「dePENd:ボールペンの強磁性を利用した手描き補助システム」

2014年度論文賞受賞者の紹介

dePENd:ボールペンの強磁性を利用した手描き補助システム

[情報処理学会論文誌 Vol.55, No.4, pp.1237-1245]
[論文概要]

 dePENdは,通常のペンと紙を用いて手描きを支援するシステムである.本システ ムではボールペンのペン先の強磁性に着目し,机 内部の磁石の位置をXY ステー ジとコンピュータで制御することで,筆記時のペンの動きを制御する.身近な道 具を介した触覚的なガイドにより,ユーザの描画スキルの向上が期待され る. アプリケーションとして,図形や直線の自動的な描画や,アレンジの追加,通信 機能やコピーアンドペーストなどの機能を提案している.

[推薦理由]

 本研究は,これまで特殊な機器を道具に内蔵あるいは付属させないと実現が難しかった筆記具制御を,ボールペンのペン先が持つ強磁性に着目し,通常の紙とペンで実現している.提案手法により、一般的な筆記具を使用する状況で触覚を通じて手書きを補助できる点は画期的であり、有用性が高い。触覚により描画に関する情報をリアルタイムに知らせるインタラクティブな学習などにも応用可能であると考えられ、発展性も期待できる。また、論文としての完成度も高く、優れた論文であることから、情報処理学会の論文賞に相応しいと判断し、ここに推薦する。

山岡潤一 君

 2015年,慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科博士課程修了.博士(政 策・メディア).日本学術振興会特別研究員(PD).創造活動支援技術,バーチャ ルリアリティなどに関する研 究に従事.

筧康明 君

 2007 年,東京大学大学院学際情報学府博士課程修了.科学技術振興機構さきが け研究員を経て,2008 年,慶應義塾大学環境情報学部専任講師,2011年より同 准教授,現在に至る.実世界情報環境デザイン,メディアアートなどに関する研 究に従事.博士(学 際情報学).