田中 克己 君
2016年度功績賞受賞者の紹介
田中 克己 君 (たなか かつみ)
本会正会員田中克己君(フェロー)は,永年にわたりデータベースやWebコンピューティングに基づいた情報検索技術の研究開発に携わり,その業績はマルチメディアデータベース,情報信憑性分析技術など多岐にわたるものです.
1979年に神戸大学助手に着任されて以来,データベースモデルの理論的研究やオブジェクト指向データベース,ハイパーテキストに関する研究において,時代に先駆けた特筆すべき業績をあげられました.1994年神戸大学工学部教授に就任された後には,通信放送機構「次世代デジタル映像通信の研究開発」統括責任者として,マルチメディアデータベースやデジタルコンテンツマネージメント技術,3次元デジタルコンテンツ管理技術等の先進的な技術開発の業績をあげられました.2001年に京都大学教授に着任されて以来,研究対象をWebコンテンツから,当時爆発的に広がりつつあったモバイル環境におけるデジタルコンテンツにいち早く拡大されました.さらには,こうしたモバイルコンテンツの検索技術やテレビのデジタル放送化を見据えた通信・放送デジタルコンテンツ融合化技術,情報爆発時代を見据えたデジタルコンテンツにおける情報の信頼性分析技術等の常に新しい時代を切り拓く先駆的な研究開発実績をあげられ,データベース,Web情報検索,インターネット情報の信頼性分析技術,情報検索意図の分析等の情報処理に関わる幅広い分野の発展に極めて大きな貢献をされました.
これらの研究業績は,近畿経済産業局長表彰,船井情報科学振興賞,日本データベース功労賞,DASFAA Outstanding Contributions Awards等多くの賞によって国内外から高く評価されています.また,本会データベースシステム研究会主査(1995年度〜1998年度),理事(2000年度〜2001年度),論文誌「データベース(TOD)」共同編集委員長(1998年度),論文誌(ジャーナル)編集委員長(2001年度),第63回全国大会プログラム委員長(2003年度),関西支部長(2007年度〜2008年度)等を歴任され,本会フェローを授与されるとともに,神戸マルチメディア・インターネット協議会会長,日本データベース学会理事,副会長,(独)情報通信研究機構メディアインタラクショングループリーダー,京都大学では全学情報教育専門委員会委員長,学際融合教育研究推進センター高度情報教育基盤ユニット長,21世紀COEプログラム「知識社会基盤構築のための情報学拠点形成」拠点リーダ,グローバルCOEプログラム「知識循環社会のための情報学教育研究拠点」拠点リーダ,情報学研究科附属情報教育推進センター長等を務められる等,本会並びに情報処理分野の発展や同分野の人材育成に大きく貢献されました.このような業績により,同君が我が国のみならず世界的な情報処理分野の発展に多大なる貢献をするとともに本会の活動の発展に尽力された功績は誠に顕著であります.