「産学連携に基づいたコードクローン可視化手法の改良と実装」[論文誌Vol.48, No.2, pp. 811-822 (2007)]

平成19年度論文賞受賞者の紹介

「産学連携に基づいたコードクローン可視化手法の改良と実装」[論文誌Vol.48, No.2, pp. 811-822 (2007)]

[論文概要]
 著者らは,コードクローンを対象としたソフトウェア保守支援を行うために,可視化ツールCCFinderおよびGeminiを開発してきている.コードクローンとはソースコード中のある一部分(コード片)のうち,他のコード片と同一または類似しているものを指す.著者らは,これらのツールを産業界に配布し,実用的な手法として高めるため,広く意見を仰いできた.その結果,従来提案した手法を大幅に改良することに成功した.本論文では,その産学連携活動と,改良した手法の紹介,および複数の企業により共同開発された数十万ステップのソフトウェアに対する適用実験について述べている.

[推薦理由]
 本論文は、ソフトウェア保守で問題となっているコードクローンを検出/可視化する手法を提案している。筆者らは、提案手法を実現したツールを公開するだけではなく、利用者からの意見交換を行うセミナーを実施し、そこからのフィードバックを得て、現実的な大規模問題に対応する改良を行った。さらに、利用者の協力を得て、実際の大規模ソフトウェア保守作業における評価を行い、その有効 性を示した。本論文は実用性、有効性はもちろんのこと、産学連携の適用例としても意義あるものであり、高く評価できる。よって本論文を論文賞に推薦する。

肥後 芳樹 君  平成 14 年大阪大学基礎工学部情報科学科中退.平成 18 年同大学大学院博士後期課程修了.平成 19 年同大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻助教.博士(情報科学).ソースコード分析,特にコードクローン分析やリファクタリング支援に関する研究に従事.

吉田 則裕 君 平成 16 年九州工業大学情報工学部知能情報工学科卒業.平成 18 年大阪大学大学院博士前期課程修了.現在,同大学院博士後期課程 3 年.リファクタリング支援およびデザインパターン適用支援の研究に従事.

楠本 真二 君 昭和 63 年大阪大学基礎工学部卒業.平成 3 年同大学院博士課程中退.同年同大基礎工学部助手.平成 8 年同講師.平成 11 年同助教授.平成 14 年同大大学院情報科学研究科助教授.平成 17 年同教授.博士(工学).ソフトウェアの生産性や品質の定量的評価に関する研究に従事.

井上 克郎 君 昭和 59 年大阪大学博士課程修了.昭和 59~61 年ハワイ大マノア校情報工学科助教授.平成元年大阪大学情報工学科講師.平成 3 年同学科助教授.平成 7 年同学科教授.平成 14 年大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻教授.工学博士.ソフトウェア工学の研究に従事.