2023年度研究会活動報告

2023年度研究会・研究グループ活動報告

<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS EMB QS

<情報環境領域>
DPS HCI IS IFAT AVM CN DC MBL CSEC ITS UBI IOT SPT CDS DCC ASD BTIgr

<メディア知能情報領域>
NL ICS CVIM CG CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO CLE AAC NEgr SSRgr LIPgr
 
<調査研究運営委員会>
PBDgr RDMgr

コンピュータサイエンス領域

◆データベースシステム(DBS)研究会

[主査:天笠俊之,幹事:佐々木勇和,小林亜樹,清水敏之,莊司慶行,杉浦健人,中島伸介,Le Hieu Hanh]

1.定例の研究会活動報告

 第177回,第178回の定例の研究会を開催した.アフターコロナの研究会運営として,2022年度から実施してきたハイブリッドでの研究会開催を,対面主体(一部オンライン)として行い,いずれの研究会も盛況であった.
 第177回研究会は,「WebDB夏のワークショップ」と題し,情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)および電子情報通信学会データ工学研究会(DE)と合同の研究会として実施した.開催日は9月21(木)〜22日(金),会場は北九州国際会議場(福岡県),テーマは「ビッグデータを対象とした管理・情報検索・知識獲得および一般」であり,2022年度CS領域功績賞受賞記念講演(吉川正俊氏・大阪成蹊大学「データに関する研究と教育 —ガラパゴス,旧大陸,新大陸—]),若手招待講演(加藤 誠氏・筑波大学「統計データ検索」,小山田 昌史氏・NEC「テーブル,テキスト,LLM:データベースから大規模言語モデルへの旅路」)に加えて,一般講演39件(DBS 16件,IFAT 6件,DE 17件)の発表があった.
 第178回研究会は,例年通り,電子情報通信学会データ工学研究会(DE)と合同で開催した(2022年度は例外的にDBS研単独開催であった).開催日は12月26日(火),会場は東京大学生産技術研究所(東京都),テーマは「データ工学・データベースシステムとエンターテインメントおよび一般」であり,ハイブリッド形式で開催した.招待講演1件(石渡 祥之佑・Mantra株式会社「LLM 時代のマンガ機械翻訳」),若手招待講演(佐々木 勇和氏・大阪大学「グラフデータの差別的バイアスの検出と削除」)に加えて,一般講演5件(DBS 2件,DE 3件)があり,現地19名,オンライン13名の参加があった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 DBS研究会では,関連学会・研究会である日本データベース学会及び電子情報通信学会データ工学研究会と,データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIMフォーラム)を実施してきた.これは,関連分野で最大の規模で実施されるシンポジウムである.開催期間は2023年度は,2024年2月28日(火)〜3月1日(金)・3月4日(月)〜6日(水)であり,具体的には,前半はオンラインによる口頭発表,後半は対面形式(アクリエひめじ・兵庫県)でチュートリアル,インタラクティブセッション,プレナリセッション等を行う直列ハイブリッド形式であり,発表数413件,参加登録者数800名弱と盛況であった.

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◆ソフトウェア(SE)工学研究会

[主査:鷲崎弘宜,幹事:伊原彰紀,新原敦介, 竹内広宜, 竹之内啓太, 徳本 晋, 福田浩章, 槇原絵里奈, 横川智教]
1.ビジョンとコンセプト

  2021年度からの新体制運営にあたり策定した次のビジョンとコンセプトを引き続き2023年度も掲げて,それらを達成する形で各種の研究会活動を発展的に計画および実施した.具体的には,他団体とも連携して対面を基本としつつオンライン併用により広範な参加機会を確保したハイブリッド開催の各研究集会において活発な参加と議論があった.また,若手を中心に国際的なネットワーク形成と研究発展を奨励するために開催した国際会議MSR Asia Summitに多数の参加を得て,主催する国内シンポジウムおよびワークショップについても多くの参加者を得た.さらにソフトウェアエンジニアリングに関わる国際会議を中心に各種の実質的な連携を実現した.加えてソフトウェア工学およびそのコミュニティの地平を広げるべく,様々なワーキンググループ(要求工学WG,国際的研究活動活性化WG,ソフトウェア評価WG,学連携促進WG,ダイバーシティWG)を設置して活動を進めた.

  • ビジョン: ソフトウェアエンジニアリングのプロフェッショナル集団やそれに連なるアーリーキャリア・学生および周辺の関係者が集い交流するとともに,人々や社会の価値創造に貢献するソフトウェアエンジニアリングに向けた研究,実践および人材育成の成果発表と議論を通じて深化と拡大を進め,その結果を社会へ発信するとともに更なる深化および拡大の基礎を得る.
  • コンセプト1「集う」: ソフトウェアエンジニアリングに携わる多様な利害関係者が立場・性別・年代・主張を超えて集い,行動規範をもって相互の理解と交流を深め,連携する.
  • コンセプト2「研究する」: 理論研究にもとづくソフトウェアおよびソフトウェア開発の基本原則の解明や新たなアイディアの創造,事例研究にもとづく実証経験とを突き合わせ,ソフトウェアエンジニアリングの地平を広げつつ,実践へとつなげる.
  • コンセプト3「実践する」: ソフトウェアエンジニアリングのプラクティスや実践経験を共有および深掘りし,知識,スキル,コンピテンシとして体系化し,ソフトウェア社会における産業発展に貢献するとともに,さらなる研究を促す.
  • コンセプト4「育成する」: 実証済みのソフトウェアエンジニアリング高等教育や職業訓練および組織開発運営成果を共有するとともに,プロフェッショナルが高い倫理感および職業意識を持ち社会的地位を高めることに貢献する.
2. 定例の研究会活動報告
 第214-216回の研究発表会を計画し,合計70件の研究発表(招待講演・活動報告を含む)があった.これらは特に「集う」「研究する」「実践する」に資するものである.
 
  • 第214回 7月20-22日 北海道 札幌市自治労会館 ・オンラインハイブリッド開催,発表 全31件 (SIGSE/SIGSS/SIGKBSE連立開催,うちSIGSE扱い11件)(2022度 全33件)
  • 第215回 11月30日-12月1日 香川県高松市レクザムホール・オンラインハイブリッド開催,発表 11件 (2022度13件)
  • 第216回 3月9-10日 株式会社NTTデータ 駒場研修センター・オンラインハイブリッド開催,発表 23件 (2022度25件)

 分野は,要求分析から設計・実装・テストに至るソフトウェアライフサイクル全般にわたるとともに,社会のソフトウェア化および生成AIほかの発展を反映して,ソフトウェアビジネスや組織変革に関わるデジタルトランスフォーメーション(DX),さらには,大規模言語モデル・基盤モデル・生成AIのソフトウェア開発への応用や,生成AIを用いるうえでのソフトウェア工学上のアプローチならびに機械学習工学に関わる発表も多く見られた.
 第216回においては学生による優れた研究発表について学生研究賞を授与した.さらに第215回研究会においては,2022年度 研究会推薦博士論文速報に選ばれた1名の博士論文に基づく招待講演を設けることで,ソフトウェア工学の優れた取り組みを共有するとともに,博士学位取得や若手研究者の研究への取り組みなどを共有および奨励する機会とした.これらは特に「育成する」に資するものである.
3.シンポジウム・国際会議等の報告
  次のシンポジウムおよびワークショップを実施した.

(1) Mining Software Repositories Asia Summit (MSR Asia Summit 2023)
2023年7月23-26日の4日間にわたり北海道自治労会館ならびに定山渓ビューホテルにて,7月研究集会に接続した形で,ソフトウェア工学において世界を先導する若手海外研究者を招待し,国内若手研究者が活発に議論・協力できる場を提供することを目的として開催した.招待講演やポスター発表に加えて,博士後期課程および若手研究者によるリサーチソン(Researchathon; 短期間の集中的な研究セッション)を行い,若手を中心に国際的なネットワーク形成と研究発展を奨励した.これは特に「集う」と「育成する」に資するものである.

(2) ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2023(SES2023)
2023年8月23-25日の3日間にわたり東京都 早稲田大学・オンラインにてハイブリッド開催した.対面を基本としつつオンライン併用により広範な参加機会を確保したハイブリッド形態のシンポジウムとして,ソフトウェアの企画,開発,運用,保守,マネジメントおよび価値創造に関わるあらゆる人々に向けて開催し,多くの参加を得た.前年度に引き続きビジョンとコンセプトを明確とし,それに沿ってビッグデータや生成AIとソフトウェア工学に関する基調講演や要求工学ほかの招待講演,研究・実践・一般・既発表・ポスター論文,萌芽的なワークショップなど充実のプログラムを企画した.さらに前年度に引き続き安心して集うための行動規範を定めた.ソフトウェアエンジニアリングの未来のため,学生は参加無料とした.これはすべてのコンセプトに資するものである.

(3) ウィンターワークショップ2024・イン・鹿児島(WWS2024)
2024年1月25-26日の2日間にわたり,鹿児島市サンプラザ天文館・オンラインのハイブリッド形態にて5つのテーマに分かれて研究発表および討論した.ダイバーシティや産学連携と形式手法,データサイエンス,生成AI,サービスコンピューティングといった旬のものを含む様々なテーマで集い,議論ならびに交流を深める重要な機会となった.これはすべてのコンセプトに資するものである.
4.その他
 上記に加えて「集う」の広範な実現にあたり,学会として主催するFITや全国大会に参画協力するとともに,IEEE Computer SocietyやACM等が主導ならびに主催するソフトウェアエンジニアリング知識体系SWEBOK Guide策定や,国際会議SPLC 2023ならびにCSEE&T 2023の国内開催等について実質的な連携を積極的に進めた.
 今後も引き続きビジョンとコンセプトを明確としながら,それらを達成するように活動の計画と実施を進め,研究会会員に対するサービスレベルの向上に努め,充実した活動を行っていきたい.対面を軸としつつ遠隔・オンライン参加者もインクルーシブな討論や懇親のあり方については継続的な検討課題である.

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◆システム・アーキテクチャ(ARC)研究会

[主査:津邑公暁,幹事:谷本輝夫,新田高庸,八巻隼人,栗原康志]

1.定例の研究会活動報告
 第245~248回の研究発表会を開催した.その全ての発表会を,電子情報通信学会 コンピュータシステム研究専門委員会(IEICE CPSY)と共催し,他の研究会と共催・連催する場合も,CPSY と合同でセッションを構成した.

  • 第245回 2023/06/05(月)~06(火)@道後温泉にぎたつ会館 および オンライン
    HotSPA.IEICE CPSY,DC と連催.若手奨励賞 該当なし.
  • 第246回 2023/08/02(水)~04(金)@函館アリーナ および オンライン
    SWoPP.IEICE CPSY,DC,IPSJ HPC,OS,PRO,RECONF,JSIAM MEPA と連催,同時・連続開催.若手奨励賞3件.
  • 第247回 2023/12/05(火)~06(水)@沖縄産業支援センター および オンライン
    IEICE CPSY,IPSJ HPCと連催・共催.若手奨励賞 1件.
  • 第248回 2024/03/21(木)~23(土)@壱岐の島ホール および オンライン
    ETNET.IEICE CPSY,DC,IPSJ EMB,SLDM と連催・共催.若手奨励賞 2件.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 2023/08/02(水)に開催された The 7th cross-disciplinary Workshop on Computing Systems, Infrastructures, and Programming (xSIG 2023) を主催した.
3.総括

 2015年度から全ての研究発表会をIEICE CPSYと連催しているが,2023年度もこれを継続した.また,2017年度からスタートしたxSIG(cross-disciplinary Workshop on Computing Systems, Infrastructures, and Programming)を引き続きPRO,HPC,OS 研究会と主催し,積極的に領域を跨いだ議論を展開する場を提供した.研究発表会については,発表・聴講に対する時間的・距離的ハードルを下げるため,ハイブリッド形式を主とすることで,オンライン参加の余地を残す方針をとった.2023年度の新たな試みとして,HPCとの共催研究会を12月に開催した.HPCとARCは近い分野をスコープとする研究会であり,またそれぞれの研究分野に密接な関係があるにも関わらず,2014年の第205回研究発表会(HOKKE-22)を最後に共催が途絶えていた.本共催は次年度も継続の予定であり,両研究会の交流促進により,今後も本分野の活性化ならびに人材育成に努めたい.

4.その他
 昨年度に引き続き,他研究会との連携を進め幅広い議論を展開した.特にIEICE-CPSYとの連携をこれまで以上に強め,両幹事団による拡大幹事会や,両運営委員・専門委員による拡大委員会を定期的に開催し,積極的に情報共有を行うとともに,運営の効率化に努めた.また,HPCとの共催を上述のとおり再開した.昨今,国内でも半導体の重要性が見直されつつある状況において,ARCおよびCPSYがスコープとする,デバイスからアプリケーションまで幅広い分野の横断的アプローチがより一層重要となっていることから,引き続き魅力的な技術交流の場を提供していきたい.

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◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会

[主査:品川高廣,幹事:田所秀和,松原克弥, 川島英之, 穐山空道, 佐藤将也]

1.定例の研究会活動報告

 第159〜162回の研究発表会を開催した.

  •  第159回 2023年5月16日(火)~ 5月17日(水) 琉球大学 工学部2号館220(ラーニングコモンズ)(ハイブリッド開催)
    システムソフトウェア一般に関する発表を募集し,分散システム,ファイルシステム,検証,ネストした仮想化,保護,OS,の5セッション計16件の発表がおこなわれた.また,若手招待講演1件を実施した.
  •  第160回 2023年8月2日(水)~8月4日(金) 函館アリーナ(ハイブリッド開催)
    「並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ」の一部として複数研究会の共催の形態で開催した.マイグレーション,性能最適化,プライバシ・セキュリティ,TEE,実装技術の5セッションで計16件の発表がおこなわれた.
  •  第161回 2023年9月19日(火)~9月20日(水) 熊本大学 黒髪キャンパス (ハイブリッド開催)
    IOT研究会及びRDM研究グループと共催で開催した.システムソフトウェア一般に関する発表を募集し,OSセッション1, OS/IOT合同セッション1の計5件の発表がおこなわれた.
  •  第162回 2024年2月19日(月)~2月20日(火) 石川県政記念しいのき迎賓館(ハイブリッド開催)
    システムソフトウェア一般に関する発表を募集し,仮想化,ネットワーク,一貫性制御,セキュリティ,ビッグデータ,高速化の6セッションで計16件の発表がおこなわれた.また,若手招待講演1件を実施した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第35回コンピュータシステム・シンポジウム 2023年12月7日(木)〜8日(金) 県立広島大学 サテライトキャンパスひろしま(ハイブリッド開催)
    コンピュータシステム全般に関する発表を募集し,5セッションで論文ありとなしがそれぞれ7件,計14件の発表がおこなわれた.また,ポスター発表14件,招待講演2件,トップカンファレンス凱旋講演2件を実施した.

 今年度も引き続き研究発表会及びシンポジウムをハイブリット開催とした.現地参加者数もコロナ禍前に戻りつつある一方,毎回オンライン参加者も一定数いることから,ハイブリッド開催を安定的かつ手間のかからない形で開催する経験を重ねていくことが重要だと考えている.slackは参加者による使用は減少しているが,運営委員及び幹事の連絡用として有用であり,Googleドライブなども併用してオンラインツールを活用した効率的な研究会運営のための改善を重ねている.また,今回のコンピュータシステムシンポジウムでは,新たに企業展示とスポンサーの募集を実施した.初めての経験で他のイベントも参考にしつつ手探り状態で進めたが,最終的にスポンサー5件,企業展示7件と予想以上の件数が集まった.比較的好評ではあったものの改善点も多いことから,来年度以降も運営の仕方やスポンサー料の活用法など,改善を継続的におこなっていきたい.また,今年度は長年の課題であった研究会ホームページのリニューアルを実施した.Hugoを利用したモダンなホームページとなって比較的好評ではあるが,旧コンテンツ移行など引き続き更新作業を続けていく予定である.また,研究会登録会員向けサービスとして研究発表や招待講演の録画コンテンツの限定公開を検討しているが,Zoomが長時間録画時に不安定で録画に失敗することが繰り返されているため,一定時間でのOn/Offなど安定した録画方法及び編集・公開方法などについて引き続き検討を進めていきたい.

◆システムとLSIの設計技術(SLDM)研究会

[主査:越智裕之,幹事:今川隆司,岸田 亮,田中勇気,五十嵐友則]

1.定例の研究会活動報告

 以下に示す第203~205回の研究発表会を開催した.

  • 第203回: 発表件数 17件,11月7日,場所:キャンパスプラザ京都
    テーマ : Work-in-progress (WIP) Forum 2023
    協賛:IEEE Circuits and Systems (CAS) Kansai Chapter
  • 第204回: 発表件数 52件,11月15日〜17日,場所:くまもと市民会館シアーズホーム夢ホールとオンラインのハイブリッド開催
    テーマ : デザインガイア2023 -VLSI設計の新しい大地-
    連催: VLD/ICD/DC/RECONF研究会
    協賛:IEEE CASS Japan Joint Chapter
       IEEE CASS Fukuoka Chapter
       IEEE CEDA All Japan Joint Chapter
  • 第205回: 発表件数 45件,3月21〜23日,場所:壱岐の島ホール
    テーマ: 組込技術とネットワークに関するワークショップ ETNET2024
    合同:情報処理学会 SIGEMB/SIGARC研究会
    連催:電子情報通信学会 CPSY/DC研究会
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 以下のシンポジウムを開催した.

