催:平成20(2008)年6月11~13日
主催:MBL研究会
共催:BCC研究グループ
協賛:ITS, UBI研究会
協力:柏森財団、SCAT (財団法人テレコム先端技術研究支援センター)
当研究会主催の国際会議であるICMU2008 (4th International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking) の平成20年6月開催に向けた準備を進めた。60件の論文投稿があり、19件の質の高い論文を口頭発表論文として採択し(採択率32%)、別にポスター論文として6件を採択した。会議ではテクニカルセッションに加えて、業界を代表する3名のスピーカによる基調講演ならびに国内外からパネリストをそろえたパネルディスカッションを行う予定である。
3.総括
平成19年度は、MBL運営委員会の活動の元、4回の定例研究会、シンポジウムを開催し、論文誌特集号の企画を滞りなく進めた。以上により、モバイルコンピューティング技術の発展に寄与するとともに、研究者相互の交流ならびに大学と産業界の連携のための意見交換の場を積極的に提供することができた。また平成20年度開催のICMU2008の準備をほぼ完了し、国内のみならず外国の研究者との交流の活発化が見込まれる。今後とも、これらの交流で得た研究者間の関係をベースに本研究会をさらに発展・充実させたい。
◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会
[主査:寺田真敏、幹事:岩村恵一、鳥居 悟、松浦幹太]
1.定例の研究会活動報告
平成19年度は第37回~第40回の研究発表会を開催し,発表件数も計141件にのぼった.発表内容は,電子社会,電子透かし,ネットワークセキュリティ,暗号,セキュリティ評価など多岐に渡っている。傾向としては,セキュリティ実装技術,セキュリティ評価/監査の発表が増えており,より実際的技術に関する発表が増えつつある。
- 第37回 平成19年05月25日/キヤノン(大田区)15件
- 第38回 平成19年07月19日~20日/公立はこだて未来大学 (函館市) 57件
- 第39回 平成19年12月14日/ 東京理科大(神楽坂)14件
- 第40回 平成20年03月07日~08日/ATR(けいはんな)55件
このうち,第38回の研究発表会では,セキュリティ分野での学会間の交流を目的とした合同研究発表会を,電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC),技術と社会・倫理研究会(SITE),情報通信システムセキュリティ時限研究会(ICSS)と共に,また,第40回の研究発表会では,研究会間の交流を目的とした合同研究発表会を「マルチメディア通信と分散処理研究会」と共に開催した.いずれの合同研究発表会も,セキュリティの研究視野ならびに交流を深める上でも有意義であった.なお,平成19年度に実施した招待講演は次の通りである.
第40回の研究発表会
ATR代表取締役社長 平田康夫氏「情報通信の進化を支える研究開発と若手研究者への期待」
2.シンポジウム・国際会議等の報告
○International Workshop on Security(IWSEC2007)
10月29日~10月31日の3日間,奈良市の奈良県新公会堂で情報処理学会コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)と電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC)との共同主催でInternational Workshop on Security(略称IWSEC2007)を開催した.この国際ワークショップは,日本における情報セキュリティ研究の一層の発展と国際化および,国際貢献を目的としている.発表論文数はレギュラーペーパー30編で,ネットワークセキュリティ,暗号理論,ディジタル署名・認証,セキュリティ管理,暗号プロトコル,電子商取引・電子政府,オペレーティングシステムと多岐に渡っている.
○コンピュータセキュリティシンポジウム2007(CSS2007)
奈良県新公会堂において10月31日~11月2日にかけ開催した.発表論文数114件,参加者253名となり,3パラレル,33セッションの盛況なシンポジウムとなった.また,10回目を迎えたCSS2007では,新たな取り組みとしてキャンドルスターセッション(ナイトセッション),デモ展示セッションを取り入れた.特別講演としては,わが国における情報セキュリティの政策面ならびに技術面から取上げた.
特別講演1: わが国の情報セキュリティ政策の概要と研究開発コミュニティへの期待
山口 英(奈良先端科学技術大学院大学 教授,内閣官房 情報セキュリティ補佐官)
特別講演2: トラクタブルネットワークの研究開発
篠田 陽一((独)情報通信研究機構 情報通信セキュリティ研究センター長,北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授)
○マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム
7月4日~6日にかけ,三重県鳥羽において開催した.DICOMOは,情報処理学会のCSEC研究会を含む多数の研究会が協賛しているシンポジウムであり,ネットワークからセキュリティまで幅広い研究分野をカバーしている.このため,セキュリティについての発表テーマも,セキュリティ管理,セキュアシステムとその実現手段,認証ならびにプライバシ保護と多岐に渡っている.
○論文誌「情報システムを支えるコンピュータセキュリティ技術の再考」特集
本特集では,様々な脅威や被害を低減する情報システムを支えるコンピュータセキュリティ技術に関する理論,方法論ならびに,実際の応用システムに関する研究論文を一括掲載することを目的として企画した.査読の結果,暗号の基礎理論からセキュリティ文化にも関連する論文まで,幅広いテーマの論文の中から26件を採録とした.
○論文誌「安心・安全な社会基盤を実現するコンピュータセキュリティ技術」特集
本特集号は,2008年9月の発行を予定しており,現在,特集号編集委員会により編集作業を進めている.本特集号においても方法論だけではなく,実システムの評価論文も数多く採録することにより,安心・安全な社会基盤を実現するためのコンピュータセキュリティ技術という側面を読者に伝えていきたいと考えている.
