「FPGAを用いた論理回路設計実験のための遠隔実験システムの作成と評価」
2023年度論文賞受賞者の紹介
FPGAを用いた論理回路設計実験のための遠隔実験システムの作成と評価
[情報処理学会論文誌 教育とコンピュータ Vol.8 No.2, pp.51-63]
[論文概要]
本研究では,学内のその場での利用のみを想定していた学部3年生用のFPGAを用いた基礎的論理回路設計実験システムを,2020年度の新型コロナウイルス感染症対策のために遠隔対応し使用したことにより教育にどのような影響が生じたかを調査した.結果として,大きなトラブルもなく実験を行えたが例年と比べて成績の低下がややみられた.遠隔対応にすることで学生の望むタイミングで課題に取り組めたことが見出されたものの,対面であれば容易に行える学生の理解度確認がオンラインでは難しいこともわかり,ひいてはそれが成績低下の一因であることが示唆された.
[受賞理由]
本論文は、新型コロナウイルス感染症対策による大学全体のオンライン授業の環境下で、対面で行う必要のあったFPGAの論理回路設計実習をオンラインで可能にした授業の報告である。受講生が自宅から実験室の機器を操作し、機器の画面表示をリモートでPCに表示する仕組みを構築する工夫により、実験室で行う必要のあった実験を、在宅で実施することを可能にした。これは従来ではなし得なかった技術的な工夫により可能になったものであり、教育研究として高く評価される論文と判断し、優秀な論文としてここに推薦する。
赤池 英夫 君
1988年電気通信大学計算機科学科卒業.1990年同大学院修士課程修了.1994年同大学院博士課程単位取得退学.1996年電気通信大学電気通信学部助手.2010年同大学院情報理工学研究科助教.現在に至る.修士(工学).HCI,インタラクティブシステムに関する研究に従事.
島崎 俊介 君
2012年電気通信大学電気通信学部情報通信工学科卒業.2014年東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了.2021年東京農工大学大学院工学府専門職学位課程修了.2024年電気通信大学大学院情報理工学研究科博士後期課程単位取得済退学.2015年電気通信大学教育研究技師部学術技師.現在に至る.修士(教育学),技術経営修士(専門職).
成見 哲 君
1998年東京大学総合文化研究科博士課程修了,博士(学術).理化学研究所ゲノム科学総合研究センター研究員,慶應義塾大学理工学部特別研究講師を経て2009年より電気通信大学情報理工学研究科准教授.2013年より同教授.