  • DAシンポジウム2023: 8月30日〜9月1日,場所:ゆのくに天祥及びオンラインのハイブリッド開催,発表件数 36件
3.総括

 年初計画に上げた3回の研究会,1回のシンポジウムを無事開催した.
 当研究会のフラグシップイベントである DAシンポジウム2023は,安全を確保した上で,昨年同様に会場とオンライン併催のハイブリッド形式で開催した.現地95人,オンライン7人,合計102人となり,現地開催への期待が伺える結果となった.現地の参加人数は昨年度の80人に対して増加した一方,オンラインの参加人数は昨年度の42人に対して減少が大きくみられる結果となった.発表件数は昨年度と同様の36件となった.招待講演として3件発表いただいたほか,ハードウェアセキュリティ研究会の協力による特別セッションを設け,セキュリティに関する3件の講演を実施いただいた.本シンポジウムの恒例となっているコンテストは,従来のアルゴリズムデザインコンテストからアーキテクチャデザインコンテストへと趣向を変えて開催した.
 当研究会が単独開催した WIP Forum2023は,学生会員の活性化の取り組みとして2年前から新たに企画・実施している研究会イベントである.発表件数は昨年14件に対して,本年は17件に増加した.参加者は昨年同様に30人となり,発表者にとって,他大学や企業の研究者から様々な観点でのフィードバックを得る場となった.当研究会から4件,共催頂いたIEEE CASS Kansai Chapterから1件の表彰を行った.次年度も当研究会をDAシンポジウムと並ぶ,重要イベントとなるよう,強化・拡充していく.
 オンライン・トランザクション TSLDMは,2刊 (Vol.16 June Issue, Vol.17 February Issue ) を計画通り発行した.

4.その他

 活動履歴や予定の詳細については,下記をご参照ください.
 http://www.sig-sldm.org/

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◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会

[主査:片桐孝洋,幹事:滝沢寛之,横田理央,中尾昌広,中島耕太,小松一彦]

1.定例の研究会活動報告

 2023年度は,第189~193回の研究発表会を開催し,合計99件の発表があった.

  • 第189回研究発表会は,5月10日(水)にオンライン開催し,6件の発表,および1件の招待講演があり,84名の参加申込があった.
  • 第190回研究発表会は,8月3日(木)~4日(金)の3日間,ARC,PRO,及びOSなどの研究会と共同で2023年並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ(SWoPP2023)として函館にて対面(視聴はオンライン)で開催され,29件の発表があり,234名の参加申込があった.
  • 第191回研究発表会は,9月26日(火)~27日(水)に東北大学で対面(視聴はオンライン)で開催し,14件の発表があり,95名の参加申込があった.
  • 第192回研究発表会は,12月5日(火)~6日(水)の2日間,沖縄で開催した.今回から初となるARCおよび電子情報通信学会CPSYと共同開催の研究会である.対面(視聴はオンライン)で開催し,20件の発表が行われ,152名の参加申込があった.
  • 第193回研究発表会は,2024年3月18日(月)~19日(火)の2日間,北海道で対面(視聴はオンライン)により開催され,29件の発表が行われ,133名の参加申込があった.

 これらの研究発表会では,従来のGPU等のアクセラレータを用いた高性能計算に関する最新の研究発表に加えて,深層学習や高性能ストレージシステムなどの最先端の研究および技術開発の発表がなされた.加えて本年度も,次世代スーパーコンピュータのアーキテクチャやシステムの発表が多数あり,次世代HPCシステムに関する研究が継続されていることが垣間見れた.
 また,2022年度の研究発表の中から,コンピュータサイエンス領域奨励賞2件,山下記念研究賞2件を推薦した.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 本研究会は,ARC,PRO,OSと共同で,2023年8月にThe 7th cross-disciplinary Workshop on Computing Systems, Infrastructures, and Programming(xSIG2023)を主催した.本シンポジウムは,SWoPP内でハイブリッドにて開催された.本シンポジウムの特徴は,査読付きの会議であるが,予稿集を作成せず,将来の学術論文誌,国際会議での発表を妨げることなく,むしろそれをプロモートすることにある.また,若手研究者,特に学生の研究活動を支援することに力をいれている.xSIG2023では,17件の一般論文発表が行われた.
 本研究会が最も重要な主催イベントと位置付けているInternational Conference on High Performance Computing in Asia-Pacific Region (アジア・太平洋地域におけるハイパフォーマンスコンピューティング国際会議2024,HPC Asia2024)が2024年1月25日~27日に名古屋市で開催され,国内外から220名にのぼる多くの参加があり,盛会のもとに終了した.

3.総括

 HPC研究会の2023年度の5回の研究発表会は,1回は完全オンライン実施であったが,それ以外は現地開催(ただし視聴のみオンライン参加可能)のハイブリッド形式とした.発表件数は前年度とほぼ同等であり,参加はオンライン開催の特性を生かしつつ,前年度より多くの方に参加いただいた.また,Slackを利用した質疑応答も有効に機能している.HPC研究会の単独研究会では,発表者は現地参加のみに限定するが,聴講はオンラインを認めることで,情報交換の活性化と容易な視聴参加の両面の利点を生かすことができたと考えている.今後も,ハイブリッド開催の実施形態の考慮は必要であると考え,状況に応じ柔軟に対応していく予定である.
 HPC分野では,引き続き「富岳」の安定運用がなされ,計算科学分野とコンピュータサイエンス分野の双方で,大規模HPC環境を効率的に利用した科学技術研究成果が創出されている.また,Society 5.0の人工知能・機械学習技術の研究,特にLLMなど生成AI技術の進展に加え,ICTを社会で効果的に活用する研究へとHPCが適用される分野が広がっている.また,新奇アーキテクチャである「量子コンピュータ」関連研究を,スーパーコンピュータを活用して行う研究推進がされ始めている.
 このように変化する技術情勢の中で,システムの省電力性能に加えて,新しいHPCシステムの研究がHPC分野に期待されている.この社会要請に応えるべく,活動に取り組む所存である.

4.その他

 HPC研究会では,2018年に打ち出した ①学生,若手研究者のEncourage,② HPC研究に関する成果の産業応用,計算科学を含む実アプリへの展開の促進の方針がある.この方針に基づき2021年度に学生発表を対象とした賞を創設して運用を続けている.また,2023年度はARCとCPSY研究会との共催研究会を実施した.このように今後もHPC研究の活動を広げていく活動を行い,HPC分野の発展に尽力していく所存である.

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◆プログラミング(PRO)研究会

[主査:平石拓,幹事:Reynald Affeldt,安部達也,今井敬吾,上野雄大,鵜川始陽,中野圭介,西田直樹,日高宗一郎,堀江倫大,横山大作]

1.定例の研究会活動報告

 第144-148回の研究発表会を予定していたが,うち第144回は開催中止となり残りの4回の研究発表会を開催した.このうち,第145回(8月,SWoPP 2023)が他研究会との共同開催であり,残りの3回が単独開催である.いずれの回も現地とZoomによるハイブリッド開催とした.招待講演1件を含む計29件の発表があった.
 2023年度も,トランザクションプログラミング(PRO)と密着した体制で研究発表会を開催した.トランザクション(PRO)に投稿された論文は,まず研究会で発表され,発表会の直後に開催されるトランザクション(PRO)編集委員会において議論し,査読者を定めて本査読を行った.学生や萌芽的な研究等の発表を促進することを目的に,投稿をともなわない短い発表もあわせて募集している.短い発表は,発表20分,質疑・討論10分としている.それ以外の発表については,例年通り,投稿の有無に関わらず,1件あたり発表25分,質疑・討論20分の時間を確保し,参加者が研究の内容を十分に理解するとともに,発表者にとっても有益な示唆が得られるように努めた.本年度は6件の「短い発表」があった.また,昨年度に引き続き学会の支援する若手研究者招待講演制度を利用し,第147回において60分の特別講演を1件実施した.
 特別講演を除いた発表28件のうち,トランザクションへの投稿件数は14件であった.本稿執筆時点では一部の投稿論文の採否が確定していないため,採択率に関する報告は行わないが,今後とも,編集委員会において査読の観点を論文の欠点を見つけて評価する減点法ではなく,論文の長所を見つけて評価するように心掛けていく方針である.
 若手を対象としたコンピュータサイエンス領域奨励賞の受賞者を2名選出し,第146回研究発表会の場で表彰した.また,コンピュータサイエンス領域功績賞の受賞者を1名選出した.


2.シンポジウム・国際会議等の報告

 情報処理学会4研究会(ARC,HPC,OS,PRO)の共同主催により,xSIG 2023を,8月2日に現地(函館アリーナ)およびオンラインのハイブリッド形式で開催した.
 日本ソフトウェア科学会インタラクティブシステムとソフトウェア研究会の主催により11月29〜12月1日に開催された第31回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2023)に協賛した.

3.総括

 2019-2023年度の招待講演を除く発表件数は順に39件,42件, 41件,42件,28件と推移しており,研究発表の場の多様化などにより発表件数が減少傾向にある.より積極的な広報や開催時期・開催場所(オンライン化も含む)の検討などにより発表件数の維持に努める方針である.

4.その他
 2024年度もこれまで同様に5回の研究発表会を予定している.アフターコロナにおける望ましい開催形態を模索中だが,本研究会においては気楽に参加・発表したい参加者の要望と研究者の相互交流の場としての研究会の役割の双方を実現する観点から,当面は回によってオンライン開催とハイブリッド開催を使い分けていく方針である.

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◆アルゴリズム(AL)研究会

[主査: 全 眞嬉,幹事: 大舘陽太,斎藤寿樹,鈴木 顕]

1.定例の研究会活動報告

研究発表会を5回(第193~197回)開催し,全体で41件の発表があった.

  • (193回) 2023年5月10-11日(水・木)9件.
  • (194回) 2023年9月6-7日(水・木)5件.大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス + オンライン
  • (195回) 2023年11月16-17日(木・金)9件.那覇市IT創造館
  • (196回) 2024年1月20-21日(土・日)9件.東京大学 本郷キャンパス + オンライン
  • (197回) 2024年3月21日(木)9件.JAIST 金沢駅前オフィス

 このうち,
第193回は電子情報通信学会コンピュテーション研究会 (COMP) との連催,
第194回は第22回情報科学技術フォーラム (FIT2023) および電子情報通信学会コンピュテーション研究会 (COMP) との共催,
第195回は電子情報通信学会の回路とシステム研究会 (CAS) およびシステム数理と応用研究会 (MSS) との連催,
第196回は人工知能学会の人工知能基礎問題研究会 (FPAI) との併催である.
4研究会との併催は5年前から継続しており,隣接研究分野の研究会と共同での研究会開催が定着している.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  •  アルゴリズム研究会では,韓国における同分野の研究コミュニティと連携して,Korea-Japan Joint Workshop on Algorithms and Computation (WAAC) (アルゴリズムと計算理論に関する日韓合同ワークショップ)を過去20年以上に渡り開催している.しかし,2020年以降,COVID-19 の影響で開催してこなかった.本年度は COVID-19 に関する規制緩和に伴い,4年ぶりに名古屋大学で開催し,韓国からの多くの参加者により,交流を行うことができた.
  •  例年,国際会議International Workshop on Algorithms and Computationを協賛しており,今年度も引き続きこれを実施した,会議は3月18日~3月20日に石川県金沢市(金沢文化ホール)で開催された.
3.総括

 今年度は COVID-19 の規制が大きく緩和されたことで,対面を中心とした開催に移行している.また年間を通じて著名な先生方による招待講演を4件開催し,一般の発表件数も,昨年度の 23件と比べて,37件と大幅に増加している.これにより研究会参加者も増え,研究発表会の場が研究交流のきっかけとしても魅力を取り戻しつつあると感じる.

4.その他

 研究会を聴講・出席のしやすさという点でハイブリッドによる開催を求める声があり,今年度の一部の研究会ではハイブリッド開催を行っている.しかし,現地のネットワーク環境の確認や機器の設定など,ハイブリッド開催は現地世話人の負担となるため,今後の開催については十分な配慮等が必要である.
 

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◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会

[主査:渡邉真也,幹事:大上雅史,笹山琴由,花田良子,林 亮子,吉本潤一郎,関嶋政和]

1.定例の研究会活動報告
 第143回~第147回研究会の計5回実施した.各研究会の実施日・場所などについては,下記の通り.
  • 第143回 MPS研究会(2023/06/29-2023/07/01, 沖縄)
    IPSJ BIO研究会,IEICE NC研究会,IBISML研究会と併催の形で沖縄科学技術大学院大学にて実施.
    ベストプレゼンテーション賞 4件.
  • 第144回 MPS研究会(2023/07/24-2023/07/27, 米国 ラスベガス)
    the 2023 International Conference on Parallel and Distributed Processing Techniques and Applications (PDPTA'22) の併設ワークショップ ‶Mathematical Modeling and Problem Solving’’ として開催.
  • 第145回 MPS研究会(2023/09/07, 大阪)
    FIT2023と併催の形で大阪公立大 中百舌鳥キャンパスにて実施.
  • 第146回 MPS研究会(2023/12/11-2023/12/12, 東京)
    電気通信大学にて実施.ベストプレゼンテーション賞 1件.
  • 第147回 MPS研究会(2024/03/07-2024/03/08, 石川)
    IPSJ BIO研究会との併催の形で北陸先端科学技術大学院大学 にて実施.
    奈良女子大学 城先生による特別講演(招待講演)を実施.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
 特に実施しなかった.
3.総括
 例年どおり年5回の研究会を実施した.第145回の研究会のみ現地・リモートのハイブリッド形式で実施し,その他の研究会はすべて現地(対面形式)での発表のみの形式で実施した.また,第143回および第147回は IPSJ BIO研究会などとの併催で実施し,研究会同士の交流を図る一方,それ以外の回についてはMPS研究会 単独開催とすることで研究会としての内的な関係性の深化とのバランスに配慮した.
 発表件数としてもオンライン実施の昨年度とほぼ同程度の件数が集まり,理論だけでなく応用的な側面を含めた本研究会が対象とする数理モデルに関わる広域的な領域への高いニーズを感じた.
 次年度以降も招待講演を含めて,研究会会員および本研究会参加者にとって有益となるイベントを企画し,活発に活動していく所存である. 

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◆組込みシステム(EMB)研究会

[主査:田中清史,幹事:出原章雄,大川 猛,松原 豊,渡辺晴美]
1.定例の研究会活動報告

  第63回~65回の研究発表会を開催.組込みシステムは情報処理各分野の横断的分野であることから,本年度も一部は各関連研究会との共催,およびEdgeTech+ 2023との併設開催として研究発表会を実施した.

  • 第63回研究会(7月14日,ハイブリッド):単独開催.招待講演1件,口頭発表6件
  • 第64回研究会(11月16日,ハイブリッド):EdgeTch+ 2023との併設開催.招待講演1件, 口頭発表12件
  • 第65回研究会 (3月21~23日,ハイブリッド):ETNET2024として,システム・アーキテクチャ研究会,システムとLSIの設計技術研究会,および電子情報通信学会コンピュータシステム研究会,ディペンダブルコンピューティング研究会と共催,口頭発表20件.
     
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • APRIS2023 (11月1日~11月5日)
     組込みシステム研究会の運営委員,Prince of Songkla Universityを中心としたメンバーで実行委員会を構成し,主に日本,タイの2か国(その他,台湾,中国,香港,イタリア)からの参加者で英語講演によるシンポジウムAPRIS2023を開催した.前半2日間の本会議は基調講演・招待講演・研究報告・パネルディスカッションからなる対面・オンライン形式のハイブリッド形式,後半3日間は学生や若手技術者がデザイン思考を取り入れたモデルベース設計・チーム開発手法を学びながらロボットサービスのアイデアをまとめるロボットコンテストを行う内容であった.
     本会議では,ロボット・IoT関連の技術に関する講演が行われた.基調講演1件,招待講演3件,研究論文発表はRegular Paper 6件,Work In Progress Paper 16件,ポスター 10件であった.本会議の参加人数は106名であり,活発に交流がなされた.後半はドローン応用開発に関するチュートリアルおよびプロジェクト形式演習(PBL)を実施した.タイからの23名(修士1名,学部生22名),日本から12名(修士8名,学部生3名,社会人1名)の合計35名が混合で6-7人のチームを4チーム作りプロジェクトを遂行した.モデルからプログラムを自動生成するモデル駆動開発(MDD)により各チームで考えた応用を実現する自律航行システムの開発を行った.昨年から引き続きデザイン思考の講義を導入したことが特徴である.この取り組みは文部科学省enPiT-Embの教育プログラムの一環として行われた.
     
3.総括

 研究活動の国際化を考慮して立ち上げたAPRISが6回目の開催を迎え,前回同様の論文数を集めることができ,また参加者は前回よりも増加したことで,より活発な議論がなされた.研究発表会では,本研究会の特徴の一つである「短い発表」のカテゴリを実施し,研究初期段階のアイデアの発表を推奨したことからAPRISと研究発表会の棲み分けができている.

4.その他

 2023年度は昨年度と同様に全ての研究発表会をハイブリッド形式で開催したが,発表数がやや減少した.コロナ禍以前に実施していたポスター発表の再実施等を検討し,発表数の増加に努めたい.