3.総括
研究発表会4回のうち2回を合同研究会形式とし,また,IWSEC2007国際会議を開催するなど,研究会発足10年目も,学会ならびに研究会間の交流に力を入れ,セキュリティ技術の研究の広がりと深みを増すための場の提供に注力した.今後共,時代のニーズに答えるべく,各方面の研究者の意見交流の場の提供,研究の活性化の支援に努めていく.
4.その他
平成20年度は,研究発表会4回(うち地方開催2回),平成20年10月8日~10日CSS2008(沖縄)を開催する予定である.このうち,第41回研究発表会では情報セキュリティ心理学とトラスト研究グループ(SPT)との合同開催,第42回研究発表会では情報セキュリティ研究会(ISEC),技術と社会・倫理研究会(SITE),情報セキュリティ心理学とトラスト研究グループ(SPT),情報通信システムセキュリティ時限研究会 (ICSS)との合同開催,第44回ではマルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)との合同開催を企画している.
また,2009年9月発行をめざした特集号編集委員会の立ち上げ,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム,情報セキュリティ研究会(ISEC)との共催による国際会議IWSEC2008(3rd International Workshop on Security)(平成20年11月25日~27日,高松市)開催向け準備を進めている.
今後共,会員の方々には積極的な発表,論文投稿と参加をお願いしたい.
◆高度交通システム(ITS)研究会
[主査:小花貞夫、幹事:梅津高朗、木村 裕、久保田浩司、屋代智之]
1.定例の研究会活動報告
平成19年度は、次の通り第29-32回の研究発表会を開催した。全部で49件の発表があり、内容もITSに関する国内動向から、交通流解析・制御、路車間・車車間通信方式、車載通信端末、画像解析、ナビゲーション、ヒューマンインタフェース、歩行者ITS、交通心理学、航空交通関連など基礎から応用までの技術について幅広い発表、議論が行われた。9月研究会は電子情報通信学会ITS研究会、電気学会ITS研究会と、11月研究会はMBL研究会、BCC研究グループとの共催で開催した。
- 第29回 6/15(金) 岩手県立大学 発表6件(内招待講演1件)
- 第30回 9/18(火)-19(水) 東京大学 発表14件 電子情報通信学会ITS研究会・電気学会ITS研究会共催
- 第31回 11/21(水)-22(木) 京都大学 発表21件(内招待講演2件) MBL研究会・BCC研究グループ共催
- 第28回 3/7(金) 慶應義塾大学 発表8件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
- ITS産業フォーラム
平成19年度は、従来学会として取り組んでいた産業フォーラム/ITSに代わりITS研究会主催で、情報処理学会非会員を含む多くの一般の研究者に対してITS分野の研究に興味をもってもらうための啓蒙活動の一環で昨年度より始めたITS産業フォーラムを次の通り開催した。47名の参加があり、おおむね好評であった。
・第4回 2/29(金) 化学会館 テーマ「ITSのためのシミュレーション技術の現状と今後」 招待講演3件とパネル討論 参加47名(招待講演者、パネリスト含む) - マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム
7/4(水)-6(金)、三重県・鳥羽温泉・戸田家にて、DPS研究会・GN研究会・DSM研究会・MBL研究会・CSEC研究会・ITS研究会・QAI研究会・UBI研究会の共催、BCC研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会の協賛で開催した。発表254件、デモンストレーション・展示16件があった。複数の研究会に関連する発表テーマが一同に会した合宿形式で有意義なシンポジウムであった。 - 高度交通システム(ITS)2008シンポジウム
1/11(金)、日本科学未来館(臨海副都心)にて、「車載機器と携帯通信の最新動向」のテーマで開催した。カーナビに関する一般動向の他、車載システムの国際的な動向、キャリアの位置情報サービスへの取り組みや次世代携帯電話技術などについて7件の講演が行われ、100名の参加があった。また、ITS研究会優秀論文(4件)の表彰も行われた。
3.総括
研究発表会4回の内2回を共催とし、また、DICOMO2007シンポジウムにも共催参加するなど、今年度も学会ならびに研究会間の交流に力を入れて取り組んだ。また、ITS産業フォーラム、ITSシンポジウム2008を開催し、ITS関連の研究活動の拡大や潜在的な研究者の発掘などにも取り組んだ。ITSは他の分野・技術との関連性が大きいことから、今後もより広範な意見交換が行える場の提供を行っていきたいと考える。
4.その他
今年度も引き続き、ITS分野の研究・開発の裾野の拡大や潜在的な研究者の発掘・啓蒙を図るともに、産学官交流の場として、ITS産業フォーラムを位置づけ、ITS分野における行政施策や産業の早期展開に学会として少しでも貢献できるよう今後とも継続して開催していきたいと考えている。
◆高品質インターネット(QAI)研究会
[主査:相原玲二、幹事:地引昌弘、中村 豊、松原大典]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括
◆システム評価(EVA)研究会
[主査:木下俊之 、幹事:堀川 隆、岸場清悟、池田吉朗]
1.定例の研究会活動報告
- 第21回の研究発表会(平成19年6月22日、日立製作所システム開発研究所、発表件数:5件)を開催し、シンクライアント環境のシステム評価、P2Pトラフィック特性、待ち行列による性能評価法に関する発表があった。
- 第22回の研究発表会(平成19年8月2日、旭川国際会議場、発表件数:3件)をSWoPP2007の一貫として開催し、バッチ処理スケジューリング、P2Pネットワークでのダウンロード性能、ユビキタス環境での負荷分散に関する発表があった。
- 第23回の研究発表会(平成19年11月19日、北陸先端科学時術大学院大学、発表件数:4件)を開催し、IPトレースバック性能、ジャーナリング処理、実運用周期による負荷予測に関する発表があった。
- 第24回の研究発表会(平成19年3月19日、広島大学、発表件数:10件)を開催した。セキュリティ脆弱性対策、ディスクレスPCクラスタ性能、非構造化P2Pファイル共有ネットワークのシステム性能評価に関する発表があった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年度は実施なし。
3.総括
システム評価研究会は性能評価にとどまらず、幅広い多様な観点からのシステム評価を目的としている。H19年度は、性能評価関連ではP2Pネットワークやバッチ処理スケジューリングなどに関する発表が多く見られた。また性能評価以外では、プレゼンス管理やリモート監視などのシステム運用に関する発表が多くあった。
4.その他
今後とも登録会員増に努め、活性化を図りたい。また性能評価以外の一般のシステム評価に関する発表を増やしていきたい。
◆ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会
[主査:戸辺義人、幹事:大内一成、椎尾一郎、高汐一紀、寺田 努、戸田真志]
1.定例の研究会活動報告
平成19年度は,以下の通り第14-17回の研究発表会を開催した.
