土居 範久 君

2001年度(平成13年度)功績賞受賞者の紹介

土居 範久 君(どい のりひさ)

土居範久君は,永年にわたってソフトウェアを中心とした計算機科学の研究に携わり,数々の優れた業績をあげられました.我が国におけるソフトウェア研究の黎明期から,さまざまなコンパイラやオペレーティングシステムを研究開発され,ソフトウェア研究分野の発展に大きく貢献されました.特に,開発された数々の高速FORTANコンパイラは,商用システムとして利用されるとともに,最も初期のタイムシェアリングシステム用オペレーティングシステムの研究開発にも携わられ,計算機科学やソフトウェア工学分野に大きく貢献されました.さらに,学界,官界と連携し,国立情報学研究所の設立や我が国における情報通信分野の基本計画,研究推進戦略,セキュリティポリシーなどの策定に多大な尽力をされました.慶應義塾大学においては,永年にわたって情報処理分野の優秀な人材を育成されるとともに,大学における情報処理教育の確立に大きく貢献されました.

また,数多くの国際会議の委員長や標準化委員会の議長などを歴任され,日本の研究者たちと国外の研究者たちとの国際交流を促進するとともに,日本の先端的な情報処理技術を世界に示す機会を広げられました.

以上に加えて,本学会の理事および論文誌編集委員長を歴任され,本学会の発展に尽力されるとともに,日本ソフトウェア科学会,人工知能学会,日本セキュリティマネジメント学会などの理事を歴任され,情報処理分野の学術レベルの向上に大きく貢献されました.また,官民の審議会議長や委員長を多数歴任され,我が国の情報処理分野の発展に尽くされた功績は誠に顕著であります.