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◆量子ソフトウェア(QS)研究会

[主査:山下 茂 幹事:今井 浩, 小野寺民也, 國廣 昇, 田中 宗 , 徳永裕己, 西村治道, 根本香絵, 藤井啓祐, 増原英彦, 山本直樹]
1.定例の研究会活動報告
  • 第9回の研究発表会を6月29日および6月30日に開催した.
  • 新川崎・創造のもり AIRBICでの現地開催とZoomによるオンラインのハイブリッド開催にて実施した.一般の発表は18件で,2日間の開催として1件あたり30分(発表20分,質疑10分)のプログラム構成とした.招待講演を1件設け,2022年度コンピュータサイエンス領域功績賞受賞記念として今井浩氏(東京大学)に講演いただいた.参加登録者は141名,現地参加者は74名で,活発に質疑が行われ有意義な議論が多く見られた.なお,今回,1日目に,QS研究会として初めて懇親会をAIRBIC内レストランで開催し,45名の参加を見た.さらに,2日目発表会終了後,NANBICに設置されているIBM Quantum System Oneの実機見学会も実施し,41名が3グループに分かれて見学した.
  • 第10回の研究発表会を10月27日および28日に開催した.
  • 立命館大学朱雀キャンパスの多目的室における現地開催とzoomによるオンラインのハイブリッド開催にて実施した.一般の発表は,18件であり2日間の開催として1件あたり30分(発表25分,質疑5分)のプログラム構成とした.加えて,山川高志氏(NTT)に「量子優位性と暗号」というタイトルで,上野洋典氏(理研)に「量子計算機アーキテクチャ分野の研究動向」というタイトルで,招待講演を行っていただいた.なお,参加登録者は113名,現地参加者44名,オンライン参加92名であった.今回も活発に質疑が行われ有意義な議論が多く見られた.今回も前回に引き続き,1日目に懇親会を会場で開催し,32名の参加を見た.
  • 第11回の研究発表会を3月28日および29日に開催した.
  • 名古屋大学ESホールでの現地開催とZoomによるオンラインのハイブリッド開催にて実施した.一般の発表に35件の申し込みがあり,1件のキャンセル(予稿未提出で事務局にキャンセルの連絡)があったが,34件の発表が1件あたり25分(発表20分,質疑5分)で行われた.発表件数は昨年の3月開催の第8回研究発表会とほぼ同数で,スケジュールはタイトになった.34件中1件は講演者の体調の関係でオンラインの発表となったが,それ以外はすべて対面での発表であった.参加登録者は142名,現地参加者83名で活発に質疑が行われ有意義な議論が多く見られた.今回も前回に引き続き,初日に懇親会を名古屋大学生協花の木レストランで開催し,39名が参加した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 特に実施しなかった.

3.総括

 今年度の3回の研究発表会は現地開催とzoomによるオンラインのハイブリッド開催にて実施した.ただし,発表は,対面での議論・交流の促進のために,原則対面のみとした.実際,対面での参加者間では,発表時間以外での情報交換が活発におこなわれことを確認でき,今後も発表は対面を基本とすることを考えている.オンラインでの参加者のためにも,引き続きSlack等も活用し,より効率的かつより効果的な研究発表会の運営に心がけた.登録会員数は2023年9月の時点で185名となり,研究会発足後4年度目でも引き続き登録会員数の増加の傾向は維持されている.量子ソフトウェアという分野の特徴から情報系以外からの参画も多くあり,コミュニティが順調に形成されていると考える.

4.その他

 2024年度も,7月10月3月の計3回の研究発表会をそれぞれ2日間の日程で開催する予定である.2024年度も,アフターコロナ,ウィズコロナ時代のスタンダードとして,現地開催とオンライン開催の良さを両立した研究発表会のハイブリッド開催を行っていく予定である.今年度は,ハイパフォーマンスコンピューティング分野と量子ソフトウェアの分野の今後の連携を視野にいれて,2025年3月にHPC研究会と共催で研究会を開催することを計画している.

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情報環境領域

◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会

[主査:菅沼拓夫,幹事:福元徳広, 重安哲也,川上朋也, 孫 晶鈺,坂本真仁]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括


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◆ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会

[主査:志築文太郎,幹事:伊藤雄一,坂本大介,鈴木 優,高嶋和毅,田中一晶,中村聡史,西田健志,真鍋宏幸,山添大丈]
1.定例の研究会活動報告

 第203~207回の研究発表会を開催した.各回の発表件数等は以下の通りである.

  • 第203回(東京大学,オンラインのハイブリッド)2023/5/31-6/1
    EC,日本バーチャルリアリティ学会,ヒューマンインタフェース学会デバイスメディア指向ユーザインタフェース専門研究委員会(SIGDeMO),映像情報メディア学会 ヒューマンインフォメーション研究会(HI),電子情報通信学会メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会(MVE)と共催もしくは連催
    発表件数:38件(内HCI研17件)
  • 第204回(北海道大学)2023/8/8-8/9
    発表件数:18件
  • 第205回(兵庫県 淡路夢舞台国際会議場,オンラインのハイブリッド)2023/11/21-22
  •  発表件数:39件(内HCI研25件)
  • 第206回(沖縄県 沖縄産業支援センター)2024/1/15-1/16
    発表件数:41件
  • 第207回(東京都 芝浦工業大学豊洲キャンパス,オンラインのハイブリッド)2024/3/11-3/13
  •  発表件数:46件
     以上,発表総件数182件(内HCI研147件)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 インタラクション2024シンポジウム(2024/3/6-8)をCN研・UBI研・EC研・DCC研と共催した.今回のインタラクションは,CN研の井上智雄(筑波大学)が大会長を担当し,学術総合センターで実施された.参加者数は800人超という同シンポジウムとして過去最高となり,活気のあるシンポジウムとなった.

3.総括

 通常研究会での発表件数が,昨年の214件から182件(HCI研としては181件から147件)となり,減少した.これは5回の研究発表会のうち4回を対面形式で開催したことによると考えられる.ただし依然として発表件数は高い水準にある.また,前述のようにインタラクション2024シンポジウムも,多くの参加者を迎え,大成功であった.このように,研究会活動は全体として引き続き活発である.

4.その他

 2024年度も引き続き研究会の更なる活性化に努める所存である.

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◆情報システムと社会環境(IS)研究会

 [主査:畑山満則,幹事:居駒幹夫,柿崎淑郎,後藤 晶]

1.定例の研究会活動報告
 第164-167回の研究発表会を開催した.
  4回の研究発表会を開催し計44件の発表があった.情報システムの分析・設計・開発・運用などに関して多様な研究報告が行われた.

  • 第164回(6月4日,京都アカデミアフォーラムおよびオンライン,発表11件)
  • 第165回(8月28~29日,はこだて未来大学およびオンライン,発表15件)
  • 第166回(12月3日,東海大学品川キャンパスおよびオンライン,発表3件)
  • 第167回(3月4~5日,武蔵およびオンライン,発表15件)

また,研究発表会の中で有識者による時宜にかなったテーマの招待講演や特集セッションを開催することにし,以下を実施した.
 
  • 第164回 「論文執筆サポート」セッション(情報処理学会論文誌情報システム論文特集号の総括および,同誌同特集号への掲載を目指した論文の執筆についての報告)
  • 第165回 招待講演「公立はこだて未来大学におけるメディカルITの取り組み」佐藤 生馬(公立はこだて未来大学)
  • 第166回 招待講演「DARTSプロジェクト:不可視光レーザ照射を利用した標的型動的偽装QRコードとその対策」大東 俊博(東海大学)
  • 第167回 特集セッション「若手の会」および招待講演「量子コンピューティングの現状とこれから」渡辺 日出雄 (慶応大学)

2.シンポジウム・国際会議等の報告

第13回災害コミュニケーションシンポジウム(共同開催)

災害コミュニケーションシンポジウム
一般社団法人情報処理学会,セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会,インターネットと運用技術(IOT)研究会と共に主催,グループウェアとネットワークサービス研究会(GN)が協賛,京都大学防災研究所が共催して,12月26日に行った.年末の多忙な時期にもかかわらず積極的な参加者を得ることができ,活発な議論が行われた.

3.総括

 本年度も,情報システムにおける広い分野からの多くの種類の発表や議論が活発に行われた.当研究会が編集母体となる情報システム関連のジャーナル特集号の発刊も継続し,2013年度から始めた若手研究者を中心とする研究会(若手の会)での優れた発表に対する「若手の会奨励賞」も授与した.

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◆情報基礎とアクセス技術(IFAT)研究会

[主査:金沢輝一,幹事:竹内孔一,高久雅生]

1.定例の研究会活動報告

 第151-154回の研究会を開催した.

  • 第151回 2023/06/30(金) 国立情報学研究所で開催
  • 第152回 2023/09/21(木)~22(金) 北九州国際会議場で開催
    IEICE DE, IPSJ DBSと共同開催
  • 第153回 2023/12/20(水) 岡山大学とオンラインのハイブリッド開催
    「言語モデルとデータ拡張」および「グラフの利用と距離学習」のセッション構成で開催
  • 第154回 2024/03/25(月) 東洋大学白山キャンパスとオンラインのハイブリッド開催
  •  IPSJ DCと共同開催
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は実施なし.

3.総 括

 当研究会は,情報そのもの,情報の扱い方および情報要求をもったユーザを研究対象とし,情報をとりまく種々の現象の原理を追究することを目的としている.当研究会が掲げる「情報基礎(情報に関する原理の解明)」と「アクセス技術」という2つの大きな柱が同時に考察されること,言い換えると理論と実践の両面を一体とした研究の推進が当研究会の独自性,強みであるといえる.
 大規模言語モデル等の新たな技術に関して原理の数理的解明を進めるとともに,これらの要素技術によって情報発信,知識発見,情報分析等の応用,ひいては社会にどのようなパラダイムシフトをもたらしうるのか,という包括的な視点での研究を発表する場を提供することができた.
 昨年度に引き続き当学会および関連学会の研究会と合同で開催することにより,互いの関心・アプローチの共通点と独自性が意識され,それぞれの研究をいっそう深化させる一助となったと考える.

4.その他

 2023年度は久しぶりに対面での活動を本格的に再開することができた.オンラインでの研究会開催が長く続いたことから,対面での交流の重要性と,ノンバーバルコミュニケーションを含む情報の豊かさを改めて実感した.情報アクセス技術をテーマとする当研究会としては,オンラインコミュニケーションの技術発展にも貢献していきたい.

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◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会

[主査:松村誠明,幹事:金井謙治]

1.定例の研究会活動報告

 第121-124回の研究発表会を開催した.

  • 第121回研究発表会
    日時:2023年6月15日, 16日
    会場:松江工業高等専門学校での現地開催とオンラインのハイブリッド開催
    連催:電子情報通信学会 スマートインフォメディア研究会(IEICE-SIS)
    テーマ:知的マルチメディアシステム,組込み応用システム,立体映像技術,一般
    発表件数:18件
     
  • 第122回研究発表会
    日時:2022年9月7日
    会場:現地開催(大阪公立大学中百舌鳥キャンパス)とオンライン開催を併用したハイブリッド開催(FIT2022併催)
    連催:電子情報通信学会 画像工学研究会(IEICE-IE),マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会(IEICE-EMM),ライフインテリジェンスとオフィス情報システム研究会(IEICE-LOIS)
    共催:映像情報メディア学会 メディア工学研究会(ITE-ME),電気学会 通信研究会(IEE-CMN)
    テーマ:マルチメディア通信/システム,ライフログ活用技術,IP放送/映像伝送,メディアセキュリティ,メディア処理(AI,深層学習),一般
    発表件数:11件
     
  • 第123回研究発表会
    日時:2022年12月11日, 12日
    会場:北九州学術研究都市 学術情報センター 遠隔講義室1 および オンライン
    連催:電子情報通信学会 通信方式研究会(IEICE-CS),画像工学研究会(IEICE-IE)
    テーマ:画像符号化,通信・ストリーム技術,一般
    発表件数:13件

  • 第124回研究発表会
    日時:2023年2月22日
    会場:オンライン開催(Zoom)
    テーマ:人の理解・合成技術と関連技術及びスポーツなどへの応用,画像符号化,マルチメディア情報処理,一般等に関わる技術課題
    発表件数:8件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 画像符号化シンポジウム,映像メディア処理シンポジウム(PCSJ/IMPS)
    日時:2022年11月20 - 22日
    会場:ハイブリッド開催(オンライン、御殿場高原ホテル)
    主催 電子情報通信学会 画像工学研究専門委員会
    共催 映像情報メディア学会 メディア工学研究委員会,電子情報通信学会 信号処理研究専門委員会
    協賛:画像電子学会
3.総括

 本年度は,映像音声に関する符号化,変換,編集,伝送,検索,認識等について定例研究会4件と画像符号化シンポジウム,映像メディア処理シンポジウム(PCSJ/IMPS)シンポジウムを開催・共催した。研究会の開催形態は、国際会議を除き、現地開催を基本とし、オンラインでの参加も可能なハイブリッド開催の形態をとった.定例研究会では、継続的に学生向けの研究会発表の機会を維持するため,萌芽的研究内容を取り扱う学生セッションを設け若手研究者の参加を促す施策を行った.2024年度は,引き続き当該研究分野の最新研究成果ならびに最新技術動向の発信する場を設ける予定である.

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◆コラボレーションとネットワークサービス(CN)研究会

[主査:井上智雄,幹事:福島 拓,宮田章裕,川口信隆,角田啓介,市川裕介]

1.定例の研究会活動報告

 2023年度は以下の通り,第120-122回の研究発表会を開催した.

  • 第120回(2023年5月26日 東京都・機械振興会館とオンラインのハイブリッド開催):発表9件
    SPTと共催,電子情報通信学会LOIS研究会と連催.
    企画セッション「自己紹介ライトニングトーク」を実施.
  • 第121回(2024年1月22-23日 東京都・大島町総合開発センター):発表57件
    CDS,DCCと共催.
  • 第122回(2024年3月11-12日 東京都・芝浦工業大学豊洲キャンパスとオンラインのハイブリッド開催):発表10件
    企画セッション「心理学者とともに考える新たなコラボレーション」を実施.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は以下の通り,シンポジウム2回,国際会議1回,ワークショップ1回を開催した.

  • DICOMO2023シンポジウム(202年7月5日-7月7日 富山県・富山国際会議場):
    発表224件,デモ13件,招待講演・特別講演9件
    1997年より開催しているDICOMOシンポジウムは,DPS,MBL,CSEC,ITS,UBI,IOT,SPT,CDS,DCCと共催である.
     
  • 第29回コラボレーション技術とソーシャルコンピューティングに関する国際会議(CollabTech2023)(2023年8月29日-9月1日
    大阪府・立命館大学いばらきキャンパスとオンラインのハイブリッド開催)
    論文発表20件,ポスター発表9件,招待講演1件
    2005年に第1回を開催以来,継続的開催している国際会議CollabTech 2023は,標記研究分野における論文発表(Full paper
    8件,Work-in-Progress paper
    12件),ポスター発表(9件)および招待講演1件のプログラムを構成し,55人(うち海外17人)の参加を得て開催された.
     
  • コラボレーションとネットワークサービスワークショップ2023(2023年11月23日-11月24日 群馬県・ホテル軽井沢1130):
    発表29件(査読付き論文4件,一般論文18件,ポジションペーパー7件),国際会議報告2件,招待講演2件
    研究会名称変更後初となるコラボレーションとネットワークサービスワークショップは,通算では第20回となる,CN研究会コミュニティでは恒例の行事である.研究会形式で31件の発表と招待講演2件を2泊3日のプログラムで構成し,49名の参加者を得て開催された.
     
  • インタラクション2024(2024年3月6日-3月8日 東京都・学術総合センター):
    一般講演18件,インタラクティブ発表 294件
    1997年より開催しているインタラクションシンポジウムをHCI,UBI,EC,DCCと共催した.
    28回目となる「インタラクション2024」は,招待講演,登壇発表,インタラクティブ発表(デモ),インタラクティブ発表(ポスター)で構成され,登壇発表18件と,インタラクティブ発表(デモ)202件,インタラクティブ発表(ポスター)92件が採択された.890名の参加者を得て開催された.
3.総括

 本研究会は,1992年に研究グループとして発足以来,人と人をつなぐコラボレーション技術に関して,理論から応用,情報科学から社会科学と幅広い学際的研究活動を活発に推進してきた.この間,組織や名称の変更を経て,ネットワークアプリケーション,インターネットサービス,コラボレーション支援などの広い研究分野をカバーしてきた.近年のさらなる情報環境の変化を踏まえて,本年度より研究会名称を新たに「コラボレーションとネットワークサービス研究会」とした.
 本研究会では,定例研究会以外にも,合宿形式のワークショップ(CNワークショップ),国際会議(CollabTech),2回の研究会合同シンポジウム(DICOMO,インタラクション)を主催している.今年度は現地とオンラインのハイブリッド開催と現地のみの開催が混在した.オンライン・オフライン双方に長所と短所があり,開催形態はなお流動的といえよう.本研究会はまた,論文誌ジャーナル特集号を発行しており,令和5年度特集号においても多くの論文(11件)を採録した.

4.その他

 研究会関連メンバへの関連情報提供サービスとして,毎月メーリングリストによるニュースレターを発行している.同様のサービスをSlackのチャンネルにおいても実施している.