- 第14回 平成19年5月23日 立命館大学 びわこ・くさつキャンパス 発表10件,招待講演1件
- 第15回 平成19年7月19-20日 東京電機大学 神田キャンパス 発表10件,招待講演5件,パネル討論1件
- 第16回 平成19年11月29-30日 秋葉原ダイビル 公立はこだて未来大学サテライト 発表17件,招待講演2件
- 第17回 平成20年3月5-6日 慶應義塾大学 三田キャンパス 発表14件,招待講演1件
第15回は電子情報通信学会ユビキタス・センサネットワーク(USN)研究会と,第17回はモバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会と共催した.
また,平成21年度からの研究報告全面オンライン化を見据え,第17回研究発表会をペーパレスで試行した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年度は,以下のシンポジウムをそれぞれ共催の形で開催した。
- マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2007) シンポジウム
平成19年7月4-6日 三重県鳥羽「戸田家」
マルチメディア通信と分散処理研究会,グループウェアとネットワークサービス研究会,分散システム/インターネット運用技術研究会,モバイルコンピューティングとユビキタス通信研究会,コンピュータセキュリティ研究会,高度交通システム研究会,高品質インターネット研究会と共催し,合宿形式で活発な議論がなされた. - Fourth International Symposium on Ubiquitous Computing Systems (UCS2007)
平成19年11月25-28日 秋葉原ダイビル
電子情報通信学会ユビキタス・センサネットワーク(USN)研究会と共催した.日韓を中心に,欧米からの参加者も含め,多数の参加者のもと,デモ・ポスターセッションも開催し,活発な議論が展開された.UCSは,UBI研究会が中心となって平成15年に立ち上げた国際シンポジウムで,アジア地域のユビキタスコンピューティングシステムに関する研究発表・議論の場として,深く浸透してきた. - インタラクション2008
平成20年3月3-4日 学術総合センター/一橋記念講堂
ヒューマンコンピュータインタラクション研究会,グループウェアとネットワークサービス研究会と共催し,DICOMO同様,研究会の枠を超えた交流の場として,関連研究分野の発展に大きく貢献している.
3.総括
平成19年度の研究発表会では,年間で計51件の発表があり,内容も,ネットワーク,セキュリティ,位置・状況認識,データ解析・検索など基盤技術に関するものから,ヘルスケア,海洋センシング,情報家電システムなど,実フィールドでの実証・評価実験や各種フィールドワークの実例紹介に関する発表まで,幅広いテーマに関する発表と,活発な議論が行われた.ユビキタスコンピューティングに関連する各技術が着実に成熟しつつあることを端的に示しているものと思われる.
4.その他
ユビキタスコンピューティングの研究は黎明期を過ぎ,いよいよ産業実用化が問われる時期となってきた.産業界との連携を積極的に図り,社会的意義の高い議論を研究会の中で行いたい.さらにUCSを軸として東アジア内での連携を念頭に,東アジアでの中心的な活動拠点としてUBI研究会を位置づけたい.多くの会員の参加を期待する.
◇放送コンピューティング(BCC)研究グループ
[主査:岡田謙一、幹事:阿倍博信、塚本昌彦、寺田 努、長谷川亨、水野忠則]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括
フロンティア領域
◆自然言語処理(NL)研究会
[主査:中川裕志、幹事:乾健太郎、二宮 崇、森 辰則]
1.定例の研究会活動報告
第179-184回の研究発表会を開催した.
