中川 八穂子 君
2024年度功績賞受賞者の紹介
中川 八穂子 君(なかがわ やおこ)

本会正会員中川八穂子君(フェロー)は、長年にわたりハイパフォーマンスコンピュータならびに情報処理技術の研究開発を牽引してきました。日立製作所の事業部門においては、日本初のベクトル型スーパーコンピュータ「HITAC S-810」等の開発を経て、ベクトル型スーパーコンピュータと超並列型スーパーコンピュータの両方の特長を併せ持つ「ベクトルスカラ融合型スーパーコンピュータSR8000方式COMPAS*1」に発展させ、その業績により2005年に市村産業貢献賞を受賞しました。2008年に中央研究所へ異動後は、組込みシステム基盤研究所長、グリーンIT基盤研究センタ長などを歴任され、メニーコアマイクロプロセッサプラットフォーム、環境配慮型データセンタ、CMOSアニーリング等の将来コンピューティングの研究開発を統括してきました。また、2016年度理事(総務担当)、2019-20年度副会長、21-24年度技術応用運営委員会委員長を歴任され、データサイエンティスト育成戦略の策定や、コロナ禍における60周年記念行事のオンライン開催など、動きが早く困難な社会状況下において学術研究者と実務家に向けた運営に大きく貢献しました。さらに、グリーンIT推進協議会技術検討委員会や文部科学省のHPCI*2計画推進委員会などを通じ、我が国のコンピュータ・情報に関わる産業政策の策定にも多大な貢献をしました。以上のように、同君が情報処理分野ならびに本会の活動の発展に尽力されてこられた功績は、誠に顕著であります。
*1 COMPAS:CO-operative Micro-Processors in single Address Space
*2 革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