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◆ドキュメントコミュニケーション(DC)研究会

[主査:菅沼 明,幹事:天笠俊之,秋元良仁]

1.定例の研究会活動報告

 今年度は,4回の研究会を開催し,18件の研究発表があり,そのうち4件の招待講演であった.

  • 第129回研究会
     日時:令和5年8月4日(金)
     場所:ハイブリッド開催(対面+Zoom)
     会場:京都橘大学 啓成館1階G106教室
     電子情報通信学会ライフインテリジェンスとオフィス情報システム研究会(LOIS)と連催
     テーマ:ライフログ活用技術、オフィス情報システム・ドキュメントのデジタル化・行動認識/行動推定と情報通信システムおよび一般

  • 第130回研究会
     日時:令和5年11月1日(水)
     場所:オンライン開催(Zoom)
     テーマ:ドキュメントによる事実の伝達および一般

  • 第131回研究会
     日時:令和6年1月23日(火)
     場所:オンライン開催(Zoom)
     テーマ:行動につながる文書および一般

  • 第132回研究会
     日時:令和6年3月25日(月)
     場所:東洋大学 白山キャンパスA101教室(聴講者のリモート参加可能,Zoom)
     情報処理学会情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)との連催
     テーマ:ドキュメントコミュニケーション分野一般
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は実施なし.

3.総括 
 本研究会は,デジタルドキュメントをコミュニケーションの媒体として,それらを取り巻く多様な課題の解決に向けて研究活動を実施している.
 定例研究会においては,研究会登録者・参加者の増加をめざし,電子情報通信学会ライフインテリジェンスとオフィス情報システム研究会(LOIS),情報処理学会情報基礎とアクセス技術研究会(IFAT)との連催を実施した.他研究会・団体との情報交換を活発に実施する事ができ,有意義な研究活動を行うことができた.加えて,参加者全員による討論のセッションを企画・開催した.想いを如何にして伝えるかというテーマで参加者全員を対象とした討論を行い,課題などを確認することができた.
 また,新型コロナウイルス感染症への対策として,2回の定例研究会はオンライン形式で開催した.オペレーションの習熟向上に伴いスムースな研究会運営をすることができた.残りのうち,1回をハイブリッド形式,1回を対面形式(聴講者のみリモート参加可能)で開催した.対面の会場においては,新型コロナウイルスなどの感染症対策に注意しながら運営を行った.
 今後は,参加者増加につながる施策として,デジタルドキュメントを活用したハイブリッド型研究会の開催等も考え,研究会の活性化を検討していきたい.
4.その他 
活動履歴や今後の活動予定については,下記をご参照ください.

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◆モバイルコンピューティングと新社会システム(MBL)研究会

[主査:吉村 健,幹事:上坂大輔,田村孝之,廣森聡仁,米澤拓郎,中山 悠, 荒川 豊,北出卓也]

1.定例の研究会活動報告

 第107-110回の研究発表会を開催した.

  • 第107回研究発表会 5月18日,19日 ハイブリッド開催 沖縄科学技術大学院大学(OIST)
    共催:情報処理学会マルチメディア通信と分散処理研究会(DPS),高度交通システム研究会(ITS)
    連催:電子情報通信学会センサネットワークとモバイルインテリジェンス研究会(SeMI)
  • 第108回研究発表会 9月25,26日 ハイブリッド開催 長崎大学文教キャンパス
    共催:情報処理学会コンシューマ・デバイス&システム研究会(CDS),ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI),高齢社会デザイン研究会(ASD)
    ※2022年度優秀論文,優秀発表,奨励発表の表彰式を実施
  • 第109回研究発表会 11月15日~17日 WiP(現地開催) ホテルフレアール和泉(15日),ハイブリッド開催 大野商工会議所(16日,17日)
    共催: 情報処理学会高度交通システムとスマートコミュニティ研究会(ITS)
  • 第110回研究発表会 2月29日,3月1日 現地開催 福岡大学
    共催:情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI)
    連催:電子情報通信学会センサネットワークとモバイルインテリジェンス研究会(SeMI)

 本年度の定例研究会は計画通り4回実施した.MBL枠で申し込みされた発表件数(招待講演除く)は 71 件(5月: 11件,DICOMO: 32件,9月: 12件,11月: 12件,3月: 4件)であり,活発な研究発表が行われている.2023年度 は優秀論文4件,優秀発表4件,奨励発表7件,WiP奨励賞2件を選出し,研究発表の奨励と会員拡大に努めている.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2023)シンポジウム
    7月5日~7月7日 ハイブリッド開催 富山国際会議場
    共催:情報処理学会マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会,高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会,ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会,インターネットと運用技術(IOT)研究会,セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会,コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会,IoT行動変容学(BTI)研究グループ
  • The 14th International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Network (ICMU)
    November 29th – December 1st, kokoka Kyoto International Community House, Kyoto, Japan (Hybrid)
    協賛:情報処理学会マルチメディア通信と分散処理(DPS),高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会,コンシューマ・デバイス&システム研究会(CDS)研究会, ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI)
3.総括

 2023年度は,研究発表の場が徐々にハイブリッドから現地主体へと回帰したことで発表件数も増加傾向となり,活発な意見交換が見られた.また,論文誌特集号の企画についても滞りなく進めた.本年度はICMU2023を開催することで,国内外の研究者相互の交流ならびに大学と産業界の連携のための意見交換の場を積極的に提供できたと考えている.今後も,これらの交流で培われた研究者・開発者間の人的ネットワークを基軸に,研究会をさらに充実・発展させていきたい.

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◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会

[主査:千田浩司,幹事:林 卓也,三村 守,沖野浩二,藤田真浩,森達哉,井口 誠]

1.定例の研究会活動報告

 第101回~第104回の研究発表会を開催した.

  • 第101回 2023年 5月11日~12日(高知工科大学 永国寺キャンパス+オンライン,発表31件)
    合同開催:IOT研究会
    連催:情報通信マネジメント研究専門委員会(ICM)
  • 第102回 2023年 7月24日~25日(北海道自治労会館+オンライン(招待講演のみ),発表67件)
    合同開催:SPT研究会
    連催:情報セキュリティ研究専門委員会(ISEC),
    連催:技術と社会・倫理研究専門委員会(SITE),
    連催:情報通信システムセキュリティ研究専門委員会(ICSS),
    連催:マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究専門委員会(EMM),
    連催:ハードウェアセキュリティ研究専門委員会(HWS),
    連催:バイオメトリクス研究専門委員会(BioX)
  • 第103回 2023年12月11日~12日(アイーナ・いわて県民情報交流センター,発表21件)
    合同開催:SPT研究会,EIP研究会
  • 第104回 2024年3月18日~19日(千葉工業大学 津田沼キャンパス+オンライン,発表69件)
    合同開催:DPS研究会

 各研究発表会にてそれぞれ数件のCSEC優秀研究賞を授与した.また,推薦論文制度の規程に基づき対象論文の推薦を行った.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • コンピュータセキュリティシンポジウム2023(CSS2023):
    セキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT)との共催で,マルウェア対策研究人材育成
    ワークショップ2023(MWS2023),プライバシーワークショップ2023(PWS2023),
    ユーザブルセキュリティワークショップ2023(UWS2023),OSSセキュリティ技術
    ワークショップ2023(OWS2023),ブロックチェーンセキュリティワークショップ2023(BWS2023)
    と併催の形で,10月30日~11月2日にアクロス福岡+オンラインにて開催した.
    CSS全体の参加者数は959名(対面802名,オンライン157名),投稿数は214件であり,
    昨年度の参加者数801名,投稿数192件を大きく上回った.
    CSSおよび各ワークショップの優秀な論文に対しては,各論文賞(CSS2023最優秀論文賞/優秀論文賞,CSS2023学生論文賞)やCSS奨励賞を授与した.
    また,セキュリティ分野の著名な実務者を招いた基調講演を設けた.
  • 18th International Workshop on Security(IWSEC2023):
    今回で18回目の開催となる国際会議であり,電子情報通信学会情報セキュリティ研究専門委員会(ISEC)との共催で,情報セキュリティ大学院大学(横浜)+オンラインにて2023年8月29日~31日の日程で開催した.
    10件のポスター発表に加え,47件の投稿論文から14件(採択率29.8%)の非常にレベルの高い論文を精選し,充実した内容の論文集が作成された(Springer LNCSシリーズで出版).日本を含む10ヶ国から計102名が参加し(対面90名,オンライン12名),国際色豊かな会議となった.また,3件の招待講演を実施し(うち1件はオンライン),活発な議論が行われた.さらに,併設イベントとして匿名化技術を競うコンテストiPWS Cupを開催し,日本を含む5ヶ国から計10チームが参加し,国際交流や技術力の向上につながった.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2023)シンポジウム:
    10研究会と1研究グループが集い幅広い分野をカバーしたシンポジウムとして,2023年7月5日~7日にオンラインで開催した.
    CSECからは7つのセッションに分けて発表が行われた(うち1つはSPT研究会との合同セッション).
    また,CSECの発表から,2件の優秀論文賞が授与された.

  • 論文誌「サイバー空間を安全にするコンピュータセキュリティ技術」
    サイバー空間を安全にするコンピュータセキュリティ技術をテーマとした特集号を企画した.
    38件の投稿から24件(英語論文は11件)の論文を採録し,2023年9月に発行した.
    2024年9月発行の予定で次の特集号「サプライチェーンを安全にするサイバーセキュリティ技術」を企画し,編集作業を進めている.

3.総括

 定例研究会の発表件数は昨年度よりも増え,特に2023年7月開催の合同研究会(CSECは第102回)では発表件数が大きく増加した(38→67件).オンライン開催から4年ぶりに現地開催に戻したことが大きいと考えられる.また,2023年10~11月にかけて開催された国内シンポジウムCSS2023は,昨年度と比べ参加者数,発表件数ともに大きく増加した.特に現地参加者が大きく増加した(508→802名).
来年度も定例研究会,国内シンポジウム,国際会議の参加者数・発表件数の増加を含む,本研究会の活動をさらに活性化させるための施策を継続していく.また,本研究会の活動に留まらず,我が国のコンピュータセキュリティ分野全体の発展への貢献に努めていく.

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◆高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会

[主査:徳永雄一,幹事:石田繁巳,佐藤健哉,鈴木理基,吉廣卓哉,寺岡秀敏]

1.定例の研究会活動報告

 定例研究会:

  • 第93回ITS研究会:2023年5月18日(木)~19日(金)/沖縄県 沖縄科学技術大学院大学(ハイブリッド,Zoomを利用)
    ITS研究会主幹.DPS研究会(合同),MBL研究会(合同),信学会SeMI研究会(連催)と連携開催.全56件(ITSは7件)の研究発表を11のテーマセッションにて実施.
  • 第94回ITS研究会:2023年8月29日(火)/神奈川県 関東学院大学八景キャンパス(ハイブリッド,Zoomを利用)
    信学会ITS研究会(連催),電気学会ITS研究会(共催・主幹)と連携開催.招待講演1件と全10件(ITSは4件)の研究発表を実施.
  • 第95回研究会(一般講演・WiP):2023年11月15日(水)~17日(金)/福井県 ホテルフレアール和泉・大野商工会議所(ハイブリッド, Zoomを利用)
    MBL研究会が主幹で共催開催.全24件の研究発表と全11件のWork-in-Progress(WiP)発表を実施.WiPは参加者33名による合宿形式.
  • 第96回研究会:2024年3月4日(月)/長崎県 長﨑大学(ハイブリッド,Zoomを利用)
    ITS研究会単独開催.全15件の研究発表を4のテーマセッションにて実施.

 毎年,定例研究会から,優秀な論文や発表を選定している.2023年(第92~95回研究会)を通じて,研究会優秀論文5件,研究会優秀発表5件,研究会奨励発表6件,研究会WiP奨励発表3件を選定した.
 発表内容は自動車および自動車交通に加え,人,自転車,ロボット,UAVへ広く移動体を対象としたテーマへと拡大している.また,経路問題に量子アリーニングを適用する報告が登場してきている.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • ITS研究フォーラム2024:2024年3月18日(月)/早稲田大学グリーンコンピューティング研究開発センター(ハイブリッド,Zoomを利用)
    ITS Japan,MBL研究会,DPS研究会,CN研究会協賛.「ニューモビリティシステムが変える社会」をテーマに5件6名の招待講演に加え,昼食会,6件のポスター発表,研究会表彰式を企画し,4年ぶりの対面中心のシンポジウムとして実施.56名の参加者中49名が現地にて参加し,活気溢れる議論が交わされた.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2023):2023年7月5日(水)~7月7日(金)/オンライン(Zoomを利用)
    DPS,CN,MBL,CSEC,ITS,UBI,IOT,SPT,CDS,DCC,BTI合同シンポジウム.「分断を乗り越えるデジタル技術」を統一テーマに,特別招待講演1件,招待講演8件,一般講演224件,デモ13件の研究発表を7パラレルセッションにて実施.ITS研究会関連では,17件の一般講演に加え,南政樹氏(PwCコンサルティング)より「ドローン・エアモビリティ前提社会の実現に向けたデジタルテクノロジー」のテーマで招待講演いただいた.

  • 論文誌特集号「移動の価値を再創造する高度交通システムとパーベイシブシステム」(2024年6月号掲載予定)
    MBL研究会と共同で毎年論文誌特集号を企画.これまで1月号掲載としてきたが今回より6月号掲載に変更.両研究会の主査,幹事,運営委員が編集委員会として参画.16件の投稿に対し,最終的に8件を採録(採録率50%).採録された論文のテーマは災害,ゴミ処理,サイバー攻撃などの社会問題を扱うものや,ロボット,人,二輪,UAVといった移動体を対象とするものなど多岐に渡る.また株式会社アイ・トランスポート・ラボの花房比佐友氏らに群衆シミュレーションに関する技術論文を招待論文として寄稿いただいた.
3.総括
 ITS研究会では,4回の定例研究会,シンポジウム,研究フォーラム,論文誌特集号を通して,高度交通システムとスマートコミュニティに関わる研究者の交流と意見交換の場を提供することができた.本格的に対面中心へと移行し,活発な議論や質疑応答が復活した.本研究会が対象とする領域は益々広くなり,量子計算など新技術適用も増えていることから,より多様な研究者との交流の場を形成し,本分野の研究の活性化に貢献していきたいと考える.皆様の積極的なご参加とご協力をお願いしたい.

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◆ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会

[主査:前川卓也,幹事:大越 匡,清田陽司,西山勇毅,磯山直也,渡邉拓貴,新井イスマイル]

1.定例の研究会活動報告

 第78-81回の研究発表会を開催した.

  • 第78回研究発表会 2023年5月24日(水)~5月26日(金),【東京会場】慶應義塾大学 三田キャンパス【伊豆大島会場】東京都大島町開発総合センター大会議室
    ※2022年度UBI研究会優秀論文賞・学生奨励賞表彰式を開催
    ※2022年度UBI研究会国際発表奨励賞(後期)の受賞者による国際会議発表・参加報告を実施
    ※発表:18件
  • 第79回研究発表会 2023年9月25日(月)~9月26日(火),長崎大学文教キャンパス
    ※共催:高齢社会デザイン(ASD)研究会
    ※共催:コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会
    ※共催:モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL)研究会
    ※発表:50件(共催分を含む)
  • 第80回研究発表会 2023年11月21日(火)~11月22日(水),淡路夢舞台国際会議場
    ※共催:ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会
    ※2023年度UBI研究会国際発表奨励賞(前期)の受賞式を実施
    ※発表:39件(共催分を含む)
  • 第81回研究発表会 2024年2月29日(木)~3月1日(金),福岡大学 図書館多目的ホール
    ※共催:モバイルコンピューティングと新社会システム(MBL)研究会
    ※連催:電子情報通信学会 センサネットワークとモバイルインテリジェンス (SeMI) 研究会
    ※2023年度UBI研究会優秀論文賞・学生奨励賞表彰式を開催
    ※発表:43件(共催分を含む)
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2023)シンポジウム
    2023年7月5日(水)~7月7日(金) 開催場所:富山国際会議場
    ※共催:一般社団法人情報処理学会 マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会、グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会、モバイルコンピューティングと新社会システム(MBL)研究会、コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会、高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会、ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会、インターネットと運用技術(IOT)研究会、セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会、コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会、デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会,IoT行動変容学(BTI)研究グループ

  • インタラクション2024
    2024年3月6日(水)~3月8日(金),学術総合センター内一橋記念講堂
    ※共催:ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
3.総括

 2023年度も4回の定例研究発表会を開催し,他分野や産業界との連携および,研究会内での学術的連携に力を入れた.前者としては,他研究会や他学会との研究会共同開催を通じて,本研究会関係者に対して多様な機会を創出できた.
 研究会としても,分野を盛り上げるために,研究発表会での発表から,6件の優秀論文賞と,8件の学生奨励賞,4件の企業発表賞,12件のUBIヤングリサーチャー賞,0件のポスター発表賞を選出した.また,国際発表奨励賞についても引き続き,学生に対してユビキタスコンピューティングシステム関連著名国際会議への参加をサポートし,有力国際会議における本研究コミュニティのプレゼンス向上につながった.