本年度は、語彙、情報抽出、評判分析、表記、などの研究が多かったがこれらの間での偏りは少ない。構文解析、機械翻訳は少なかったといえる。語彙や表記の扱いなど基礎的な研究と、情報抽出関連の応用に分かれる傾向が見られた。確率モデル、機械学習は基本的なツールとして定着しており、多くの研究で使用されている。対象としてWeb情報を扱うものは昨年に続いて多かった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年度は実施なし。
3.総括
共催の開催も多かったが、大きな混乱はなかった。
4.その他
1月の研究会で、聴講者が会議の運営に不満を持ち、近隣の神田警察署に駆け込む事件があった。警察にも出向いて事情を聴いたが、学会側に問題はないとの話であった。このような聴講者が続けば、出席を事前登録制にするなどの厳しい方向を考える必要もあるが、当面は、研究会における窓口をはっきりさせておくという方策をとることにした。
◆知能と複雑系(ICS)研究会
[主査:小野哲雄、幹事:伊藤孝行、今井倫太、福田健介、山下倫央]
1.定例の研究会活動報告
第148~151回の研究発表会を開催した。人工知能学会「知識ベースシステム」
研究会,電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会,JAWS2007(合同
エージェントワークショップ&シンポジウム)との共催により,先端的な
研究領域をテーマとした研究会をオーガナイズした。
第148回は,「Web Intelligenceおよび一般発表」というテーマで2007年
7月4日に,人工知能学会KBS研究会との共催で,国立情報学研究所にて行われた。
Web Intelligenceの理論・応用に関して招待講演を含む10件の発表があり活発な
議論が行われた。
第149回は,JAWS2007の特別セッションとして,2007年10月30日に,沖縄コン
ベンションセンターにて開催された。特集テーマは,「オークションとメカ
ニズムデザイン」であり,6件の発表が行われた。各発表は,キーワード
オークション,組合せオークション,架空名義不可能オークション,配分戦略,
Webサービスオークションなどに関する質の高いものであった。
第150回は,「関係性とインタフェースデザイン」というテーマで,2008年1月
22日に,慶應義塾大学日吉キャンパスで行われた.6件の発表があり,関係性と
インタフェースデザインの観点から,人と情報,人とエージェント/ロボット,
人と人の間の繋がりを演出するデザイン手法に関連する質の高い発表が行われた.
第151回は,2008年3月5日,6日,7日に,北海道札幌市の定山渓温泉(定山渓
ビューホテル)において,「社会システムにおける知能」というテーマで開催
された。電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会と合同研究会となり,
26件の発表が行われた。情報技術・人工知能技術の社会システムへの応用に関して,
従来の情報技術・人工知能技術にはなかった先進的な技術開発や適用事例,
新技術が社会に与える影響に対する知見についての発表が行われ,質の高い
議論をすることができた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年度は実施なし
3.総括
すべての回で特集を組んだ結果,質の高い研究発表に加え,非常に活発な
討論がなされ,研究の活性化を図ることができた。特集のテーマは
Web関連,オークション関連,インタフェースデザイン関連,社会システム関連
とやや分散する傾向にあるが,これは人工知能に関する先端的な研究の広がりを
示すものと考えられる。
4.その他
次年度も4回の研究会開催を予定している。今後は複雑系の研究者にも
発表を促し,既存の研究分野にとらわれない幅広いコミュニティの形成を
目指し,より先進的な分野を開拓していきたいと考える。
◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会
[主査:谷口倫一郎、幹事:杉本晃宏、橋本 学、増田 健、向川康博]
1.定例の研究会活動報告
第159-162回の研究発表会を開催した。本年度は、以下のテーマ別オーガナイズドセッションを企画し、毎回100名前後の聴講者があり、熱心な討論が行われた。
- 2007年9月:顔・ジェスチャの認識・理解
- 2008年1月:CV/PR技術のVR応用
- 2008年3月:多視点画像処理の現状と将来展望
本年度は、通常の研究発表に加えて、特定の手法・技術に関してチュートリアル講演を継続的に実施し、好評を博した。また、若手研究者の育成を目的に、前年度に学部を卒業し修士課程に進学した学生を対象とした「卒論セッション」及び、前年度に博士の学位を取得した若手研究者を対象とした「D論セッション」を 2007年5月に開催した。卒論セッションの発表数は25件、D論セッションの発表数は4件であった。なお、卒論セッションにおいては、優秀な発表に対して最優秀賞ならびに優秀賞を授与した。
- 最優秀賞
・齋藤 悠司
インタラクティブなステレオ3次元計測 - 優秀賞
・岡崎 智也
アクティブライティングによる画像からの対象物の抽出
・東 はるか
装着型全方位監視に向けて -小型センサの試作と動物体検出法の提案-
・那須 督
直接成分と間接成分の分離に基づく照明光の伝播解析
2.シンポジウム・国際会議等の報告
第10回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2007)を開催した。MIRU2007は、基調講演2件、口頭発表49件、インタラクティブ発表190件、デモ論文19件の発表があり、486名が参加した。また、前年に引き続いて国際化を意識し、研究の国際化を目指した特別セッションを設け、さらにACCV2007のエリアチェアには招待講演16件をお願いした。なお優秀論文の表彰は以下の通りである。
- MIRU長尾賞(最優秀論文賞)
・大町真一郎 (東北大)、大町方子 (東北文化学園大)
