「XPath充足可能性を判定する多項式時間アルゴリズムの提案と評価」

2016年度論文賞受賞者の紹介

XPath充足可能性を判定する多項式時間アルゴリズムの提案と評価

[情報処理学会論文誌 Vol.57 No.5, pp.1477-1488]
[論文概要]

 XPath 充足可能性判定問題は,問合せの最適化などに応用できる重要な問題であるが,一般にはNP困難であることが知られている.そのため,DTD や XPath 式のクラスを制限することで,多項式時間で充足可能性を判定できるアルゴリズムを提案する研究が行われている.本論文では,多項式時間充足可能性判定アルゴリズムを提案・実装し,その有用性を評価する.実装の結果,一般的なベンチマークに対して数十ミリ秒で判定でき,SAT ソルバを用いた手法に比べて十分に高速であることがわかった.

[推薦理由]

 本論文は、XPathの充足可能性判定を行う多項式時間アルゴリズムを提案するものである。この判定問題は一般的にはNP困難であるが、問題のクラスを現実的な範囲で制限することにより効率化を実現している。また、理論的な議論に加えて、実装と実験によって判定時間を計測し、その効率性を示している。理論と実装の両面から提案手法を評価しており、その有用性は高く評価できる。よって、論文賞に相応しい論文として推薦する。

杉村 憲司 君

 2014年 大阪大学基礎工学部情報科学科卒業.2016年 大阪大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了.修士(情報科学).同年,ヤフー株式会社入社.データベース理論や情報セキュリティに関心をもつ.

石原 靖哲 君

 1990年 大阪大学基礎工学部情報工学科卒業.1994年 大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程退学.奈良先端科学技術大学院大学助手などを経て2007年より大阪大学大学院情報科学研究科准教授.博士(工学).データベース理論や情報セキュリティに関心をもつ.ACM,IEEE,電子情報通信学会,日本データベース学会各会員.

藤原 融 君

 大阪大学大学院基礎工学研究科博士後期課程修了,工学博士.大阪大学基礎工学部助手,講師,助教授を経て,1997年 大阪大学大学院基礎工学研究科教授.2002年から大阪大学大学院情報科学研究科教授.符号理論,情報セキュリティに関する研究に従事.2013--2015年 関西支部支部長.電子情報通信学会フェロー.IEEE,ACM会員.