「ノンストップ顔認証システムによる大規模イベントのチケット本人確認の性能改善」
2019年度論文賞受賞者の紹介
ノンストップ顔認証システムによる大規模イベントのチケット本人確認の性能改善
[情報処理学会論文誌 コンシューマ・デバイス&システム Vol.8 No.1, pp.27-38]
[論文概要]
近年,チケット不正転売などにより本人確認が重要な課題となっている.本論文は,顔認証を用いて大規模イベントのチケット本人確認をより効率的に行うため,入場者が立ち止まることなく歩行したまま確認するノンストップ顔認証システムを提案する.提案システムは,入場者を2つの異なるカメラで撮影し2種類の画像と登録画像を照合し認証することで,歩行中の入場者の高精度な顔認証を実現する.アイドルのコンサート入場者4226名の本人確認に活用され,顔認証精度は91%,本人確認から入場までの時間は一人あたり平均2.8秒であった.従来の顔認証システムによる本人確認と比べ確認時間を60%削減した.
[受賞理由]
本論文はイベントなどにおけるチケットの高額転売を防止するために開発した「入場者が顔認証のために立ち止まることなく歩行したまま本人確認を行うノンストップ顔認証システム」に関するもので、従来の方式に比べ精度、確認時間とも向上し、実際に導入されている。有用性が非常に高く、かつ新規性もありインパクトも大きいことから論文賞に価する。
奥村 明俊 君
1986年京都大学工学研究科修士課程修了.同年NEC入社.自然言語処理,音声翻訳,人工知能など研究開発に従事.現在,(独)情報処理推進機構IPA理事.2007年度先端技術大賞経済産業大臣賞,情報処理学会2008年度喜安記念業績賞, 2017年度山下記念研究賞,2017年度業績賞,DICOMO2019最優秀論文賞,人工知能学会2010年,2015年,2016年現場イノベーション賞など受賞.情報処理学会フェロー,工学博士.
星野 隆道 君
1983年東海大学理学部情報数理学科卒.同年,日本電気技術情報システム開発(株)入社.現在はNECソリューションイノベータ(株)にて,顔認証を含む画像/映像技術を用いた企画・システム開発に従事. 2015年人工知能学会現場イノベーション賞金賞,情報処理学会マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2019)シンポジウム最優秀論文賞受賞.
半田 享 君
1984年中央大学理工学部物理学科卒.2001年九州工業大学大学院博士後期課程了.博士(情報工学).1984年日本電気技術情報システム開発(株)入社.現在はNECソリューションイノベータ(株)にて顔認証技術を用いたシステム開発及びその企画販売に従事.2015年人工知能学会現場イノベーション賞金賞受賞.
西山 雄吾 君
2003年九州工業大学情報工学部電子情報工学科修士課程卒.同年,(株)NEC情報システムズに入社.現在はNECソリューションイノベータ(株)にて, 顔認証を用いたシステム開発に従事. 2015年人工知能学会現場イノベーション賞金賞受賞.
田淵 仁浩 君
1987年早稲田大学理工学部電子通信学科卒.1993年 同大大学院理工学研究科博士後期過程修了.1989~1993年 同大学 助手.1993年 日本電気(株) C&C研究所入社.博士(工学).1988年 本会第35回全国大会学術奨励賞, 本会1994年度, 2018年度山下記念研究賞受賞,人工知能学会2016年現場イノベーション賞,本会2017年度業績賞, 2019年度 JISA Awards winnerなど受賞,電子情報通信学会会員.