多項式表現を用いた部分空間法による高速画像探索 - 優秀論文賞
・岡谷貴之 、出口光一郎 (東北大)
被写界深度ボケを伴う画像一枚からのシーンのスケールの推定:
ミニチュアシーンの錯覚に関する一考察
・吉村真、清水雅夫、田中正行、奥富正敏(東工大)
非剛体変形を利用した揺らぎ除去と高解像度画像生成 - 学生賞
・永橋知行(中部大)
平滑化処理の繰り返しによる画像セグメンテーションのためのグラフカット - 特別セッション賞
・Cheng Wan, Jun Sato (Nagoya Institute of Technology)
Multiple View Geometry under Projective Projections in Space-Time - デモセッション賞
・小坂谷達夫、湯浅真由美、西山正志、河原智一、山口修(東芝)
1枚の顔画像による特定人物検索システム
~ 国際顔認識ベンダーテスト(FRVT2006)に提出した顔認識エンジン
・野口和人、本道貴行、岩村雅一、黄瀬浩一(大阪府大)
近似最近傍探索の多段階化によるリアルタイム物体認識システム
3.総 括
研究会発表に対するコメント制度、卒論セッション/D論セッション、研究会推薦論文制度など、研究者育成の活動を重視してきた。また、研究会論文誌は、以下の号を刊行した。
- 第18号「博士論文・卒業論文セッション」
- 第19号「一般論文」
- 第20号「特集:動画像解析」
なお、平成19年度は、アジア地区最高峰の国際会議であるAsian Conference on Computer Visionが東京で開催され、CVIM研究会も協賛として協力した。平成21年度には、コンピュータビジョンにおける最高峰の国際会議であるInternational Conference on Computer Visionが京都で開催されることから、開催の準備と共に、日本のコンピュータビジョン界の更なる活性化・国際化を目指し、様々な方策を考えていく必要がある。
4.その他
次年度は、4回の研究会開催を予定している。2008年5月の第163回研究会では、好評である卒論セッションとD論セッションを企画している。また、次年度のオーガナイズドセッションで予定しているテーマは以下の通りである。
- 2008年9月「手・顔・身体表現の認識・理解(仮)」
- 2008年11月「アンビエント環境知能(仮)」
- 2008年3月「CV/PRのための学習理論(仮)」
◆コンピュータと教育(CE)研究会
[主査:中森眞理雄、幹事: 兼宗 進、立田ルミ、田中雅章、西田知博、坂東宏和 ]
1.定例の研究会活動報告
第89~93回の研究発表会を、順に桃山学院大学、獨協大学、高知工科大学、那覇市IT創造館、東京農工大学で開催し発表総数は78であった。前年より20件も増加しており、後述のシンポジウムも含めて、研究発表活動が年を追って活発化して来ていると言える。研究としては、実際的なeラーニングを目指す研究、教育・学習支援システムや教材コンテンツの研究、教育現場の環境を高度化する研究、教材やシステムに意味論的な視点を持ち込む研究、などが盛んに発表された。また、新学習指導要領の中の高等学校「情報」に関しては、関心の重点が実際の教育実践内容と教科書などの実際的な分析に移ってきており、さらにこれらを意識しながら大学教育を考える傾向も強まっている。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年8月26日~28日に「情報教育シンポジウム SSS2007」を三重県三重郡菰野町湯の山 (協)三重県勤労者福祉センター希望荘で開催した。これは、当研究会が主催するシンポジウムとしては9回目となるが、"情報教育"に関わる三つの立場である教育、研究、教具教材開発にそれぞれ携わる人々が、立場の境界を越えて語りあうという趣旨で開いたものであり、SSS99以来、熱気のこもった合宿型研究発表会となっている。今回も33件の質の高い発表論文を221ページの予稿集として初日に配布し、二泊三日にわたって夜遅くまでの議論が続いた。デモンストレーションの時間が一般発表とは別に確保され、パネル討論では熱心な討論が行われた。当研究会が提案した情報処理学会論文誌特集号についての報告と、情報教育関連の論文の質の向上のための講演も企画した。127名の参加者があり、内容的にも収支的にも成功を収めた。
3.総括
当研究会は、教育の実践をしっかりと視野に捉えつつ、情報の本質を理解し、常に情報教育の可能性を探ることによって、情報教育に関する学界と教育界へ寄与することを目的としている。近年の活動により、初等中等教育から高等教育にわたる情報教育に関係する人々の間に、教育と言う面から情報の本質に関わる議論ができる場としての当研究会の認知度が高まってきた。5年前から増え始めた「初等中等教育における情報教育」の報告が、実際の教材や教授法研究とともに、「大学などにおける情報教育との接続」を視野に入れた研究発表の増加へと発展しており、今後の充実が期待される。
研究会発表論文の質の向上のために、本学会論文誌の「教育」特集号を平成19年8月に発行した。引き続き、平成20年10月発行予定の論文誌「教育」特集号を企画し、現在、査読・編集作業が進行中である
4.その他
運営委員会委員として研究会運営に主体的に参加・協力する研究者を募った結果、運営委員会への出席、研究会発表の推進、シンポジウム他の活動への積極的な寄与、などが活発となり、研究会としての主体性を確立しつつある。また、全国大会やFITなどの学会全体の活動への対応も定着しており、運営委員会のさらなる質的・量的充実をはかってゆく予定である。
◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会
[主査:鈴木卓治、幹事:五島敏芳、後藤 真、阪田真己子、永崎研宣 ]
1.定例の研究会活動報告
第74-77回の研究発表会を5月,7月,9月,1月に開催した。発表件数は39件であった。
第76回は初の海外研究会発表会を台湾で開催した。
