「符号付き距離場の一致による複数距離画像からの形状モデル生成」(Vol.44,No.SIG5(CVIM6))
平成15年度論文賞受賞者の紹介
「符号付き距離場の一致による複数距離画像からの形状モデル生成」(Vol.44,No.SIG5(CVIM6))
[論文概要]
多方向から計測した複数の部分的な3次元形状データから、全体の3次元形状モデルを生成するためには、誤計測部分の除去・位置あわせ・形状統合の処理を行うことが必要である。提案手法では、これらの処理を順番に解くのではなく、符号付距離場による形状記述を用い統一的な定式化を行うことにより、同時に解くことを可能にしている。初期状態として大まかな位置あわせをしておけば、ロバストな形状統合と統合形状への各部分形状データの位置あわせを繰り返し適用することにより、自動的に3次元形状モデルが生成される。
[推薦理由]
実物体の3次元形状に関するモデルを作成する場合、複数の部分形状データから全体形状を求めるという処理が不可欠となる。このとき、複数の部分形状間における対応付け・位置合わせ・形状の統合の3つの手続きが必要となるが、これまではこれらの3つの手続きは別々に取り扱われていた。それに対し、本研究では、3次元格子点上でサンプリングした符号付き距離場により形状を記述することにより、これらの3つの手続きを統一的な定式化のもとで解くことに成功している。特に、提案手法は部分形状の位置合わせにおける誤差の蓄積を生じない、形状計測に起因する外れ値を統計的処理により検出可能であるといった特長を持ち、実用上の有効性も高い。このようなことから、本論文は、3次元形状データ処理技術の発展に資するものであり、高く評価できる。
増田 健君 1966年生.1989年東京大学工学部計数工学科卒業.同年電子技術総合研究所入所.1994年から1995年にかけてNational Research Council of Canada 客員研究員.現在,産業技術総合研究所知能システム研究部門主任研究員.情報処理学会,電子情報通信学会,IEEE会員.