「地図と画像の融合によるレーン形状推定手法の提案」(Vol.42,No.12)
平成14年度論文賞受賞者の紹介
「地図と画像の融合によるレーン形状推定手法の提案」(Vol.42,No.12)
[論文概要]
衝突警報などの運転支援システムでは,障害物と自車両との衝突危険性を判定するため,障害物位置のほかに自車が走行するレーン形状が必要である.しかし,車載カメラ画像によるレーン形状推定では,カーブや道路勾配,解像度の限界によって,遠方で十分なレーン形状推定精度が得られない.本 論文では画像,道路地図,DGPSの測位結果を融合し,三次元レーン形状を推定する手法を提案した.提案手法は,画像の解像度限界による推定誤差を地図情報で補償し,勾配による推定誤差を三次元レーン形状推定で削減するものである.模擬データと実環境下データによる評価実験から,本手法の有効性を検証した.
[推薦理由]
本論文は,画像処理技術で得られる情報に道路地図から得られる情報を組み合わせ,車両が走行する道路上のレーンの三次元的形状を推定する新しい手法を提案している.著者らは,画像から得られる情報の解像度による限界を考慮し,車両の位置情報および地図情報と効率的に組み合わせることで推定精度を高められることを理論的に示した.さらに模擬データおよび実環境で検証することで,その実用性の高さを示している.本論文で提案されている手法は新規性が高く,かつ評価によって示されているようにその有効性も高いと思われる.本論文で得られた知見は今後の走行支援システムの制御に関する研究活動に大きな指針を与えるものであると考えられる.よって,本論文を情報処理学会論文賞として推薦いたします.
小島 祥子君 1993年名古屋大学工学部電気系学科卒業.1995年同大大学院修士課程修了.同年(株)豊田中央研究所入社.以来,主に画像処理に関する研究開発に従事.現在,同所第22研究領域所属.平成14年度情報処理学会山下記念研究賞受賞.電子情報通信学会,情報処理学会各会員.
山田 啓一君 1984年名古屋大学工学部電気系学科卒業.1986年同大大学院修士課程修了.同年(株)東芝入社.1991年(株)豊田中央研究所入社.以来,画像センシング技術に関する研究開発に従事.現在,同所第21研究領域所属.工博.映像情報メディア学会,電気学会会員,電子情報通信学会各会員.
二宮 芳樹君 1981年名古屋大学工学部電気系学科卒業.1983年同大大学院修士課程修了.同年(株)豊田中央研究所入社.以来,画像処理技術に関する研究開発に従事.現在,同所第22研究領域所属.日本ロボット学会,電子情報通信学会各会員.