発表内容は下記のように、人文学の広い分野にわたり、それぞれの課題について、コンピュータが人文学研究に有機的に利用されている事例が報告された。(じんもんこんシンポジウムを含む)
- 文献学(聖書の写本関係の分析、仏教経典のデータベースなど)
- 歴史学(東洋学、日本史学ほか)
- 文字学(文字や文字コードをキーワードにした情報科学と人文科学と融合的視点に立った研究)
- メディア
- 時空間情報論(GIS、古地図情報の活用、時空間データベースなど)
- 国語学(大規模コーパス等情報技術を駆使した国語学研究への応用)
- 教育学(教育学におけるデジタル技術の応用)
- デジタル復元複製論(デジタル技術を駆使して失われた遺物の姿、色、形等を人文科学的根拠もふまえて復元、複製する試みおよびそのために必要な技術論)
- 舞踊・民俗芸能のモーションキャプチャリングと分析(舞踊の専門家との協業によるものが多い)
2.シンポジウム・国際会議等の報告
人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2007)を12月に2日間にわたって開催した。(開催地:京都市(京大会館))
実行委員長:柴山守、桶谷猪久夫、プログラム委員長:原正一郎。
発表件数は52件であった。「デジタルアーカイブと時空間の視点」というテーマを設定し、論文概要の査読を実施して発表の質の向上を図った。
3.総括
平成元年にスタートしたこの研究会は、もはやコンピュータ側の研究のために人文学の事例を用いる、という段階をとうに過ぎこし、人文学の研究者がブレークスルーを求めて積極的に情報技術を活用して研究に挑む場として機能しているといえる。ある者は独学で情報技術を学び、ある者は情報の研究者と共同で作業をすすめ、またある者は情報科学の素養をもって人文学研究に挑戦している。互いに異なる専門分野にいるものが一堂に会して研究発表や意見交換を行う場は、ともすれば論点や価値観のすれちがいが起こり、有益な議論をしにくくなるものであるが、本研究会では、なるべく議論がかみ合うように参加者が適宜バランスをとって意見を戦わせる空気が自然に出来上がっている。これはわれわれの大きな財産(質の高い人的資源を保持しているという点で)といえよう。
4.その他
平成20年度も4回の研究発表会とシンポジウム1回を実施する。フロンティア領域にふさわしい、評価は難しいかもしれないが“とがっている”研究を支持し応援する場として機能するよう、努力をしたい。
◆音楽情報科学(MUS)研究会
[主査:後藤真孝、幹事:大島千佳、菅野由弘、西村拓一、平井重行]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括
◆音声言語情報処理(SLP)研究会
[主査:武田一哉、幹事:服部浩明、河原達也、松原茂樹]
1.定例の研究会活動報告
第66~70回の研究会を開催し、4件の招待講演を含む合計133件の講演発表が行われた。
- 第66回:法政大学市ヶ谷キャンパスにおいて、自然言語処理研究会と共催した。音声認識・言語処理・対話処理を中心に幅広い内容の17件の一般講演が行われ、活発な意見交換・議論が行われた。学生を対象とした「学生セッション」を設け、優秀な発表を学生奨励賞として表彰した。
- 第67回:宮城県 秋保温泉で合宿形式の研究会を開催した。「福祉と音声研究者」と題して市川熹氏(千葉大)による招待講演をお願いした。また、19件の一般講演が行われ、活発な議論が行われた。4月にハワイで行われた国際会議ICASSP2007の報告も行われた。
- 第68回:第58回・第63回研究会に引き続き、「第3回音声言語情報処理技術デベロッパーズフォーラム」として開催した。服部幹事のコーディネイトにより、木村晋太氏(アニモ)、寺西博人氏(NECソフトウエア北海道)による2件の招待講演と小林哲則氏(早稲田大)、庄境誠氏(旭化成)、石川泰氏(三菱電機)、佐藤幹氏(NEC)をパネリストに迎えたパネルディスカッションを開催した。恒例のディスカッサント制により活発な議論が行われた。その他に3件の一般講演があった。
- 第69回:音声研究会(電子情報通信学会・日本音響学会)、及び、言語理解とコミュニケーション研究会(電子情報通信学会)との共催で第9回音声言語シンポジウムを開催した。鹿野清宏氏(奈良先端大)による招待講演も行われた。また、一般講演28件、ポスター発表25件が行われた。
- 第70回:音楽情報処理研究会と合同で、伊東温泉にて合宿形式の研究会を開催した。後藤真孝MUS主査(産総研)のコーディネイトにより「“音”研究の未来」と題したパネルディスカッションが行われた。また最新のデモシステムが14件集合し、デモセッションが行われた。また36件の一般講演が行われた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年度は実施なし。
3.総括
5回の研究会では、大学院生や若手研究者を中心に発表件数も昨年比で増加し活発な議論が行われた。
第66回の研究会では学生セッションを設けることにより学生の研究発表の奨励と学生の研究会登録の推奨を行った。
また昨年度に引き続きシンポジウム(音声ドキュメント処理ワークショップ)の協賛や音楽情報処理研究会との共催など新研究領域の研究の振興に力を入れた。
一方で「音声言語情報処理技術デベロッパーズフォーラム」を毎年恒例とすることにより音声言語技術の実用化・研究と開発の橋渡しをも継続的に行った。
研究会傘下の音声ドキュメント処理WG、雑音下音声認識WG、音声対話技術コンソーシアム(ISTC)により、当該分野の多くの研究基盤・リソースの提供および教育が行われ、当該研究領域の研究の底上げにも貢献した。
◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会
[主査:亀山 渉、幹事:井出 明、塩野入理、山下博之]
1.定例の研究会活動報告
第36-39回の研究発表会を開催した。
研究分野は、これまでどおり、情報化社会における知的財産と社会基盤を2本柱として、関連する分野を含めて幅広く研究発表を行った。
