[プレスリリース]2016年度情報処理技術遺産認定
2016年度情報処理技術遺産認定
2016年度情報処理技術遺産認定
一般社団法人情報処理学会(会長:富田達夫)は、我が国のコンピュータ技術発達史上の貴重な研究開発成果や国民生活、経済、社会、文化などに顕著な影響を与えたコンピュータ技術や製品など、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ情報処理技術遺産の保存と活用を図るために、2008年度より情報処理技術遺産および分散コンピュータ博物館認定制度を設けています。
第9回目となる本年度は、8件の情報処理技術遺産を認定し、史料の所有者をお招きして認定式を行うことになりましたので、お知らせいたします。
■期日 2017年3月16日(木)15:40〜16:35
■会場 名古屋大学 東山キャンパス(名古屋市千種区不老町)第1イベント会場(坂田平田ホール)
●認定制度制定の背景と目的
情報処理学会では我が国のコンピュータ発達史上の重要な成果や製品を当会ホームページの中の「コンピュータ博物館」に掲載して、紹介してきました。約1,700点の写真を含めてその史料点数は3,000点を超えており、月に10万件前後のアクセスがあるなど、多数の方々にご利用いただいております。
しかしながら、それら史料の大半はすでに実物としては存在しておりません。コンピュータ技術の急速な発展や利用環境の変化の中で、古い技術や製品の意義が見失われ、廃棄されて急速に失われつつあります。情報処理学会では、現存する貴重な史料をコンピュータに特化した実博物館などで保存すべきと考えて各方面に働きかけるなど努力してきましたが、残念ながら未だ実現の可能性がみえません。
このような状況の中で、わずかに残っている貴重な史料の保存を図るとともに、我が国のコンピュータ技術の発展を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことが急務と考えております。その一助として、情報処理技術遺産の認定制度を設けました。
また、小規模ながら、貴重な史料を保存・展示しておられる資料室やコレクションが日本各地に点在いたします。それらをネットワーク化して利用を拡大することも有意義であると考え、併せて分散コンピュータ博物館の認定制度も設けました。
コンピュータ博物館 :http://museum.ipsj.or.jp/
情報処理技術遺産 :http://museum.ipsj.or.jp/heritage/index.html
●2016年度認定リスト
<情報処理技術遺産>8件
1)沖電気数字印刷電信機
製造者:沖電気工業(株)
製造年:1952年
防空情報用として、航空機の進入方向、時刻、機種、台数等を数字で受信し紙テープに印刷した。
2)FACOM138A 一式
製造者:富士通信機製造(株)(現・富士通(株))
製造年:1960年
カード穿孔のプログラムを用い数値計算実行を行う産業利用目的のリレー式計算機。動態保存されデモ見学可。
3)リレー式計算機 AL-1型
製造者:カシオ計算機(株)
製造年:1962年
プログラム機能付きの10進計算機。基本演算は四則演算と開平、数値は10桁、数の内部表現は2-5進法。動態展示。
4)HARP 5020関連資料
製造者:(株)日立製作所
製造年:1965年
日立製作所の大型汎用機HITAC 5020用に開発された日本初の最適化FORTRANコンパイラ。
5)JIS FORTRAN入門(上)(下)
発行所:東京大学出版会
発行年:1968-1969年
社会における商用コンピュータ利用の展開期に、多くの大学・企業でコンピュータ教育の基礎テキストとして利用された記念碑的な出版物。
6)カシオ ミニ
製造者:カシオ計算機(株)
製造年:1972年
個人での利用を考え、機能を絞り低価格を実現したことにより、電卓が広く普及するきっかけとなった製品。
7)HITAC M-180 論理パッケージ
製造者:(株)日立製作所
製造年:1976年,1979年
日立製作所の大型汎用機HITAC Mシリーズの最初のモデルHITAC M-180の論理パッケージ。
8)CASE ソフトウェア SEA/I
製造者:日本電気(株)
製造年:1983年
オフコン用アプリケーションソフトウエアの品質と生産性を飛躍的に向上させたソフトウェアツール。
<本件に関するお問い合わせ>
企業名:一般社団法人情報処理学会
担当者名:会誌編集部門 TEL:03-3518-8371 Email:editj@ipsj.or.jp