「ピクトグラミング—人型ピクトグラムを用いたプログラミング学習環境」

2018年度論文賞受賞者の紹介

ピクトグラミング—人型ピクトグラムを用いたプログラミング学習環境

[情報処理学会論文誌 教育とコンピュータ Vol.4 No.2, pp.47-61]
[論文概要]

 本論文では,人型ピクトグラムを用いたプログラミング学習環境「ピクトグラミング」を提案している.ピクトグラムは表現の抽象度の高さから,それを見た人物が自分自身や本人に関わる人物事物を想起させる効果があると言われている.人型ピクトグラムを人間の動作に模倣して動かす,今回実装したプログラミング学習環境は,構築主義の提唱で知られるパパートが重要視する同調的学習の概念と相性が良い.また人型ピクトグラムを変形する命令群と,移動の軌跡を図として描画する命令群を併用することで,短時間でピクトグラムのデザイン指針に準じた多様な作品を作成できるのが特徴である.

[推薦理由]

 同調的学習の身体同調に注目し、人型ピクトグラムを動かすプログラミングというアイデアは斬新で新規性が高く、実際に楽しくプログラミングを学ぶ有効な手法であると思われる。また、アイデアのユニークさに留まらず、実際の授業で利用する段階まで教材を整備し、実践・評価していることは高く評価できる。小学校におけるプログラミング教育義務化が迫る中で、本論文の提案は現場の教員の大きな参考となる社会的意義が大きい。以上より、論文賞に相応しいと考え、推薦する。

伊藤 一成 君

 青山学院大学社会情報学部准教授.放送大学客員准教授を兼任.メディア情報処理,メディア情報学に関する研究に従事.2018年度本会山下記念研究賞受賞.本会「コンピュータと教育」研究会幹事・運営委員,本会会誌編集委員会専門委員会(教育分野/EWG)編集委員,本会論文誌 「教育とコンピュータ」編集委員会編集委員,本会セミナー推進委員会委員などを歴任.