「Deep Neural Networkのモデル逆解析による識別根拠可視化技術 」

2020年度論文賞受賞者の紹介

Deep Neural Networkのモデル逆解析による識別根拠可視化技術

[情報処理学会論文誌 数理モデル化と応用 Vol12 No.2, pp.20-33]
[論文概要]

 Deep Neural Network(DNN)は複数種類の層を多層化することで複雑な関数表現を実現している.その反面,識別根拠や識別理由を人間が理解することは難しく,誤識別原因の調査や識別精度の向上に多くの労力を要している.これらを解決するために,DNN の識別根拠可視化に関する技術が提案されているが,識別器の構成が制限される,識別根拠の解像度が低いといった課題がある.本論文では各層において出力に対する入力の寄与率を算出(モデル逆解析)することで,識別器構成に依存せず,高解像度の識別根拠を可視化する手法を提案する.

[受賞理由]

 大量のデータからDeep Neural Network(DNN)を用いた画像識別技術が実用化されつつあるが,識別根拠を人間が理解するのが難しく安全に関わる応用への普及の壁となっている。本論文ではモデル逆解析により識別根拠を可視化し理解しやすくする技術を提案しており,関連技術の普及に対して貢献するところ大なるものと判断する。本論文と連動した研究会発表については,第120回数理モデル化と問題解決(MPS)研究会にてベストプレゼンテーション賞を受賞している。

柿下 容弓 君

2008年電気通信大学大学院情報通信工学専攻修士課程修了.同年,株式会社日立製作所に入社.現在,株式会社日立製作所研究開発グループ・研究員.画像認識,機械学習の研究に従事.情報処理学会,日本医用画像工学会,各会員.

服部 英春 君

1994年東京電機大学大学院理工学研究科情報科学専攻修士課程修了.同年,株式会社日立製作所に入社.株式会社日立製作所研究開発グループ・主任研究員.画像認識,画像処理,機械学習の研究に従事.映像情報メディア学会,日本医用画像工学会,日本病理学会,各会員.現在,慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻博士課程在学中.