「PostgreSQLを用いた多機能なXMLデータベース環境の構築」(Vol.44,No.SIG12(TOD19))

平成15年度論文賞受賞者の紹介

「PostgreSQLを用いた多機能なXMLデータベース環境の構築」(Vol.44,No.SIG12(TOD19))

[論文概要]
 我々はオープンソースのRDBMSであるPostgreSQLとそのXML拡張であるXMLPGSQLを利用し,XMLデータの格納・検索・更新を行うための多機能な環境を構築した.これまで,研究コミュニティではRDBMSを利用したXMLデータベース環境の研究が数多く行なわれてきたが,これらでは,それぞれXMLデータベース環境の特定の機能のみに焦点があてられてきた.我々は,現在まで別々に行なわれていた研究や開発の成果などを組み合わせ,多くの機能をそれ一つで提供する環境を実現した.本論文の貢献は,研究コミュニティが開発した成果をオープンソースRDBMSに適用した事例を示すことである.

[推薦理由]
 本論文では,オープンソースのデータベース管理システム(RDBMS)として最も一般的なPostgreSQLと,そのXML拡張であるXMLPGSQL を利用し,多機能なXMLデータベース環境を構築している.本論文は,これまでに様々な研究コミュニティで開発された多くの成果を,最も一般的なオープンソースRDBMSに適用した事例を示している点で非常に重要性が高い.さらに,研究プロジェクトではあまり重要視されてこなかった詳細機能の実装を行っている点で実用性も高い.以上の理由から,本論文を情報処理学会論文賞に最も相応しい論文として推薦する.

油井 誠君  2003年芝浦工業大学工学部工業経営学科卒業.XMLとデータベース等に興味を持つ.現在,(株)NEC情報システムズに勤務し,Webサービス環境における高信頼性メッセージングシステムの開発に従事.

森嶋 厚行君  1993年筑波大学第三学群情報学類卒業.1998年同大学院工学研究科修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員,AT&T Labs-Research客員研究員,芝浦工業大学工学部情報工学科講師を経て,現在,筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター助教授.情報統合技術,XML/WWWデータベース等に興味を持つ.ACM,IEEE-CS,電子情報通信学会,日本データベース学会各会員.