「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ-ロードマップ2014-」に関する意見

「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ-ロードマップ2014-」に関する意見

2014年7月25日
一般社団法人 情報処理学会
会 長  喜連川 優

以下のとおり,2014年7月25日付で意見書を提出しましたので,ご報告いたします.

2014年7月25日
文部科学省研究振興局学術機関課 御中
一般社団法人 情報処理学会
会長 喜連川 優
以下のとおり意見を提出しますので、宜しくご査収ください。
 
1.大型プロジェクトの推進の意義や性格等の基本的な考え方についてどのように考えますか。
大型プロジェクトのロードマップとして新たに掲載される10の項目は、いずれも各学術分野からボトムアップに集められた重要課題であると思われます。それらのロードマップから構成される大型プロジェクトを推進することが学術的に重要であることは大変よく理解できます。一方、イノベーション創出などの国の掲げる旗印との関連を鑑みると、今後の改訂においては、産業界との連携についても言及していく必要があると考えます。本ロードマップにおいて、産業界からの要望を取り込む、または、産業界との連携について言及していくことで、産学官がよりスムーズに協調して推進可能な、戦略性の高いプロジェクトとなることを要望いたします。
2.大型プロジェクトを戦略的・計画的に推進する観点から「ロードマップ」を策定しましたが、その内容や策定方法等についてどのように考えますか。
ロードマップ策定にあたっては、原則として日本学術会議に委託してとりまとめる、ということになっておりますが、1.に記述した通り、ロードマップは産業界からの要望がどのように反映されているか、現状では明記されていません。したがって、今後は学会等に所属している産業界からの有識者の意見も反映させることで、産業界からのロードマップ作成プロセスへの関与を、より密にすることが可能な作成方式とすることについても、是非検討して頂ければと考えます。
3.「ロードマップ」の策定は、大型プロジェクトを推進するために重要な役割を果たしている(果たしていく)と思いますか。下記の(1)~(5)より一つお選びください。
(1)とてもそう思う。 (2)そう思う。 (3)どちらとも言えない。 (4)あまりそう思わない。 (5)全くそう思わない。
(1)とてもそう思う。
4.大型プロジェクトの着実な推進に向けた社会や国民とのコミュニケーションの強化方策についてどのように考えますか。
大型プロジェクトにより得られた成果が、社会にどのように還元されるかについてわかりやすく常に説明する努力を強く求めます。
5.大型プロジェクトの着実な推進に向けた財政措置の在り方等についてどのように考えますか。
基本構想ロードマップに記載されている各項目に対して適切に十分な予算が割り当てられることで、学術の発展が遅滞なく進むことを期待いたします。
6.国等による財政措置以外に、大型プロジェクトの推進のためにどのような取組が必要だと考えますか。下記の(1)~(11)よりお選びください。(複数選択可)
(1)研究者コミュニティにおける自発的な議論
(2)研究者コミュニティの幅広い合意形成に向けた関係者によるコーディネート(例:大学共同利用機関)
(3)幅広い研究者コミュニティの育成(例:関連研究者等への情報発信)
(4)実施機関によるコミュニケーション活動
(5)研究者個人によるコミュニケーション活動((4)を除く)
(6)メディアを通じた情報提供
(7)研究計画に対する客観的かつ透明性の高い評価
(8)研究者としての高い倫理感や安全文化の醸成
(9)既存の施設・設備の有効活用等による事業の効率化
(10)国際的な協力・連携体制の構築
(11)産業界等の第三者からの支援
(12)その他
(2)研究者コミュニティの幅広い合意形成に向けた関係者によるコーディネート(例:大学共同利用機関)
(7)研究計画に対する客観的かつ透明性の高い評価
(10)国際的な協力・連携体制の構築
(11)産業界等の第三者からの支援

上記の回答のうち最も重要と思われるもの:
(2)研究者コミュニティの幅広い合意形成に向けた関係者によるコーディネート(例:大学共同利用機関)
7.上記の他、お気付きの点がありましたらご意見をお寄せください。
新しいステージに向けた学術情報ネットワーク(SINET)の主な課題・留意点等について、以下の通り意見を述べさせて頂きます。
  • 日本に他の先進諸国の研究ネットワークと同程度以上のものを整備することは重要で、我が国のIT分野での研究開発競争力を維持するためにも必要であると考えます。
  • 本計画において実現される最高性能の通信回線は、大型プロジェクトの推進のみならず、大学等におけるオンライン教育の進展やクラウドの利活用促進のためには不可欠です。また、その整備により、大学における教育研究のみならず管理運営でのIT化を促し、経費の削減効果をもたらすことにも繋がります。さらに、大学改革に向けた様々な取り組みを加速化することで、副次的に多様な効果が生まれることも期待できると考えます。

以上