小花 貞夫 君
2018年度功績賞受賞者の紹介
小花 貞夫 君 (おばな さだお)
本会正会員小花貞夫君(フェロー)は,永年にわたり情報ネットーク分野の研究に従事され,その成果が多くの学術論文や国際会議プロシーディングスで掲載されるだけでなく,多くの特許を出願されるなど研究開発に多くの業績を残されるとともに,関連技術の国際標準化や本会の運営・発展に大きく貢献されました.
特に研究開発では,インターネットをはじめ膨大なネットワーク資源情報を効率的に蓄積・検索するデータベース(管理情報ベースやディレクトリ)の実装方式やそれを用いたネットワークの管理・運用方式を開発し,商用の太平洋横断光海底ケーブル等の伝送路管理システムに反映・活用されました.また,モバイル通信に関する研究では,従来ほとんど考慮されなかった物理的な電波の特性に着目し,信号レベル(物理レイヤ)の制御とアプリケーションレイヤの制御を連携させるクロスレイヤ制御がシステム性能の向上に重要であることを早くから提唱し,本会のモバイル通信やネットワーク分野の研究に大きな影響を与えられました.そのほかにも,高レスポンスマルチホップ自律無線通信システムやコグニティブ無線通信システム等の研究開発においてさまざまな成果を挙げてこられました.
これらの研究業績に対して,2001 年には文部科学大臣賞(研究功績者),2008 年に近畿情報通信協議会会長表彰を受賞するなど,高く評価されています.
また,同君は,本会における情報ネットワーク分野の発展と活動の活性化にも多大に貢献されました.高度交通システム(ITS)研究会や分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO)の立ち上げに大きくかかわり,研究会幹事・主査およびシンポジウム実行委員長・運営委員等を務め,安定した活動基盤を確立されました.また,理事(1999 年度〜2000 年度)として,本会の運営や後進の育成に力を注がれました.
さらに,内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)等のITS や自動運転に係る官民の各種委員会の委員や委員長を務め,国の政策策定や産業界の発展に貢献されています.
以上のように,同君が情報処理,特に情報ネットワーク分野の業績ならびに本会の活動の発展に尽くされた功績はまことに顕著であります.