今年度も昨年度に引き続き、関連分野との連携を深めるために積極的に共催を多くし、単独開催は1回であった。第36回は電子情報通信学会の技術と社会・倫理研究会(SITE)、第37回は昨年に引き続き本学会「マルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)」と「グループウェアとネットワークサービス研究会(GN)」、第39回は本学会「デジタルドキュメント研究会(DD)」、と共催した。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2007)に参加し、社会システム、プライバシなどの分野を担当した。
情報科学技術フォーラム(FIT2007)では、日本知財学会と共催したイベント企画として、シンポジウム「知財戦略を俯瞰する -技術経営から支援技術、知の構造化まで-」を開催した。
3.総括
今年度も、共催の研究会も含めて、著作権や社会シミュレーションなど、そのときの話題やテーマに関連するスピーカに依頼して招待講演を行った。
運営委員会は、次年度の計画や体制などについてメールベースで意見交換を行い、方針を立てていった。次年度の体制については、多くの委員が任期満了等で交代することになるため、活発な活動ができるメンバを新たに加え、ノウハウの共有を図り今後の運営がスムーズに行えるようにしていく。
4.その他
2008年はEIP設立10周年を迎える。FIT2008において、記念のイベント企画を計画しており、歴代主査等の協力を得ながら進めていく予定である。研究会も今年度同様、SITE、DPS/GNとの共催の他、情報メディア学会との共催も予定している。
本研究会は、文系と理系の垣根を取り払った学際的な性格を持ち、運営委員もバラエティに富んでいる。今後も、本研究会の特性を生かし、様々な分野からの研究発表を積極的に受け入れ、次の10年を俯瞰していきたいと考える。
◆ゲーム情報学(GI)研究会
[主査:飯田弘之、幹事: 金子知適、上原貴夫、岸本章宏 ]
1.定例の研究会活動報告
第18回の研究会は2007年6月22日(金)に県立広島大学にて開催された。発表件数は7件で、将棋、中将棋、5五将棋、囲碁、ブリッジなどを題材とし、コンピュータ将棋の進展、ゲームの性質、熟練者の思考過程、解探索、ビッド戦略など、発表内容は多岐にわたる。第19回の研究会は2008年3月12日(水)に東京工科大学にて開催された。発表件数は9件。囲碁、5五将棋、認知実験、大貧民、知識蓄積、モンテカルロシミュレーションと強化学習、HEX、インテリジェントキューブ、ゲームの性質などバリエーションに富んだ発表で、多数の参加者があり盛会となった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
第12回ゲームプログラミングワークショップ(GPW2007)を本研究会の主催で2007年11月9日(金)~11日(日)の3日間にわたり箱根セミナーハウスにて合宿形式で実施した。88名の参加者、31件の一般発表(口頭発表20件、ポスタ発表11件)があり盛況であった。このワークショップは1994年からほぼ毎年開催され、ゲームプログラミング全般に関する我が国最大の学術研究集会である。当該分野の研究者らが一同に会し,時間に拘束されずじっくり討論できる貴重な機会となっている。一般発表以外にも,海外および国内から各1名の講演者をお招きして2件の招待講演を企画した。特に、ここ数年注目を集めているコンピュータ囲碁「CrazyStone」の作者であるRemi Coulom博士の招待講演では、プログラムの基本アイデアであるモンテカルロ法・UCTアルゴリズムの詳細とプログラムの特徴に関する解説があった。最先端で活躍する研究者と身近に討論出来る機会もあり非常に有意義なワークショップとなった。
3.総括
本研究会は発足後9年が経過し、関係者の発表の機会を与えるものとして十分に定着してきた。発表の内容を見ると、将棋や囲碁などの伝統的なゲームを題材にしたものだけでなく、大貧民やインテリジェントキューブなど、新しいゲームやパズルなど新たな拡がりがある。これらの研究テーマは、これからの情報処理技術にとって重要な貢献を果たすと考えられ、さらなる発展が期待される。
4.その他
コンピュータ将棋が名人を超えると予想される2012年に照準を合わせるかのように着実に進歩している。また、コンピュータ囲碁ではモンテカルロ法・UCTアルゴリズムの考案が一つのブレークスルーとなって飛躍的な進歩を遂げようとしている。一方で、チェッカーという長い歴史を持つゲームが(引き分けとして)解かれるという快挙が達成された。ゲームプログラミング技術の着実な進歩がさらなる面白い結果を生み出すに違いない。
◆エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会
[主査:稲見昌彦、幹事:倉本 到,常盤拓司,山下 淳]
1.定例の研究会活動報告
第7回~第9回の研究発表会を以下のとおり開催した.
- 第7回: 2007年 5月10日~11日,於 パナソニックセンター東京(発表 17件)
音楽情報科学(MUS)研究会との共催で開催され,音楽とエンタテインメントとの関係について興味深い研究事例が多く見られた. - 第8回: 2007年12月 8日~ 9日,於 五島コンカナ王国(発表 6件)
「EC の今後」と題し,研究事例のみならず,今後の EC 研究の方向性を深く議論する研究会として,少人数開催を試行した. - 第9回: 2008年 3月 7日~ 8日,於 香川大学(発表 18件)
EC 研究会の単独開催である.身体性を用いたエンタテインメントに関する研究が多く見られた.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
- エンタテインメントコンピューティング 2007(協賛)
2007年10月 1日~ 3日,於 大阪大学(発表 72件,デモ 24件)
芸術・ロボット・ゲーム等の社会的ニーズの高い領域における専門研究を包括的に議論できる場として,多彩で広範な視点から EC 研究を俯瞰する良質な機会であった.
