「Smith-Watermanアルゴリズムを利用したギャップを含むコードクローン検出」

2014年度論文賞受賞者の紹介

Smith-Watermanアルゴリズムを利用したギャップを含むコードクローン検出

[情報処理学会論文誌 Vol.55, No.2, pp.981-993]
[論文概要]

 これまでに様々なコードクローン検出手法が提案されている.ギャップを含むコードクローン検出手法として抽象構文木を用いた手法,プログラム依存グラフを用いた手法,関数メトリクスを用いた手法,LCSアルゴリズムを用いた手法が存在する.しかし,これらの既存手法には検出時間が長い,もしくは検出精度が低いといった課題点がある.そこで本研究はSmith-Watermanアルゴリズムを応用して,上述の課題点を改善したコードクローン検出手法を提案する.提案手法をツールとして実装し,Bellonらの評価実験を通じて,提案手法は既存手法の課題点を改善していることを示した.

[推薦理由]

 本論文は,コードクローンの既存手法の検出時間が長い,検出精度が低いという問題点を,新しく提案したSmith-Watermanアルゴリズムを応用した検出手法にて改善した論文である.ギャップを含むコードクローン検出という問題に対し,本論分は既存の課題を改善する新しい手法を提案し,優位性を示している.研究成果は単純でその性能が高いことが示され,示唆に富んでいる.論文として手法が明確であり,幅広い応用が期待できる.以上のことから論文賞に推薦する.

村上寛明 君

 平成24年大阪大学基礎工学部情報科学科卒業.平成25年同大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了.現在,同研究科博士後期課程在学中.日本学術振興会特別研究員DC2.コードクローン分析に関する研究に従事.情報処理学会,IEEE各会員.

堀田圭佑 君

 平成22年大阪大学基礎工学部情報科学科卒業.平成24年同大大学院情報科学研究科博士前期課程修了.平成25年同研究科博士後期課程修了.同年,日本学術振興会特別研究員PD.博士(情報科学).コードクローン分析に関する研究に従事.情報処理学会,電子情報通信学会,IEEE各会員.

肥後芳樹 君

 平成14年大阪大学基礎工学部情報科学科中退.平成18年同大学大学院博士後期課程修了.平成19年同大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻助教.平成27年同准教授.博士(情報科学).ソースコード分析,特にコードクローン分析やリファクタリング支援に関する研究に従事.情報処理学会,電子情報通信学会,日本ソフトウェア科学会,IEEE各会員.

井垣宏 君

 平成17年奈良先端科学技術大学院大学博士後期課程修了.平成22年東京工科大学コンピュータサイエンス学部助教.平成23年大阪大学大学院情報科学研究科特任准教授.平成27年大阪工業大学情報科学部准教授.博士(工学).ソフトウェア工学教育,サービス指向アーキテクチャ,アジャイルソフトウェア開発等の研究に従事.IEEE,IPSJ各会員.

楠本真二 君

 昭和63年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業.平成3年同大学大学院博士課程中退.同年同大学基礎工学部助手.平成8年同講師.平成11年同助教授.平成14年同大学大学院情報科学研究科助教授.平成17年同教授.博士(工学).ソフトウェアの生産性や品質の定量的評価,プロジェクト管理に関する研究に従事.IPSJ,IEICE,JSSST,IEEE,JFPUG,PM学会各会員.