4.その他

 本研究領域における国際的なプレゼンスをさらに高めるために,学生や若手研究者の活躍に寄与する施策を推進する.特に,若手研究者による招待講演,引き続き実施する各賞の授与はこれにあたる.また,若手研究者による著名国際会議採録を支援するような講座の開催を行う.
 産業界との接合を強力化するために,民間企業を研究会に引き込む施策を実施する.具体的には研究会に協賛制度を構築し,より多くの若手研究者を支援する仕組みやより良いジェンダーバランスに寄与しうる仕組み等を検討し,企業と大学の情報交換を緊密にする.
 これまで10回以上にわたって継続している論文誌特集号は引き続き実施し,本分野の研究成果蓄積を狙っていきつつ,そうした成果が著名国際会議での発表につながるような施策を検討していく.

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◆インターネットと運用技術(IOT)研究会

[主査:北口善明,幹事:大森幹之, 柏崎礼生, 坂下 秀, 櫻田武嗣, 中村 豊, 中山貴夫, 松本亮介, 三島和宏]

1.定例の研究会活動報告

 以下に示すように第61~64回の研究発表会を開催した.

  • 第61回 2023年 5月11日 (木) ~ 12日 (金)
    場所:高知工科大学 永国寺キャンパス (高知市) + オンライン
    発表件数:一般8件 (全体: 一般30件, 招待講演1件)
    ※コンピュータセキュリティ (CSEC) 研究会と共催
    ※電子情報通信学会情報通信マネジメント (ICM) 研究会と連催
  • 第62回 2023年 7月 4日 (火)
    場所:出島メッセ長崎 (長崎市) + オンライン
    発表件数:一般17件
    ※JANOG52 Meetingと共催
  • 第63回 2023年 9月 19日 (火) ~ 20日 (水)
    場所:熊本大学 黒髪キャンパス 工学部 (熊本市) + オンライン
    発表件数:一般8件 (全体: 一般12件)
    ※システムソフトウェアとオペレーティング・システム (OS) 研究会およびオープンサイエンスと研究データマネジメント (RDM) 研究グループと共催
    ※FIT2023内併設
  • 第64回 2024年 3月12日 (火) ~ 14日 (木)
    場所:未来創造センター (宮古島市) + オンライン
    発表件数:一般33件 (全体: 一般78件, シンポジウム招待講演3件)
    ※オープンサイエンスと研究データマネジメント (RDM) 研究グループと共催
    ※電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ (IA) および技術と社会・倫理 (SITE) 研究会と連催

 いずれの研究会においても,情報教育関連,インターネット運用技術,分散システム運用技術,ネットワーク構築,セキュリティ,性能評価,研究データ管理など,幅広いテーマで議論が行われた.研究会は現地開催が主ではあるが,昨年度に引き続きオンライン対応を併用した開催形態を維持した.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第16回インターネットと運用技術シンポジウム (IOTS2023)
    本シンポジウムは,「気づきのあるネットワーク運用技術を目指して」というメインテーマのもと,2023年12月 7日 (木) ~ 8日 (金) に名古屋大学 豊田講堂にて開催された (共催:名古屋大学 情報基盤センター,後援:電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ (IA) 研究会,ACM SIGUCSS Tokyo Chapter).今回のシンポジウムは,現地で開催すると共に口頭発表のみオンラインでも配信し,ハイブリッド開催とした.また,COVID-19の5類移行に伴い,初日夕刻の情報交換会も再開した.
    今回のシンポジウムは,査読付き論文発表10件,査読付きポスター発表28件に加えて,招待講演1件で構成した.招待講演では,情報通信研究機構 (NICT) の遠藤 由紀子氏に,「サイバー攻撃発生に気づくためのNICTER観測システムの運用と攻撃事例」と題して,情報通信研究機構で稼働しているサイバー攻撃観測システムであるNICTERとその観測結果について講演をしていただいた. 
    シンポジウム併設企画として企業展示を実施し,24社からの展示ブース出展をいただいた.プログラムにおいては両日ともに午後にポスターセッションと企業展示の時間を設け,十分にポスター発表や展示ブースを見ていただけるようにした.今回は新たな試みとして,クロージング前にアラクサラネットワークス株式会社「冠賞」の副賞として行われている共同研究をテーマとしたパネルディスカッションを開催した.なお,この参加企業による「冠賞」はIOTS2016から継続しているもので,今年は2社から発表者に受賞が行われた.
    一般講演10件の論文発表うち,学生による発表は5件であり,また,28件 (うち学生14件) のポスター発表では,発表は現地のみとしてセッションを構成した.シンポジウム参加者は,現地207名,オンライン9名となり,発表者と現地参加者を中心に密な議論が展開された.対面による活発な議論により,有意義な意見交換がなされたシンポジウムとなった.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム (DICOMO2023)
    本シンポジウムは,2023年 7月 5日 (水) ~ 7月 7日 (金) に富山国際会議場 (富山市) にて本研究会を含む11研究会の共催により開催された.本研究会に関連したテーマで4つのセッション (一般12件,招待講演1件) が開催された.招待講演として,阿部 博氏 (トヨタ自動車) に「コネクティッドカーとエッジコンピューティングによるグリーンモビリティへの挑戦」と題して講演をいただいた.

  • The 11th IEEE International Workshop on Architecture, Design, Deployment and Management of Networks & Applications (ADMNET2023)
    本ワークショップはIEEE Computer Societyが主催し本会が後援する国際会議COMPSAC2023の開催日程 (2023年 6月27日 (火) ~ 29日 (木)) にイタリア トリノにて開催され,6件の採択論文が発表された.

  • 第13回災害コミュニケーションシンポジウム (DCS2022)
    本シンポジウムは,2023年12月26日 (火) にオンライン + サテライト会場 東京工業大学 (目黒区) として,セキュリティ心理学とトラスト (SPT) 研究会および情報システムと社会環境 (IS) 研究会と共催し,災害時の情報共有や課題などについて情報交換を行った.講演は,併設しているISCRAM勉強会にて6件の講演,基調講演が4件であった.また,関東大震災から100年目であることを受け,大都市災害をテーマとしたパネルディスカッションが行われた.

  • 論文誌「well-beingなネットワーク環境構築のためのインターネットと運用技術」特集
    本特集号では前年末のインターネットと運用技術シンポジウム (IOTS2022) との連携を図っている.今回は「well-beingなネットワーク環境構築のためのインターネットと運用技術」をテーマとした.本特集号には7編の投稿があり,最終的に4編の論文を採録した (採択率57.1%).今年度も論文募集に先立って論文執筆アドバイスの取り組みを実施し,6本の論文に対してアドバイスを実施した.そのうち3本が採録へとつながっており,アドバイス制度の効果が上がっていると考えられる.なお,過去数年間でIOT研究会による特集号への投稿数は減少傾向にあるが,10件前後を集めることができており,IOT研究会による特集号は一定の評価を得ていると言え,インターネットなどの運用技術に関する研究分野の活性化に寄与していると考えている.

  • 論文誌トランザクション デジタルプラクティス「well-beingなネットワーク環境構築のためのインターネットと運用技術」特集
    論文誌特集号と同じテーマによる論文誌トランザクションにおける特集号を企画した.本特集号には6編の投稿があり,5編が条件付き採録に至っている (昨年度の特集号は6編の投稿に対して4編を採録).2021年度からの取り組みとして実施している”シンポジウムから特集号論文誌および特集トランザクション論文誌”という一連の流れを確立できつつあると考えられ,次年度以降も継続的に取り組む計画としている.
3.総括

 IOT研究会では,従来から計算機・ネットワーク運用技術に関する優れた研究を高く評価し,それらを論文化したり国際的に発表したりすることを推奨している.計算機やネットワーク運用上のベストプラクティスに関する研究発表に対する藤村記念ベストプラクティス賞 (2015年度創設) を今年度も授賞し,論文誌トランザクション ディジタルプラクティスへ推薦論文として投稿を促している.またIOT研究会元主査や幹事,運営委員が中心となって2014年度に設立したACM SIGUCCS東京支部も本研究会と連携して活動しており,このような研究活動をますます促進している.

 今年度は,現地開催を主軸に,オンライン参加も可能とするハイブリッド開催による研究会開催を継続した.シンポジウムにおいてもコロナ禍前と同規模の情報交換会を現地開催することができ,活発な意見交換が可能な研究会に戻すことができたと考える.次年度以降も,ハイブリッド開催を堅持し,多くの参加者が集える研究会環境を提供できるように努めていく予定である.

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◆セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会

[主査:島岡政基,幹事:金森祥子,畑島 隆,山本 匠,葛野弘樹]

1.定例の研究会活動報告

 2023年度は,第51回~第54回の研究発表会を開催ならびに企画した.

  • 第51回 2023 (令和5) 年05月26日 (金) 機械振興会館(東京都港区)+オンライン
  • 第52回 2023 (令和5) 年07月24日 (月)~07月25日 (火) 北海道自治労会館(札幌市)
  • 第53回 2023 (令和5) 年12月11日 (月)~12月12日 (火) アイーナ・いわて県民情報交流センター(盛岡市)
  • 第54回 2022 (令和4) 年03月21日 (木)~03月22日 (金) 沖縄科学技術大学院大学+オンライン(聴講のみ)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は,次のシンポジウム,論文誌ジャーナル特集号,勉強会等を実施した.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル (DICOMO2023) シンポジウム (共催)
    2023 (令和5) 年07月05日 (水) ~07月07日 (金) 富山国際会議場(富山市)
  • コンピュータセキュリティシンポジウム(CSS)2023(共催)/ユーザブルセキュリティワークショップ(UWS)2023
    2023 (令和5) 年10月30日 (月) ~11月02日 (木) アクロス福岡(福岡県福岡市)+オンライン
  • 第13回災害コミュニケーションシンポジウム
    2023 (令和5) 年12月26日 (火) オンライン+東京工業大学大岡山キャンパス
  • 論文誌「次世代デジタルプラットフォームにおける情報流通を支えるセキュリティとトラスト」特集
    2023年12月発行
  • ユーザブルセキュリティ・プライバシ(USP)論文読破会7
    2023 (令和5)年11月24日 (金) NICTイノベーションセンター(東京都中央区)+オンライン
3.総括

 これまでのハイブリッド開催経験を踏まえ,2023年度は対面開催の意義や特色を発揮できるよう,一方で無理なくオンラインの利点も享受できるよう,開催会場・開催規模等に応じた開催形態を模索してきた.
 研究会運営の安定と効率化に向けては,オンラインツールを積極的かつ最大限に活用しており,またノウハウの蓄積に向けた各種ドキュメントの整備を進めてきた.

4.その他

 2024年度は,対面開催で得られる効果の最大化を考えつつ,オンライン併用とのバランスも心がけ,研究会活動の更なる活性化と充実を推進する.
 本研究会は,工学だけでなく心理学・社会学も含めた幅広い分野間の知見共有・連携促進の場となることを志向しており,会員及び関係者の方々にはそのような場として本研究会を最大限活用いただきたく,またそのためにも是非積極的な論文投稿と参加をお願いしたい.

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◆コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会

[主査:峰野博史,幹事:梶 克彦,神山 剛,神崎映光,齊藤義仰,中井一文,廣井 慧,森本尚之]

1.定例の研究会活動報告

 第37-39回の研究発表会と第10回学生スマートフォンアプリコンテストを開催した.

  • 第37回研究発表会 2023年6月1日(木)~2日(金),NTT武蔵野研究開発センタとZoomによるハイブリッド開催,発表10件(デモセッション1件)
    論文編集貢献賞の表彰式を実施
  • 第38回研究発表会 2023年9月25日(月)〜26日(火),長崎大学文教キャンパス,発表35件
    ※共催:MBL,UBI,ASD研究会
    優秀発表賞,学生奨励賞,CDS活動貢献賞の表彰式を実施
  • 39回研究発表会 2024年1月22日(月)~23日(火),東京都大島町総合開発センター,発表57件(招待講演1件)
    ※共催:CN,DCC研究会

 本年度は,前年度よりもさらに新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いてきたため,参加者の対面交流の促進を目的として,ハイブリッド開催の研究発表会を1回,コロナ以前の形態である現地開催の研究発表会を2回開催することができた.いずれの研究発表会においても,企業,大学からコンシューマ・デバイスとシステムに関する幅広い分野の発表と活発な議論が行われ盛況であった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2023)シンポジウム,2023年7月5日(水)~7月7日(金),富山国際会議場(※共催:DPS,CN,MBL,CSEC,ITS,UBI,IOT,SPT,DCC各研究会,BTI研究グループ)
  • IEEE COMPSAC 2023: CDS 2023 (The 11th IEEE International COMPSAC Workshop on Consumer Devices and Systems held in conjunction with COMPSAC2023)2023年6月27-29日,Torino, Italy
  • 情報処理学会 第86回全国大会 企画イベント「CDSトランザクション必勝法 ~奨学金免除や博士号取得に向けて~」,2024年3月15日(金)~17日(日)神奈川大学横浜キャンパス
  • 情報処理学会論文誌:コンシューマ・デバイス&システムの発行状況
    計12編(Vol.13, No.2: 4編, No.3: 5編, Vol.14,No.1: 3編)
3.総括

 2023年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響が落ち着きつつあり,オンライン型から現地開催も踏まえたハイブリッド型・現地開催型での研究発表会の開催に変わり,コロナ禍以前の状況を思い出しながら進め,例年どおり3回の研究発表会を実施できた.全3回の研究発表会では,様々な企業からの発表および参加があり,実際に運用が開始されたコンシューマシステム,実践的なコンシューマデバイスやサービスに関する発表に対し活発な議論が行われた.なお,昨年度10回目を開催した学生スマートフォンアプリコンテストは,近年のAIの進化によりスマートフォンアプリの開発が以前ほど困難なものではなくなったこと等から,イベントのコンセプトと方向性を見直し、より刺激的で未来を見据えた企画への取組を検討することとした。全国大会企画イベントでは、CDSトランザクションで採録されるまでの苦労話,CDS研究会での発表からCDSトランザクションの論文へのブラッシュアップの方法,奨学金返還免除申請や博士号取得のためにとった戦略といったノウハウを登壇者の皆さんに紹介いただいた.2023年度において,情報処理学会論文誌 コンシューマ・デバイス&システム(CDSトランザクション)は,12編の論文を採択し掲載済みである.2024年度は,引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の落ち着きを見ながら,対面実施を主体としつつ柔軟な対応で研究会の管理・運営を行う.

4.その他

 2024年度は,引き続き従来の取り組みをさらに活性化させるとともに,コンシューマ向け技術や研究開発成果の応用的な発表をさらに受け入れ,学会活動を通じて学生と企業をつなぐ架け橋としての役割を担うような新たな取り組みにもチャレンジしたい.また,産学交流,技術者の相互情報交換の場の提供に加えて,研究発表会を通した地域活性化,さらなる学会会員数,研究会登録会員数,社会人・学生会員数,ジュニア会員数の増加につながるようなイベントを検討し,本研究会の更なる活性化を目指す.

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◆デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会

[主査:阿倍博信,幹事:井上亮文,小川剛史,木原民雄,巻口誉宗]

1.定例の研究会活動報告

 下記の研究会を開催した.

  • 第34回研究発表会
    2023年6月8日(木)
    オンラインとのハイブリッド開催, 現地会場:東京大学
    発表件数:7件(DCC優秀賞1件)
  • 第35回研究発表会(CGVI,CVIM共催)
    2023年11月16日(木),17日(金)
    鳥取県立生涯学習センター
    発表件数:52件(DCC 9件)(DCC優秀賞2件)
  • 第36回研究発表会(CN,CDS共催)
    2024年1月22日(月),23日(火)
    大島町総合開発センター
    発表件数:57件(DCC 12件)(DCC優秀賞2件)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 下記のシンポジウムおよび発表会を開催した.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2023)シンポジウム
    2023年7月5日(水)~7月7日(金)
    富山国際会議場
    ※主催
    マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会
    コラボレーションとネットワークサービス(CN)研究会
    モバイルコンピューティングと新社会システム(MBL)研究会
    コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会
    高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会
    ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会
    インターネットと運用技術(IOT)研究会
    セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会
    コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会
    デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
    IoT行動変容学(BTI)研究グループ

  • DICOMO2023併設デジタルコンテンツ制作発表会参加者募集
    2023年7月5日(水)
    富山国際会議場
    発表件数:9件(優秀賞3件)

  • インタラクション2024
    2024年3月6日(水)〜3月8日(金)
    学術総合センター内 一橋記念講堂
    ※主催
    ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会
    コラボレーションとネットワークサービス(CN)研究会
    ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会
    エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会
    デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
     
  • 情報処理学会論文誌:デジタルコンテンツ(DCON)の発行
    21号 (Vol.11, No.2, Aug. 2023)採録:3件
    22号 (Vol.12, No.1, Feb. 2024)採録:4件
3.総括

 研究会の実施について,ここ数年は,6月は単独開催,11月はCGVI,CVIMとの共同開催,1月はGN,CDSとの共同開催という形で進めている.発表件数は6月は7件,11月が9件,1月は12件の発表が集まり,合計で28件となり,2022年度の30件から微減したものの,2021年度の27件とほぼ同等の件数となった.また,DCC優秀賞は5件の発表が受賞する形となった.
 今年度は,新型コロナウィルスの扱いが変更となったことを受け,研究会は現地開催が中心とする形で運営する方針とした.DICOMOは現地開催となったことを受けて,DICOMOシンポジウム併設デジタルコンテンツ制作発表会を現地開催した結果,9件の発表を集めることができた.