3.総括
第7回研究会は,音楽情報科学(MUS)研究会と合同での開催となった.EC 領域は,音楽に限らず多数の研究領域と関係が深く,他研究会との共催により,より幅広い視点から EC 研究のあり方を見つめることができた.
また,第 8 回研究会は,新たな試みとして「少人数による密度の濃い議論を行う研究会」を開催し,いわゆる研究事例の報告だけでなく,EC 分野の今後の方向性や新たなパラダイムの提案など,従来の方法では実現が難しい濃密な議論が実現できた.ただ,本研究会の場合,予稿よりも実際に行われた議論の集約を研究会会員に伝えるほうが価値が高いため,その方法を検討する必要がある.
今後も,今年度の試行を踏まえ,EC という研究分野が有する特徴に合致するような研究会の運営を目指す.
◆バイオ情報学(BIO)研究会
[主査:阿久津逹也、幹事:石井 信,五斗 進,渋谷哲朗]
1.定例の研究会活動報告
第9-12回の研究発表会を、順に、沖縄科学技術研究基盤整備機構シーサイドハウス、はこだて未来大学、産業技術総合研究所臨海副都心センター、九州大学伊都キャンパスで開催し、発表総数は45であった。第9回研究会は、電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会との併催、第11回研究会は、数理モデル化と問題解決研究会との同時開催である。また、第11回研究会では、同研究会と共同で電気通信大学の富田悦次先生に「The maximum clique problem and its applications」、また慶応義塾大学の榊原康文先生に「大規模ゲノム比較システムの開発と応用」の招待講演をお願いした。
アラインメント法、遺伝子発現解析法、タンパク質機能予測法、パスウェイ解析法、シミュレーションなど、生物情報の取り扱い法、そのためのアルゴリズム開発から、生物学やin silicoの実験を伴うものまで、幅広い融合領域研究に関する発表と活発な議論が行われた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
平成19年度は実施なし。
3.総括
研究会発足後3年が経過して、これまでにバイオインフォマティクスの広い分野での情報処理学的アプローチの研究発表が行われてきた。リピーターばかりでなく、新しい研究機関からの発表も多く、分野の裾野の拡がりが期待される。
19年度は沖縄および北海道で研究会を開催するなど、開催地のバラエティに心掛けている。20年度も、東京および大阪の研究者人口の集積地のみならず、沖縄、北海道で研究会開催を行う予定としている。研究会は、主に開催地に近い研究機関所属の担当運営委員により、良好な運営がなされている。発表件数は、17年度38、18年度51であったので、ほぼ安定期に入ったと考えられる。
18年度より英文トランザクションIPSJ Transactions on Bioinformaticsを発刊しており、19年度には10本の論文を掲載した。研究会およびトランザクションの同時活性化を図ることを目的として、(年を遡って)2006年よりSIGBIO論文賞、および、2008年よりSIGBIO学生奨励賞を選定することとした。
4.その他
20年度は、6月に琉球大、9月に北大、12月に阪大、3月に中央大にて、研究会を開催する予定である。
◇ネットワーク生態学(NE)研究グループ
[主査:上林憲行、幹事:林 幸雄、藤原義久、小島一浩]
1.定例の研究会活動報告
年1回、テクニカル論文・ポスター・パネルを中心としたシンポジウムを開催。今年度は2008年3月に第4回ネットワーク生態学シンポジウムを京都産業大にて開催。約80名以上の参加者があった。シンポの内容は、ポスター論文28編を中心としたインターラクティブセッションと講演4件から構成された。招待講演としては、西口 敏宏 <http://www.iir.hit-u.ac.jp/staff/staff_nishiguchi.html>一橋大学教授による「遠距離交際と近所づきあい -成功する組織ネットワーク戦略-」、藤田 聡<http://www.se.hiroshima-u.ac.jp/%7Efujita/index-jap.html>広島大学大学院教授による「分散ネットワーク上の情報検索問題」、さらに最新の欧米の研究動向に関して、金光淳<http://www.kyoto-su.ac.jp/department/bu/enshu/kanemitu.html>京都産業大学講師により「INSNA28からみた社会ネットワーク分析の動向」及び活動総括と
して本研究グループ主査、上林 憲行<http://www.teu.ac.jp/info/lab/teacher/media_dep/66.html>東京工科大学教授から「ネットワークからネットワーキングへ -ネットワーク生態学研究グループのレビューとパースペクティブ-」等の講演が行われた。また、共通のテーマに基づいて研究デスカッションや学生向けレクチャーを織り込んだサマースクールを定例的に9月に開催している。2007年度は、静岡県富士裾野市において第3回サマースクールを開催し約50名の参加者があった。ポスター22件、レクチャー3件、招待講演2件および「ネットワーク科学の今後」
についての討論会が行われた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
上記の報告通り。
3.総括
研究グループが提案した会誌小特集「複雑ネットワーク科学の拡がり」が2008年3月号に掲載された。2008年度は、2009年3月に第5回ネットワーク生態学シンポジウムを沖縄で開催する予定。