「イラスト画像のスタイル識別子生成」

2015年度論文賞受賞者の紹介

イラスト画像のスタイル識別子生成

[情報処理学会論文誌 Vol.56, No.8, pp.1657-1666]
[論文概要]

 画像認識の分野では,関連するキーワードの代わりに画像をクエリとして用い,その特徴量から類似の情景や物体を含む画像を検索する手法が数多く提案されている.イラスト素材となるクリップアート等の画像の場合は,描かれている内容に加えて作画のスタイルで絞り込み検索ができれば,画風や画調に統一感を有するコンテンツの制作に役立てられる.ゆえに本論文では,作画スタイルが類似したクリップアートやイラスト等の素材画像を検索する際に用いるコンパクトなスタイル識別子の生成方法を提案し,既存手法よりも高い検索精度を数千枚のイラスト画像群を用いて実証する.

[推薦理由]

 本研究では,画風や画調が類似したクリップアートやイラストの検索を可能とすることを目的として,イラストスタイルの類似度の定量化手法を提案している.数千枚のイラスト画像群を用いた実験を行い,既存研究よりも低容量の識別子でより高い検索精度が得られることを示している.高い新規性が認められるとともに,実用性も認められ,この研究分野における重要な論文として位置づけられると考える.情報処理学会論文誌の論文賞にふさわしいと判断し,推薦する.

栗山繁 君

 1987年大阪大学大学院工学研究科修了。日本IBM東京基礎研究所研究員、広島市立大学情報科学部助教授を経て、1998年より豊橋技術科学大学情報工学系助教授、2005年同系教授。2010年より同大学大学院情報・知能工学専攻教授。工学博士。2005年より約5年間、産総研デジタルヒューマン研究センター・チーム長兼務。CGVI研究会の現主査。