4.その他

 本研究会はデジタルコンテンツに関する発表が中心となるため,アフターコロナでは現地開催を中心とした運営を進めて行きたい.また,運営委員会についてはオンライン対応を検討することによって,現地に来れない運営委員も参加できるような運営を心がけていきたい.

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◆高齢社会デザイン(ASD)研究会

[主査:石川翔吾,幹事:山田和範,松浦 博,青野修一,井上創造,清田陽司,浜田百合]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括

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◆IoT行動変容学(BTI)研究グループ

[主査:ロペズギヨーム,幹事:是村由佳,大越 匡,石塚宏紀,米澤拓郎]

1.定例の研究会活動報告
  • 第6回BTI研究会(BTI-6):(http://www.sig-bti.jp/event/bti06-report.html)
日時:2023/12/22-23
会場:東京大学ダイワハウス石橋信夫記念ホール
参加:61名 
発表:18件(一般発表,ポスター/デモ形式)
   +企業取り組み紹介紹介2件
備考:最優秀発表賞,最優秀デモ/ポスタ賞,研究奨励賞

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第4回BTI研究会(マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2023)シンポジウム(共催))
日時:2023/7/5-7
会場:富山国際会議場
発表:統一セッション1つ,BTIセッション4つ(発表16件)
参加:約25名/セッション
  • 第5回BTI研究会(BTI-5):1st BTI International Workshop (BTIW:http://www.sig-bti.jp/event/btiw-report.html)
日時:2023/7/7-9
会場:DFKI(ドイツ)
参加予想:約50人 (投稿6件、採択5件)
備考:研究奨励賞(BTIW2023 Research Encouragement Award)
備考:ABC2023併催(https://autocare.ai/abc2024)
3.総括

 2023年度は本研究グループの2年目としての活動だった.3回の研究成果報告活動の開催において,企業の取り組み紹介および国際展開を試みた.研究グループのスタートとして,想定以上に各活動の参加者が多く,毎度議論が絶えず盛り上がった.また,企業の研究者からの研究・取組発表からして,産学において注目されている分野と確信できた.ITの関連分野の多くの方々にも活動を広く周知させることができた一方,現状の枠組みではIT分野以外の方を巻き込むことが難しいと実感できた.

4.その他

 本研究グループの今後の活動枠組みについて,運営委員会で議論した結果,本研究グループが目指しているゴール,情報系と行動分析/社会学系の両分野の研究コミュニティの融合,を実現するため,独立組織としての研究グループで活動を継続した方が良いとの結論に至った.研究グループの設立と活動立ち上げを御支援頂いた情報処理学会に感謝申し上げます.

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メディア知能情報領域

自然言語処理(NL)研究会

[主査:須藤克仁,幹事:井之上直也,内田ゆず,佐藤敏紀,萩行正嗣,吉永直樹,吉野幸一郎]

1.定例の研究会活動報告

 第256-259回の研究発表会を会場現地での発表を中心とするハイブリッド形式で開催した.
 大規模言語モデルに関係する研究が増えてきつつあるものの,引き続き基礎的な言語解析による研究発表も行われている他,画像・音声等を含めたマルチモーダル処理,実用を見据えたアプリケーション等幅広い内容の研究発表が行われている.

  • 第256回(2023年5月)ハイブリッド開催
  • 第257回(2023年9月)ハイブリッド開催
  • 第258回(2023年12月)ハイブリッド開催:SLP共催,SP・NLC連催
  • 第259回(2024年3月)ハイブリッド開催:NLC連催
     
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 なし.

3.総括

 学生や若手研究者の発表を奨励するため,研究会独自の若手奨励賞の授与に加え,第257回研究発表会において発表時間を通常より少し短くした「若手・萌芽セッション」の企画を行い多くの発表を集めた.
 今年度は会期の設定に対して想定より多くの発表申込が行われ1件あたりの時間を短くしなければならなくなる等の影響もあったため,次年度以降は複数日開催を前提に発表件数増に柔軟に対応したい.
 学生・若手向けの施策は更なる強化を検討する.

4.その他

 他学会イベントとの連動開催により特に学生の発表件数・参加人数に顕著な増加が見られており,研究会としての日程・会場の自由度が低下する懸念はあるものの研究会の活性化のため継続する予定である.

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◆知能システム(ICS)研究会

[主査:福田直樹,幹事:松崎和賢,松野省吾]

1.定例の研究会活動報告
  • 第211回研究発表会では,言語処理・知能システムの社会応用をテーマに,学術的な新規性だけでなく実応用という点についても重きを置き,2023年8月16日に群馬県庁舎 官民共創スペースNETSUGENおよびオンラインのハイブリッド形式にて研究会を開催した.本研究会は電子情報通信学会 言語理解とコミュニケーション研究会と共催した.研究会ではこのテーマを起点として,SNSデータ,特許データ,漫画データなどを用いた分析やシステムの開発提案,機械学習手法の高度化などにつながる変数スクリーニング手法の検討など,実社会への応用領域に関連する多様な取り組みが発表された.全部で7件の発表と活発交換が行われた.
  • 第212回研究発表会は,電子情報通信学会,日本ソフトウェア科学会,人工知能学会,IEEE Computer Society Tokyo/Japan Joint Chapterとの連携によりSMASH24 Winter Symposiumとして2024年2月29日に名古屋工業大学で開催した.学習を行うAIエージェントへの経験共有や好奇心探索の導入の検討といった検討から,商品レビュー解析における観点検出精度の向上,物流におけるダイナミックプライシングの適用や,大規模言語モデルを用いた議論支援など多様なアプリケーションに対する知能システム的アプローチについて,シンポジウム全体で22件の発表と活発な議論が行われた.
  • 第213回研究会は,人工知能学会,情報処理学会,電子情報通信学会,社会情報学会,日本ソフトウェア科学会の各研究会との共催で「社会システムと情報技術研究ウィーク in ルスツ 2024(WSSIT2024)」として2024年3月2日から5日までの期間で北海道の現地およびオンラインでのハイブリッド開催をした.大規模言語モデルによるマニュアル生成やストーリー生成システムへの応用をはじめ,AI技術における頑健性や説明性を追求する研究など,人間生活や社会システムと情報技術に関連する基礎的研究から応用研究に関する分野横断的な発表があり,イベント全体で計45件の発表があった.
  • 第214回研究会は,「先端情報学と行動情報」を特集テーマとして,2024年3月26日にオンラインで開催した.行動情報学などのキーワードを核として比較的広い学術背景を持った研究発表が集まり,利他性,選好,認知モデルなどを用い,人の行動変容から歩行・運転・生産管理・協力活動など広いアプリケーション分野を扱った13件の発表があり,活発な議論が行われた.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 電子情報通信学会,人工知能学会,日本ソフトウェア科学会,IEEE Computer Society Tokyo/Japan Joint Chapterとの合同企画として,JAWS2023 Joint Agent Workshop and Symposium を2023年9月12日〜14日に,北海道 登別グランドホテルにて開催した.特別企画講演25を含む85件の発表があり,活発な議論が行われた.
(論文ありの発表の講演論文集は電子情報通信学会人工知能と知識処理研究会より発行)

3.総括
 例年と同様の規模の活動を継続しながら,知能システムを核としてそれに関わる広い研究分野の研究者らとの連携や交流・議論の場を作ることができたと考えている.

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◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会

[主査:日浦慎作,幹事:田中賢一郎,高橋康輔,波部 斉,出口大輔,槇原 靖,浦西友樹]

1.定例の研究会活動報告

 第234~237回の通常の研究発表会を下記のように開催した.各研究発表会では,テーマを設定し,テーマに沿った特別講演の企画や一般発表の募集を行った.

  • 2023年5月:卒論, D論, NeRF 等のニューラルシーン表現(PRMU連催)
  • 2023年11月:人を表現・理解するためのCG/DCC/CV/PR技術(CGVI,DCC共催,PRMU連催)
  • 2024年1月:メタバースと深層学習 (PRMU,MVE連催,SIG-MR合同開催)
  • 2024年3月:雑多なデータセットの有効活用(PRM, IBISML連催)

 2023年度より,内容の充実や参加者数の増加を図るため,すべての研究会を電子情報通信学会PRMU研究会との連催としている.

 各研究発表会ではCVIM,研究者の注目を集めているテーマを毎回一つ取りあげ,チュートリアル講演を実施している.今年度のテーマは以下の通りである.チュートリアル講演のスライドは研究会Webページで広く公開し,その内容を加筆修正の上で書籍として出版している.
 また,チュートリアル講演の動画を CVIM 研究会登録者限定で公開することにし,研究会登録者へのサービスを充実させた.

  • 2023年5月:拡散モデルによる画像生成
  • 2023年11月:Data-Centric AI - 関連する学術分野と実践例 -
  • 2024年1月:自己教師あり学習による事前学習
  • 2024年3月:イベントカメラの基礎と応用
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第26回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2023)を,7月25-28日の4日間,アクトシティ浜松とオンラインのハイブリッドで開催した.電子情報通信学会PRMU研究会との共催であり,1,411名の参加者があった.発表のない学生のオンライン聴講を無料とし,機械学習・コンピュータビジョン分野に興味がある学生に本分野の研究をアピールすることができた.
 FIT2023(9月6-8日)においては,イベント企画として「Vision and Language の最前線」を企画した.この企画はNL研究会,PRMU研究会との共同企画であり,本テーマに基づく3件の招待講演を企画した.さらに,トップカンファレンスセッションの推薦リストを作成した.

3.総 括

 卒論・D論セッション,ポスターセッション・奨励賞,チュートリアルなど,研究者育成の活動を重視してきた.コンピュータビジョン分野のトップカンファレンスに採択される日本人若手研究者の数は増加傾向にあり,本研究会の現在までの取り組みもその一因となっていると考えられる.

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◆グラフィクスとCAD(CG)研究会

[主査:藤代一成,幹事:岩崎 慶,久保尋之,櫻井快勢,佐藤周平,高山健志]

1.定例の研究会活動報告

下記のとおり,4回の研究発表会を開催した.

  • 第190回研究発表会
    2023年6月29日(木)
    会場:富士通株式会社 川崎工場
    テーマ:仮想空間技術及びCG技術一般
    発表件数:4件(優秀賞1件,学生発表賞1件),2022年度優秀研究発表賞授賞式
  • 第191回研究発表会(Visual Computing 2023と連続開催)
    2023年9月16日(土)
    会場:東京大学 本郷キャンパス理学部7号館
    テーマ:実世界を取り扱うCG/CV技術
    発表件数:9件(優秀賞1件,学生発表賞1件),招待講演1件
  • 第192回研究発表会(CVIM, DCC,電子情報通信学会PRMUと連催)
    2023年11月16日(木),17日(金)
    会場:鳥取県立生涯学習センター(県民ふれあい会館)
    テーマ:人を表現・理解するためのCG/DCC/CV/PR技術
    発表件数:49件(CGVI 12件)(CGVI優秀賞2件,CGVI学生発表賞2件)
         チュートリアル講演,特別講演,フェロー講演各1件
  • 第193回研究発表会(慶應義塾大学理工学部と共催)
    2024年3月18日(月),19日(火)
    会場:慶應義塾大学 日吉キャンパス
    テーマ:CG/CV分野の産学連携とイノベーション
    発表件数:12件(優秀賞2件,学生発表賞1件),
         ネットワーキングセッション,基調講演1件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
下記のシンポジウムを共催した.
  • Visual Computing 2023シンポジウム
    2023年9月17日(日)〜20日(水)
    芝浦工業大学 豊洲キャンパス
    共催:画像電子学会Visual Computing研究会,
       映像情報メディア学会映像表現&コンピュータグラフィックス研究会
    特別後援:CG-ARTS (公益財団法人画像情報教育振興協会)
    発表件数:口頭発表:34件,ポスター発表:32件(優秀賞7件,学生発表賞6件)
         招待講演:21件
3.総括

 研究会の開催回数は前年度から変わらないが,全回現地開催に戻った.
 Visual Computing 2023は,昨年度に続いて,430名(うち学生225名)の参加者を得て盛況であった.

4.その他

 スポットライトセッションに加えてネットワーキングセッション等の試みにより,研究会参加者が多角的に参加できる工夫を施してきた.引き続き,登録会員数増加に転じるような運営を目指していきたい.

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◆コンピュータと教育(CE)研究会

[主査:長瀧寛之,幹事:赤澤紀子,長 慎也,中園長新,林 浩一,本多佑希]

1.定例の研究会活動報告

 第170回~174回の研究発表会を,順に武蔵野大学,公立はこだて未来大学,沖縄国際大学,大阪大学,麗澤大学で.いずれも現地・オンライン参加が可能なハイフレックス形式で開催した.発表総数は90件(うち第172回の27件は,CLE研究会との共催)で,安定した研究発表活動が行われている.2014年度から設けている学生セッションの発表件数は,2023年度は合計29件となり,学生の研究会参加を促す効果につながっている.また今後の研究の発展を期待し,学生セッションの発表者の中から7件の学生奨励賞を選出した.論文作成のアドバイスを行う研究論文セッションには5件の発表があった.このような模擬査読は情報処理学会論文誌「教育とコンピュータ」と連携して論文投稿の活性化につながっている.いずれの試みも研究発表会の活性化につながっており,今後も継続していきたい.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2024年8月18日~20日に「情報教育シンポジウムSSS2023」を工学院大学新宿キャンパスで開催した.本シンポジウムでは,情報教育,教育の情報化に関わる幅広い分野の教育者や研究者の参加を募り,初回のSSS99以来熱気のこもった研究発表会となっており,今回は口頭発表28件,デモ・ポスター発表13件の全41件の発表が行われた.招待講演として,国際大学GLOCOMの豊福晋平氏をお招きしてデジタル・シティズンシップについて講演いただき,また戸塚滝登氏をお招きして”日本最初のプログラミング教育”とその後の教え子の追跡調査について講演いただいた. 

3.総括

 当研究会は,情報の本質を理解し,教育の実践をしっかりと視野に捉えながら情報教育の可能性を探ることにより,情報教育に関連する学界と教育界へ寄与することを目的としている.近年では,2022年度から高校で情報I・IIの開始,2024年度入試より大学入試共通テストへの情報科目の導入という大きな動きがあり,小中学校におけるプログラミング教育やGIGAスクール構想を受けたコンピュータ活用学習が本格化する中,情報教育に関する研究成果を積極的に活用,発信していくべき状況となっている.また,学生セッションの定着により,若い世代の研究者が発表しやすい環境が整備でき,新しい技術の利用など柔軟で幅広い視野の研究発表が増えてきており,今後一層,研究会活動の充実が期待される.一方で,研究会発表論文の質の向上を目指し創刊した論文誌トランザクション「教育とコンピュータ」は,現在安定した掲載数を維持しているが,今後も研究論文セッション等と連携することで,論文数が増加することを期待している.以上のように研究発表会,論文誌の双方を通じて,質的・量的に充実した研究会活動を社会へアピールしていきたいと考えている.

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◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会

[主査:橋本雄太,幹事:耒代誠仁,吉賀夏子,鈴木親彦,小川 潤]

1.定例の研究会活動報告
  • 第132回 2023年5月20日(土)@亜細亜大学 発表18件
    3年ぶりとなる現地開催での研究会を開催した.例年通り,企画セッションとして学生セッション(ポスター発表)を設け,例年より非常に多い14件の発表があった.運営委員の選考により2件の奨励賞を授与した.
  • 第133回 2023年9月30日(土)@岡山大学 発表9件
    一般口頭発表7件のほか,企画セッション「東洋史研究におけるDH」を設けた.
  • 第134回 2023年2月17日(土) @オンライン 発表10件
    コロナ禍を通じて研究会のオンライン開催が一般化したことを受けて,年1回程度はオンライン開催での研究会を実施することにした.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第25回人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2023)
    日程:2023年12月9日(土)-10日(日)
    場所:オンライン(拠点:一般財団法人人文情報学研究所)
    主催:情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会
    実行委員長:下田正弘(武蔵野大学)
    プログラム委員長:土山玄(お茶の水女子大学)

    「人文学のためのデータインフラストラクチャー構築に向けて」というテーマに対して,176名の参加者が集まり,合計44件の研究発表(口頭発表23件,インタラクティブ発表21件)が行われた.また,10日には企画セッションとしてオンラインワークショップ「DH教育とリテラシー」が開催された.
    シンポジウム内での発表の中から最優秀論文賞1件,ベストインタラクティブ発表賞1件,学生奨励賞3件を選考し表彰した.

3.総括

 新型コロナウイルスの5類移行を受け,懇親会など感染リスクの高い催し物については様子を見つつ,今年度はじめから対面での研究会開催の再開に踏み切った.幸い,発表申し込み件数等はコロナ禍以前から減少するようなことはなく,特に学生の発表申し込みの件数の多さは顕著であった.
 シンポジウム「じんもんこん2023」での表彰件数は昨年度に比べて増加した.特に学生の無償参加者の数が多かったことは,本イベントがこの分野の普及にとって非常に重要であることを物語っている.

4.その他

 今年度はインボイス制度への対応を併せて「じんもんこんシンポジウム」の参加費改定をおこなった.今年度は開催拠点の努力もあって大幅な黒字を確保することができたが,印刷費や輸送費は値上がりしつつあり,今後とも慎重な運営が求められる.
 この2-3年の間に多くの研究大学にデジタル人文学の研究拠点が開設されており,本研究会の重要性は増しつつある.人文情報学/デジタル人文学の研究を支えるバックボーンとして,当研究会にどのようなことが可能か,検討と実践を継続していきたい.

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◆音楽情報科学(MUS)研究会

[主査:森勢将雅,幹事:松原正樹,酒向慎司,中村友彦,植村あい子,大石康智,平田圭二]

1.定例の研究会活動報告

 2023年度は,第137~139回研究発表会の研究会を開催した.第137回研究会については,2.で述べる.

  • 第138回研究会「夏のシンポジウム2023」(2023/8/27~28)では,演奏支援,音楽分析, HCI,深層学習,演奏上達支援に関する一般発表が16件と,国際会議既発表・デモ・萌芽・議論セッションで11件の発表があった.また,SIGMUS30周年特別企画として,「歌声情報処理最前線2023」「歌声情報処理の過去・現在・未来」を開催し,大変好評であった.
  • 第139回研究会(2024/3/9~10)では,分析・歌声,音楽情報処理・作曲,応用システム,学習データ,モデル化,音色,可視化・インタフェースに関連した一般発表30件に加え,萌芽・デモ・議論セッションで21件の発表があり,国際会議報告も実施した.さらに,夏のシンポジウムと同様にSIGMUS30周年企画として,「初代主査平田圭二先生特別講演」を開催し,こちらも大変好評であった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第137回研究会「音学シンポジウム2023」(2022/6/23~24)では,音に関係するあらゆる研究分野が対象とされており,今年で11回目の開催となった.本シンポジウムでは,MUSとSLPとの共催,かつ電子情報通信学会・日本音響学会 音声研究会との連催,電子情報通信学会・日本音響学会 応用(電気)音響研究会,日本音響学会 聴覚研究会との協賛となり,全研究会の委員が協力して企画を進めた.音声認識,音楽情報処理,聴覚脳,音源分離,音声波形生成,信号処理に関する6件の招待講演に加えて,66件の一般ポスター発表があった.参加者は180名を超え,活発な議論が行われて非常に盛況であった.

3.総括

 2023年度は,3回の開催全てが対面で行われた.国際会議既発表セッションと萌芽・デモ・議論セッションを引き続き実施することで,多様な発表がなされて好評であった.また,SIGMUS30周年記念として138,139回研究会は聴講参加を無償化し,各研究会で特別企画を実施した.参加者は無料参加枠を含めるとどちらも100名を超えており,大変盛況であった.

4.その他

 139回研究会では数年ぶりに研究会として懇親会を実施し,80名以上が参加する盛況な会となった.参加者間の交流を深めるための取り組みについて,今後も継続的に検討する.

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◆音声言語情報処理(SLP)研究会

[主査:戸田智基,幹事:橋本 佳,安藤厚志,齋藤大輔,相原 龍]

1.定例の研究会活動報告

 第147-151回の研究発表会を開催した.

  • 第147回(6月 電気通信大学+オンライン):SIG-MUSと信学会SPとともに,音学シンポジウム2023を共催・連催した.ポスターセッションに加えて,7件の招待講演を実施した.SLPからはワークスモバイルジャパンの木田祐介様とLINEの藤田雄介様にLINEの音声認識技術に関する招待講演をお願いした.
  • 第148回(10月 九州工業大学+オンライン):信学会SP研究会,WIT研究会との連催で,福祉に関連するテーマを中心に研究会を開催した.SLPからは東京大学の高木健様に片耳難聴者支援技術に関する招待講演をお願いした.
  • 第149回(12月 機械振興会館+オンライン):NL研究会と共催研究会とし,信学会SP研究会とNLC研究会の共催研究会との連催で「第25回音声言語シンポジウム」と「第10回自然言語処理シンポジウム」を合同開催した.一般講演およびポスターセッションに加えて2件の招待講演を実施した.うち1件は,特別招待講演として,東京工業大学の中臺一博先生にIEEEフェロー記念講演をお願いした.加えて,京都大学の河原達也先生に研究倫理に関する特別講演をお願いした.この他に,国際会議報告として,INTERSPEECH,COLING,IJCNLP-AACLの研究紹介セッションを開催した.
  • 第150回(1月 オンライン):近年大いに注目されている音声・大規模言語モデルをテーマとして,招待講演のみで構成されるオンライン企画を実施した.米国CMUの渡部晋治先生に音声処理の統一化に関する特別招待講演をお願いした.また,早稲田大学の河原大輔先生,NTTの西田京介様,rinnaの沢田慶様に大規模言語モデルの技術動向に関する招待講演をお願いした.
  • 第151回(3月 沖縄産業支援センター+オンライン):信学会EA,SIP,SP研との連催でSPEASIPワークショップを開催した.一般講演およびポスターセッションに加えて3件の招待講演を実施した.SLPからはHDLの林知樹様に音声処理オープンソースツールキットに関する招待講演をお願いした.また,APSIPA Japan Chapter主催の招待講演やショート・オーラルセッションを併催した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は実施なし.

3.総括

 昨年度に引き続き,現地開催とオンライン配信のハイブリッド形式による開催を主とした.また,最先端の研究動向を幅広く共有することを目的として,招待講演のみで構成されるオンライン企画も継続した.近年,国際会議論文や学術論文を発表する場が増加する中,論文発表における倫理規定の遵守徹底に向けて,国際的な動向に関する情報共有を行う場も提供した.年間の研究会開催を通して,発表数は増加傾向にあり,音声言語情報処理に関する研究分野の活性化を確認することができた.一方で,発表数および参加者数が一部の開催月の研究会に集中し,開催回数よりも開催規模の拡大を求める傾向が顕在化したこともあり,次年度の活動計画の見直しを行った.

4.その他

 音声分野内の信学会SP研究会とSLPは統合運営を開始して3年目を迎え,運営に関するノウハウが蓄積されてきた.コロナ禍の影響もおさまり,現地参加者が増加する中,ハイブリッド形式での開催に関しては,今の時代に即した研究会運営を目指していく上で,今しばらく継続して動向を見守る必要があると考えられる.そのため,次年度以降も現状の運営体制を継続していく予定である.

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◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会

[主査:小向太郎,幹事:青木秀一,板倉陽一郎,加藤尚徳,黒政敦史,須川賢洋,橋本誠志]

1.定例の研究会活動報告

 第100-103回の研究発表会を開催した.EIPは、知的財産,個人情報・プライバシー,IT社会と法,及びIT社会問題一般を研究領域とする,文理融合の研究会である.各回の研究会では、こうした社会的課題の解決に資するテーマについて,招待講演,研究成果報告等が行われ,活発かつ有意義な議論が行われた.
 特に,法制度と技術の境界領域に関する研究や,情報セキュリティのマネジメントに関する研究,個人情報保護に関する最新の制度動向,制度や社会的課題に関する新たな分析手法の探求などに関して,複数の成果が報告されている.各回の実施概要は以下の通りである.

  • 第100回(6/12-6/13):電子情報通信学会「技術社会・倫理研究会(SITE)」との連催研究会.立正大学品川キャンパス(オンラインとのハイブリッド開催).EIP第100回記念イベント「EIPの100回・25年の軌跡(徳島文理大・橋本誠志氏)」「デジタル社会基盤の100年とこれから(早稲田大学・白井克彦氏)」「デジタル環境と消費者(一橋大学・松本恒雄氏)と、招待講演「欧州規則・指令案による自動運転への影響(立正大学:柴田龍氏)」を実施.個別報告23件(うちEIP17件).
  • 第101回(8/31-9/1):マルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)」との合同研究会.近畿大学東大阪キャンパス(オンラインとのハイブリッド開催).DPS企画セッションとして「近畿大学情報学部の紹介と施設見学」を実施.個別報告18件(内EIP18件).
  • 第102回(12/11-12/12):コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)」「セキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT)との合同研究会.新アイーナ・いわて県民情報交流センター(オンサイト開催のみ).個別報告21件(内EIP11件).
  • 第103回(2/15-2/16):EIP単独開催.京都鴨沂会館(オンサイト開催のみ).招待講演「ひかり拓本による地域防災教育プログラムの構築(奈良文化財研究所・上椙英之氏)」「行政各部の一部としてのデジタル庁・個人情報保護委員会--憲法学の視点からの若干の考察(同志社大学・沼本祐太氏)」を実施.個別報告26件.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は実施なし.

3.総括

 EIPの主要なテーマである情報処理と社会課題に対しては,他の分野の研究者からも関心が高まっており,レベルの高い報告が増加している.また,学生による報告も増加しており,特にEIP102では4件,EIP103では9件の報告が学部学生によるものであった.なお,FIT2023で「アルゴリズム運用と法律の関係」,情報処理学会全国大会で「サイバー事件回顧録」をそれぞれテーマとする,EIPの企画セッションを実施した.他の研究会との連催・共催も,互いの研究のスコープを広げレベルを向上させる効果をあげている.今後は,EIPにおける研究成果をさらに社会に発信していくことで,一層のプレゼンスの向上と研究会の安定運営を図って行きたい.

4.その他

 2023年度は,定例研究会,企画イベントのすべてについて,オンサイト開催を実施しており(一部オンラインを併用),研究者同士の懇親やフランクな意見交換の場としても好評を得ている.

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◆ゲーム情報学(GI)研究会

[主査:橋本 剛,幹事:佐々木宣介,松崎公紀,竹内聖悟,西野順二]

1.定例の研究会活動報告
 第50回研究会は2023年7月8日(土),9日(日)に広島市の県立広島大学広島キャンパスでオンラインとのハイブリッドで行われた.セッションはゲームと人間の行動に関する分析(1),将棋・チェス,ゲーム・パズルの解析,AIプレイヤ開発手法ゲームと人間の行動に関する分析(2),の5つで,計11件の発表が行われた.今回始めて1日目の最後にゲーム体験会を実施し,参加者同士の親睦を深めるたいへん良い機会となった.
 第51回研究会は2024年3月8日(金),9日(土)の2日間,国立情報学研究所でオンラインとのハイブリッドで行われた.発表件数は過去最多となる33件で,大盛況であった.発表の内容は,将棋,囲碁,デジタルゲームAI,麻雀・ブリッジ・UNO・ガイスターなど不完全情報ゲーム,組合せゲーム理論,テトリス,ぷよぷよ,2048や倉庫番などパズルゲーム,と多様な目的のさまざまな研究が見られた.

3月9日(土),10日(日)には,電気通信大学でGame AI Tournament 2024も開催され,多くの参加者を集めた.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 今回で第28回目の開催となるゲームプログラミングワークショップ(GPW)は,2023年11月17日(金)- 11月19日(日)にコロナ禍以前と同じ箱根セミナーハウスで4年振りに実施された.
 14件の口頭発表、18件のポスター発表があり109名の参加者(うち現地75名、オンライン34名)による活発な質疑・議論が行われた. 多種のゲーム・パズルに関する様々な観点からの研究発表があり、これらの最新の研究についての熱心な討論や情報交換が行われたいへん有意義であった. なお、チャットツールSlackも併用して発表者と聴講者の情報交換を促進する仕組みを提供した. ポスター発表については,前回の経験と会場の都合の2つの理由から現地発表のみとした.
 今回は2件の招待講演ならびに1件の特別講演を実施した. 招待講演の1件目として、(株)タイムインターメディアの藤原博文氏に「複数のパズルの問題自動生成に共通に適応できる進化計算」という題でギネス記録に認定されたものを含むパズル問題生成に関する様々な取り組みを紹介していただいた. 招待講演の2件目として、筑波大学の山名琢翔氏に「人間に勝利してから四半世紀. まだ終わらないオセロAI」という題で,オセロAIの開発の歴史と最先端の話をしていただいた.いずれもたいへん活発な質疑があり、好評であった. 特別講演は、毎年恒例となっているナイトイベントの一部として、(株)Preferred Networksの滝沢拓己氏にオセロの弱解決とその解法について話をしていただいた. これは、ワークショップの2週間ほど前に発表された成果であり、この分野の研究者・学生がとても興味を持つテーマの特別講演が実施できたことは大変よかった.
 このように一般発表、ポスター発表、招待講演、関連イベントと大変活発なワークショップとなり、この分野の研究のさらなる発展につながる実りのある場となった. 来年度も引き続きこのワークショップを実施する予定である.

3.総括
 本研究会は発足後25年が経過し,この分野の発表の機会を与えるものとして十分に定着してきたと言える.発表の内容を見ると,従来のパズルや将棋,囲碁などの伝統的なゲームに加え,ガイスターや人狼など不完全情報ゲーム,ビデオゲームや戦略シミュレーションなど新たな分野の研究が今年も増加した.技術的には,強化学習に関する手法の研究が今年も多かったが,強くなったAIをいかに人間の学習に役立てるか、といったテーマの研究が増えてきている.オンラインと現地でのハイブリッドでの開催も順調に行えたので,今後もハイブリッドでの開催を検討している,
4.その他

 来年度は,新たにFITとの共催研究会を実施する予定で,年3回の研究会,及び,GPWの開催を行う予定である.

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◆エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会

[主査:松下光範,幹事:小泉直也,三武裕玄,橋田光代]

1.定例の研究会活動報告

 第68-71回の研究発表会を開催した.

  • 第68回 2023年5月31日(水)- 6月1日(木) 東京大学山上会館(東京都文京区)
    情報処理学会ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(HCI)と合同,日本バーチャルリアリティ学会,ヒューマンインタフェース学会デバイスメディア指向ユーザインタフェース専門研究委員会(SIG-DeMO),映像情報メディア学会 ヒューマンインフォメーション研究会(HI)と共催,電子情報通信学会メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会(MVE)と連催で,人工現実感,エンタテインメント,メディアエクスペリエンスおよび一般をテーマにオンラインでの研究会を開催した.全体で39件の発表があった.
  • 第69回 2023年10月26日(木)-27日(金) 室ガス文化センター(北海道室蘭市)
    バーチャルリアリティ学会 複合現実感研究会(SIG-MR),サイバースペースと仮想都市研究会(SIG-CS),ヒューマンインタフェース学会デバイスメディア指向ユーザインタフェース研究会(SIG-DeMO)との共催,電子情報通信学会メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会(MVE)と連催で開催した.全体で34件の発表があった.
  • 第70回 2023年12月27日(水)オンライン
    研究と分野の方向を考えるメタ研究会として開催した.エンタテインメント研究のデモ展示に対する新たな評価の在り方としてECシンポジウム 2023 で試行した「Re:commend-demo 」の振り返りと,それを踏まえた今後の展開のための議論を行った.また,招待講演として辻野雄大先生(明治大学)をお招きし「音楽ゲームを中心とするエンタテインメント研究の展望」という題目の講演をいただいた.
  • 第71回 2020年3月17日(日)-19日(火) 京都学・歴彩館(京都府京都市)
    18件の一般発表と15件の萌芽発表,13件のデモ発表が行われた.また,エンタテインメントコンピューティングシンポジウムの20周年を記念して,はこだて未来大学松原仁先生の招待講演ならびに過去のシンポジウムを振り返るパネルディスカッションを行った.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • エンタテインメントコンピューティング2023(主催)
    2023年8月30日(水)-9月2日(土)に,東京都八王子市の東京工科大学にて,「Re: entertain」をテーマに東京工科大学の羽田先生を実行委員長として開催され,257名の参加者があった.基調講演として,(1) 稲見昌彦先生による「「からだ」の自在化から「こころ」の自在化へ」,(2) 長坂剛先生による「現実世界の人間の行動を変えるゲーミフィケーション」,および特別講演として,(3) 三宅陽一郎先生による「生成AIが拓く新しいゲームの可能性」の各講演をいただいた.最終日には特別企画として,今後の研究発表のありかた、およびECコミュニティにおけるその評価方法について議論することを目的としたパネル討論「Re:presentation」を実施した.口頭発表48件,デモ・ポスター発表62件(口頭発表との重複を含む)に加え,併設イベントとしてクリエイティブコレクション(学生作品展示)17件が実施され,いずれも活発な議論が行われていた.また,エンタテインメント研究のデモ展示に対する新たな評価の在り方として,PC委員による投票制度と連携しその投票理由や推薦理由を言語化・講評してもらう仕組みである「Re:commend-demo」を実施した.
  • インタラクション2024(共催)
    2023年3月6日(水)-3月8日(金)に,学術総合センター一橋記念講堂にてヒューマンコンピュータインタラクション研究会(HCI),コラボレーションとネットワークサービス研究会(CN),ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI),デジタルコンテンツクリエーション研究会(DCC)との共催で開催した.登壇発表18件,インタラクティブ発表312件がなされた.参加者は890名(参加申込者数876名+協賛企業14名)であった.
3.総括

 2023年5月のコロナの5類感染症への移行もあり,研究会の運営方法もほぼコロナ以前と同等になり,参加者数やデモの実施数も以前の水準へと概ね戻ってきた.2024年3月の研究会では,この効果に加え,ECシンポジウムの20周年企画として,当シンポジウムの発起人の一人である松原仁先生の講演やこれまでの実行委員長・主査によるパネルを行ったこと,通常研究会でのデモ発表カテゴリの設置もあり,40件の研究発表,3日間で100名を超える参加者と,近年稀に見る盛会となった.ECシンポジウムでは,Re:commend Demo やエンタテインメント企業との交流会など,新しい試みも行われ,ポストコロナのシンポジウムとして方向性を示せたと考えている.これを一過性のものとせず,研究会の継続した発展に繋げていくため,ECシンポジウムの取り組み強化や通常研究会でのデモ発表の定着などを検討していく.

4.その他

 国内のエンタテインメントコンピューティングコミュニティの活性化については,情報処理学会誌EC特集号の投稿数増加もみられ一定の方向性が見出せたと考えている.次は,国際会議や海外ジャーナルなど,海外への情報発信・成果蓄積に繋げていくことを目標に,活性化策を検討していく.

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◆バイオ情報学(BIO)研究会

[主査:佐藤健吾、幹事:倉田博之、加藤有己、大林 武]

1.定例の研究会活動報告

 第74-77回,合計4回のBIO研究発表会を開催した.

  • 第74回は,2023年6月29日~7月1日沖縄科学技術大学院大学カンファレンス・センターにおいて,オンラインを併用するハイブリッド型で開催した.数理モデルと問題解決(MPS)研究会と共催し,電子情報通信学会ニューロコンピューティング(NC)研究会および情報論的学習理論と機械学習(IBISML)研究会と連催した.総発表件数69件(うちBIOより20件)であった.2022年度にくらべて,総発表件数は10件増加し,BIO発表件数は7件増加した.COVID-19の影響から脱して多数の会場参加者があった.
  • 第75回は,9月6日大阪公立大学中百舌鳥キャンパスにおいて,ハイブリッド型で開催した.第22回情報科学技術フォーラム(FIT2023)の併催研究会として開催した.発表件数8件であった.
  • 第76回は,計測自動制御学会「ライフエンジニアリング部門統合情報生物工学部会」の協賛を得て,11月29日東京電機大学東京千住キャンパスにおいてハイブリッド型で開催した.発表件数10件であった.
  • 第77回は,2024年3月7~8日に,北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科講義棟において対面形式のみで開催した.分子ロボット倫理研究会(3月8日),オープンバイオ研究会(3月9日)との連続開催という形で連携した.発表総数33件(うちBIOは27件)となりBIO発表件数は昨年度に比べて11件増加した.2023年度は,COVID-19の影響から脱して,総発表件数が増加し,ハイブリッド開催の回でも,オンサイト発表を推奨した.

 各回の研究発表会で優秀な研究発表をした発表者に贈呈するSIGBIO優秀プレゼンテーション賞を,第74回3名,第75-76回2名,第77回1名に授与した.SIGBIO学生奨励賞は第74回に発表した学生1名に授与した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

  2023年度の主催行事はなかった.「バイオインフォマティクス技術者認定試験」を協賛した.

3.総括

 2023年度は,COVID-19予防対策を考慮して,第74回から第76回はオンライン発表を併用するハイブリッド型の開催となったが,第77回はオンサイトのみの開催となった.昨年度と同様に,関連研究会や学会との共催や併催を積極的に進めて,合計65件のBIOの発表があった.2020年度発表件数27件,2021年度41件,2022年度44件,2023年度44件と較べると,発表件数はコロナ禍の影響から完全に脱し,増加傾向にある.

4.その他

 2024年度は年4回の研究発表会を計画している.「第78 回バイオ情報学(SIGBIO)研究会」は,2024年6月20日~6月22日,「第 148 回数理モデル化と問題解決(MPS)研究会」と合同研究会とし,電子情報通信学会ニューロコンピューティング(NC)研究会,情報論的学習理論と機械学習(IBISML)研究会と連催する.沖縄科学技術大学院大学カンファレンス・センターにおいてオンサイトのみで開催の予定である.「第79 回バイオ情報学(SIGBIO)研究会」は,9月4〜6日のいずれかに第23回情報科学技術フォーラム(FIT 2024)の併催研究会として広島工業大学にて開催予定である.

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◆教育学習支援情報システム(CLE)研究会

[主査:島田敬士,幹事:上田 浩,久保田真一郎,宮崎 誠,畠山 久]

1.定例の研究会活動報告

 2023年度は,第40回~第42回の研究発表会を開催した.

  • 第40回は2023年6月17日~18日に東京都立大学において,電子情報通信学会教育工学研究会(ET研究会)と合同で開催した.テーマ「オンライン学習支援および一般」に関連する10件の発表があった.
  • 第41回は2023年12月2日~3日に沖縄国際大学において,コンピュータと教育(CE)研究会と合同で開催した.テーマ「AIによる教育・学習支援および一般」に関連する27件の発表があった.
  • 第42回は2024年3月23日~24日に京都大学において,エビデンス駆動型教育研究協議会(EDE)と合同で開催した.テーマ「学習管理システムと周辺技術および一般」に関連し,27件の発表があった.また,エビデンス駆動型教育研究協議会と共催している教育データ分析コンテストの結果発表・表彰も行った.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は実施なし.

3.総括

 本研究会では,教育学習活動を支援する情報システムに関する研究開発及び実践に関する発表が18年間に渡り行われてきた(平成17年度から始まった研究グループ時代を含む).その間,教育現場を支える各種のシステムが登場し,とりわけ学習支援システム(LMS, Learning Management System)やコース管理システム(CMS, Course Management System),ポートフォリオシステムがその中心となり,本研究会でも多数の発表が行われてきた.一方で,教育,学習に関する学生情報システム(SIS, Student Information System)とのデータ連携や,教育・学習活動のプロセスのデータが日々蓄積されるスタディログに関する研究も近年活性化している.ラーニングアナリティクスは,学習のログに加えて,成績・アンケートなどの教育機関が保有する様々なデータを統合・利活用して,教育・学習活動の改善に資する情報を教育現場にフィードバックする目的を主なものとして,本研究会でも主要テーマとなりつつある.当研究会では,今後もシステムの実装,安定運用,教育データの利活用,教育・学習活動の改善のためのフィードバックなど幅広いテーマを時代の変遷に合わせて取り上げるとともに,研究と実践が密接に連携した議論・交流の場を提供できるよう取り組みを進めていきたい.

4.その他

 今後も引き続きCLE研究分野の研究を推進する.特に,オンライン授業をはじめとした教育学習を支える環境や情報システム,対面授業とのブレンド,ハイブリッド/ハイフレックス授業を実践するための技術開発は,実践的な取り組みを通してノウハウや知見が蓄積されるものであるため,データ分析や効果検証,その結果のフィードバック等の研究にも引き続き研究会として取り組んでいく予定である.また,コロナ禍が契機となり,ICTを活用した新しい教育の実施や学習活動の支援,システムに蓄積されるデータを活用したデータ駆動型教育など,様々な研究や教育現場での実践的取り組みがなされているため,ニューノーマルな時代における教育・学習の在り方やそれを支える基盤システムならびに支援システムについて幅広く議論を進めていきたい.さらに,生成AIの教育利用や教育学習支援システムとの共存など,時代の潮流も注視しながら研究会のテーマ設定や関連する企画,イベントの立案などを進めたい.あわせて,研究分野の活性化のため,関連する研究会・学会と様々な形での連携を進めたい.

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◆アクセシビリティ(AAC)研究会

[主査:杉原太郎,幹事:西﨑実穂,湯野悠希,西田昌史,平賀瑠美]

1.定例の研究会活動報告

 第22-24回の研究発表会を開催した.
 コロナ禍による種々の規制が緩和されてからの開催になった第22回から24回の研究発表では,少しずつではあったがコロナ禍前のように現場に出向いて行うタイプの発表が戻ってきた.
 発表される内容自体は従来と大きく変わりなく,視覚障害,聴覚障害,高齢者を中心とした支援技術の開発やその評価,研究を通じた課題の整理などが大勢を占めた.大きく変わったのは開催方式であった.第22回はオンライン限定の発表方式であったが,23,24回はハイブリッドでの実施を試みた.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2023年度は実施なし.

3.総括

 1でも述べた通り,開催方式を変更した点がAAC研究会としてのチャレンジであった.現地とオンラインの両方の環境に十分な情報保障をお届けするために,これまで以上に工夫と労力を要することになった.現地に来られない方を呼び込みつつ,対面でのコミュニケーションによる議論の活発化を図ったためであり,それらの点は機能した.ただし,情報保障では担当者の負担が大きくなってしまった点が反省事項であった.

4.その他

 今年度から引き続き,ハイブリッド方式での開催にチャレンジすることになる.ただし,AAC研究会は小所帯の運営体制であるため,毎回負担の大きなハイブリッド開催はできない.オンライン方式のみ,対面方式のみとの組み合わせを検討しつつ,担当者にとって妥当な負担感に収まるよう研究会を運営していく.
 AAC研究会がこうした挑戦を続けられるのは,情報処理学会本体からのご支援があってこそである.主査として研究会を代表し,改めてここに謝意を表す.

http://ipsj-aac.org

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 ◇ネットワーク生態学(NE)研究グループ

[主査:鳥海不二夫,幹事:田中 敦,山野泰子,中条雅貴,今井哲郎,守田 智,藤木結香,伏見卓恭,伊東 啓]

1.定例の研究会活動報告

 第19回の研究発表会
 日時:2024年2月28日~29日
 場所: 長崎大学良順会館
 46名の参加者があった.
 2件の招待講演,1件の国際会議活動報告,1件のレクチャー講演,18件のポスター発表が行われた.

2.総括
 定例のシンポジウムを行い,昨年以上の多くの参加者が現地に集まり活発な議論が行われた.
 また,東京大学と共催でネットワーク科学勉強会をオフライン・オンライン同時開催にて定期的に開催した(2023年度は7回開催).毎回オフラインでは5名程度、オンラインでは20名程度が参加しており,ネットワーク科学研究に一定の寄与が出来ていると考える.
3.その他
  • 2024年度は2025年3月に北陸シンポジウムを行う.
  • 今年度は中条雅貴氏を新たに幹事に迎え入れた.
  • ネットワーク科学勉強会は引き続き継続して共催する.

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◇会員の力を社会につなげる(SSR)研究グループ

[主査:筧 捷彦,幹事:寺田真敏,中山泰一]

1.定例の研究会活動報告
 2011年12月27日に公開された『情報処理学会教育ビジョン2011』に記載されている,「教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます」を実践する場として,2012年度より研究会グループとして活動を開始した.
 
 2023年度は,次の会合を主催した.
 会合名:第12回 情報科教員を目指す学生さんに向けてのガイダンス会
 日時:2023(令和5)年10月01日(日)
 場所:聴講者:オンライン 講師:ハイブリッド(オンライン+東京電機大学千住キャンパス)
 
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 2023(令和5)年10月29日(日),高校教科「情報」シンポジウム2023秋(場所:工学院大学新宿キャンパス)に共催組織として参画した.
  • 2024(令和6)年03月17日(日),第86回全国大会(場所:神奈川大学横浜キャンパス)においてイベント企画「情報科が拓く小中高教育の未来」を開催した.
3.総括

 第12回目を迎えた情報科教員を目指す学生さんに向けてのガイダンス会は,高校と大学の先生のコミュニティを活用して,複数大学間にまたがって,情報科の先生を志す学生さんを応援しようという思いを形にしたものである.2023年度もオンライン開催としたことにより,お茶の水女子大学,国士舘大学,青山学院大学,大阪大学,長野大学,津田塾大学,東京大学,東京電機大学,名古屋工業大学,明星大学からの参加があり,学生27名,高校教員11名,大学職員等11名を含む計49名の参加となった.2024年は9月29日(日)を予定している.

 今後も,オンライン会合を併用した新たな協働の場の整備に努め,様々な声を拾い上げながら,課題をひとつずつ解決していくことで,「教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます」を実践していく.引き続き,関係者の方々には積極的な参加をお願いしたい.

 

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◇情報処理に関する法的問題(LIP)研究グループ

[主査:高岡詠子,幹事:市毛由美子,中山泰一,登 大遊]

1.定例の研究会活動報告

 2015年9月に立ち上げた「情報処理に関する新たなルール作り」に関する研究グループは,設立当初から新たなソフトウェア契約のモデル案を提案しようという方向で勉強会を続けてきた.アジャイル開発を取り入れる企業・組織も一時期前より多くなってきており,官公庁における開発にアジャイル開発が取り入れられるようにもなってきている.ただし,官公庁の場合は入札が必須であるため,入札時に金額や日程をある程度決める必要がある.2023年度は,昨年,法務部門と開発部門の間の理解に乖離が生じていることが多いこともわかってきたため,契約書のチェックを行う法務担当者や弁護士むけにアジャイル開発のポイントをわかりやすく説明したガイドブックを作成し公開した.また,ゲストスピーカーから,アジャイル開発でのAI活用事例をお聞きするなどして生成AIとアジャイル開発の関係について整理した.第86回全国大会イベントにおいて,行政における準委任契約によるアジャイル開発の研究,アジャイル開発を成功に導くマネジメントの役割,生成AIがもたらすアジャイル開発の未来,生成AIを右腕にする.〜ChatGPTでチームはどう変わるか?マーケティング・人材育成の現場事例,生成系AIを用いたアジャイル開発をめぐる法律問題のそれぞれの講演を行った.

  • 第1回(通算第53回) 2023年6月13日(火) 18:00~19:30 Zoom
  • 第2回(通算第54回) 2023年10月17日(火)9:00~10:00 Zoom
  • 第3回(通算第55回) 2023年11月9日(木)8:00~9:00 Zoom
  • 第4回(通算第56回) 2024年1月29日(月)8:30~9:30 Zoom
  • 第5回(通算第57回) 2024年3月4日(月)8:30~9:30 Zoom
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 情報処理学会第86回全国大会にてイベントセッションを行った
    第86回全国大会イベント
    2024年3月 15日(金)12:40-15:10
    場所:第3イベント会場(Zoom)
    タイトル:アジャイル開発オムニバス
3.総括

 アジャイル開発を取り入れる企業・組織も一時期前より多くなってきているが,契約形態や行政の慣習(異動が多いなど)により,ボトルネックが生じていることが明らかになってきている.アジャイルの考え方は海外から入ってきたものであるから,組織の作り方を日本式にして,日本の慣習を反映した契約等を新たに考えていく必要があることが明らかになってきた.たとえば,請負契約,準委任契約の他の形の契約形態を模索する.社会的制度や社会的慣習を組み込む「関係性契約論」という考え方を取り入れる,契約もアジャイルで行うなどの対応が今後の課題である.

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調査研究運営委員会

◇ビッグデータ解析のビジネス実務利活用(PBD)研究グループ

[主査:石井一夫,幹事:飯尾 淳,里 洋平,高柳慎一]

1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・国際会議等の報告
3.総括
4.その他

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◇オープンサイエンスと研究データマネジメント (RDM) 研究グループ

[主査:藤原一毅,幹事:松原茂樹,下山武司]

1.定例の研究会活動報告
  • 第8回研究会
    日時: 2023年9月19日(火)
    場所: 熊本大学 および オンライン(ハイブリッド開催)
  • 第9回研究会
    日時: 2024年3月14日(木)
    場所: 沖縄県宮古島市 未来創造センター および オンライン(ハイブリッド開催)
2.シンポジウム・国際会議等の報告
 なし.
3.総括
  2023年度は,2回の研究発表会を,いずれもインターネットと運用技術 (IOT) 研究会および電子情報通信学会の2研究会(インターネットアーキテクチャ研究会,技術と社会・倫理研究会)と合同で開催した.
第8回研究会では,オンサイト37名,オンライン42名の参加があり,RDM研究グループからは5件の発表を行った.研究データを公開することと,研究データの機密性・信頼性を確保することとの相反性に注目した発表が複数あった.
第9回研究会では,オンサイト105名,オンライン161名の参加があり,RDM研究グループからは4件の発表を行った.メタデータの表現形式とポリシーに関わる発表が注目された.
4.その他

 RDM研究グループは,オープンサイエンスに関連する国内の取り組みを集約し,その普及と育成に寄与することを目指して,2019年4月に設立された.設立後,計9回の研究会を開催し,招待講演を含む25件の研究発表を行った.これにより,大学等における研究データ管理への取り組みについて,発表と情報交換の場を提供するという当初の目的を果たした.また,デジタルプラクティス特集号の企画やFITイベントの開催を通じて,技術者や研究支援者を含む幅広いステークホルダーへのアプローチを図った.一方,この5年間を通じて研究会での発表件数は平均2.4件/回で横ばい傾向であり,登録者数150名を目安とする研究会への昇格は見込めない状況であった.背景には,この5年間で研究データ管理に対する大学等の取り組みが大幅に活性化したことが挙げられる.セミナーやシンポジウムなどさまざまなイベントが開催され,また,AXIESの年次大会論文集と学術誌「学術情報処理研究」,情報知識学会など,情報処理学会以外で当該分野の成果を論文として発表する機会も増えつつある.このように,RDM研究グループはその設立目的を一定程度達成したとともに,その存在意義が相対的に小さくなりつつあることから,2023年度いっぱいで活動を終了することとした.2024年度からは,研究データ管理にかかわる発表はインターネットと運用技術(IOT)研究会へ投稿していただきたい.
 RDM研究グループで研究発表してくださった皆様,活動を支えてくださった幹事・運営委員の皆様,活動を引き継いでくださるIOT研究会の皆様に感謝の意を表したい.

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